前掛山( 前掛山:2,524m ) 2010.11.06 登山



【PHOTO & 記録 前掛山_黒斑山 1】

11月6日、久々に山に登ってきた。
10月11日に南駒ヶ岳を登った後、 体調を崩してしまい、加えて台風などもあって天候が芳しくない週末が続いたため、ズルズルと 1ヶ月近い間が空いてしまった次第である。
そして、実は 11月6日も体調、特に肩を中心に疲れがとれない状態であったため、家で休養するつもりだったのだが、 どうもこの 1ヶ月の状況を振り返ってみると、家でゴロゴロしている方が翌日以降の体調に悪影響が出るような感じがしたため、 思い切って出かけることにしたのである。
行き先としては、直ぐさま大清水から燧ヶ岳に登るプランが浮かんだものの (11月8日にて戸台から大清水までの道が冬季閉鎖となることから、その前に大清水から登ることを考えた)、 どうも燧ヶ岳は雪がかなり積もっている所があるようなので、小生自身が冬に対する心構えがまだできていないことを踏まえ、 このプランは却下することにしたのだった。そして次の候補を考え、最終的に決めたのが、 浅間山の第二外輪山、前掛山である。

体調を考慮してあまりハードな登山ルートは避けたいこと、とは言えそれなりに高さがある山が良いこと、一方で雪が積もっていない山であること、 そしてまだ登っていない山・コースであることなどを総合的に勘案して選んだ結果である。無論、その地域が晴天ということが必須条件であることは言うまでもない。
登るコースは、浅間山荘 (といっても、連合赤軍による占拠事件のあった河合楽器保養所の あさま山荘ではない) から火山館、 湯ノ平を経由して前掛山に至り、その後再び湯ノ平 (火口原)、Jバンドへと進んで、仙人岳、蛇骨岳、 黒斑山を経由して戻ってくるというものである。
前掛山を除けば、ほとんど登った山ばかりであるが、広い火口原は以前からどうしても歩いてみたいと思っていたため、 少々紅葉の盛りは過ぎているものの出かけることにしたのである。
なお、前掛山は現在浅間山が登山禁止であることから、百名山登頂を目指す人たちにとっての 浅間山の代替地になっている (事実、前掛山の頂上には 浅間山と書かれた標識があり、 その横に括弧書きで前掛山とあった)。かつては、第一外輪山にある 黒斑山が浅間山の代替地であったが、 このところ浅間山の火山活動も落ち着き、警戒レベルが 1となっていることから、 浅間山にさらに近い前掛山までの登山が許されているということである。そういう状況であるから、 いつまたその頂上が踏めない状況になるやもしれず、この時期に登っておきたいところでもある。

ということで、4時に横浜の自宅を出発。
横浜ICから東名高速道に乗り、東京ICを目指す。久々に中央高速道を通らずに済んだので ホッとしたが、これは中央高速道が嫌いなのではなく、 そこに至るまでの国道16号線が嫌いなのである。ただ、関越自動車道に乗るためには、東京ICから環八を通る必要があり、 こちらも大変混むので好きな道路ではないのだが・・・。

そして案の定、早朝というのに環八で渋滞発生、イライラさせられた。しかし、練馬ICからは順調で、藤岡JCTを経て小諸ICまで快調に車を飛ばす。
小諸ICで下りたら左折して 県道79号線を北に進む。すぐにでT字路 (小諸IC北) となるので、 ここを右に曲がり、暫くは浅間サンラインを東へと進む。2つ目 (だったと思う) のトンネルを抜けたところで右折。 さらにすぐに右折して、チェリーパークラインに入り、先ほどのトンネルの上を通って山の方へと進む。この行程は、 以前 黒斑山登山のために車坂峠に向かったルートでもある。
暫く進むと、浅間山荘天狗温泉への分岐が現れるので、右折。ここから未舗装の林道のような道が 4kmほど続く。
しかしそれにしても、かつて浅間山に登った後、浅間山荘に下山してからこの道を下り、 さらには車道を延々と下って、小諸駅まで歩いたのだった (もっと近い山道もあったようだが・・・)。 今回車を運転していて、その距離には呆れるばかり。今ではそんな気力は全くなく、即タクシーを呼ぶところである。
浅間山荘前の駐車場には 6時50分に到着。上にある 2つの駐車場のうち 1つはほぼ満車であった。
トイレや、駐車料金 (500円) の支払い、また、歩き始めてから偏光グラスを忘れたことに気づいて戻ったりしてかなり手間取ったため、 最終的に出発したのは 7時9分であった。


