空木岳 再登山( 空木岳:2,863.7m ) 2010.10.2 登山



【PHOTO & 記録 空木岳 再登山 5】

9時58分、駒石 直下に登り着く。
下から見上げれば本当に大きな岩壁である。その高さは 11m程であろうか。 金峰山の五丈岩と同様、 この岩の上にも登れるようだが、今回はパス。先を急ぐ。
駒石の素晴らしさは、傍で見上げるその大きさもさることながら、少し高度を上げて振り返って見た時に一番分かるのではないだろうか。 写真で分かるように、岩の組み合わせが絶妙であり、まさに自然が作った立体パズルである。
なお、写真では小さいが、駒石の右下から頭にオレンジ色のバンダナを巻いた人が今まさに現れようとしている。身体の半分しか現れていないので、 90センチと考えると、岩の高さが分かろうというものである。

いよいよ 空木岳への登りにかかる。
こちら側から見る空木岳は、 木曽駒ヶ岳側から縦走してきた時に見たそれとは異なり、 かなり女性的で美しい。
しかし、実際に歩いてみると、ハイマツの中、所々にザレて崩れかけた場所があり、遠目には美人だが現実はかなり年をとってきていると感じさせる。
一部には、南アルプス前衛の山である 日向山の雁河原 (ガンガワラ) に見られる様な、 花崗岩の風化が認められる。
それでもやはり美しい山である。駒石を始め、所々に現れる奇岩はなかなか楽しませてくれる。

その奇岩に一つがこのキノコのような岩である。
帰りに反対側からグルッと回ってみたが、キノコの笠はしっかりできあがっており、正真正銘 キノコ型であった。
どうも 明治製菓のチョコ菓子 『 きのこの山 』 を彷彿とさせる。

他にも面白い岩があり、時間があったらそれらを全部写真に収めたいところである。

さらに少し登っていくと、 東川岳から木曽殿越へと下る急斜面が目に飛び込んできた。
頂上直下の断崖絶壁は迫力があり、その縁を下っている道も見えている。20年前はあそこを下ったのだと思うと、感慨深いものがある。 残念ながら鞍部の木曽殿越は見えなかったものの、紅葉の山肌と相俟ってこの光景には非常に惹き付けられてしまう。
ところで、ご存じとは思うが、木曽殿越について一言。
木曽殿というのは言わずとしれた木曾義仲であり、木曽殿越と言う名は 1180年 (治承4年) にこの鞍部を越えて伊那の豪族であった笠原氏を攻めたことから来ているらしい。 伝説なのか真実なのか、大変興味深いところである。

少し高度が上がってきたところで、登り来たりし斜面を振り返る。
ここも先程の駒石への斜面から振り返った時と同じようにハイマツの絨毯が敷き詰められ、花崗岩、白砂の登山道、紅葉の空木平と素晴らしい光景が眼下に広がっている。
さらにその先には雲の海が広がり、そこに八ヶ岳 (正面)鋸岳甲斐駒ヶ岳仙丈ヶ岳などの山々が浮かんでいる。
この山は、登り斜面を見ても美しいが、下り斜面を見てもまた美しい。正真正銘の美人である。

高度が上がることによって、 今まで見えなかった木曽駒ヶ岳が見えてきた。 写真 後方 中央右側の山が木曽駒ヶ岳である。
やはり、中央アルプスの盟主を見ないことには始まらない。ガスが上がってくる前に確認できて本当に良かった。
木曽駒ヶ岳の左下には木曽前岳、そしてそのさらに左には三ノ沢岳が見える。
こう見ると、三ノ沢岳が意外と立派なことに驚かされる。標高は 2,846.5m、かなりの標高を有しているにも拘わらず、 縦走路からはずれているということであまり人の訪れもないと聞く。
こういう山には是非とも登ってみたいものである。

再び振り返れば、眼下に空木平の広がりが見え、空木平避難小屋らしき茶色の建物も見える。
小屋の周囲は灌木帯らしく、紅葉した木々が囲んでおり、さらにその外側をハイマツの緑が囲んでいる。丁度 山間にあり、 何とも気持ちよさそうな場所である。20年前は、小屋の少し先の水場でお湯を沸かし、食事をしたのだった。少々 昔を懐かしむ。

前を向けば、少し先に木造の建物が見える。駒峰ヒュッテのようだ。 もうすぐ頂上だと思い、空木岳の方に目を移せば、 稜線上に人が立っている。どうやら、その 人が立っている場所が頂上のようである。何とかガスに攻め込まれないうちに頂上に着けそうである。



空木岳 1、  空木岳 2、  空木岳 3、  空木岳 4、  空木岳 5、  空木岳 6、  空木岳 7   もご覧下さい。

めざせ百名山のページに戻る   ホームページに戻る