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流山児事務所公演
愛の乞食
作・唐十郎
演出・山崎哲
1997年12月5日~14日
本多劇場
出演
古田新 若杉宏二 洪仁順 山中聡
井沢希旨子 山内圭哉 大鷹明良 木村健三
三松明人 犬飼淳治 上田和弘 小森谷環
佐藤和子 中川装子 佐藤浩子 谷宗和
甲津拓平 松尾尚司 イワヲ 枡田篤史
流山児祥 悪源太義平
スタッフ
舞台監督・北村雅則 照明・山上悦史 ROMI
美術/衣装・加藤ちか 音楽・本田実
音響・島猛(ステージ・オフィス)
振付・北村真美 演出助手・志村祥子
制作・米山恭子 石黒亜紀子 木内尚
制作協力・馬場敦子
製作/演出協力・流山児祥
忘れもしない。
私が当時阿佐ヶ谷にあった状況劇場の門をたたいたのは、
1970年3月31日正午だった。
なぜその日のことを鮮明に記憶しているのか。
赤軍がよど号を乗っ取った日だったからである。
そのテレビ中継を私は唐さんの部屋で食事を
ごちそうになりながら見た。
もちろん事件は突然だった。
しばらく画面に釘付けになったあと、唐さんは私の耳元でそっと呟いた、
「でも演劇のほうがもっとすごいんだよ」と。
それは神か悪魔の囁きのように聞こえた。
「はい」と、22歳の私は身を硬くしながらうなづいていた。
3カ月後、新作『愛の乞食』の稽古がはじまる。
私は震えた。
さらに舞台は現在を超え、過去に向っていたからだ。
赤軍は現在という時間を超えられなかった。
けれど演劇は現在を超え、肉体の古層へたどりつくこともできると、
私ははじめて教えられたのだった。
(山崎哲「パンフレット」より)
備考
古田新太は本作品の演技で「読売演劇大賞」を受賞した。
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