「こりゃ、見事だな」
そう言ったロブに三人は苦笑いを浮かべる。
「ま、何にせよ。お前達が無事で良かったよ。怪我は?」
「アルかなって思ったら全然」
「打撲もないものだ」
「擦り傷とかもなかったわね」
3人の言葉に呆れるやらホッとするやら。
もちろん、3人が無事なのだからそう思うわけで。
「ロブ、でこれはどうなるんだ?」
「ん〜とりあえずは修理かな」
リュウセイの問いにロブはそう答えた。
「アヤ、少し良いかしら?今後の方針を話したいのだけれど」
「はい」
新しく、SRXチームの隊長に就任したヴィレッタ隊長の言葉に私は頷く。
リュウやライは彼女とは初対面だけれども、私は何度か彼女にあったことがある。
彼女はマオ社においてRシリーズの開発に携わっていたことがある人だから。
潜入、工作のエキスパートとまでは知らなかったけれど。
「まず、ライのことなんだが。ヒッカム基地へ出向して貰うことになった」
「ヒッカム基地ですか?」
「えぇ」
確か、ラトゥーニがカイ少佐と一緒にヒッカム基地へ新教導体として向かうと聞いた気がするけれど。
「ライにも教導隊に参加して貰うことになった。Rシリーズが修理されてる間だけどね」
「……封印も可能性あると?」
そう聞けばヴィレッタ隊長は困ったような表情を見せる。
「あの力は必要だけれども、問題があるとすれば出力の安定」
トロニウムエンジンは強大な出力を誇るけれども、EOTであるが故に、出力が不安定なのがネックだった。
「でも、だからといってこのままにしておくわけにはいかないけどね」
バルマー帝国の存在。
あのときレビが言った言葉が本当ならば、バルマー帝国という異星人が攻めてきてもおかしくないのかもしれない。
「ともかく、Rシリーズが修復されないうちはどうしようも出来ないから、その間だけ出向という形よ」
「で、私とリュウは」
「あなたたちはこの伊豆基地の勤務ね。リュウセイは…まずは彼はもう少し鍛えないとね」
「あ、やっぱり」
ヴィレッタ隊長の言葉に私は苦笑いを見せる。
天性の才能はあるにしても、リュウセイの戦闘技術はそれほど高くない。
「まずは、もう一度基本から見直しね。基本がしっかりすればまだ伸びるはず」
彼女の言葉に私は頷いた。
「このことは私から話しておく。あとアヤ貴方は」
「私は父の研究の手伝いですね」
言葉を止めたヴィレッタ隊長の先を紡ぐ。
分かってるから。
T-linkは必要。
適応する人は少ないけれど、それでも研究は続けないとならない。
「すまない」
「大丈夫ですよ。気にしてませんから」
………時々、つながらないと生きていることが出来ない私の身体を恨めしく思うけれども。
「リュウ、聞いた?」
一時帰宅をしていたリュウが基地に戻ったと聞き、彼の元に向かった。
「何をだ?」
「私たちの予定」
「あぁ。ライを見送る前にヴィレッタ隊長に聞かされたよ」
そう言ってリュウはため息をつく。
「なぁに、ため息なんてついちゃって」
「……………鍛えるからって笑顔で言われたらオレどうしたらいいか」
「しっかり鍛えられなさい。ヴィレッタ隊長はそれほど厳しい人じゃないから」
とリュウを励ます。
「ウソ付けめちゃくちゃ厳しいって話じゃねえか」
「知ってたの?」
「やっぱ本当なんだ!!!」
あぁ………。
余計なこと言わなければ良かったかしら………。
「まぁ、鍛えて貰いたいって言うのはありがたいしさ。オレもこのままじゃ駄目だって事気づいたから」
「リュウ」
「念動力がなくたって皆を守れるぐらいには強くなんねえとな」
そう言うリュウの視線は強く、やっぱり私を勇気づけてくれる。
「リュウ、ありがとう」
「何がだ」
「私にもよく分からないわ。でも、リュウにお礼がしたくなったの」
貴方の視線に私も頑張ろうなんて思ったなんて言わないけれどね。
「また明日から頑張りましょう」
「おう」
ホントはいろんな人出したかったんだけど。
ヴィレッタ最終話未登場で哀しかったのでヴィレッタさんをメインに。
アヤとリュウセイの会話はオマケです。
ほのぼのですね。