常温核融合は本当だった! その5


世界で唯一の教科書
ガスグロー放電法による元素生成 -- 岩手大学・山田弘氏 --
K + H --> Ca という式 常温核融合と生体内元素転換より
「実用化一歩前」
                                                      トップページ


2005/5/13               <世界で唯一の教科書>

 「その4」でT氏が、常温核融合(Cold Fusion 以下CF)での世界で唯一の教科書と述べた次の本を読んでいる。
 「固体内核反応研究 No.1」(高橋亮人他著、工学社)

 高橋亮人(阪大)、沼田博雄(東工大)、山田弘(岩手大)、岩村康弘(三菱重工)、大森唯義(北大)、
水野忠彦(北大)、秋本正(北大)など錚々たるメンバーが執筆している。
敬称は略した(以下も同様)。また所属は執筆時そのままのものである。

 水野氏と大森氏のところを読んだのだが(他はこれから)、ここまで様々なことがわかってきているとはまさに
驚きである。
 まず水野氏から。氏は8章と9章を担当している。
8章はなんと、私がくり返し読んだ論文<カソード電解によって誘起されたPdの析出元素の同位体異常>と
まったく同じ内容であった。現代の錬金術を示した本論文の重要性が伺えよう。
 9章は主に過剰熱の考察である。
 軽水や重水の電気分解による実験では、ときとして大量の熱が発生する場合がある。
この熱がエネルギー源として使えないかと当初より思われてきたが、再現させる条件の特定がむずかしかった。
しかし、水野氏や大森氏の優れた数々の実験により、過剰熱を発生させる条件が、かなりのところまで求められ
てきたのだ。
 過剰熱発生には電流密度、電極材料、電圧、電極の形状などさまざまなパラメータが関わっているが、どのよう
な場合に大量熱が発生しやすくなるかその条件が詳細に書かれているのである。
過剰熱に関しても「ここまでわかってきたのか!」という思いがする。

 さて、次は大森唯義氏である。
氏は第7章を書いているが、たいへんな力作で、私は圧倒された。
 これはCF研究の金字塔であろう。
大森解説は今後多くの研究者が参照すべきものである。瞠目すべき考察が随所になされている。

 内容は主に金電極/軽水電解系というややや珍しい実験結果を中心に扱っている。水野氏と同様、電気分解に
よる過剰熱や異種元素出現についての報告であるが、大胆な仮説と精密な実験結果に裏打ちされた力強い考察
に魅了されてしまう。慎重な水野氏とはまた一味ちがった面白さがある。
 電解後の電極表面にできる不思議なクレーターのSEM写真も数多く掲載されていて、これも必見だ。

 クレーターの場所に、核変換による夥しい量の異種元素の集積物が出現するのだが、火山の噴火口をおもわせ
るこのクレーターに”現代の錬金術”たるCFの秘密が隠されている。

 大森氏は水野氏の影にやや隠れがちだが、CFを開拓してきた人物であり影のスーパースターといえる。
 この解説は、大森研究のエッセンスがつまったものといえるが、最後は、
「21世紀のエネルギー源は、固体内核変換反応によって水素と電子から取り出されることになるであろう」
という感動的な言葉で締めくくられている。
 大森解説を読んだあとは、なんら大袈裟なものでないことに気付くだろう。

 まだまだ述べたいことがあるが、この辺にしておく。
「固体内核反応研究 No.1」(高橋亮人他著、工学社)は、CF研究者の渾身の成果が凝縮されている。
大部であるにもかかわらず、2500円と安いので購入をおすすめする。
 今後もCF研究の標準的な教科書として読みつがれていくことになるのは間違いない。世界で唯一の教科書を日本語
で読める幸せに感謝したい。




2005/5/14    <ガスグロー放電法による元素生成 -- 岩手大学・山田弘氏 -- >

 上で見た「固体内核反応研究 No.1」(工学社)の山田弘氏(岩手大学教授、工学博士)の第5章「ガスグロー
放電法による元素生成」を読んだので、概略になるが報告したい。

