冥王星 その2

 ここからは、少しやり残した穴を埋めていきます。
明示的な場合の予想L-4の具体的検証例を蓄積していきます。mが「4n+2 or 4n+3」の2次体Q(√m)の場合を見ます。
π/10代入、π/12代入、π/14代入。


2005/3/18          <穴を埋めていく(明示的な場合)>

 まず予想L-4を掲げます。いつも中心に位置しているのはこの予想です。

予想L-4

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
                                (0 < x < 2π)

   -1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・     -------A
                                (0 < x < 2π)

 @、Aと2次体Q(√m)の間には、ディリクレのL関数L(χ,s)を介して次のような関係が存在している。
(ただしmは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)

[T]mが4n+2 または 4n+3の整数のとき
 k=2|m|とおく。@とAの重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=2k (つまりN=4|m|)で
ある2次体Q(√m)に対応するL(χ,s)かあるいはその分割ゼータ(複数)が特殊値の形で出現する。

[U]mが4n+1の整数のとき
 k=|m|とおく。@とAの重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=k (つまりN=|m|)である
2次体Q(√m)に対応するL(χ,s)かあるいはその分割ゼータ(複数)が特殊値の形で出現する。

 ここで分割ゼータ(複数)とは、それらを適当に足したり引いたりするだけで上の条件を満たすL(χ,s)を出現させられる級数を指す。
なおk, q は互いに素な整数で、0 < qπ/k < 2πを満たす。

 そして、上の2次体 Q(√m)が実2次体ならば、それに対応するL(χ,s)の全特殊値が@の奇数回の積分・微分の
所とAの偶数回の積分・微分の所に現れる。
 また虚2次体ならば、それに対応するL(χ,s)の全特殊値が@の偶数回の積分・微分の所とAの奇数回の積分・
微分の所に現れる。
 これは、[T],[U]ともに適応される。



 さて、この予想L-4ですがこの「ゼータ惑星」シリーズでは主として非明示な場合すなわち上の@式の場合を
「火星」〜「天王星」にかけて具体的に検証してきました。
 @を重回積分-重回微分することで、現代数学で不明とされるL(χ,s)の特殊値が次々と求まっていった!と
いう驚異的なことを経験してきたのでした。

 一方のAの場合では、これに重回積分-重回微分を作用させると、こちらは現代数学でもよく知られている
特殊値が求まっていくということがわかりました。ただ、こちらに関しては具体的な検証例はわずかで「土星」の
「その1」、「その2」でπ,π/2,3π/4,π/6の場合を確認したのみでした。

 しかし、この予想L-4は非常に対称性がよく、じつは論理的に考えて@で予想L-4が確められればAが自動的に
成り立つという構造になっています(この辺は、「土星 その3」参照)。よってそれだけの検証例で十分としていたの
です。この経緯から「土星 その3」の@の検証をそのまま利用する形で表B-2を(論理的に)作成したのでした。
しかし、やはり具体的に書き下しておくというのは大切であり後々にいろいろと役に立つものです。

 よってこれ以降、Aの明示的な場合に関しても@でやったのと同じqπ/kの値を代入していこうと思います。
π,π/2,3π/4,π/6は済んでいますのでこれ以外を代入していきます。
はじめにQ(√m)のmが4n+2 or 4n+3の場合から見ていきます。(その後、mが4n+1の場合を見ることにします。 )

 ではまずπ/10代入からいきましょう。




2005/3/18  <-1/2=cosx + cos2x + cos3x +・・・の重回積分-重回微分にπ/10を代入>

 Aの統一的法則性(重回積分-重回微分の規則)の結果に、π/10を代入した場合を調べます。
(ここは、「火星 その8」の<cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/10を代入>の
論理をそのまま利用しています。)

