BOOK BOOK こんにちは  2003.4月

我々はもしかして東京でいちばん読書量の多いバンドなのでは?

このコーナーは、3人の精鋭が日々読んだ本の感想を書いていくものです。

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       アオウ        コマツ       スヤマ

★4月28日(月)更新★★★★★★★★★★

今日、27日はライブでありました。今打ち上げから帰ってきたところで午前3時20分。わたしゃー昨日は徹夜だったんで、途中リタイヤしこれを書いてる次第。ちなみに、あの人やこの人はまだ飲んだくれているが…。

今週はいろいろつまみ読みしました。

『ドグマ・マ=グロ』(梶尾真治・新潮文庫)「江戸川乱歩、夢野久作へのオマージュ」とか書いてあったんであまり期待してなかったのだが、おもしろい。新米看護婦の初めての夜勤…それも戦中に人体実験をやってたとかいろんな噂のある病院で。まだ途中なんだけど、どんどんヘンテコな登場人物が出ばってきて、それが散漫な印象にならずひきこまれます。

『木島日記』(大塚英志・角川文庫)民俗学者で歌人である折口信夫を主人公(もちろんこの主人公は創作により生まれたキャラクターである)としたオカルティックな香りのする物語。これもまだ読みかけなんですよー。でもよさげ。

『夏の葬列』(山川方夫・集英社文庫)山川方夫が集英社文庫?ってすごく違和感あったので見つけてびっくりした。ごく短い短編をぱらぱらと読む。著者は35歳の若さで交通事故死した。著者近影の、デコのはげあがり方がカッコいい。初めて若ハゲに魅力を感じた。

先週買った『青春山脈』全12巻を読みきってしまった。刃物や飛び道具を使わないケンカ「ステゴロ殺法」を使いこなす主人公がかっこよか! 後半、なんだか愛憎関係が入り乱れすぎて『愛と誠』みたいになってったなあ。

ついに、吉祥寺にもブックオフが上陸した。パトロールに行ったはものの、やっぱりブックオフはブックオフ。それ以上でも以下でもないのだ。

その帰り、ブックオフができたことで売り上げの影響が心配される近くの古書店Y屋に行ってみた。Y屋のレジに、これまで見たことのない「買い取りについて」のチラシがあったので持って帰ってよく読んだら「どんなにキレイな本でも、内容が充実していないと誰も読みたいと思いません。」という一文があった。正しい! そしてこれは、あきらかにブックオフへの宣戦布告である。査定がマトモすぎてちょっと高いけどな、おたくの本屋。でも、がんばれY屋、応援しようぞ。

私のくせにネットで本を買うようになった。「本は店頭で見るもの」という気持ちは変わっていないのだが、「店頭になさそうな書籍の注文」に関しては別である。そもそも、本屋で注文すると届くのが遅すぎるもの。仕事上必要で急いで取り寄せたい本は、ネットショップで在庫状況や配達にかかる時間をあらかじめ知ることができるし、あてなく探し回る手間を考えたら手数料だってたいした額ではない。だいたい250円くらい。それも一定額(1500円とか)以上買うと無料になる。私は代引き着払いの手数料200円くらいを負担してるが、カード払いの人はこれもかからない。近所のコンビニに届けてくれるシステムの場合も、配送料はゼロ。便利だなあ。

一方で、最近本屋については文句がいろいろあるのよ。まず、書店員が、本がどこにあるかさっぱりわかってないこと。それと、「え、これを知らないの?」ってな出版社の名前を書けなかったりするのにも驚かされる。そういえばYブックセンターで、ケラリーノ・サンドロヴィッチの本が「外国文学」の棚にあったのは笑った。

あと、本屋といえば袋問題。最近、持ち手ありの紙袋を廃止するとこ増えてませんか?予算の関係? 一度にたくさん買う客(紙袋を必要とする客)は少数派かもしれないが、この層を大切にしてくれないでどーすんだい!ビニール袋にいっぱいに詰め込まれると、手にくいこんで痛い。先日も、店員がビニール袋にムリヤリ詰め込もうとするので、「紙袋はないですか?」と聞いたら、突然持ち手のない普通の紙袋に入れようとしだした(当然入る量じゃなかったのだが)ので驚いた。そのくせ、いらないカバーは勝手につけちゃうんだからなー。

