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休み場所を探しながら 30分以上も歩き続けたが、さすがに我慢できずに 北側の展望は諦め、
何の変哲も無い南側の景色の見える場所で休むことにする。時刻は 9時43分。
のどの渇きを癒やし、空腹を満たして9時56分に出発。
少し進むと、
ようやく針ノ木岳、蓮華岳が見通せるようになった。
この 2つの間にある山は北葛岳。
ただ、ここも休憩の適地ではなく、結局 最後まで北側の山を見ながら休憩できるような場所は無かった様な気がする。
コメツガやシラビソの尾根道を進む。
時折、樹林が切れて、鹿島槍ヶ岳、
爺ヶ岳が見える。 |
やがて、左手 上部に餓鬼岳から南に延びる尾根と思われる稜線が見え、
すぐにガレ場の横を通過することになった。
ガレ場にむき出しになっている岩は花崗岩なのか、それとも石灰岩なのか、とにかく日の光を浴びて岩肌が真っ白に輝いている。
このガレ場を通過すると、本日 2つめの試練が待ち構えていた。
稜線に向かって斜面を登り詰めていくのだが、そこには九十九折りの道が付けられているのである。
百曲りとの名前が付けられているようだが、事実、百回曲がっているのではと思う程、
その区間は長い。疲れてきた身体には非常に辛い。 | |
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道はササの斜面をジグザグに登っていくのだが、歩き始めて4時間以上経っており、
さらには 3日前の奥穂高岳撤退の疲れが残っている身にとっては大変辛い。
久々に、少し進んでは上を見上げるという動作を繰り返すようになる。
ここでも元気をくれるのは後方に見える景色。
浅間山や
四阿山、
そしてそのずっと手前に広がる大町市の市街地や高瀬川などの眺めが素晴らしい。
また、葉をスッカリ落としたダケカンバの木々が雪に耐えた跡なのだろうか、かなりユニークな形をしていて楽しませてくれる。 |
先程のガレ場から見えた稜線が近くなってくると、
稜線上に建物が見えた。最初はその深緑の様な色から祠かと思ったのだが、
窓もあるので餓鬼岳小屋らしい (実際は布団部屋 ??)。
辛かった百曲りの登りも終盤に差し掛かる。やがて、餓鬼岳小屋まで 10分の標識が現れる。時刻は丁度 11時。
ここからは小屋に向かってのほぼ直線の道となる。
そして、11時10分、布団部屋と思われる裏手から小屋の横に飛び出したのだった。
まずは小屋の前方にある高台に行ってみる。
餓鬼岳から燕岳への縦走路上にある
剣ズリと呼ばれる鋭鋒がまずは目を惹く。 | |
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剣ズリの左奥には槍ヶ岳の穂先も見えている。
また、槍ヶ岳の手前を横切っている稜線上には燕岳も見える。
そして西側には烏帽子岳、三ツ岳、野口五郎岳が見え、さらに左には写真の様にワリモ岳、
そして鷲羽岳が見える (写真中央左側の2つの突起)。
また、燕岳の左には3日前に登れなかった奥穂高岳が見え、
さらには大天井岳、常念岳も見える。 |
振り返れば (北側を見れば)、
餓鬼岳が大きい。
小屋横にあった標識には餓鬼岳まで 5分とのこと。すぐに頂上を目指す。
ところで、小屋横のその標識には標高 2,600mとある。
ということは、先程の 大凪山から 521m高度を上げたことになり、その所要時間は 途中の 13分の休憩を除くと、
2時間6分。白沢登山口から最後の水場、大凪山、餓鬼岳小屋とほぼ 500m刻みの高度差ということになるが、
同じ 500mでも、大凪山からの 500mは、距離もあり、大変厳しいものであった。 | |