   -1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・ -----A

 まず@を重回積分-重回微分した結果を書き下していきます。

[重回積分、重回微分した一連の式]
  ・
  ・
4回微分
  0=cosx + 2^4cos2x + 3^4cos3x + 4^4cos4x + ・・・・
 
3回微分
  0=sinx + 2^3sin2x + 3^3sin3x + 4^3sin4x + ・・・・

2回微分
  0=-(cosx + 2^2cos2x + 3^2cos3x + 4^2cos4x + ・・・・)
 
1回微分
  0=- (sinx + 2sin2x + 3sin3x + 4sin4x + ・・・・)

0回積分
  -1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・  

1回積分
  π/2 - 1/2・x=sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・・・ 

2回積分
 π/2・x - 1/2・x^2/2!=- (cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・・) + ζ(2)

3回積分
 π/2・x^2/2! - 1/2・x^3/3!=- (sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3 + ・・・) + ζ(2)・x

4回積分
 π/2・x^3/3!- 1/2・x^4/4!= (cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・・) - ζ(4) + ζ(2)・x^2/2!

5回積分
 π/2・x^4/4!- 1/2・x^5/5!= (sinx/1^5 + sin2x/2^5 + sin3x/3^5 + ・・・) - ζ(4)・x + ζ(2)・x^3/3!

6回積分
 π/2・x^5/5!- 1/2・x^6/6!
         = - (cosx/1^6 + cos2x/2^6 + cos3x/3^6 + ・・・) + ζ(6) -ζ(4)・x^2/2!+ ζ(2)・x^4/4!


と、このように上下に延々と続いていきます。
 このxにπ/10を代入して、2回積分と3回積分の場合のみを記すと(予想L-4を確認するにはこれで十分)、
次のようになります。

[π/10代入の結果]

2回積分
  -{ L・(1 - 1/9^2 - 1/11^2 + 1/19^2 + 1/21^2 - 1/29^2 - 1/31^2 + 1/39^2 +・・・)
    + M・(1/2^2 - 1/8^2 - 1/12^2 + 1/18^2 + 1/22^2 - 1/28^2 - 1/32^2 + 1/38^2 +・・・)
    + N・(1/3^2 - 1/7^2 - 1/13^2 + 1/17^2 + 1/23^2 - 1/27^2 - 1/33^2 + 1/37^2 +・・・)
    + P・(1/4^2 - 1/6^2 - 1/14^2 + 1/16^2 + 1/24^2 - 1/26^2 - 1/34^2 + 1/36^2 +・・・)
                                          - (1-1/2)ζ(2)/10^2 } +ζ(2)
                                    =π/2・(π/10) - 1/2・(π/10)^2/2!

3回積分
  -[ A・{LC(3) + LD(3)}/2
    + B・(1/2^3 + 1/8^3 - 1/12^3 - 1/18^3 + 1/22^3 + 1/28^3 - 1/32^3 - 1/38^3 +・・・)
    + C・{LC(3) - LD(3)}/2
    + D・(1/4^3 + 1/6^3 - 1/14^3 - 1/16^3 + 1/24^3 + 1/26^3 - 1/34^3 - 1/36^3 +・・・)
                                          + 1/5^3・L(3) ] + ζ(2)・(π/10)
                                   =π/2・(π/10)^2/2! - 1/2・(π/10)^3/3!

 と、LC(s)とLD(s)とL(s)とζ(s)が現れました。これらの特殊値は全て現代数学でよく知られているものです。

ここで、A=sin(π/10)、B=sin(2π/10)、C=sin(3π/10)、D=sin(4π/10)、
 L=cos(π/10)、M=cos(2π/10)、N=cos(3π/10)、P=cos(4π/10)。

 LC(s)とLD(s)は「火星 その8」の<cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/10を代入
で出てきたものですが、復習の意味でその定義から書いておきましょう。

 LC(s)とLD(s)とはディリクレのL関数L(χ,s)の一種であり、次のものです。

    LC(s)=1/1^s + 1/3^s + 1/7^s + 1/9^s - 1/11^s - 1/13^s - 1/17^s - 1/19^s +・・・
    LD(s)=1/1^s - 1/3^s - 1/7^s + 1/9^s - 1/11^s + 1/13^s + 1/17^s - 1/19^s +・・・
(注意: + - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