★4月21日(月)更新★★★★★★★★★★

書店でもらった『出版ダイジェスト』に、村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(白水社)出版を記念しての、刊行記念対談「村上春樹×柴田元幸」が載っていた。ものすごく売れてるみたいね。私の分析では、「あー、“ライ麦”ね。昔読んだなー」と、実は未読なのに読んだぶってる人が「じゃ、旧訳と読みくらべてみるか、ははっ」なんつって購入してる…こうした「隠れ初読」人口が多いとにらんでおります。

 ところで、今や英米文学の翻訳者・紹介者の第一人者のよーな柴田元幸ですが、この人の訳、どうにも読みにくい…と思ってるのは私だけかな? 正確にいうと、文字面は読みやすいんだけど、話が頭に入ってこないというか、単純におもしろくないというか…「これぞ翻訳文学ですぞ!」という気取りが文体を制覇してしまってるというか…。

 しかしながら『出版ダイジェスト』4面に掲載された、角田光代の寄稿『ホールデンと私』はひどかった。書き出しから「十五歳で出会ってからこっち、ホールデン・コールフィールドは私にとってずっと、パンク音楽みたいなものだった」とくる。うへー。「(中略)かような洗礼をまったく受けず(パンクを聴かず、ロックを聴かず、もしくはホールデンに出会わず)成長しきってしまった人を私はなんとなく信用しない」とは恐れ入る。こうした幼稚な選民意識めいた感情を、いい年して語るない! 成長せよ!

『Big Hearts ジョーのいない時代に生まれて』1・2巻〜続刊(林 明輝 講談社モーニングKC)珍しくおもしろいと思えたボクシング漫画。変に最初っから「熱血」じゃないトコがいい。会社を辞めたサラリーマンがプロテストに合格→プロデビュー2戦目で初勝利。試合中の作戦なども細かく描かれていて興味深い。続きが楽しみ。

 借りているぬまじりよしみのマンガをざくざく読み続けた。この作家、主婦層を中心読者とするようなヌルめのレディース雑誌を拠点としているわけですが、それがため読み捨てにされているだろう状況が惜しい! きっと連載時はそこそこ人気あっても、単行本は売れていないんだろうな。と思うと、むくむくとファンレターを書きたくなってきた。書くぞ、応援するぞ、ぬまじりよしみ!

 ぬまじりよしみのマンガのおもしろさは、主人公がきちんと成長するところにある。イコール、まさに少女マンガの対極をいっている、と思う。たいていの少女マンガは、まず閃きの恋ありき。そこから、ほかの人に目移りしたり、悩んだりしたあげく、ラストはやっぱり「閃きの恋=運命の人」が自分の戻るべき場所だったと気づく・・・とこうした図式の中にある。が、ぬまじり氏のマンガでは、結末が思いもしないところに転がっていったりする。「少女マンガの方程式」で読むと、まあ「ひっかき回し役」だろうなあと思うような男と、爽やかにゴールラインを駆け抜けてしまっていたりする。それがとてもホントっぽく清々しい。並みの少女マンガでは、途中で元のオトコよりかっこいいオトコが現れたら、それは「食わせモノ」に決まってるのだが、ぬまじりよしみはやすやすとその古い常識を破ってくれる。「閃きの恋」神話に風穴をあけた功績は大きい。

 ひさしぶりにまんだらけ中野店に行き、ヴィンテージ館で大きい買い物をした。

『青春山脈』(原作/梶原一騎 劇画/かざま鋭二 講談社 KCマガジン全12巻)ずっと探していたのだが、後ろのほうの巻はまったく見かけないため、バラで揃えるのは無理だろうと思ってたところだったので。6000円なり。

