「…………」
ムスッとした顔でそこからキラキラ輝く夜景を見てる。
「…………」
こっちはその顔に困って何も言えない。
「怒ってるんだからね」
「わーってるよ」
予告通りに盗み出して、でも結局欲しかった宝石じゃなくって。
見つからないように連れ去る。
見つからないようにって言う言い方はどこか間違ってるかも知れないけど。
「どうしてそんなに楽しそうなの?
「そ、そうかな?」
青子の言葉にオレは目を泳がす。
楽しいに決まってる。
誰にも邪魔されない、ビルの最上階。
この界隈でも一番高いビル。
ここからなら東京の夜景は一望出来る。
ダイヤをちりばめたような夜景。
そんなのを見ることの出来る場所に青子と二人っきり。
「青子、やりたいことあったんだけど」
「だから」
「謝ってない!!!」
「ワリィ」
「心がこもってない。快斗!!!」
そう言って青子はキッドの扮装を解いてないオレに言う。
青子にオレが怪盗キッドだとばれてからどの位たったんだろう。
実際にはそれほどたってないのに、とても青子に隠していた時間を長く感じて。
青子に言ってその「罪」を背負わせてしまって。
それでも、そばにいて欲しくって、時々こうやって人さらいのように連れてく。
「ごめん」
いろんな思いをプラスして青子に謝る。
「しょうがないから許してあげる。青子決めたんだもん。快斗に聞いてから、絶対に許せない事って無いのかも知れないから、ちゃんと快斗の話聞いてあげて許してあげようって」
そう言いながら青子はオレの方を見て微笑む。
「青子、抱きしめて良い?」
「な、なんで快斗はそう言うこと聞くのかな」
「ただ、聞いてみたかっただけ」
そう言ってオレは青子を抱き寄せる。
「青子、いろいろありがとう。いろいろごめん」
「いいよ、快斗が居てくれるから。それで嬉しい」
そう言う青子の声は気持ちよくって。
「青子がいればオレの世界って回るのかも」
なんて事考えて。
「な、何言ってるの?快斗ってばぁ〜〜。キザなんだから」
青子に言われなくたって、オレが一番分かってんだよ。
恥ずかしいこと言ったって。
「そ、それだけ大切って事よ」
なんて事やっとの思いで声にだす。
くっそー、もうちょっとうまく言えるはずなのに。
青子だけがオレのペースを乱す。
それでもいいかなんて思いながら、夜景を眺める。
キラキラ輝いて、いつか見える景色プレゼントなんてことやってみたいななんて…。
ますます
「キザなんだよね、快斗ってば」
って青子に言われかねないけどな。
近所の本屋さんではまじっく快斗が売れてるコミック上位についてるので、行く度にキッド様がみれます。
原作時間で書こうと思ったけど、結局お付き合い後の快青となりました。