 ディリクレのL関数L(χ,s)とは次のように定義されるもので、ディリクレ指標χ(a)に対して特徴づけられる保型
形式のゼータ関数です。
 L(χ,s)=χ(1)/1^s + χ(2)/2^s + χ(3)/3^s + χ(4)/4^s + χ(5)/5^s + χ(6)/6^s + ・・・・

 LC(s)は、mod 20に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 3 or 7 or 9 mod 20-->χ(a)=1、
  a≡11 or 13 or 17 or 19 mod 20 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=20です。

 LD(s)は、mod 20に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 9 or 13 or 17 mod 20-->χ(a)=1、
  a≡3 or 7 or 11 or 19 mod 20 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。このχ(a)の導手NはN=4です。
 なおB,D,L,M,N,Pにかかる級数は、L(χ,s)ではないと考えられます。

 はたして予想L-4は成立しているのでしょうか?

 π/10代入よりいまk=10ですから導手N=20のχ(a)をもつQ(√-5)に対応するL(χ,s)が奇数回の微分・積分の
ところに(よって上では3回積分の所に)出現するはずだ!となりますが・・

 見てください、予想の通り3回積分の所にLC(s)が現れています。
LC(s)が虚2次体Q(√-5)に対応するL(χ,s)であることは現代数学で知られています。
(例えば、「解決!フェルマーの最終定理」(加藤和也著、日本評論社)のp.73参照。)
またこれは、平方剰余の相互法則と補充則で手計算して確認することもできます。

 やはり予想L-4は成立していました。
(冒頭で述べた通りすでに「非明示な」場合で確認していますのでこの「明示的な」場合で成り立つのは当然ですが)




2005/3/19  <-1/2=cosx + cos2x + cos3x +・・・の重回積分-重回微分にπ/12を代入>

 それでは、次にπ/12代入の場合を調べましょう。
Aの統一的法則性(重回積分-重回微分の規則)の結果に、π/12を代入した場合を調べます。
(ここは、「火星 その8」の<cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/12を代入>の
論理をそのまま利用しています。)

   -1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・ -----A

 まず@を重回積分-重回微分した結果(一つ上「π/10代入」参照)に、π/12を代入した場合を記すと次のように
なります。2回積分と3回積分の場合のみ記しました(予想L-4を確認するにはこれで十分)。

[π/12代入の結果]

2回積分
    -[ L・{LG(2) + LH(2)}/2 + M・1/2^2・LB(2) + N・1/3^2・L1(2)
      + P・1/4^2・(1 - 1/2^2 - 1/4^2 + 1/5^2 + 1/7^2 - 1/8^2 - 1/10^2 + 1/11^2 +・・・)
      + W・{LG(2) - LH(2)}/2 - (1-1/2)ζ(2)/12^2 ] + ζ(2)
                                   =π/2・(π/12) - 1/2・(π/12)^2/2!


3回積分
    -{ A・{LE(3) + LF(3)}/2 + B・1/2^3・LBB(3) + C・1/3^3・L2(3)
        + D・1/4^3・(1+1/2)LA(3) + E・{LE(3) - LF(3)}/2 + 1/6^3・L(3) } + ζ(2)・(π/12)
                                =π/2・(π/12)^2/2! - 1/2・(π/12)^3/3!

