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暫く女峰山は見えなくなったが、
再び樹林越しに見えるようになる。
その様子を見ると、何となく、天候回復の順番が回って来るどころか、先程よりも悪化しているように見え、またまたテンションが下がる。
女峰山から帝釈へと続く稜線もガスが絡んでいるようである。
やがて、女峰山の下方に クリーム色をした唐沢避難小屋が見えてくる。
身体の方もかなりバテてきたので、早く小屋で休みたいところである。
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本来 ガレ場である場所を横切って進む。
雪の斜面を横切って進むのだが、うっかりしていると足を取られて滑落も考えられる。慎重に進む。
ガレ場を横切れば、再び樹林帯に入る。樹林の中を少し進んで、土手のような場所を乗り越えると、
目の前に唐沢避難小屋が現れたのであった。
避難小屋到着は 12時丁度。
小屋には誰も居ない。ただ、小屋の周囲を回ってみると、かなりの足跡もあり、
また山頂に向かっている足跡もあったので、先へと進む目処がついて一安心である。
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小屋に戻って暫し休憩。小屋の東側には青空が広がっており、
この後が少し期待できそうである。
腹拵えをした後、オーバージャケットを厚手のものに着替える (今までは 古いレインウェア着用)。ここに来るまでの途中、
強く冷たい風が吹く場所があったので、女峰山頂上も厳しいのでは と考えてのことである。
さらには 10本爪アイゼン着用、そしてストックをピッケルに持ち替える。
また、念のためにということでバラクラバも着用 (目のための穴の部分をあごまで広げて使用)。
12時19分、小屋を出発。この 19分の休憩の間に、全部で 6、7人の人たちが小屋に出入りした。
多くの人たちは既に頂上を踏んできたようである。
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小屋を出てビックリ。上空は青い空に変わり、日差しが降り注いで、
周囲の雪がキラキラと輝いているではないか。
今までの薄暗い状況が嘘のような、劇的な変わり方である。ようやく天候回復の順番がこちらにも回って来たようである。
テンションがグッと上がる。
小屋から北に向かって樹林帯の中を進む。日差しが明るく、雪が眩しい。
さらには進む先にも青空が見えている。
今朝ほど擦れ違った途中撤退をした方には気の毒だが、一番良いタイミングで頂上を踏めるようである。これが 2時間ほど前であれば、
周囲の視界は恐らく利かず、撤退もやむなし という状態であったであろう。
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樹林帯を抜けると、ガレ場に出る。無論、雪が斜面を覆っているので、
その荒れた部分は隠れている。
写真のように美しい斜面であるし、その先に広がる青空が素晴らしい。
雪の上にはしっかり先達の足跡がついており、迷うことはない。ルートはこのガレ場を横切り、再び樹林帯に入ることになる。
先程 述べたように、念のためを考えて アイゼン、ピッケル、さらにはオーバージャケット、バラクラバという格好で登り始めたのだが、
このタイミングでは全てオーバースペックであった。恐らく、アイゼン無しでも問題なかったであろうし、
ピッケルは雪が柔らかすぎて役に立たない状況であった。
さらには こちら側の斜面の登る際には、風が吹かず、暑いくらいである。
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とは言え、油断は禁物。
雪が柔らかいだけに、ガレ場を横切る時には、足場が柔らかく、滑り落ちる危険性がある。細心の注意を払いながら進む。
しかし、ここまでほぼ 6時間 (休憩含む)。
さすがに疲れが出てきており、樹林帯の雪の斜面では、腿の裏が攣りそうになったほどである。早く頂上に着きたい気持ちが強いが、
ここは焦らずユックリと登る。
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