マビノギオン
「マビノギオン」というのは、著者がつけた名前ではなく、便宜上つけられて呼ばれるようになった名前である。
この本は、口伝だったためほとんど消えてしまったケルトの物語の、貴重なまとまった記録だ…と、言われるが、その内容は、より土着的なものと、いちど大陸に渡ってから帰省したらしい、宮廷ロマンス的なものもある。それが、アーサー王の原型であるアルスル王の宮廷での物語だ。
11の物語の中には、アーサーのほかにも、ケイ卿、ガウェイン、パーシヴァルやイーヴェインといった人々の原型が登場する話が5つほど存在するのである。フランスのクレティアンが「5つの物語」を書き、さらにヴォルフラムやハルトマンが発展させて、アーサー王伝説の主要な叙事詩を作った。
また、それ以外のストーリーにも、ブリテン島・ヒベルニア島に繋がる半神の登場人物たちが、多く現れる。
時を越えて受け継がれた物語の古い形を、あなたは知りたくないだろうか。
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【注釈 というか残念なお知らせ】2017/5/29追記
かつては「ケルト神話」の代表格とされていたこのへんですが、最新研究により「島のケルトはケルトではなかった」ことがほぼ確定となりました。大陸からの人の流入はなく民族は別、文化についても一部しか伝播しておらず、言語についても現在「ケルト語」と呼ばれているものを本来のケルトである「大陸のケルト」が喋ったかどうか不明の状態です。そのため「島のケルト」に属する神話文献も全て、「ケルト」とは呼べなくなってしまいました。呼ぶとしたら島(アイルランドとかブリテン島とか)の土着の古伝承です。最新研究に従ってサイト内は随時修正します。
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・「マビノギオン」とは? ・「マビノギオン」に登場する武器道具 |
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アーサー王伝説とは関連しない物語 | アーサー王伝説に関連する物語 |
「マビノーギの四つの物語」より +ダヴェドの大公プイス +スィールの娘ブランウェン +スィールの息子マナウィダン +マソヌウイの息子マース 「カムリに伝わる四つの物語」より +マクセン・ウレディクの夢 +スィッズとスェヴェリスの物語 |
「カムリに伝わる四つの物語」より +キルッフとオルウェン +ロナブイの夢 「アルスルの宮廷の三つのロマンス」より +ウリエンの息子オウァインの物語 +エヴラウクの息子ペレドゥルの物語 +エルビンの息子ゲライントの物語 |
元テキスト;JULA出版局「マビノギオン 中世ウェールズ幻想物語」訳/中野節子 協力/徳岡久生
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