 と、LE(s) ,LF(s),LG(s),LH(s),LA(s),LBB(s),LB(s),L1(s),L2(s),L(s),ζ(s)が現れました。
これらの特殊値は全て現代数学でよく知られているものです。

ここで、A=sin(π/12)、B=sin(2π/12)、C=sin(3π/12)、D=sin(4π/12)、E=sin(5π/12)、
 L=cos(π/12)、M=cos(2π/12)、N=cos(3π/12)、P=cos(4π/12)、W=cos(5π/12)。

 ゼータが1種類も一度に現れています。これらはすべてディリクレのL関数L(χ,s)となっています。
Pにかかる級数は、L(χ,s)ではないと考えられます。

ややめずらしいLBB(s) ,LE(s) ,LF(s),LG(s),LH(s)の定義を書いておきます。
(「火星 その8」の<cos(x/2)/sin(x/2)=・・・にπ/12を代入>でも見ましたが、再度書いておきます。)

    LBB(s)=1/1^s + 1/5^s - 1/7^s - 1/11^s + 1/13^s + 1/17^s - 1/19^s - 1/23^s +・・・
    LE(s)=1/1^s + 1/5^s + 1/7^s + 1/11^s - 1/13^s - 1/17^s - 1/19^s - 1/23^s +・・・
    LF(s)=1/1^s - 1/5^s - 1/7^s + 1/11^s - 1/13^s + 1/17^s + 1/19^s - 1/23^s +・・・

    LG(3)=1/1^s + 1/5^s - 1/7^s - 1/11^s - 1/13^s - 1/17^s + 1/19^s + 1/23^s +・・・
    LH(3)=1/1^s - 1/5^s + 1/7^s - 1/11^s - 1/13^s + 1/17^s - 1/19^s + 1/23^s +・・・

(注意: + - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

上をディリクレ指標χ(a)を用いて表現すると、次のようになります。

 LBB(s)は、mod 12に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 mod 12-->χ(a)=1、
  a≡7 or 11 mod 12 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=4です。

 LE(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 or 7 or 11 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡13 or 17 or 19 or 23 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=24です。

 LF(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 11 or 17 or 19 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡5 or 7 or 13 or 23 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。このχ(a)の導手NはN=8です。

 LG(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 or 19 or 23 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡7 or 11 or 13 or 17 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となる。このχ(a)の導手NはN=24です。

 LH(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 7 or 17 or 23 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡5 or 11 or 13 or 19 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。このχ(a)の導手NはN=8です。
(この辺の導手の値に関しては「数論入門」(山本芳彦著、岩波書店)を参照しました)

 さて、予想L-4は成立しているのでしょうか?

 π/12代入よりいまk=12ですから導手N=24のχ(a)をもつ2次体Q(√-6)とQ(√6)に着目します。

 予想L-4より、Q(√-6)に付随するLE(s)奇数回の微分・積分の所に(上では3回積分の所に)出現するはずだ!
 またQ(√6)に付随するLG(s)偶数回の微分・積分のところに(よって上では2回積分の所に)出現するはずだ!と
なりますが・・
 出ているでしょうか?

 見てください。予想の通り3回積分の所にLE(s)が、また2回積分の所にLG(s)がちゃんと現れています。
(LE(s)がQ(√-6)に、LG(s)がQ(√6)に対応することは、平方剰余の相互法則と補充則を用い、それぞれ合同方程式
x^2≡-6 mod p と x^2≡6 mod p (pは素数)を計算して確認することができます。私は手計算で確めました。)

 ここでも予想が成立していることが確認できました。




2005/3/19  <-1/2=cosx + cos2x + cos3x +・・・の重回積分-重回微分にπ/14を代入>

 それでは、次にπ/14代入の場合を調べましょう。
Aの統一的法則性(重回積分-重回微分の規則)の結果に、π/14を代入した場合を調べます。
(ここは、「火星 その9」の<cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/14を代入>の
論理をそのまま利用します。)

   -1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・ -----A

 まず@を重回積分-重回微分した結果(二つ上「π/10代入」参照)に、π/14を代入した場合を記すと次のように
なります。2回積分と3回積分の場合のみ記しました(予想L-4を確認するにはこれで十分)。

[π/14代入の結果]

