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ほぼ平らであった道もやがて登り斜面の道へと変わる。ただ、先程までの登りに比べ、かなり傾斜は緩やかである。
周囲の木々は恐らく ダケカンバであろう、ヤマザクラの若木のような樹皮をした木々が目立つ。
しかし、まだそれらの木々に葉は一切見られない。
振り返れば、男体山の姿というよりはシルエットが見える。
先般の金精山、温泉ヶ岳でもそうだったように、
ここから男体山は南東に位置しており、今の時間帯では完全に逆光気味になる。
従って、男体山の姿をハッキリ見るには夕方の方が良いと思われるが、
午後は意外と雲に隠れてしまうことが多い。 |
暫くして道は谷のようなところを横切ることとなった。
ここには雪が多く残っているため、谷の下の方はどうなっているのか分からなかったが、もしかしたらここは白根沢を登り詰めた所なのかもしれない。
この辺では雪は完全に斜面を覆っており、写真のように、多い所ではまだ 1m近く雪があるようだ。
雪の斜面には2人分の足跡が付いている。先程、スキー場ゲレンデの所で、100m先にいた 2人のようだ。ただ、この 2人は最初からのペアではなく、
スキー場のゲレンデで急遽 一緒に登ることになった急造ペアのようである。 | |
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7時55分に天狗平に到着。先程の 2人組が憩っていた。
それ程疲れていなかったので、小生の方は天狗平を素通りして先に進む。天狗平には雪は全くなく、
そこからも暫くは雪の無い道が続く。
しかし、また暫くして雪の斜面に変わる。雪の斜面は緩やかで、しかもまだ雪は締まっているので、歩きやすい。
よく見ると、雪の上にもう 1つ新しい足跡があった。さらに先に一人いるようである。
先程 天狗平で抜いた 2人組、そして先に進んでいる 1人は白根山に登るのだろうか。
それとも、錫ヶ岳を目指しているのであろうか。もうすぐ前白根山のはずなので、
その先でおのおのの行き先が明確になるはずである。 |
久々の雪上歩行を楽しみながら登って行き、
尾根に飛び出すと、奥白根山の姿が飛び込んできた。
相変わらず素晴らしい。いかにも火山らしい荒々しい山肌を持つ台形状をした特徴ある山容が、
青空をバックに浮かび上がっている。19年前に本日と同じコースを辿り、この光景を見た時は本当にハッとしたものである。
しかも、今はその山肌の所々大きく抉れた部分に残雪を有していて、それがアクセントになっている。
本日の目的地は錫ヶ岳であるが、こうした奥白根山の姿を見てしまうと、
奥白根山にも登りたくなる。まあ、時間的にも、体力的にも難しいと思うが・・・。 | |
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目の前に見える前白根山に向けて進む。すると、小生のずっと後方を登ってきた件 (くだん) の にわか 2人組のうち、
若い方が急にスピードを上げて小生を追い抜こうとしてきた。小生としては、先に 1人いるはずなので、前白根山まで競っても意味がないと思い、
道を譲ろうかとも考えたのだが、何か無性に腹が立ち、こちらもムキになって足を速め、結局 そのまま抜かれずに先に前白根山に到着した。
時刻は 8時12分。
腹が立ったのは、2人で歩いていながら、前白根山に一番乗り (実際は違う) したいために、
1人を置いて走り出し、さらに頂上間近の人まで抜こうという行為に品性のなさを感じたためである。
今から思えば小生も大人げない行為であったが・・・。 |
上の写真は、前白根山頂上から見た、
これから進む白根隠山へと続く稜線の光景。この稜線を見ると心が逸る。稜線の途中、最初のピーク手前には、
観測小屋も見える。
また、写真右奥には目指す 錫ヶ岳も見ることができる (尤も、その時はそれが錫ヶ岳とは気づかなかったのだが・・・)。
前白根山では水分と甘いものを補給するだけにして、8時18分に出発。ガレ場を下る。
その前に忘れてならないのが、奥白根山と五色沼。
この光景もいつ見ても素晴らしい。五色沼は、この時間、特に濃いブルーをしていてその神秘性を増している。 | |