海王星 その3


 ある規則性を示す前に、分割ゼータ、外分割ゼータの定義を示します。


2004/12/11             <ある規則性の示唆>

 私の予想L-4に関連して、またある規則性を発見しました。
 それは、2次体Q(√m)の類数hと分割ゼータ(or外分割ゼータ)の出現の仕方がある関係で結びついている
ようなのです。
 まだはっきりしない点もあり予想にすぎませんが、多くの具体例をノートに検証していった結果を概観すると、
なんらかの規則性がありそうです。
 それを示す前に、まず大元の予想L-4を再度書いておきます。
 
予想L-4

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
                                (0 < x < 2π)

   -1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・     -------A
                                (0 < x < 2π)

 @、Aと2次体Q(√m)の間には、ディリクレのL関数L(χ,s)を介して次のような関係が存在している。
(ただしmは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)

[T]mが4n+2 または 4n+3の整数のとき
 k=2|m|とおく。@とAの重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=2k (つまりN=4|m|)で
ある2次体Q(√m)に対応するL(χ,s)かあるいはその分割ゼータ(複数)が特殊値の形で出現する。

[U]mが4n+1の整数のとき
 k=|m|とおく。@とAの重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=k (つまりN=|m|)である
2次体Q(√m)に対応するL(χ,s)かあるいはその分割ゼータ(複数)が特殊値の形で出現する。

 ここで分割ゼータ(複数)とは、それらを適当に足したり引いたりするだけで上の条件を満たすL(χ,s)を出現させられる級数を指す。
なおk, q は互いに素な整数で、0 < qπ/k < 2πを満たす。

 そして、上の2次体 Q(√m)が実2次体ならば、それに対応するL(χ,s)の全特殊値が@の奇数回の積分・微分の
所とAの偶数回の積分・微分の所に現れる。
 また虚2次体ならば、それに対応するL(χ,s)の全特殊値が@の偶数回の積分・微分の所とAの奇数回の積分・
微分の所に現れる。
 これは、[T],[U]ともに適応される。


 この予想が、幾多の惑星を延々と旅した後に、ようやく到達した「ゼータ惑星」シリーズでの中心的予想といっても
よいものです。
 これまでの多くの検証(「火星」からここまで)から、この予想L-4はまず正しいと考えられます。

 さて、今回発見した規則性は、上でも述べた通り、この予想L-4を元にした新しい予想です。(証明していませんので、
まだ予想です) それは、冒頭でも述べた通り、
 2次体の類数hと分割ゼータや外分割ゼータの出現の仕方がある関係で結びついているのではないか
ということを主張するものです。

 具体的にその新しい予想を述べる前に、新しく出た”外分割ゼータを”定義しておきましょう。




2004/12/11           <「分割ゼータ」、「外分割ゼータ」をの定義>

 ”分割ゼータ”に関しては、予想L-4で提示し、これまでゼータの”分身たち”などと呼び多くの検証を重ねてきたもの
なので、読者のみなさんはよく理解されていると思います。
しかし、念のため、それも、”外分割ゼータ”を示す際に、ここで再度示しておきます。

 なお、分割ゼータも外分割ゼータも私が作った新しい概念です。

 抽象的に書くよりは、具体例で示す方がはるかにわかりやすいので、ここでは具体例で(一例だけ)示します。

[分割ゼータ、外分割ゼータを具体例で示す]

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
@の統一的法則性の結果(重回積分-重回微分の結果)に、π/20を代入した場合を例にとります。

 これは、「火星 その9」でみたものです。くわしくはそちらをご覧ください。
 その中から、説明に必要な部分だけをぬき出します。
 2回積分だけを書くと、次の通りです。