2回積分
  -{ L・(1/1^2 - 1/13^2 - 1/15^2 + 1/27^2 + 1/29^2 - 1/41^2 - 1/43^2 + 1/55^2 +・・・)
    + M・1/2^2・(1/1^2 - 1/6^2 - 1/8^2 + 1/13^2 + 1/15^2 - 1/20^2 - 1/22^2 + 1/27^2 +・・・)
    + N・(1/3^2 - 1/11^2 - 1/17^2 + 1/25^2 + 1/31^2 - 1/39^2 - 1/45^2 + 1/53^2 +・・・)
    + P・1/2^2・(1/2^2 - 1/5^2 - 1/9^2 + 1/12^2 + 1/16^2 - 1/19^2 - 1/23^2 + 1/26^2 +・・・)
    + Q・(1/5^2 - 1/9^2 - 1/19^2 + 1/23^2 + 1/33^2 - 1/37^2 - 1/47^2 + 1/51^2 +・・・)
    + R・1/2^2・(1/3^2 - 1/4^2 - 1/10^2 + 1/11^2 + 1/17^2 - 1/18^2 - 1/24^2 + 1/25^2 +・・・)
                    - (1-1/2)ζ(2)/14^2 } +ζ(2) =π/2・(π/14) - 1/2・(π/14)^2/2!

3回積分
   -{A・(1/1^3 + 1/13^3 - 1/15^3 - 1/27^3 + 1/29^3 + 1/41^3 - 1/43^3 - 1/55^3 +・・・)
    + B・1/2^3・(1 + 1/6^3 - 1/8^3 - 1/13^3 + 1/15^3 + 1/20^3 - 1/22^3 - 1/27^3 +・・・)
    + C・(1/3^3 + 1/11^3 - 1/17^3 - 1/25^3 + 1/31^3 + 1/39^3 - 1/45^3 - 1/53^3 +・・・)
    + D・1/2^3・(1/2^3 + 1/5^3 - 1/9^3 - 1/12^3 + 1/16^3 + 1/19^3 - 1/23^3 - 1/26^3 +・・・)
    + E・(1/5^3 + 1/9^3 - 1/19^3 - 1/23^3 + 1/33^3 + 1/37^3 - 1/47^3 - 1/51^3 +・・・)
    + F・1/2^3・(1/3^3 + 1/4^3 - 1/10^3 - 1/11^3 + 1/17^3 + 1/18^3 - 1/24^3 - 1/25^3 +・・・)
                + 1/7^3・L(3) } + ζ(2)・(π/14) =π/2・(π/14)^2/2! - 1/2・(π/14)^3/3!

 となり、表面的にはL(s)とζ(s)が現れるのみの結果となりました。

 ここで、A=sin(π/14)、B=sin(2π/14)、C=sin(3π/14)、D=sin(4π/14)、E=sin(5π/14)、F=sin(6π/14)、
 またL=cos(π/14)、M=cos(2π/14)、N=cos(3π/14)、P=cos(4π/14)、Q=cos(5π/14)、R=cos(6π/14)。

 以下は、非明示な場合(<cos(x/2)/sin(x/2)=・・にπ/14を代入>をほとんど写しているだけとなりますが、ご了承
ください。

 さて、上の結果の中に予想を支持する規則性が現れているのです。
表面的にはmod=28のL(χ,s)は現れていないのですが、じつは草むらの中から覗き込むようにしてmod=28の
(且つ導手N=28の)LI(s)とLJ(s)がひっそりと顔をのぞかせているのです。
 どのようにしてのぞかせているのか、そのカラクリを示します。
 上の[π/14代入の式]の結果の中の青字の級数に注目してください。
3回積分の三つの青字の級数はLI(s)の分身ともよべる級数であり、また2回積分の三つの青字の級数はLJ(s)の
分身(”分割ゼータ”と名付けたもの)とよべる級数であったのです。

その前にLI(s)とLJ(s)は初出ですので、定義を書きます。次の通りでいずれもディリクレのL関数L(χ,s)です。

 LI(s)=(1/1^s - 1/3^s + 1/5^s + 1/9^s - 1/11^s + 1/13^s
                       - 1/15^s + 1/17^s - 1/19^s - 1/23^s + 1/25^s - 1/27^s) +・・・・

