絵コンテ・ロケハン
このHPで、何度も、繰り返してきた言葉です。もちろん僕が映画ファンだから〜〜若い時は年に100本くらい見てたなぁ〜〜大毎地下劇場と毎日ホール、懐かしい・・・。
の・・・絵コンテとロケハン
どう撮るか?の設計図。
水中写真は、時間との戦いです。ですから、出来るだけ数多くの絵コンテを、きちんと整理された状態で用意しておかなければ、どう撮るか悩んでいる間に終わってしまいます。なんとなく撮影して終わってしまいます。
整理された良い絵コンテ倉庫が必要です。
まず絵コンテを作らないといけません・・・が・・・どうやって???
●図鑑撮りも絵コンテの一つです。
●黒抜き・青抜きも絵コンテです。
まず黒抜きと青抜きです。
すべての被写体で黒抜きと青抜きを撮って下さい。
簡単に撮れない場所でも、黒抜きと青抜きを撮って下さい。それが、ロケハンでもあります。
撮影困難な場所でも、黒抜きと青抜きを撮って下さい。それが絵コンテを実現させる方法です。
不可能な場所でも、黒抜きと青抜きを撮って下さい。ほんとに不可能なのかあなたの能力不足かがわかります。
カメラを撮り始めた最初の日から、今僕は30数年目ですが、毎回、青抜きと黒抜きの絵コンテが可能かどうかをロケハンします。
これが、前景・中景・後景の見極めでもあります。1日目でも30年目でも、すべての撮影で一番最初にやるべきことです。
●SH平面・絵コンテの基本です。被写体を撮る角度です。
真横・SH平面から
真正面シンメトリー・SH平面から
真正面シンメトリー・SH平面より上から
SH平面垂直上から面撮り
●構図・絵コンテの基本です。被写体の位置です。
3分割・黄金比率・対角線・日の丸・シンメトリー・アンシンメトリー・三角・額縁・S字
・3分割で対角線に置くと動的な構図
・日の丸で正面シンメトリーは静的な構図
・対角線で前方に空間を置いて、進む方向性をイメージ
SH平面と構図です。何より先にSH平面と構図です。これが出来るまで他の事は一切しなくてOKです。
SH平面と構図で、被写体の向きと位置が決まります。
水中マクロ写真の場合メインの被写体がいます。被写体の向きと位置で、大まかなイメージ絵コンテが決まります。
SH平面と構図が出来ない限り、絵コンテは一枚も書けません。
●ボケ量・距離の差・被写界深度・撮影距離・F値
●被写体の色の出方・青被り・SS・ISO
●背景色
●調光補正・発光量調整
これで、被写体自信と背景の絵が決まってきます。大まかなイメージの絵コンテが、撮影可能な現実的な絵コンテになるのです。
これで、写真は撮れます。
まずはここまで!習作して絵コンテを作りましょう。
第三章はすべて絵コンテです。状況別・技術別に分けた絵コンテです。少し応用問題です。すべて順番に撮って下さい。
これが全て撮れない限り、何かが足りない状態です。状況判断・理論・技術・読む力の何かが欠けています。まずはかけている部分を埋めましょう。
貴方が好きか嫌いかなどどうでもいいのです。撮れるかどうかです。撮る能力があるかどうかです。
撮る能力が無ければ自分の絵コンテなど作れません。
●ハイキー・ローキー・背景ハイキー・背景ローキー・前景ハイキー・前景ローキー・前ボケハイキー・前ボケローキー
●前ボケ・スケスケ前ボケ・EXTRABOKEH・複合ボケ
●フラッシュワーク・ライト撮り・アクセントライト・スポットライト
●玉ボケ・スローシンクロ・流し撮り
最後にすべてのテクニックを使って、絵を作ります。が・・・これは、他の事がすべて出来るようになってからの話です。
最初倉庫が空なのはどんな商売でも一緒だぜ〜(^O^)
