一度壊れた物は元には戻すことはできない。
戻っても、既に同じ物ではないのだ。
僕達は世界を壊した。
その世界は僕達にとって既に必要の無いものだから。
「これで、終わったな」
崩壊していく組織の建物。
大きかった建物は組織と同じように大きくそして瓦解していった。
「終わるとあっけないもんだよな。なんか祭りの後って言うか。楽しかった訳じゃないけれど、良い思い出って言うか。まぁ二度と体験したくない思い出だけど」
見える景色にキネはそう感想を付けていく。
逃げていく構成員を捕らえる警察組織。
その中にはISSAのメンバーもいるのだろう。
僕達もISSAのメンバーに入っているけれども、捕らえる為にココにいる訳じゃない。
崩壊を見届けるためにいるような物だ。
3人だけじゃ壊すことのできなかった組織。
ソレをISSAの手を借りて崩壊に導く事が出来た。
「テッちゃん、何見てるの?」
座ってノートパソコンのモニタをのぞき込みなにやらやっているテッちゃんに僕は話しかける。
「ん?見てるって言うか、作ってるの」
「作ってるって何を?」
何か作るような物があるだろうか。
こんな時に新曲?
いやテツならやりかねない……。
ある意味、音楽のことだけ考えてればいいって言う幸せ者だから。
「別にそれだけじゃないけどね」
「読むなよ」
「入ってきたの。強大な送受信装置がそこにいるから」
「オレの事?」
「で、何やってるの?」
「あぁ、うん。ISSAのホストコンピュータのプロテクトは強力だから入れるものなら入ってみたら?って喧嘩売られちゃってさぁ」
「…まさか買ったの?」
「うん、で今ハッキングプログラム組んで入ってる最中。面白いよ、このゲーム」
「……ゲームって………」
何でも楽しめればいい。
どこか快楽主義者なテツの言葉に僕とキネはため息をつく。
でもどこか否定しきれない。
僕も同じ様なものだと思うから。
「組織にいて麻痺してたかなぁ」
キネも同じ事思ったみたいだ。
「入れた。……レイカに言っとかないとね、ハックできたよって。足跡残しとこっと」
楽しそうなテツを見て思いつく。
「テッちゃん、僕の名前も入れておいて」
「おいおい、ウツまでもそう言うのかよ」
「いいよ、ウツと、僕の足跡付けて、キネはどうするの?」
「お前達がいるのにオレがしないわけにはいかないだろう!」
「了解、じゃあ、Zeits Netzwerkでいれとくね〜〜」
楽しそうに遊んでいるテツを横目にオレ達もどこか楽しくなっていく。
1つの世界は終わった。
でもまた新たな世界ができていく。
1つだった世界はたくさんの世界に。
の文章を付け加えようかどうしようか、今でもやっぱり悩んでいます。
ウツ達がいた組織の最後の後片付け中なお話。