写真の鳥居を潜り、林道のような道を進む。
今回、Black Diamond の トレッキング ポールを購入して、1本だけ持参。このような平坦な道では効力はないものの、 登り斜面での活躍を期待したいところである。
橋を 3つ程渡ると、道は登山道らしくなる。この辺には、大正13年に建てられた浅岳ホテルがあったようである。 浅岳ホテルについてネットで調べたものの、詳しい情報は得られなかった。
ただ、ホテル発行の絵葉書の存在を確認するとともに、長野県北佐久郡小諸町が大正13年に発行した 「浅間山登山案内図」 に、 『 小諸駅より浅間山頂上迄三里廿七丁、(中略)浅岳ホテル(二里六丁)火山館(二里廿七丁)(以下省略)』 の記述が見られる。

道は蛇堀川の左岸を進み、 山裾を巻くような緩やかな登りが続く。やがて、一の鳥居に到着。時刻は 7時30分。
ここで道は二手に分かれる。右が不動滝経由の道、左が尾根を行く道であり、どちらを進んでも二の鳥居の所で合流するようだ。
どちらでも時間的には変わらないのかもしれないが、鳥居の傍に立てられていた案内板に 『 ← 二の鳥居へ、不動の滝を経て二の鳥居へ → 』 と書かれていたので、 何となく右の道は遠回りのような感じを受けたので、不動滝は帰りに見ることにして、左側の道を進む。
道は良く踏まれており、また、傾斜もそれ程ではないので、登山道と言うよりは散策道と言った感じの樹林の中の道が続く。

すぐに二の鳥居に到着。時間は 7時44分。
鳥居を潜らない道が鳥居の右側に延びているが、ここはやはり鳥居を潜るべきと思い、やや草の多い道を進む。無論、道はすぐに合流する。 ミズナラの林を進む。
この鳥居を通過すると、長坂と呼ばれる九十九折りの坂道が始まる。ただ、苦しくて喘ぐという程の道ではない。 むしろ、右上方に牙のような岩峰が現れ、気持ちを高めてくれる。
また、石碑なども道端に現れ始める。二里廿七丁と書かれた距離標もあったが、上で述べたように、これが小諸駅からの距離を表すのなら火山館に該当する場所である。 大正13年頃の火山館はこの場所にあったのだろうか。あるいは起点が違うのか。

8時を過ぎると、 今まで右側の山の後方にあった太陽が山を越え、周囲を明るく照らし始める。
道の方も徐々に傾斜が緩み、伸びやかなササ原が目の前に広がり、大変気持ちが良い。
登る先、右手には岩峰が大きいが、どうやら牙山 (ぎっぱやま) のようである。
青い空、黄色く染まったカラマツ、緑のササ原、ますます気分が高揚する。

今度は、左手前方、黄色く染まったカラマツの向こうに岩峰が見え始める。
こちらは槍ヶ鞘、トーミの頭、黒斑山 と続く第一外輪山の火口壁である。
青い空に浮かぶ岩壁は、普段お目にかかれるような光景ではなく、一見の価値が十分ある。
岸壁には人を寄せ付けない厳しさが感じられるが、その反対側の斜面は確か樹林に覆われた優しい感じの斜面のはず。 そのギャップが大変面白い。

右には牙山の岸壁。 左には槍ヶ鞘の絶壁。この場所は第一外輪山の裂け目になっており、ここから火口内に入り込むことになるようだ。
道の傍らには、浅間山開闢祖中開霊神と彫られた石碑が現れる。『 開闢 』 とは難しい漢字だが、 『 かいびゃく 』 と読む。時刻は 8時11分。
この石碑からさらに登り上げると、カモシカ平となる。その名の通り、カモシカが現れることを期待したが、残念ながらそれは叶わず仕舞い。 しかし、その代わりと言う訳ではないが、左手には遮るもの無く槍ヶ鞘の岸壁群が見えるようになってきた。朝日を浴びて明るく輝く岸壁は、 西部劇でよく見た光景を思わせる。



前掛山_黒斑山登山データ

上記登山のデータ登山日:2010.11.06 天候:快晴単独行日帰り
登山路:浅間山荘駐車場−一の鳥居−二の鳥居−火山館−湯モ平口−賽ノ河原−前掛山・浅間山登山道分岐− 前掛山−前掛山・浅間山登山道分岐−(空白)−賽ノ河原−湯ノ平−Jバンド−仙人岳−蛇骨岳−黒斑山−草すべり分岐−湯ノ平口−火山館− 二の鳥居−不動滝−一の鳥居−浅間山荘駐車場
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道)−東京IC−−(環状八号線)−練馬IC−(関越自動車道)− 藤岡JCT−(上信越自動車道)−小諸IC−(県道79号線)−小諸IC北−(浅間サンライン)−(チェリーパークライン)−天狗温泉 浅間山荘分岐− 浅間山荘駐車場 (車にて)
交通復路:浅間山荘駐車場−浅間山荘 天狗温泉分岐−(チェリーパークライン)−(浅間サンライン)− 小諸IC北−(県道79号線)−小諸IC−(上信越自動車道)−藤岡JCT−(関越自動車道)−練馬IC−(環状八号線)−東京IC−(東名自動車道)−横浜IC−瀬谷 (車にて)

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