『60億のシラミ』(飯森広一 秋田書店少年チャンピオンコミックス全5巻)これ、前にヴィンテージ館のガラスケースの中で見た時、「4000円か、ちょっと高いなあ」と思っていたのだが、やはり他ではさっぱり見かけないので満を持して購入。飯森広一というと『ぼくの動物園日記』がいちばん有名なのかな? マイ・ベストは『レース鳩007(アラシ)』でやんす。

★4月14日(月)更新★★★★★★★★★★

『東海村臨界事故 被曝治療83日間の記録』(NHK取材班 岩波書店)NHKのドキュメンタリー番組から生まれた本らしいです。被曝した作業員(当時35歳)の凄絶な治療記録。被曝量は相当なものだったはずなので、実はもっと早く亡くなってしまうんじゃないかと思っていた、その裏側はこんなふうになっていたのか! 

『リアルワールド』(桐野夏生 集英社)17歳のガリ勉男子が母を殺して逃走。そいつとケイタイで連絡をとりあう4人の女子高生…傍観する者もあり、巻き込まれる者もあり…といった話。まあまあおもしろく読みすすめはしたけど、読み終わってみると中途半端な印象。全体に都合よすぎてリアルさ無し。にぎやかしに出てくる刑事ふがいなさすぎ。スピード感なし。 ちょうど今週の風呂本であった『ラブ&ポップ』(村上龍)も、女子高生4人が出てくるたった1日の物語であるが、こちらのほうがぐっと迫ってくるものがあるなあ。偶然にもこの2作には、ラスト近くで主人公がある手紙を受け取るという共通点がある。『リアル〜』はそこでさらにイヤ〜な気分にさせられたが、『ラブ〜』はなかなか洒落た感じにおさまってる。

『向田邦子の恋文』(向田和子 新潮社)この本が出た当初、「まったく死人のプライベートを公開して稼ぎやがって」とゆー気持ちになったものだが、中を読むと本書が軽々しく発表されたわけではないことが、よくわかる。ここに発表されているのは、向田邦子33〜34歳のころの恋人への手紙。そして彼の日記。それらを、著者で実の妹である向田和子は、邦子の死後20年間、ひもとくことすらできなかったというのだから。

脚本家としてすでに売れっ子だった向田が、ホテルでカンヅメになりながらもマメに手紙を書いたり、足しげく彼のもとへ通うさまのカワイイこと。しかし、この恋には悲しい結末が…!! それにしても写真を見るにつけ、いい女だなあ向田邦子。

『完本 紙つぶて』(矢沢永一)をちびちび読んでいる。書評コラムの真髄ここにあり。そのまっとうな批評っぷりもさることながら、過去に出版された本という本を知り尽くした上でのコメントにおののき尊敬の念を抱かずにいられない。

以下、マンガ。

『ジャイアント』(山田芳裕 講談社)3巻〜続刊 このマンガ家の作品はどれもおもしろいのだけど、こりゃーいい! メジャーを舞台にした野球マンガなのだけど、そこいらの野球マンガとは違うおもしろさがある。あと、まさにNOW、追っかけるべき野球マンガ『剛球少女』の3巻も出ました。はあ〜、ますますいいね。『スーパーヅガン・アダルト』(片山まさゆき)の2巻を読みながら、思ったこと。この作家はギャグに時事ネタを折りこむのがうまいのだが、確か『スーパーヅガン』本編時、エイズの症状“カポシ肉腫”をネタにしたギャグがあったなあ…あれって、今や削除されてんだろうか…?

