女峰山 ( 女峰山:2,483m、 三角点は 2,463.5m ) 2014.4.27 登山


【PHOTO & 記録 女峰山 5】

右手を見れば、うっすらとではあるが、 燧ヶ岳の双耳峰が見える。
さらには、少しガスが晴れて、女峰山から西へと帝釈山まで派生する尾根も見えるようになる。 その先には太郎山も見えてきた。
少し先に希望が持てそうである。

しかしそれにしても、この尾根は木々が多く、さらに残雪をかなり踏み抜くので苦労する。
足跡を忠実に辿る。

この辺の雪の量はかなり多い。
また、結構 斜面に張り出している雪もあるので、足を置く位置に気をつけながら進む。

少し好転の兆しを見せていたガスであるが、再び周囲を覆うようになり、 先の方が見えなくなる。
しかし、暫くすると、再び少し視界が開ける といった状態が続く。

やがて、女峰山方面を見通せるようになるが、 その前に 1つ急斜面を越えて行かねばならない。
しかし、目の前に斜面が見えていたにも拘わらず、足下の雪を踏み抜かないようにすることばかり考えながら進んでいたからであろうか、 そのまま斜面に取り付いてしまい、気がつくと周囲はかなりの急斜面になっていたのであった。

それでもそのまま登っていったところ、 ここが先程見えた難所の高みと気づいた時には既に遅く、アイゼンを着ける場所もなく、 手に持った 2本のストックも邪魔になるだけという状態で、そのまま急斜面を登らざるを得ない状況に追い込まれてしまったのだった。
仕方がないので、2本のストックは左手にまとめて持ち、岩や木の枝、木の根を掴みながらよじ登る。

一番怖かったのが、 足下の雪が凍っていた所があったこと。足下が滑れば、そのまま急斜面を滑落である。
唯一 自由が利く右手で木の枝をしっかりと掴み、2本のストックを握っている左手の指も使って、自分の身体を引き上げるようにして通過する。

悪戦苦闘しながら登り続けると、やがて雪の中にトラロープが現れる。
まさに命綱であるが、ロープを少し伝っていくと、ロープの上方は雪の中に消えてしまっていて、引っ張り上げても姿を現さない。
仕方なく、ロープと分かれて岩や木に掴まりながら登っていくと、再びトラロープが雪の中に現れた。 それを掴んで身体を引き上げるようにして目の前のコブを越えると、 そこに女峰山へと続くほぼ一直線の雪稜が現れたのであった。 漸く悪場の終了である。ホッと一息。
目の前に続く雪稜が何と素晴らしく見えることか・・・。

迂闊にもノーアイゼン、ダブルストックのまま急斜面に取り付いてしまった自分を罵るとともに、登ってきた斜面を覗き込んで、 よくもまあ越えてこられたものだと感心する。

しかし、これで心が決まる。往路を戻るのは無理である。
下山は二荒山神社へのルートを辿り、タクシーにて霧降高原戻ることにする。
体力、気力から考えても、今の急斜面を下り、さらに緩んだ残雪を進み、何度も出てくるアップダウンをクリアしていくのは無理である。

さて、悪場を越えたので天国へと続く道のように見えた雪稜であるが、 それ程甘くはなかったのだった。

恐らくこの斜面はハイマツ帯なのであろう、 さらには 時刻も 12時を過ぎていることから、雪を踏み抜く回数が急増したのである。
目の前に女峰山が見えているにも拘わらず、 僅かの距離を進むのにかなり時間を取られてしまう。
落とし穴が続くような残雪の尾根に悪戦苦闘しながら、その踏み抜き地獄をなんとかクリアしていく。



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