 山田氏は、ガスグロー放電法や真空法といった電気分解とは異なった手法を用いて常温核融合(CF)を研究され
ているようだ。私はこれまで電気分解のものを中心に調べてきたので、この手法はじつに新鮮にうつる。山田氏らの
結果のみならず、海外の研究も多く紹介されていて内容豊富である。

 ガスグロー放電法の装置は非常にシンプルなものであり、その点でもCF研究に有効な方法と思う。検出面では、
簡便で経済的にも安価なラジオ・オートグラフィーという放射線測定の方法を用いた結果も多く出されており、興味
深い。

 内容をごく簡単に述べれば、ガスグロー放電法では細長いPd電極針に重水素を吸蔵した後、それに電流をながし、
高気圧重水素ガス中で、空間的に離れた別電極との間でグロー放電を起こす。するとPd電極から実験中に大量の
中性子放出があったり、実験後にPd電極から核変換によると思われる鉄Feなど出所不明な様々な元素が検出され
るという。山田氏は、Pd針に出所不明の多量の炭素を検出している。

 また実験後のPd電極をラジオ・オートグラフィーにかけると、放射線が出ている跡が現れる。
驚くべきは、Pdに重水素を吸蔵させただけのPd板(放電などをしない!)からも、ラジオ・オートグラフィーにかければ
放射線が出ている跡があらわれることだ。山田氏は「すでに吸蔵段階においてPd内で核反応が起きていると思われ
」と述べている。ラジオ・オートグラフィーでの放射線感光写真も多数掲載されていて、これもいい。
 さらに「Kongらも放電を起こさずに、軽水素をPdに1年間吸蔵させ続けだけでPd表面にTb(質量数65)(註:)を検出し
ている」という記述があるが、これにはびっくり仰天してしまう。
註:Tb(質量数65)は、本では、65は実際はTbの左上に添え字で書かれているが、書けないのでこのように書いた。

 ガスグロー放電法の手法は、私がこれまで紹介してきた和田伸彦氏、山口栄一氏らの手法にやや近いもので
あるようだ。
 真空法という別手法での実験も紹介されていて、Pd板への重水素吸蔵や軽水素吸蔵によるトリチウム発生と
いう面白い結果も示されているが詳しいことは略す。

 本の内容は非常に多い。上はごく簡単に述べただけである。詳しくは本を参照されたい。




2005/5/16      < K + H --> Ca という式 常温核融合と生体内元素転換より>

 次の式を見て衝撃をうけない人はいないだろう。

             K + H --> Ca    ----@

 カリウムK(質量数39)に水素原子Hが融合し、カルシウムCa(質量数40)になるという式であるが、こんな式を
学校でならった人は誰一人としていない。
 しかし、冒頭で紹介した「固体内核反応研究 No.1」(工学社)の大森唯義氏の第7章にこの@式が登場するのだ。
大森氏は次のように書く。

「固体内核反応研究 No.1」(工学社) p.162
 Bushらはニッケル電極を用い、K2CO3軽水溶液で電解を行なったところCaが、またRb2CO3溶液で電解したところ
Srが生成し、その量は同時に生成した過剰熱の量に対応したと報告した。
 この結果から、彼らは次のような核反応を提案した。

[4]  (質39)K + H --> (質40)Ca
[5]  (質85)Rb + H --> (質86)Sr
[6]  (質87)Rb + H --> (質88)Sr

これは実験結果に基づいて試みたD-D型核融合反応以外の最初の核反応モデルを提案したものであり、既成の
枠を大胆に越えた画期的なものであった。・・・

註:(質39)などの”質”はは質量数のこと。実際の本では通常の表記で書かれているが、書けないのでこのようにした。色は杉岡がつけた。

 この[4]で@が登場しているのである。
([5],[6]もすごいがこれに関しては大森氏はある理由から「疑いが残る」としている。また[4]は同位体存在比
は調べてられていないそうだ。)
 Bushらの上記実験に対応する論文は三つが上がっており、それらは1992年,1992年,1994年である。
1989年のフライシュマンやポンズの実験や過剰熱のことから、世界中の学者は当時D-D核融合しか念頭になか
ったそんな中にあって、[4],[5],[6]式の登場は青天の霹靂ともいえる事件であったはずだ。