『レア者』(中村真理子 講談社)上下巻 主人公(女性)が明治時代からタイムスリップしてきた男(実はご先祖)と同居することになる話。よくある設定の割には、おもしろかった。タイトルはどーかと思うが。

今週送られてきたW氏の段ボール箱には、ぬまじりよしみのマンガが大量に入っていた。ぬまじりよしみといえば、私は小学校高学年のころ、『花とゆめ』に載ってたショート『ひがみちゃんJAM』(全3巻 白泉社…雑誌掲載時のタイトルは違った気がするけど)が気に入って単行本を買ったものだが、失礼ながらこうして長く生き残る作家だとは思えなかった。絵は華麗とは言い難いが、非常に細かいところに目配りのきく作家で、一見平凡に思える登場人物も性格づけが奥深い。『チンしてね!』全2巻(双葉社)は、不倫を経て入籍を間近に控えた恋人を突然の交通事故で失い、疑似未亡人状態となった主人公が家政婦として働き始める話。 『バツッ!! 待機妻物語』全2巻(双葉社)は、なんの前ぶれもなく失踪した夫を待ちつつ、結婚式場で働く妻が主人公。一見、ほのぼのした話にまとめるタイプに見えるけど、これがねー、きれいゴトばっかじゃない、意外な展開を織りこんでくれるからおもしろいのですよ。

★4月7日(月)更新★★★★★★★★★★

 図書館をちゃんと利用し始めると、自分が持ってなきゃいけない本がよくわかってくる。もちろん図書館にあろうと、常に身近に置いておきたい本というのはたくさんある。でも、それはやはり限られた本だ。というわけで、これからもせっせと買い、その一方でせっせと売り、また貸し借りしまくろうと思う。先日、また不要な本を選び出した。ふつーの古本屋に売る山、まんだらけに売る山に分けた。カバーがなかったりでどうにも売れそうもないヤツは、地下鉄文庫か図書館のリサイクルコーナーにつっこんでくることにしよう(そもそもソコから持ってきた本もあるな…)。

『13のエロチカ』(坂東真砂子・角川文庫)短編集。少女が自慰を覚えるとか、少年が祭の夜にきれいなお姉さんに誘われて童貞喪失…とか、そんな青いエロスな話が満載。ホラー作家だけあって(?)、文体はどこか薄暗くムーディー。少年少女の性体験を描いても、妙に青々しくなくて良かった。この著者のものを読むのは初めてだ。以前に著者の写真を見て、「なんとホラー作家にぴったりな風貌よ!」と感動したものだ。もちろん誉め言葉。

『秘事・半所有者』(河野多恵子・新潮文庫)昭和11年生まれの同級生カップル→夫婦は、絵にかいたような幸せな結婚生活を送っている。夫は一流商社マンでビシビシ昇進、二人の息子も出来が良く、サクサク就職&結婚&孫生産。しかし、その夫婦の結婚の裏にはある事故が隠されている…。

『息子の唇』(内田春菊・角川文庫)短編集。2つほど読んでみたが、あまりおもしろくなかったので途中棄権。それにしても、京葉線の中はどうにも読書がすすまない。

金曜の夜、己に気合いを入れるためにマニキュアを塗りながら(なぜかこの行為は集中力が高まるのだ)『君が壊れてしまう前に』(島田雅彦・角川文庫)を読んだ。マニキュアがくっつかないようにページをめくるのは難しい。島田雅彦の本はひさしぶりに読んだなあ。14歳の少年の1年間の日記という形式をとっている。セッションをしたり、クラシックのレコードを元にインプロごっこをする活動を「ダダ・クラブ」と名付けたりするみっともなさがなんともリアルで楽しい。

本屋で買い物したら、開店3周年記念とかで花の鉢植えをくれた。気がきいてる。おお、花と本。すばらしい。YEAH! ピンクの花を台所に置いた。

本は片手さえあいてれば読めるので、ときには台所で玉ねぎを炒めながら読むこともある。最近左手の筋トレに励んでいるので、読書の友はもっぱら楽器店で買い求めた「グリップマスター」(2500円もした!)である。強力なバネがついてて、それを握って筋力や腱を鍛えるわけです。テリーズのドラマーの田原くんが「そういうのって、効果が出るのは3か月後らしいですよ」と言ってた。今、始めて1か月くらいなんだけど、ちょっと手ごたえが感じられてきてうれしい。もっとバネの強いヤツも購入しようかなー。

風呂本。税金の本を読むのにちょっと飽きたので、『ラブ&ポップ』(村上龍)を読み始めた。たぶん1回読んでるんだけど、まるで内容が思い出せなかった。読みやすいので長湯になる。

