私の予想L-4の拡張を考えます。繰り込みの値や関数等式について、考察しました。
まず予想L-4を書いておきます。
この予想は、明示的な場合のL(χ,s)特殊値のみならず、現代数学で不明とされる非明示な場合の特殊値をも
つぎつぎに出すことができる予想です。
(さらにいろいろな意味合いをふくんでいますが、略します。)
特殊値というのは、nを整数として、L(χ,n)の値を指します。
すなわち、上の予想L-4では、sが整数の場合のL(χ,s)の値が求まるのです。
これだけでも衝撃的なことなのですが、じつはもっと深いことになっているのではないか?と半年ほどまえから、
思っていました。
深いこととはなにか?
YさんとSさんに送ったメールがありますので、それで説明に替えようと思います。
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・・・・さて、一つ別の件で、もしご存知なら、教えてください。
解析学に属すると思われますが。 積分と微分に関するものなのですが、nが整数のn回積分、n回微分は普通ですが、 nが実数!!のn回積分、n回微分の概念はいまの数学にありますか? (n>=0としてください) すなわち、2.7回積分や7.135回微分などがあるか?ということです。 私のゼータの重回積分-重回微分の理論(予想L-4)から自然に出てくるものなの
ですよ。
私の理論は、n回積分すればゼータL(χ,n)の特殊値が得られるというものです。
(n回微分も同じ)nは整数。ならば、x回積分すればL(χ,x)の値が得られるだろう、
という自然なアイディアからです。xは実数!(x >= 0)
ですから、重回積分-重回微分の理論では、必然的に行き着いてしまうような自然
なものなんです。定義も自然にできます。
じつは、KONOさんという人が、私とは独立に(私より先に)先日次のサイトに http://www.geocities.jp/uchu_tako/newpage2.html その概念(超積分、超微分!)を出されていて、びっくりしたのですが、そのKONO氏も
現代数学であるのかどうかは知らないとのことです。
ご教示お願いいたします。 ********************************************************
この概念には、読者は驚かれるでしょう。
KONO氏が私とほとんど同じ概念を示しておられたことには仰天しましたが、
ただ、私は、現代数学ですでに知られている可能性もあると思っていました。
すると、Yさんが、実数回微分、実数回積分という概念をかつてどこかで見たことがあると伝えてください
ました。やはり、あったのです!
ただ、メジャーには知られていませんし、KONO氏もなんの役にたつのかわからないとサイトでいわれて
いるくらいですから、現実的な応用は見出されていないのかもしれません。
(KONO氏のサイトはまだよくは読めていませんが・・)
しかし、上の私のメールを読んでもらえば(もし着想が正しいとしたらの話ですが)、ゼータ世界で、
超積分・超微分の概念は非常に本質的な概念であるということになります。
KONO氏命名の超積分・超微分というネーミングはいいですね。
これを、今後使用させてもらうことにします。
これから、超積分・超微分が私の予想L-4に有効に働くのか?を確める実験をいろいろとするつもりですが、
私が独自に考えた超積分・超微分の定義で、私の考えですべてをすすめていくつもりでいます。
(これはKONO氏のサイトの内容を参照せずにすすめていくということであります。他人のものを理解するのは
苦手であり、また自分の流れですべてを進める方が楽なのでそうさせてもらいます)
はたして有効に働いてくれるのでしょうか?
