最初に気づいたのは多分オレだろう。
ウソップかもと思ったけど、間違いなくオレだ。
オレはいつもいつも彼女を見てた。
彼女の視線の先を。
見ないふりしてた。
「そりゃ、見てないのと一緒だろ?」
そうウソップが言う。
「見てたって。オレの視線はいつでもナミさんに釘付け〜」
「だろうけどさぁ、オレ、初めて見たときからそうなんだろうなって思ってたぜ?」
ウソップが、長鼻の癖していきなり言った。
「いや、長鼻は関係ないから」
「最初っていつだよ」
「最初って最初だよ。オレの故郷?」
ってーと、オレがナミさんにフォーリンラブする前じゃねえか!!
「マジで?」
オレの問いにウソップはうなずく。
今、ナミさんはオレの視界にいない。
彼女は甲板で我らが船長と一緒にいる。
船長の上着のシャツと彼女の綺麗な髪の色の光に包まれて、まぶしいはずなのに、甲板で船長と一緒にいる。
針路相談って言うけれど。
「フフフ」
「ろ、ロビンちゃん、その怪しいほほえみはなにかな?」
「秘密よ」
ひ、秘密って〜〜。
気になるよ。
多分、ロビンちゃんはハナハナの能力を使ってナミさん達をのぞき見してるんだと思う。
そんなときに彼女の能力は便利だ。
はぁ………。
ナミさんが好きだ!!!!
と叫んでもナミさんはつれない。
分かってる。
彼女が船に乗る理由。
オレが船に乗る理由。
他の連中が船に乗る理由。
それはほとんど一緒だからだ。
船長に誘われたから。
かなり強引な誘われ方だけれども。
それでも、誘われた方は嬉しい。
それにナミさんは……。
あんな、助けられ方したら、誰だってあの船長に付いてくだろうよ……。
大食らいで、バカなのに。
「くっそ〜」
「たまに、そう普通に悔しがるよな」
「くそうるせえよ。マリモ」
「んだと、エロコック」
「エロコックじゃねえ、愛(ラブ)コックと言え」
「きもちわるい」
「え、じゃあ、酔い止めの薬のむか?」
マリモの言葉を素直に受け取ったチョッパーが騒ぎ出す。
はぁ、甲板に行きたいけれど、ナミさんが楽しそうに話してるのを邪魔したくない。
……あのバカ船長も楽しそうなんだよなぁ。
「まぁ、そう思えるんだから良いじゃねえか。どっちも選べないんじゃねえの?きっとな」
分かった顔してウソップが言う。
選べないか。
そうだよな。
夢を思い出させてくれた奴と、それからフォーリンラブしたナミさんと。
どっちも選べないんだよな。
「究極の選択だよな。案外」
「結局、夢とっちまうんだろうな。多分」
「でも、ルフィは両方とるだろうな」
「だろうな」
だから、敵わないってか?
そうかも知れないなぁ。
でも、それもしゃくだから。
両方とろう。
ナミさんはルフィが見つけたから諦める。
よし。
こう納得、自分を納得させるのみっともない気がするけど。
それでもまぁ、いいと。
思うんだからいいんだよな。
サンジくんってナミさん大好きだけど、ルフィ(仲間)が大切なんだろうなぁと思います。
書いててそんな気がした。