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左手に苔むした祠を見ると、やがて前方に饅頭型をした山が見えてきた。
逆光気味で見辛いが、山腹に縦に溝が入ったその姿は本日目指す前掛山に違いない。
ここからは正面に見えるものの、道はグルッと前掛山の周りを回って、北側から登るようになっており、距離的にはまだまだ遠い。
暫く進むと、前掛山の左手前の樹林の中に火山館らしき建物も見え始める。
足下、右側は崖になっていて、小さな流れがあり、水の色は温泉のような色。そして、周囲には硫黄臭さが漂い始める。
13年前にここを通った時のことが思い出される。 |
左側の斜面を回り込んでいくと、
今度は正面にピラミッド型の山が見えてきた。山の左側が白いので、恐らく白ゾレと呼ばれる斜面を持つ仙人岳であろう。
道は、軽石を始めとする火山の噴出物からなるガレ場を横切る。右下の沢は恐らく蛇堀川の源流なのだろうが、
上で述べたように温泉のような濁った水である。また、水の流れる岩肌は、鮮やかなオレンジ色をしており、周囲に漂う硫黄臭とともに、
まだ火山活動が続いていることを教えてくれる。もしかしたら、水は温かいのかもしれない。
道はガレ場を横切った後、その川の源頭と思われる場所を横切って左岸へと渡る。 |  |
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振り返れば、先程通過してきた第一外輪山の裂け目からなかなか形の良い山が見える。
最初、山の名前が分からなかったのだが、よくよく考えたら蓼科山、
北横岳である。
普段見慣れていない北横岳は別として、蓼科山は分からないはずがないのだが、
こちらから見るとちょっと今まで見ていた蓼科山とはイメージが違う。
北横岳の左に見える平らな頂上を持つ山は恐らく縞枯山、そしてさらにずっと左の山は天狗岳の双耳峰であろう。
写真を見ていて気づいたのだが、縞枯山と天狗岳の間を結ぶ稜線の後方に三角形の山が見える。
地図で調べたところ、方角的に見て仙丈ヶ岳のようである。 |
8時28分に火山館に到着。
2つ並んだ鳥居を潜ると、火山館の建物が左側に、正面には浅間神社の社殿が建っている。
火山館は 1階部分がシェルター、2階が休憩所になっているとのこと。まだ休む程ではないので、そのまま火山館と神社との間にある道を進む。
浅間神社とくれば、その読み方は 『 せんげん 』 であるのが一般的であろうが、
ここの浅間神社の読み方は 『 あさま 』 である。無論、
ご神体は浅間山。
また、富士山をご神体とする浅間神社は御祭神が木花咲耶姫 (このはなさくやひめ) とのことであるが、
こちらの御祭神は岩長姫 (いわながひめ) で、木花咲耶姫の姉にあたるとのことである。 |  |
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火山館の裏手を登っていく。
やがて、展望が開け、第一外輪山の北側部分がよく見えるようになる。写真の綺麗な三角形をした山は仙人岳。
左側斜面下に見える白ゾレが特徴的である。仙人岳の右には虎ノ尾と呼ばれる岩稜帯が続く。
この火口壁は大変魅力的で、普通 山に登っていてもこのような光景はなかなかお目にかかれない。
阿蘇山 中岳から見た火口もインパクトがあったが、
この火口壁もなかなかの迫力であり、テンションが上がる。
ところで、Wikipediaによれば、「あさま」 は火山を示す古語とのこと。
富士山をご神体とする神社が浅間神社と呼ばれるのも同様の理由であり、
阿蘇山の 「あそ」 も同系の言葉とか。 |
さらに左手には
黒斑山とトーミの頭も見える。
こちらは草付きの斜面になっているので、その迫力は若干落ちるが、それでもトーミの頭の黒ずんだ岩群はやはり火山を感じさせてくれる。
手前にはススキの原が広がり、その中にカラマツの木が生えている。なかなか風情のある光景である。
この黒斑山とトーミの頭の間に、草すべりと名の付いた登山道がつけられているが、その分岐点に 8時36分に到着。
本日の予定では、前掛山を往復した後、Jバンド経由にて第一外輪山に登り、グルッと外輪山を回った後、
この分岐に戻って来る予定である。 |  |