だから、習作するのです。人の写真の真似をするのです。色々な写真見て、「こんなの撮りたいなぁ」と思ったらその写真を見て読むのです。SH平面と構図。自然条件・青無し・青多い・前景中景後景・ボケ・距離の差・被写界深度・F値・SS・ISOカメラ設定をすべて読むのです。読めなければ習作さえできません。
自分の読んだものが、正しいかどうかは分かりません。海で撮って確かめます。失敗します。絵コンテ修正します。海で撮って確かめます。〜繰り返して、習作出来るようになったら・・・。それを絵コンテにするのです。
うまく撮れなければその撮りたい写真を僕に見せて下さい。写真一緒に読みましょう。絵コンテ修正しましょう。そういうの得意です僕、だって、理屈っぽいもの。
習作を絵コンテ倉庫に保存していくのです。
●漠然としたイメージだけの絵コンテ
●どう撮るかわからない絵コンテ
●データや設定がわからない絵コンテ
役に立ちません。撮影できません。絵コンテではありません。
絵コンテには、イメージとそれを撮る具体的な自然条件・カメラ設定・撮影条件すべてがワンセットです。
実際に撮影できる準備が出来た物だけが絵コンテです。
●夏、青いナガサキスズメダイの幼魚、白砂飛ばし、白とブルーでクールににシャープに、が絵コンテ。
SH平面の少し上から、斜め前45〜60度
右上または左上の3分割交点。顔は下向き対角線目線。広い白い空間に向けて進むイメージ。、
青い自然光の少ない時と場所、2点以下。F開放・SS同調速度・ISO100か減感。白砂との距離の差が使えればF5.6も可能。もっと距離の差が大きければF8で白砂飛ばしローキーも同時進行。完成後は、ライト使って新白砂飛ばしにチャレンジ。
●夏、ナガサキスズメダイの幼魚、イソバナの前で、DARK&MELLOW、ローキーで青と赤。妖しく、が絵コンテ。
SH平面より少し上、真横少し前〜斜め前45度、正面は避ける。胸鰭開いてる時。
青い自然光の少ない場所、2点以下。距離の差がよほど大きくないとF8は無理。開放からF5.6が現実的。ISO100(減感)・SS同調速度。
3分割交点、右下または左下。斜め上向き、対角線。ダークな赤の面積を大きく小さめに撮る。
●夏、ナガサキスズメダイの幼魚、白砂青被せ、ハイキーな青と青のグラデーション、が絵コンテ。
距離の差が小さいことが予想されるので、F開放、青い自然光量が5点以上。浅場を避けて青の質を上げる。SS同調速度、ISO感度運用。
SH平面少し上〜かなり上、斜め前45度で、3分割交点対角線。魚小さめ、青中心。
真っ正面、魚はシンメトリー。構図アシンメトリー。日の丸は避けて垂直3分割の右、顔だけだから大き目。
絵コンテは、撮影データ・自然条件すべてそろった設計図。
頭の中の引き出しに整理して何百枚・何千枚と、ためておくのです。青い自然光量・出会った被写体・場所・背景をロケハンで見て、絵コンテ倉庫から今、最適な絵コンテを引っ張りだしてくるのです。常に有利な戦いが出来る絵コンテで戦うのです。
習作でいっぱいになった絵コンテ倉庫からは、いずれ自分の絵コンテが生まれます。
それが自分の写真です。貴方の写真の個性です。
●私はそういうの好きじゃないので撮らないんです・・・
●それは僕の写真じゃないから撮らないんだ・・・
撮らないと撮れないは、「ら」と「れ」の違いです。間には「り」と「る」の2文字しかありません。しかしその間には、越えられない溝があります。
撮らない写真?撮れない写真じゃないですか?
撮らないと言えるのは撮れる人だけですよ。
撮れもしない写真を撮らないなどと言い訳しないで!!!
