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先達の足跡を追って雪の上を黙々と進む。
何遍も言うようだが、よくもまあ、雪の上を正確にルートがとれるものだと感心する。
もし、雪の上に足跡がなかったら、ルート探しにかなりの時間をとられたであろうし、もしかしたら撤退ということも起こりえたと思う。
本当に先達に感謝である。
途中、写真のように木々が斜めに傾いている場所を通過した。
その時はあまり気にならなかったのだが、写真で見ると、家をわざと傾けて造り、視覚と平衡感覚との混乱を生じさせている上州三日月村の不可思議土蔵のように、
少し奇妙な感じを受ける。 |
この頃になると、徐々にガスが上がってくるようになり、時折 女峰山を隠すようになる。
道程はまだまだ長いにも拘わらず、これは厳しい。
ドンドン悪くなってくる状況に気落ちしながらも、樹林の間を縫うように進む。
時には目の前に広がる雪の廊下を楽しみながら進んで、やがて一里ヶ曽根の標識が立つ場所に登り着く。
時刻は 10時49分。ここで休憩とする。
ここには壊れた石の祠があり、また周囲が開けている。ここが地図上の独標であろう。
ここは本来なら展望の良い場所なのであろうが、
ガスが時々湧いてきてあまり展望を得られない。 | |
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ガスは時として周囲を覆い隠すようになる。
女峰山も写真のような状況。
一時は周囲が完全にガスに囲まれてしまい、少々不安を感じさせる程であった。
少しガスが薄くなったのを機に、出発する。時刻は 10時56分。
道はここから一旦下り、その先の高みに登った後、左へと続く尾根を辿ることになる。
その女峰山へと続く尾根の途中に大きな高みが前衛峰として立ちはだかっており、少々手強そうである。
ダケカンバの生える鞍部へと下った後、シラビソ、コメツガの斜面を登る。
高度を上げて振り返れば、休憩した独標のある高みが見える。しかしその後方はガスで見えない。 |
左方を見れば、
女峰山へと続く尾根が漸く間近に見えるようになってきた。
今登っている斜面を登り切ると、道は左に折れてあの尾根へと進むことになる。
しかし、状況は写真の通り。ガスで先の方が見通せず、一抹の不安を覚える。雪の上に続く先達の足跡が頼りである。
なお、女峰山へと続く尾根の後方に少しだけ見えている高みは、
帝釈山ではないかと思われる。 | |
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残雪の斜面を黙々と登り続ける。
雪庇も多く残っており、足の踏み場を注意しなければならない。
ガスの方は時折 濃くなり、
左前方に見える女峰山へと続く尾根を隠す。
傾斜の方は徐々に緩やかになり、もうすぐ女峰山へと続く尾根との合流も近いことが分かる。 |
そして、ほぼ傾斜がなくなったところで、
道は左へと曲がるようになる。
漸く女峰山へと続く尾根に辿り着いた訳である。
ここからは痩せた尾根道が続く。しかも、あまり踏まれていないため残雪が手強い。
さらには、木々が多いためであろう、踏み抜きは頻繁に起こるようになる。我慢しながら木々を押しのけるようにして進む。
装備としては 10本爪アイゼン、ピッケルを持ってきてはいるものの、今はノーアイゼン、ダブルストックという状況で問題ない。
むしろここでは、雪を踏み抜かないような道具が欲しいところである。しかし、尾根は狭く、スノーシューでは嵩張りすぎだし、
カンジキもバランスを崩してしまいそうな所が多い。
小さなアップダウンを繰り返し、張り出した雪庇に気をつけながら進む。 | |