「そうだ!!友達になろう」
弟は嬉しそうに緑の物体?生き物?に手をさしのべた。
弟の名前は冬樹。
彼は毎日退屈な日々を過ごしたらしい。
そんな退屈だっけ?
なんてあたしは首、かしげちゃうんだけど、本人にとっては大問題で。
大体小学6年生でつまんない毎日なんて普通思わないわよっ。
あたしが小学生の時ってつまんなかったっけ?
なんて思い出してみてもつまんない思い出なんて全然なかった。
毎日毎日楽しくて毎日毎日笑ってる。
中学生になっても、まぁ勉強は大変だけどそれでも楽しい毎日。
憧れの人を見かけてキャーって言ってみたり、友達とどっか寄り道してみたり。
でも、冬樹は違ったみたいなのよね。
いつもいつも退屈そうにしてた。
でも、ある日を境にしてそれは変わった。
冬樹はとても生き生きとし始めた。
確かに、本人の言うとおり冬樹は今まで退屈だったんだと思う。
そりゃあ、あたしだって何もない毎日よりなんか面白い毎日があった方が楽しいと思う。
今も楽しいけど、ソレよりもっと楽しくなるんだったら大歓迎よ。
だけどね、あんなの待ち望んでたわけじゃないわよ。
突然、冬樹の部屋で見つけた(現れたんじゃないわよね、あれは)宇宙人。
ガマ星雲だかなんだかよく分かんないところから来た、侵略ガエル。
全く冗談じゃないわよ、なんで地球がカエルになんか侵略されなきゃならないのよ!!
兎も角冬樹がそいつに友達になろうと言ったせいでうちにそのボケガエル(本名でなんてムカつくから呼んでやんないんだから。どっちが上だかはっきりさせなきゃならないしね)は居候することになった。
その後……居候が2匹も増えるとは冬樹でも想像してなかったんじゃないのかな?
まぁ、嬉しそうだけど。
あたしもそりゃね……憧れの睦実さんと知り合いになれたって事は良かったかななんて思ってみたりもするんだけど……。
それはまぁボケガエル達のおかげなのよね。
シャクだけど。
おいしい、焼き芋も食べられるし、まぁ……悪くは……ないわよね。
良くもないけど。
いつまで続くんだろう。
いつまで続いていくんだろう。
なんてそんなこと時々考えてる。
それは、いい加減にして欲しいから?
それとも続いて欲しいから?
どっちだか、日によって変わるから、そんなの分かんないわ。
「姉ちゃん、僕ね、今すっごい楽しいだ」
まぁ、いいのよね。
これで。
楽しいけど、頭に来る。大きな矛盾を日常に抱えちゃった夏美ちゃん。