 LJ(s)=(1/1^s + 1/3^s - 1/5^s + 1/9^s - 1/11^s - 1/13^s
                       - 1/15^s - 1/17^s + 1/19^s - 1/23^s + 1/25^s + 1/27^s) +・・・・
 (注意: + - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

上をディリクレ指標χ(a)を用いて表現すると、次のようになります。
 LI(s)は、mod 28に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 or 9 or 13 or 17 or 25 mod 28-->χ(a)=1、
  a≡3 or 11 or 15 or 19 or 23 or 27mod 28 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手はN=28です。

 LJ(s)は、mod 28に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 3 or 9 or 19 or 25 or 27 mod 28-->χ(a)=1、
  a≡5 or 11 or 13 or 15 or 17 or 23 mod 28 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。そして、このχ(a)の導手はN=28です。

 注意:LI(s)やLJ(s)という呼称は私が勝手につけたものですので、ご注意ください。

 さて、三つの青字の級数たちがLI(s)やLJ(s)の分身とよべる存在であることを示します。

[分身であることを示す]
 まず3回積分の方から示す。
係数A,C,Eにかかる級数をそれぞれA1,C1,E1と表すと、次のようになる。
  A1=1/1^3 + 1/13^3 - 1/15^3 - 1/27^3 + 1/29^3 + 1/41^3 - 1/43^3 - 1/55^3 +・・・
  C1=1/3^3 + 1/11^3 - 1/17^3 - 1/25^3 + 1/31^3 + 1/39^3 - 1/45^3 - 1/53^3 +・・・
  E1=1/5^3 + 1/9^3 - 1/19^3 - 1/23^3 + 1/33^3 + 1/37^3 - 1/47^3 - 1/51^3 +・・・

さて、A1-C1+E1を計算すると、
A1-C1+E1
=(1/1^3 - 1/3^3 + 1/5^3 + 1/9^3 - 1/11^3 + 1/13^3
                       - 1/15^3 + 1/17^3 - 1/19^3 - 1/23^3 + 1/25^3 - 1/27^3)
 + 1/29^3 - 1/31^3 + 1/33^3 + 1/37^3 - 1/39^3 + 1/41^3
                       - 1/43^3 + 1/45^3 - 1/47^3 - 1/51^3 + 1/53^3 - 1/55^3) + ・・・・

となる。ところが、よく見ると、これは上で定義したLI(s)のLI(3)と一致している!
 LI(3)=(1/1^3 - 1/3^3 + 1/5^3 + 1/9^3 - 1/11^3 + 1/13^3
                       - 1/15^3 + 1/17^3 - 1/19^3 - 1/23^3 + 1/25^3 - 1/27^3) +・・・・
ですから。

 A1とC1とE1を「A1-C1+E1」のように組み合わせれば、LI(s)の特殊値LI(3)を構成することができるのである。
これで、A1、C1、E1はLI(s)の分身とよべる存在であることがわかった。

 2回積分の方も同様にして、青字の三つの級数がLJ(s)の分身であることを示すことができるが、やり方は全く同じ
であるので、略す。
終わり。

  うまい具合になっているものですね。

 π/14代入より、k=14ですから導手N=28のχ(a)をもつ実2次体Q(√7)に着目します。
Q(√7)に対応するχ(a)をもつL(χ,s)はLJ(s)です。
これは平方剰余の相互法則を用い、x^2≡7 mod p (pは素数)という合同方程式を解くことを経由して計算で確認
することができます。(私は、手計算で確認しました)

 さて予想L-4より、Q(√7)に付随するLJ(s)偶数回の微分・積分の所に(上では2回積分の所に)出現するはずだ!
となりますが・・
 出ているでしょうか?

上の「分身であることを示す」で見たとおり2回積分の所にきちんとLJ(s)は分身の形(分割ゼータ)で出現しています。

 ここでもやはり予想L-4は成り立っていました。






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