撮れない写真が多い事は、個性なんかじゃありません。自分の写真なんかじゃありません。
それしか撮れないだけです。
撮れる写真の中からしか、自分の写真は生まれません。個性も生まれません。
だから・・・
絵コンテ倉庫を作りましょう。
まずロケハンするのです。被写体を探すのです。被写体の居る場所を見るのです。
●より美人・より良い発色・より良い体形の子を探すのです。良い子を海でスカウトするんです。
●被写体の動き・性格・気分・行動パターン・可愛い角度を見るのです。
●青い自然光量、透明度、青の質、今向いてる方向、被写体の場所、背景の色、前景・中景・後景を見るのです。
このロケハンは下見です。この場所で、この被写体で、どの絵コンテが撮影可能か?を見るのです。
青無し写真・青多い写真
距離の差・撮影距離
絵コンテ倉庫の中で、使えそうな絵コンテを選別するのです。
ガイド付きファンダイブで被写体指さされたら、とりあえず360度回って様々な角度から見るのです。(なんでみんなこれやらないの???僕は絶対一回りするよ。)
その場所、その被写体に適した絵コンテを倉庫から出します。
一つの撮影場所で複数同時進行です。1つでは打率が低すぎますから・・・
例えば・・・
ファインダーの中で真横の時はSH平面上から日の丸で図鑑撮りをしながら・・・(手堅い絵コンテ)
斜め前45度の時はカメラを上に動かしSH平面より上から、前景の背景をぼかし、3分割交点・対角線で撮り・・・(希望絵コンテ1)
真正面の場合はSH平面から正面シンメトリーで撮る・・・(希望絵コンテ2)((僕のスズメダイ基本絵コンテセットです)
もし魚が上に高く移動すると背景が中景〜後景になるから、背景を後景狙いで、今日は青の質もまぁまぁで青い自然光量も6点だから、F値など変えずに、青抜きから青被り気味を撮る・・・(運が良ければ絵コンテ)
左に移動すると、背景つまらないし、距離の差もない、体を左に寄せて背景を変えようとしてみるが、それも無理なら、なんか劇的な事が起きないかなぁと思いつつ、半分休憩。
右の壁の狭い紫のカイメンの前に行ったら、ボケた紫背景、光り輝く時。フラッシュ加熱して撮れなくなるまで撮りまくる。(まぁ、無理そうだけど一応頭に入れとく絵コンテ)
そしてその絵コンテに合うようにロケハンするのです。
●撮影に適した自分の場所・姿勢、足の場所、手の場所
●カメラの位置固定の仕方
●絵コンテと現場に適した撮影データ
そして初めて撮影するのです。
時間もないし、ガイドも進んじゃうし、後で他の人待ってるし、NDLが、エアーが、もう年でいつまで潜れるかわかんないし・・・
すぐ撮りたくなります。しかし、それで撮れるのは記念撮影・証拠写真です。
もちろん、劇的な瞬間・レア物登場なら、何も考えずすぐ撮ります。
記念撮影・証拠写真は終わったら、、、
カメラを置くのです。そして、肉眼で、その場所を、その被写体を、その条件を見るのです。ロケハンするのです。絵コンテを選ぶのです。再ロケハンするのです。
試撮りをして、データを修正するのです。場合によっては絵コンテを選び直すのです。また再ロケハンして、試撮りです。
撮ってはいけません、ロケハンが終わるまでは・・・
被写体は逃げます、引っ込みます。シャッターチャンスも逃します。悔しい思いをします。
それでも撮らないのです、ロケハンするんです。
毎回続けていれば、ロケハン時間が短くなります。考えずに体が判断しだします。反射的に、体が動き出します。ふっと気づくとロケハン済みの場所に居て、ロケハン済みの角度から構えて、ロケハン済みの背景画角で、絵コンテが頭にあるのです。
ある日ふっとね。そして、光り輝く子・光り輝く場所が見えるようになるのです。
今日、ロケハン無しの記念撮影をたくさん撮れば撮るほど、、、明日の写真が綺麗になりません。5年後・10年後も今と同じ写真を撮ってしまいます。
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