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右に目をやれば、熊沢岳を中心に中央アルプスの主稜線が見える。気持ち良く空中散歩ができそうな素晴らしいラインである。
先に述べたように、稜線は熊沢岳の後、本谷山、伊那川岳、殿ヶ岳、鞍ヶ岳と呼ばれるピークが続き、東川岳へと至る。
そして、そこから一気に木曽殿越へと下っている。
木曽殿越には木曽殿山荘があり、20年前はそこでポカリスエットを購入したのだった。
木曽殿越からは空木岳への登り。
これが縦走してきた身体には大変きつく、少し登っては休むという動作の繰り返しであった。
それでも何とか、最後は登山靴のグリップを利かせて岩を登り、空木岳に到着したのだった。
この光景を見ると、当時のことが蘇ってくる。
それに比べれば、こちらの登りはかなり楽である。 |
10時23分に駒峰ヒュッテに到着。
中には誰も居ないようだ。
実は、その後 空木岳山頂で一緒になった人に聞いたところによれば、
小生が駒石付近で抜いたご夫婦 ? が管理人だったようである。そういえば、私が頂上に到着した後も、
いつまで経ってもそのご夫婦が現れないので不思議に思っていたところである。その話を聞いて疑問は氷解した次第。
登山道は、駒峰ヒュッテのウッドデッキを通るようになっていて、
なかなか洒落ている。この場所は見晴らしが良く、コーヒーでも飲みながら周囲の山々を眺めたら最高であろう。
また、東側が大きく開けている訳であるから、日の出も楽しめるに違いない。 | |
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ヒュッテから頂上は近いかと思っていたが、そんなに甘くはない。ヒュッテから急傾斜の道が続く。
足下はかなりザレている感じで、それを防ぐための土留めや、登山道を踏み外さないようにとのロープが設置されている。
振り返れば、もうガスがかなり上がってきており、登ってきた尾根の方はまだ見えるものの、空木平の方はガスにかなり飲み込まれてきている。
そして、10時32分、
空木岳頂上に到着。
辛うじてガスに勝ったという感じである。頂上には若者が 1人いたが、すぐに 大きいザックを背負って、南駒ヶ岳の方に進んでいったので、
暫くは 頂上 1人占めであった。 |
その若者が進んだ方向を見やれば、
魅力的な稜線が南駒ヶ岳へと続いている。そしてその先には南駒ヶ岳がどっしりと構えており、登高意欲をかきたてる。
そして さらに面白いのは、南駒ヶ岳の斜面にいくつもの三角錐が見られることで、例えは悪いが、パイナップルの皮の様である。
山の浸食が進み、固い部分だけが残ったのかもしれないが、なかなか興味深い。
南駒ヶ岳に登ることを検討してみる。しかし、地図では 往復すると 4時間20分かかることになっており、多少時間を割り引いても、
駐車場への下山がかなり遅くなりそうである。おまけに、ガスが出てきたので、往復は断念することにした。
前回も 同じようなことを考え、同じ結論に達した記憶がある。 | |
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この頃になると、ついにガスが周囲を囲み始めた。
宝剣岳、木曽駒ヶ岳方面は写真のようにガスが上がってくる前に少しの間だけ見えた後、
アッという間にガスに囲まれてしまったのだった。そして、この後 山頂に滞在中にもう二度と見ることはできなかったのであった。
従って、木曽駒ヶ岳の左後方に見えるはずの北アルプスは、見えたという認識が全くなかったのだが、
この写真をよく見ると、槍ヶ岳、
穂高連峰が しっかり写っている。目で確認できなかったのは残念である。
そして、木曽駒ヶ岳からこちらへと続く中央アルプスの主稜線も、最早 ガスに飲み込まれ始めている。 |
さらに、登り来たりし尾根を見下ろせば、
こちらにもガスがかなり迫ってきている。この後、この尾根や空木平はガスに囲まれてしまい、時々 ガスが流れては姿を見せるという繰り返しとなったのだったが、
全体がハッキリと見下ろせるということは最早 なかったのだった。
先程まで魅力的な姿を見せていた南駒ヶ岳も、ガスに囲まれてしまい、こちらも時折 姿を見せると言う状態に変わってしまう。
比較的 展望が良好なのは、南西から北西方面にかけてであり、南木曾岳などは霞み気味ながら比較的よく見える。
また、御嶽の方は、
こちらとの間にガスはないものの、御嶽自身が雲に囲まれてしまっており、辛うじて頂上付近が見えるだけであった。 | |
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南アルプス方面もすぐにガスが隠してしまう状態となった。
ガスに囲まれる少し前には、写真の様に塩見岳と
富士山を見ることができた。
富士山は先程下の方で見た時よりもその形がよく見える。
塩見岳より左側、先程 下の方ではよく見えた農鳥岳、
間ノ岳、
北岳、
仙丈ヶ岳、
甲斐駒ヶ岳といった山々は最早 全く見ることができない。
本日は 意外と気温が高いため、ガスが湧き出すのが早いのかもしれない。 |