『緑の黙示録』(岡崎二郎・講談社アフタヌーンKC)木の気持ちを感じることができる少女が主人公。内容はいたって科学的。フィトンチッドって濃すぎると有毒なんて知らなかったわーん。

 

★4月30日(月)更新★★★★★★★★★★

ウエー!! 今週読んだのは山田太一のエッセイと石丸元章の『SPEED』の2冊。山田太一は「くさりかけた林檎」(ちがう?)とか、「沿線地図」とかで有名なTVシナリオライター。オレの印象では「家庭崩壊」っぽいテーマが多い人のような気がする。オレの読んだこの本では助監時代についていた、木下恵介(ちがう?)監督について書いた部分が興味深かった。木下作品チョイ見てみたくなったが、レンタルビデオ屋とかにあるのかな? ノスタルジーっぽい湿った気持ちの心地よさが、今2003年なら思い切り感じられるかもしれない。

石丸元章はドラッグの事をいっぱい書いてるライターで、オレは「BURST」誌で、パラパラ読んでは面白いなー、と思っていた。自身がドラッグ・ルポのつもりで、実際はドンドンハマっていく過程を書いているのだが、これもまた湿った心地よさがあった。そうか!この2冊はけっこう似てたな。なんとなく。

まあ、そんな事はともかく、オレは5/2後楽園ホールでゼロワンを観るのだ!オガワ・橋本のOH砲が、武藤・小島組とやるのだ。ウレシー!!たのしみー!!あ、あと健康増進法超・反対! 超・ダセー!!

★4月21日(月)更新★★★★★★★★★★

左の文章を見てガックリきちゃった!ついにサリンジャーも村上春樹の軍門に・・・・。まあいいけどさ。たぶん面白くなるだろうし。

オレ的には「ライ麦畑」はサリンジャーでいちばんピンと来なかった作品。なのでこの新訳をぜひ須山さんに貸して欲しい。これは儲かりそうなトコロがとってもとってもけっこうだと思いますぞ。白水社がんばれ!

オレはグラース・サーガがよいので「ハプワース」とか「大工よ」がフェイバリットですね。新潮・野崎孝訳はけっこう。もっと前の角川(?ちがうかも)はヒドかった。たしかクイズダービーに出てた人の訳なんだけど、日本語として崩壊してた印象があるなー。いえいえ篠沢教授じゃないですよ。もっと前の人。篠沢先生は実に素敵なお方でお慕い申しあげております。

 

★4月14日(月)更新★★★★★★★★★★

カリスマ・ホストの書いた本はやめて露伴の「努力論」サリンジャー「ナインストーリーズ」再読などしておりましたが、花見よりつづいておる狂乱の日々に、とても本など手に取る気分ではないのです。雨、晴、また雨、そして曇り、雨、そしてまた晴・・・。春は人を狂わせる・・・。ついでに電話も壊れてしまい、只今入院中。昨夜はひさびさ(1年ぶり!)のホリー復帰リハーサルだったのに、なんと、オレ失踪!ガーン!死亡説も出たそうで(アオウは具体的な始末のスケジュール調整まで考えたらしい)我々のメンバーのみなさま、誠に申し訳ありませんでした!猛省しております!ま、そんな具合ですので今週もこのコーナー、なんの報告もできません。申し訳ない。そのうち巻き返しますので乞うご期待!ということで。あ、つかこうへいの演技論めいたのは読んだなー。もう書いたっけ?忘れちゃったけど、つかさんはエライ人ですねー。そしてつかさん、ゴルゴ13が好きなのねー。芝居をみてみたい、と思える数少ない演出家です。実際にはまだ見たことないけど。よーし、決めた!今年はつかこうへい劇団を見に行こうっと!誰か一緒にいきましょうよー。