 しかし、このような式は、いまでは私でさえあちこちで見ることができ、2005年現在ではCF研究者はもう不感
症になっていると思われる。(CFを知らない学者にとっては当然いまでも「信じられない!」式であるが)
たとえば、水野忠彦氏は「カソード電解によって誘起されたPdの析出元素の同位体異常」の画期的な論文で、
そのような式を推論として書いている。
例えば、Pd + 2D --> Cd や  Pd + 4D --> Sn など(他多数)

 さて、@に関してさらに重要なことがある。生体内元素転換に視点を変えよう。

 私は、「その4」の常温核融合界の現況--T氏より--で、生体内元素転換の方面の考察も加えれば
不思議なCF現象の解明にまた新たな光がもたらされるのではないか?と述べた。

 @はたしかに現代科学の常識を覆している。
しかし、常温核融合(CF)方面では、実験事実からそうであるとしか考えられないとして提示された式であるのも
事実である。
 もし@がCFとはまったく異なった領域からも出されている式であったらどうであろう?
その場合、@にさらなる信頼感が付与されることは当然である。

 さて、ケルヴランの「生体内元素転換」(C・ルイ・ケルヴラン著、高下一徹訳、朔明社)を紐とくと、随所に
@式が書かれているのである!
 CFとはなんの関係もない領域の研究から@が出ていたのである。
著名な技術ジャーナリスト・山本寛氏からいただいたネルソンの論文にも、ケルヴランの箇所で@が書かれている。

 じつは、何百年も前から「生物(動物、植物)、微生物の体内ではいとも簡単に元素転換がなされている」ことが農業
研究者や生物学者により多くの実験で実証されてきているのである。
(上のネルソン論文の事例でさえ、ケルヴランの著作で紹介されている膨大な研究に比べれば、ほんのわずかな量
いえるのだ。)
 生体内元素転換の研究者の数は夥しい数にのぼるが、中でも最も有名なのが巨人・ケルヴランである。
そしてまた日本の小牧久時博士も非常に著名である(この二人は、そろってノーベル賞候補に推された)。

 生体内元素転換(生物学的元素変換ともいう)が起こっていることは疑いようがない。

  K + H --> Ca は、生体内元素転換からも保証された式なのであった。




2005/5/19          <「実用化一歩前」>

 読者のYaさんから、次のようなお便りをいただきましたので、お知らせします。

*************************************************************
杉岡 様

「常温核融合は本当だった」を読ませていただいています。
いろいろなホームページにある内容が分かりやすくまとめられていて、面白いです。
私も検索してみましたが以下のようなものを見つけました
(既にお気づきかもしれませんが)

http://jlnlabs.imars.com/cfr/logbook/index.htm
これを見ると、随分と簡単な仕掛けで実験できるのですね。
素人でも十分に実験できそうです。

http://jlnlabs.imars.com/cfr/html/cfrdatas.htm
上記のホームページの一部ですが、
そのような実験結果だとしたら、実用化一歩前ですね。
すくなくとも、現状でも電気温水器の能率向上には使えそうですね。

ところで、日本の研究者の研究成果が、
かならずしも世界に伝わっていないのでは、と思います。
杉岡様の書かれた内容が、英語のホームページにまとめられ、
日本の研究成果が世界に紹介されれば、
実験装置が簡単なので、
実験を行ってみる人が飛躍的に増えるのでは、と思われます。
常温核融合の実用化に短期間で結びつくことが可能になるかもしれません。

