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第一高点への最後の登りに掛かる。
さすがにキツイ登りで、急峻なため下山時の方が心配である。振り返れば、角兵衛沢ノ頭が見える。
角兵衛沢ノ頭にはペンキ印など皆無のため、戻る際にルートがチャンと辿れるか、こちらも少々心配である。
じっくり眺め、辿ってきたルートを頭に入れる。
10分ほど進むと、もうガスがドンドン下から昇ってきて、周囲の視界はほとんど無くなる。
目の前の第一高点もすっかりガスの中である。
第一高点では 360度の大展望が得られると期待していただけにガックリである。
岩場を注意しながら登る。 |
そして、ガスが周囲を隠す中、
12時47分に鋸岳 第一高点に到着。
頂上で憩っているかと思った先程の二人組は見えない。鋸岳の核心部へと進んだようだ。
この時間から言って、山中泊は必須であるが、それでも時間的には遅い位だ。おまけにこのガスでは、先を急ぐのも肯ける。
山頂は南北に細長く、石柱の他、
恐らく 『山梨百名山』 の標柱の成れの果てであろう、
朽ちかけた木の柱が立っていた。 | |
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ガスで全く視界が見えない中、食事などをとって時間を過ごす。この間、あわよくば、ガスが晴れて
甲斐駒ヶ岳の姿が現れてくれることを期待する。
しかし、待てども待てども一向にガスは晴れない。
それでも、時々 ガスが切れて周囲の一部が一瞬だけ見えることがある。
写真もその一つで、足元だけガスがなくなり、下方の戸台川が見えたのだった。あそこからここまで登ってくるのは、
さぞかし大変であろう。 |
待つこと 15分程、
ほんの短い間ではあるがガスが切れて、第二高点方面を見ることができた。
第二高点と思しき高みの頂上には剣らしきものも見える (気のせいかもしれないが)。
また、第二高点まで続く尾根は大きく蛇行しており、ガスの中ではそれがあたかも、雲の中を行く竜の背中のように見える。
よく見ると、尾根上に先程の 2人組が見える。丁度小ギャップの底から登り着いたところのようだ。
この後、もう暫く待ったが、ついに
甲斐駒ヶ岳
の姿は見ることはできなかった。 | |
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13時8分、ついに展望を諦め、下山することとした。
辿り来たりし道であるが、三角点ピークまでは少々気を抜くと道を間違える可能性がある。慎重に登りの時の記憶を辿りながら道を下る。
下方には角兵衛沢を下っていく道らしきものが見える。
しかし、あの場所に辿り着くまでの下り、あるいは、あの場所からコルまでの登りはガラ場の急斜面で大変であろう。 |
前方には三角点ピークが立派な形を見せており、
その手前に角兵衛沢ノ頭も見える。
それぞれのピークは緑もあるためにそれほど峻険なものには見えないが、その斜面を見れば、厳しい岩場がむき出しになっており、
侮ってはいけないと思わせる。
本日は第二高点方面をよく見ることができなかったが、そちら側はもっと峻険なのであろう。
行ってみたい気と第一高点に登ったので良しとしようとする気持ちで、
心には少々の葛藤が生じている。 | |