★4月7日(月)更新★★★★★★★★★★

ただいまー。しばらくサボってましたが、このコーナーに帰ってまいりましたぞよー。昨夜、読んだのは「眠れるラプンツェル」山本文緒でした。それはたまたま現在寝床にしておる場所の近くにあったからです。内容は、28歳主婦と13歳男子の恋愛ストーリーで、まあまあでした。この小説、男子からの視点で書けばポルノになるワケですが、肝腎のそのシーンのディテールに乏しい。即ち現実味のない妄想話みたいに読めてしまうのがツラかったです。ちょっと女性作家にはそういう人が多いような気がする。

次に読むのはきっとカリスマ・ホストの書いた「モテ本」2冊になる筈です。おそらくや得るところはないでしょうが、1つでもあったら大収穫だと思います。

★4月30日(月)更新★★★★★★★★★★

 いま,会社23時. 一昨日,社内引越をしたので,身辺はごっちゃごちゃ. ああそれなのに,最終校正をやりとげねばならぬこの身. ああ,自由になりたい.そして本を読みたい. ですので,この一週間苦労しました. それでも以下の2冊を同時に読んでいました: 『脱構築』(守中高明 岩波書店『会社はこれからどうなるのか』(岩井克人 平凡社 )

守中氏には,先日お会いして,モーリス・ブランショに関するお原稿を依頼した. 早稲田大学で教鞭をとり,デリダやレヴィナスの研究書・訳書をものしつつ,ご実家 の寺院にて僧侶をされており,法事の際には読経もしてしまうという,マルチな方で ある. 岩井克人氏はいうまでもなく『ヴェニスの商人の資本論』の著者.『続・明暗』『日本近代小説』『本格小説』などの作者,水村美苗氏の配偶者の方だと思った・・・こ ずえさん,そうだったわよね? 確認して! (アオウ注:確認しましたです。間違いなしと思います)

というわけで,わたしはお仕事に戻ります.

みなさんお休みくださいませ.

★4月21日(月)更新★★★★★★★★★★

わしはバンド“我々”にて、ヘナチョコドラムを叩いている独身四十男であーる。しかしそのウラでは出版社勤務17年目という仮の姿を世間にさらしておるのでもあーる。今月は三冊の書籍と一冊の雑誌を担当してしまったので、とりわけ今週は、本を読む時間がなかった。ゆえに今回はわしがヘンシューした本の宣伝をして原稿に代えてしまおうと思う。媒体を勝手に利用されたあおうこずえのフンガイする顔が目にみえるようであーる。

@『20世紀フランス思想を読む』(渡辺諒)コレはお得な一冊でございます。ベルクソン、アルトーからメルロ=ポンティ、フーコー、デリダまで、20世紀のフランス思想界のうねりがタチドコロに分かってしまうと同時にフランス人の虫の居どころがイカに偏屈でありソレがイカに彼らの強みであったかがナットクできてしまうという、ガンコ者は必ず読まなきゃイケナイ本となっております。

A『ことたび フィリピノ語』マニラ在住の著者、澤田公伸(まさのぶ)氏は美しいフィリピン人の奥様を生活の伴侶としているバカリではなく、このような旅行会話書をいとも悠々とモノしてしまわれるのであった。添付ファイルのデータのやりとりだけで一冊の本が完成されてしまったというのはわしのヘンシュー体験の中では初めてであった。わしは著者に一度も会わずに本を上梓するというのもナンだと感じデジカメで自写像をマニラに送信した。著者いわく:「まるで芸能プロダクションの人みたいですね」その通りなのであーる。

B『ふらんす 4月号』80年の歴史をひきずるフランス文化紹介の雑誌です。わしは“我々”結成の91年当時、コノ雑誌の担当を任ぜられ困惑のどん底であえいでいた。そのわしをまたゾロ編集長にひきすえてドーニカしろという会社もドーカしている。誰かわしを助けてくれ、と思っていたら、編集実務を担う西荻在住のK夫人はスバラシク有能なマダームだったので、わしは殆どナニもせず編集長の「フリ」だけをしておればヨイことが判明した。これでゆっくり何の心配もせず腰痛を癒しておきなさいというオボシメシなのだろう。