*************************************************************

お便りありがとうございました。
上記サイトは知りませんでした。まだじっくりとは読めていないのですが、興味深いサイトに見えます。
(当HPの英語化は当分無理かもしれませんが・・)

 紹介されたサイト中に、Plasma Electrolysis という文字が見えました。
これは大森唯義博士、水野忠彦博士らも最近よくやられているプラズマ電解だと思います。
 次の中のT氏の解説にも「プラズマ電解」の言葉がありますが、それと同じものと思われます。
--->常温核融合界の現況--T氏より--

 プラズマ電解は、電解中に過剰熱放出とともに、放電による発光があるのが特徴です。
 このプラズマ電解に関しては、「固体内核反応研究No.1」(高橋亮人他著、工学社)の水野氏の9章や、
大森氏の7章後半に詳しい記述があります。
 そこには過剰熱発生のための条件等も書かれている。両氏とも主としてタングステンを電極とした場合を報告
しています。液は軽水溶液。

 熱も大事だが、ここでも現代の錬金術たる現象が生じている。
電解後の電極に、不純物ではありえない大量の異種元素が生じており、とくにこのプラズマ電解では鉄Feの生成が
多いと水野博士は報告している。大森氏も多種類の元素を検出。
 「固体内核反応研究No.1」の両氏の報告を見ると、過剰熱はタングステン電極を用いた場合に、とくによく観察
されるようです。
 Yaさんは「実用化一歩前・・」と言われていますが、両博士の章を読めば、まさにその通りと思ってしまう。プラズマ
電解というのはまだ未解明の部分の多い電解方法でもあるようです。

 この領域に関しても今後さまざまな発見がなされていくことはまちがいないと思います。

--------------------------------------------------------------
2005/5/20追記

 私は、見落としていたのですが、Yaさんに紹介いただいた上サイト(次です)に、
なんと Mizuno-Ohomori's Cold Fusion Reactor とあるではありませんか!

http://jlnlabs.imars.com/cfr/html/cfrdatas.htm

 これには驚きました。Mizuno と Ohomori という文字がいかに多くでてくることか!

(じつはYaさんに紹介してもらったときは、全体を概観しただけでよく読んでいませんでした。ただ、直感で水野氏
らの実験に関係しているはずと思って上のように書いていたのです。そう見ると私の直感もまんざらではない?)

 水野忠彦博士と大森唯義博士の研究が、ここまで海外で応用されているとはまったく知りませんでした。
本当に、素晴らしい。
ざっと見ると、やはりタングステン電極が多いようだ。陰極にタングステンWを用いることが、過剰熱生成には重要な
ポイントなのか。
 上サイトには、両氏の方法(条件)に基づき、過剰熱を発生させた実験が多く紹介されている。水野氏らの論文の
PDFが多数紹介されているのもまたいい。
 このサイトは、次のように冒頭できちんと開拓者のことに言及している点で、信頼できるWebといえます。

The Cold Fusion Reactor ( CFR ) is fully based on the work of the researchers Tadahiko MIZUNO and Tadayoshi
OHMORI from the Hokkaido University in Japan. On May 7th, 2003, I have replicated successfully the Mizuno-
Ohmori's Cold Fusion experiment.

 それにしても水野,大森の両博士の研究がここまで国際的であるとは知りませんでした。

 世界の科学者が両氏の実験を追試しようとしている。そして成功している。
まさに両氏は日本の誇りといえるでしょう。


*********************************************
追記2005/6/2
 プラズマ電解は爆発等まれに危険なことも起こるようです。
例えば、水野博士は今年2005年プラズマ電解による爆発事故を経験されています。
その状況は新刊の「常温核融合」(水野忠彦著、工学社)にも記載されているのですが、そこでも警告されている通り
実験を行う際は、遠隔操作、防御壁等の準備をして安全には十分気をつける必要があります。





その6へ
その1
その2
その3
その4
その7
その8
その9
その10
その11
その12
その13
その14
その15
その16


目次ページ


トップページ