「アヤ、ライ。俺たちの手で終わらせよう」
「当然だ」
「えぇ。私たちの手で終わらせましょう。彼の引導を私たちの手で」
三人で誓い合う。
モニタの向こうで決意の表情を見せる二人。
私は、泣いては居ないだろうか。
私たちSRXチームは上官だったイングラム・プリスケン隊長の離反の為に拘束された。
その間、私は治療と称して医務室で治療を受けていたけれど。
医師の話ではそれほどひどい怪我ではなかったという。
確かに骨折や体にひどい傷を負ったわけではない。
あのときの衝撃でコクピットが破損しそこに少し挟まれての打撲のような物だった。
何故私は生きているのだろう。
ベッドで目を開けたとき、最初にそう思った。
あのとき、イングラム少佐は間違いなく私にねらいをつけていたはずだ。
いえ、彼の腕ならば私をどの程度の距離があっても確実にねらいを定めるだろう。
でもあのときは近距離で、どうあがいても外すことなどない距離だった。
彼は……。
そこまで考えてふと見れば、医務室の外の様子の異常さに気がついた。
医療スタッフが銃を構えた兵士に見張られている。
そして、私すらも。
何故と考える前に結果に気がついた。
少佐が裏切ったから。
裏切った。
彼からすればその言葉は正しくないのかも知れない。
けれど、私たちからすれば彼は上官であり、信頼に足る人間だった。
はずだった…。
でも、結果はこうだ。
リュウやライは既に拘束され投獄されているとスタッフに教えて貰った。
私も傷が治り次第そこへ移されるのだろう。
どこで間違った?
どこで失敗した?
これからどうすればいい?
考えても埒があかない。
二人が拘束されてるのは事実で、自分もそうなるのは目に見えていたから。
「アヤがどんな気持ちでオマエに撃たれたのか分かってるのか!!」
あのときの記憶を思い出そうとしても思い出すのはリュウのこの台詞。
どう思ってたのかも思い出せないのに、リュウがいった言葉を思い出せるのは何故か面白い。
リュウやライは少佐に立ち向かっていったという。
私がもう少ししっかりすれば、少佐の考えも気づけたのだろうか。
不信には思っても。
結局無理だったのだから仕方ない。
自分の「少佐に憧れていた」という思いとそれに準じる行動もなんだか今となっては滑稽に思えてくる。
今こんな状態にあって思い出すのはリュウやライのことなのだから。
「アヤ、大丈夫なのか?」
Rシリーズの合体が無事成功し、リュウが敵を一掃した後そう言われる。
「どうして?」
「どうしてって。俺たちは間違いなく」
「イングラム少佐と相対するでしょうね」
「アヤっっ」
「リュウ、私たちは迷うわけにはいかないの」
そう、迷うわけにはいかない。
迷ったら、先に進めなくなる。
「分かった。でもアヤ。アヤは」
「リュウ、私だってSRXチームのメンバーよ。次いでにリーダーなんだから、私一人除け者はやめて」
リュウが何を言いたいのか分かって私は言葉を遮った。
何かを私もいいたい。
でも、ただ一つこれだけは伝える。
「迷わないで。リュウ」
そう、貴方は迷ってはいけない。
SRXのメインコクピットR-1に座る貴方は迷ってはいけない。
トリガーを貴方に預けるのだから。
「分かった。アヤ、全部オレに任せておけ」
「期待してるわ」
だから、私も迷わない。
先に進むから。
なんてね。
いったん、ハガネに戻るのかな?(アタッド戦の後)と思ったら、戻らないでそのままイングラムのところに直行していたので、ライそっちのけでリュウアヤで会話してもらうことに変更。
イングラム戦の前で書いたのよね……。