C『フラ語入門 わかりやすいにもホドがある!』コレは目下、電車内での読書をギセイにして校正にボットーしておる本なので紹介は次回にもち越しである。2回にわたって勝手に媒体を利用される、あおうこずえのイラだちが伝わって余りあるのだが、そこまでする深い理由がある。しかし紙幅も尽きたゆえその理由の説明は次回にまわそうと思う。以上。

★4月14日(月)更新★★★★★★★★★★

 人が理論より“実践”をココロざすとはどういうことなのか? 肉体的接触を忌み嫌い、母は我が子に異性との交流をいっさい禁ずる。そうして子(息子)は27歳までオナニイすらできない人間となってしまう。

 彼を“実践”へと導いたのは、勿論女体そのものだったけれども、同時にマルクスを読むこと、スピノザを読むことでもあった。人体が他ならぬモノ、物質、マテリアルである以上、唯物論を発条としてのみ、母の厳命をのりこえることができた。そしてキリスト教も。ジーザスさんがひとつの〈媒介〉たりうるのは、(原罪をあがなう者としての〈媒介〉ね)無を媒介するからである。だってこの世はモノ(物自体)でしかないのだもん。だから「神は存在しない」…あっちょっと分かりにくい? アルチュセールっていう人の書いた自伝のハナシの続きなんだけど。

 よーするに、ワタシのカラダを使って誰かしらの男が“救われる”と思い上がってるオンナのハナシみたいなモンよ。オンナの身体にオトコが求めるものは何か。“実践”である。オンナも、オトコの身体を使って自分の肉体を改造していくのである。「これっきりこれっきりですか」と問いかけながらも「今夜も私は波のように抱かれてしまう」横須賀ストーリーの世界である。そうしてオトコに抱かれることによって、女は「普遍」と「特殊」の境界をのりこえ(何か“愛”と名付けられるシンボルをものりこえ)ていく。オトコもそうだ。めざすべきは女の肌の感触であって、それを〈媒介〉にして得られる何かのシンボルではない。

 アルチュセールにとって女体とは何だったのか。モノの獲得へと人を駆りたてる存在。ドイツ軍の虜囚となる中で、食い物やタバコを“備蓄する”行為と全く同じように、飢えないために貯蔵しておく存在。重要なことは、充分な“たくわえ”を所有しておくこと。 彼の自伝を読んでごらんオンナたちよ。そう、それでも彼は最後(この本の叙述では最初)には妻を殺してしまうのだよ。“たくわえ”ではなかった唯一の女を、神経の錯乱の中で、殺してしまうんだよ。それがアルチュセールの“実践”の発見と、どれほどへだたった行為だったのか、−あるいはそれこそが彼の“実践”(理論ではさばききれない)そのものだったのか…それは今後の展開いかんですな。以上(『未来は長く続く』ルイ・アルチュセール 宮林寛訳 河出書房新社)の中間報告れした。

★4月7日(月)更新★★★★★★★★★★

本日は谷中墓地にて花見をいたしました。

さて本ですが、『未来は長く続く』(ルイ・アルチュセール 河出書房新社)『昭和史七つの謎』(保坂正康 講談社)は読了しておりません。大変申し訳ありません。でも大変おもしろく読ませていただいております。

アルチュセール少年は包茎でした。お母様の命令で、お父様と一緒に真暗な便所に閉じ込められた少年は、お父様の手でオチンチンを剥かれてしまうのです。以来、そのショックで少年は27歳を過ぎても童貞のままなのです。しかしいったん8歳年上の女に犯されるようにSEXしてしまうと、稀代の女好きに変貌してしまうのです。素晴らしい人生ではあーりませんか!

さて『昭和史 七つの謎』ですが、東京裁判で戦犯が裁かれる前に、“自主弾劾”裁判が日本政府の手によて行われる、という計画が実はあったというくだりを読んでいたら本にドバーッと水がかかっちゃった。カランの蛇口とシャワーの蛇口を間違えたんでした。文庫でよかったにゃっ。