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道は徐々に急登となり、尾根道は狭くなる。
やがて道は右からの尾根と合わさり、左に直角に曲がることになる。ここには道を間違えないようにと標識が置かれており、
右側を見ると木に × 印が付けられている。頂上から下ってきた場合、間違えてまっすぐ行ってしまう人が多かったということであろう。
傾斜は厳しくなり、息があがる。それよりも何よりも腹が減ってきて力が入らない。時間は 10時少し前。
考えたら朝 5時頃に運転しながら巻き寿司を食べて以来、5時間以上水しか口に入れていないことになる。
腰掛けられそうな岩場を見つけ、食事とする。 |
誰も来ないだろうと高をくくって登山道上の岩に腰掛けて握り飯を食べていたところ、
下から若いカップルが登ってきた。これにはビックリ。自分でもまあまあのペースで登ってきた と思っていたのだが、
若い人達のスピードには敵わない。
10分程休んで出発する。やはりお腹が満たされると元気が出るものである。
オオシラビソの生える斜面を登っていく。やがて再び道は左に直角に曲がることになる。ここにも間違えないようにと標識が置かれている。
そこから少し登ると、『 イワカガミ群生地 』 と書かれた標識が現れた。
足下を見れば、辺り一面濃い茶色や緑色をしたイワカガミの葉が日の光を浴びてキラキラ光っている。足の踏み場も無いほどである。 | |
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イワカガミの花の時期にはまだ早いが、これが一斉に花を付けた時にこの場所に立ってみたいものである。さぞかし見事であろう。
イワカガミの群落を抜け、オオシラビソの斜面を登っていく。そして、群落から 7分程で、白ガレの頭に到着。腕時計を見ると 10時22分。
ここは南面が開けている。足下は崖になっているので、注意が必要である。
開けた場所から先の方を見やれば、形の良い山が見えるが、さすがにこの辺の山は分からない。
後で調べたところ、どうも真ん中の山は天水 (1,521m) らしい。 |
白ガレの頭からは暫く緩やかな尾根歩きが続く。
斜面下方につけられた道が正規のルートのようだが、ここはできるだけ展望の良い尾根筋を歩く。
先ほどの天水の右には、板取山、さらに右には八丁段が見える (無論、帰宅後確認)。
道はやがて、足下にササが生える細い尾根を進むことになる。
右手を見ると、樹林越しに白い頂の山が見え隠れし始める。ここは是非ともこれらの山をスッキリと見通せる場所を得たいものである。 | |
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細かい枝が邪魔をして、なかなか白い頂の山を見通せず、イライラが募る。
何とか見える角度を見つけては写真に納める。
形から見て、右側の白い頂は上河内岳、
左は 聖岳という気がするが、
私の頭の中では、上河内岳は聖岳の左 (= 南) に来るはず。
しかし、そういう配置は南アルプスの東に位置する七面山 (希望峰) などから見た順番であり、
南アルプスの南に位置するこの前黒法師岳からは聖岳が左側、
上河内岳は右側に見えるのはおかしくないようである。
感覚的には納得できないが、論理的 (地図上) には納得できるといったところである。 |
しかし、良くしたもので、
暫く進んでいくと 『 展望所 』 と書かれた標識が現れた。右の方に少し開けた所があるようである。
それではとルートを外れてそちらの方に行ってみる。
少し登ると、狭いながらも斜面に突きだした場所があり、そこからは先ほどまで木々に遮られてよく見えなかった山々を見ることができたのであった。
ようやくイライラ解消である。
写真中央右に見える白い頂が聖岳。
その右の枝に隠れている白い頂は茶臼岳と上河内岳。
聖岳の真ん前に見える黒い三角錐は仁田岳であろう。
聖岳の左に突き出た山は多分 椹沢山 (信濃俣南峰)。
その左の白い山はイザルヶ岳。
さらにその左には百俣沢ノ頭を前にした光岳ということであろう。 | |