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爺ヶ岳の北峰が見通せた場所から 10分程登れば、少し平らな場所に出て、
今度は鹿島槍ヶ岳が見える様になった。
先程までは南峰のみであったが、今度は 南峰の右に吊尾根、そして北峰の姿も見える。北峰の右からこちら側右手前に派生する尾根にある高みはアラ沢ノ頭であろうか。
木々を山腹に抱く周囲の山々とは全く雰囲気を異にする、岩肌を露わにしたその姿は本当に素晴らしい。
しかし、あの頂に到達するまでにはグルッと左から廻っていかねばならない。
昨年の五竜岳のように、
頂上に達した時にはガスが上がってきてしまっているといったことがないと良いが・・・。 |
と思ったら、
15分後に再び見えた鹿島槍ヶ岳方面には
写真のようにガスがかかりつつある。
これはショック。昨年の五竜岳と同じ運命かと、
一気にテンションが下がる。
確かに、ここから頂上まで地図上では、5時間弱かかることになっている。今がこの調子なら、5時間後は推して知るべしである。
残念。 | |
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先にも述べたように、登山道には木製、金属製の梯子が頻繁に現れる。写真では分かりにくいが、この木製の梯子を登った後、
金属製の梯子が連続している (写真上部 右に見える斜めの線が金属製の梯子)。
なお、写真の木製の梯子は、斜面上部からのロープにて固定されているのだが、上の方にある固定ロープは梯子近くで 2つに分かれており、
一方の端が梯子段の真ん中近くまで来てしまっている。そこに足を引っかけてしまう怖れがあり、注意が必要である。
とは言え、道は良く整備されているし、
金属製の梯子の方は近年 換えられたばかりのようで、まだ錆びなどは出ていない。 |
やがて、
上方から人の声が聞こえてきたかと思うと、岩のある台地状の場所に登り着いた。高千穂平である。時刻は 7時41分。
岩場では8人程の団体客が憩っている。最初は 小生もその岩場にザックを下ろし、周囲の写真を撮り始めたのだが、
そのうち もう少し先に高千穂平の標識があることに気がついた。そちらは 1人しかいないので、早速 移動する。
ここから眺める鹿島槍ヶ岳は素晴らしい。
南峰、吊尾根、北峰がよく見える。先程までは見る位置が低かったので、北峰の右に見えるアラ沢ノ頭が北峰と肩を並べていたのだが、
ここからは完全に 2つの頂上だけが抜きんでている。少々ガスが心配。
マウスを 写真の上に置いて下さい。 |
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7時49分に高千穂平を出発する。
その前に岩場で休んでいた方と少し話をする。その人曰く、午前中はガスは大丈夫とのこと。その言葉を信じたいが、結構 ガスが上がってきている。
道は暫く気持ちの良い尾根が続き、緩やかに登っていく。
鹿島槍ヶ岳を見やれば、
先程よりもまたガスが上がってきている。秋らしい風情ではあるが、気持ちは落ち着かない。
やがて、道は勾配がきつくなり始める。先程の人の話では、高千穂平までの登りが一番厳しいとのことだが、疲れが出始めた身体にとっては、
こちらの方がきつく感じる。 |
高度が上がるに連れ、
周囲の木々は低くいものに変わり、やがて岩場の道へと移っていく。足下は岩屑が多く、また裸の痩せ尾根や鎖場、崖の縁を歩くことになり、
注意が必要である。
岩は脆く崩れやすいようで、小生が歩いている時も、3m程先を左上の斜面からゴルフボール大の岩が数個転げ落ちていった。直撃されていたら、
怪我することはもちろんのこと、バランスを崩して右側の斜面下に転げ落ちてしまうことも考えられる。
と言いつつも、あまり 神経質になる必要は無い。
左を見れば、雲の海の向こうに八ヶ岳のシルエットが見える。
そしてその右には富士山も見えたのだった。 | |