2回積分
  -{A・(1/1^2 + 1/19^2 - 1/21^2 - 1/39^2 + 1/41^2 + 1/59^2 - 1/61^2 - 1/79^2 +・・・)
    + B・1/2^2・(1 + 1/9^2 - 1/11^2 - 1/19^2 + 1/21^2 + 1/29^2 - 1/31^2 - 1/39^2 +・・・)
    + C・(1/3^2 + 1/17^2 - 1/23^2 - 1/37^2 + 1/43^2 + 1/57^2 - 1/63^2 - 1/77^2 +・・・)
    + D・1/4^2・(1/1^2 + 1/4^2 - 1/6^2 - 1/9^2 + 1/11^2 + 1/14^2 - 1/16^2 - 1/19^2 +・・・)
    + E・1/5^2・(1/1^2 + 1/3^2 - 1/5^2 - 1/7^2 + 1/9^2 + 1/11^2 - 1/13^2 - 1/15^2 +・・・)
    + F・1/2^2・(1/3^2 + 1/7^2 - 1/13^2 - 1/17^2 + 1/23^2 + 1/27^2 - 1/33^2 - 1/37^2 +・・・)
    + G・(1/7^2 + 1/13^2 - 1/27^2 - 1/33^2 + 1/47^2 + 1/53^2 - 1/67^2 - 1/73^2 +・・・)
    + H・1/4^2・(1/2^2 + 1/3^2 - 1/7^2 - 1/8^2 + 1/12^2 + 1/13^2 - 1/17^2 - 1/18^2 +・・・)
    + I・(1/9^2 + 1/11^2 - 1/29^2 - 1/31^2 + 1/49^2 + 1/51^2 - 1/69^2 - 1/71^2 +・・・
                                    + 1/10^2・L(2) }=(0〜π/20) log(2sin(x/2))

 上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/20の定積分で、他の∫は0〜xの定積分です。
 ここで、A=sin(π/20)、B=sin(2π/20)、C=sin(3π/20)、D=sin(4π/20)、E=sin(5π/20)、F=sin(6π/20)、
    G=sin(7π/20)、H=sin(8π/20)、I=sin(9π/20)、

 さて、スバリいいましょう。
上での係数A, C, G, I にかかる級数が分割ゼータ(青字)であり、これまで私がゼータの”分身たち”と呼んできたもの
です。
 それ以外の係数B, D, E, F, H にかかる級数が外分割ゼータです。

 分割ゼータをくみ合わせれば、たいへんたいへん不思議なことに、虚2次体Q(√-10)に対応するL(χ,s)が出現して
きたのでした。そんな不思議なことを主張するのが、冒頭の予想L-4であり、詳しくは「火星 その9」をご覧ください。

 すなわち、「分割ゼータ」とは、対応する2次体のゼータを構成する個々のメンバーたちです。
そのメンバーから外れた級数たち、それが「分割ゼータ」です。「分割ゼータ」かられたものという意味です。

 少し数学的にいえばπ/20代入の20の半分の10(これが2次体Q(√-10)の10に相当する)を素因数分解すると、
  10=2×5
となりますが、この2や5で共通の因数として括られてしまうような級数が外分割ゼータであるともいえます。
上の2回積分をみられると、納得されると思います。(1/2^2や1/4^2や1/5^2が前にかかっていますね)

 @を2回積分するとなぜ上のような式が現れるのかは、「火星」以来えんえんとやってきたことですので、
みなさんはよく理解されているでしょう。
一言でいえば、単位円を分割していくことに他ならないのですが、π/k 代入のk が大きくなればなるほど、
計算はたいへんになっていきます。むずかしくはないので、読者も一度、やってみて冒頭の予想L-4の素晴らしさ、
ゼータ関数の美しさをあじわってください。

 これで、分割ゼータ、外分割ゼータがどんなものかが、わかっていただけたと思います。

 上はπ/20代入という一例で説明しましが、もちろん他のπ/k の場合にも適用されます。

 冒頭で示唆した規則性は、明日以降にのべていきたいと思います。「その4」にページを変えます。






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