私は、うまく働くような気がしているのですが、さて実際はどうでしょう。次に問題として書いておきます。
これがもし成立していれば夢のようなことです。しかしたとえ不成立でもそれ自体非常に興味があります。
すこし後に、実験を開始していきますが(現時点ではまだ実験をしていません)、その前に超積分・超微分
の定義を与えておく必要があります。
じつは2005/7/10に与えた定義は間違っていることが判明しましたので削除しました。
新しい定義を考え直さねばなりませんが将来与えることになるかもしれません。ただ上の構想は生きています。
早速、実験を行なおうと試みたのですが、いきなり困難(ギャップ)が出てきまして難しいようです。
よって、上の超積分・超微分の予想L-4への適応テストは、後回しの課題として残しておきます。
しかし実験の試みの途中で、面白い現象をみつけましたので、それを報告します。
実験を色々やっていると目標に到達する途中で、予期せぬ現象に遭遇することが多いのですが今回もそうでした。
冒頭の予想L-4の中心母等式@に着目してください。すなわち、次です。
(0 < x < 2π)
この右辺を次のような方法でテイラー展開したのです。
すなわち、
sinx=x - x^3/3! + x^5/5! - x^7/7! + ・・・
sin2x=2x - (2x)^3/3! + (2x)^5/5! - (2x)^7/7! + ・・・
・
・
という一連のsin(nx)のテイラー展開式をたし合わせて整理したのですが、すると次のなんとも面白い形に
なったのです。
cos(x/2)/sin(x/2)
=2{ζ(-1)・x - ζ(-3)・x^3/3!+ ζ(-5)・x^5/5! - ζ(-7)・x^7/7!+ ・・・) -----A
たいへん不思議な形です。
ζ(s)の負の奇数点での特殊値を係数にもつ、テイラー展開式となっている。
ここで一つ注意ですが@の(0 < x < 2π)という範囲は@の右辺を収束半径内で項別積分・項別微分できると
いう意味での収束半径をさしています。その原点になっているのは「ゼータ関数のいくつかの点について その11」
に出てくる次のB式が基本となっています。
πx・cosπx/sinπx=- 2{ζ(0) + ζ(2) x^2+ ζ(4)x^4 + ζ(6)x^6 + ζ(8)x^8 +・・・ }
(0 < x < 2π)
この両辺をπxで割りπx-->x/2と変数変換すれば、次のようになります。
1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
=1/x - 2{ζ(2)x/(2π)^2 + ζ(4)x^3/(2π)^4 + ζ(6)x^5/(2π)^6 + ・・・ } -----B
(0 < x < 2π)
このBの{}内のベキ級数の収束半径が2πであることから、@では(0 < x < 2π)となっているのです。つまり、
予想L−4の@はBの意味における(0 < x < 2π)という収束半径で項別積分・項別微分可能を保証するという基本
にたって成り立っているわけです。
(実数平面で考えています。近い将来、予想L−4の複素関数論での議論を展開したいと思います。)
本題に戻りましょう。
Aは、見ているだけでゼータの神秘をじんじんと感じます。
こんな事実にいままで気付かずにきたのは、うかつでしたが、@のシンプルさと既にBをやったということ
から、@の直接的なテイラー展開などおもいもよらないことでした。
ああ、この裏にはなにかあるなあと感じます。そしたら、ほんとうにありました。
なにがあったかを、以下書きます。
ζ(s)の負の奇数点での特殊値は、次のような繰り込みが成り立ちます。
ζ(-1)=1 + 2 + 3 + 4 + 5 + ・・・= -1/12
ζ(-3)=1^3 + 2^3 + 3^3 + 4^3 + 5^3 + ・・・= 1/120
ζ(-5)=1^5 + 2^5 + 3^5 + 4^5 + 5^5 + ・・・= -1/252
ζ(-7)=1^7 + 2^7 + 3^7 + 4^7 + 5^7 + ・・・= 1/240
ζ(-9)=1^9 + 2^9 + 3^9 + 4^9 + 5^9 + ・・・= -1/132
ζ(-11)=1^11 + 2^11 + 3^11 + 4^11 + 5^11 + ・・・= 691/32760
ζ(-13)=1^13 + 2^13 + 3^13 + 4^13 + 5^13 + ・・・= -1/12
ζ(-15)=1^15 + 2^15 + 3^15 + 4^15 + 5^15 + ・・・= 3617/8160
ζ(-17)=1^17 + 2^17 + 3^17 + 4^17 + 5^17 + ・・・= -43867/14364
ζ(-19)=1^19 + 2^19 + 3^19 + 4^19 + 5^19 + ・・・= 174611/6600
ζ(-21)=1^21 + 2^21 + 3^21 + 4^21 + 5^21 + ・・・= -77683/276
ζ(-23)=1^23 + 2^23 + 3^23 + 4^23 + 5^23 + ・・・= 236364091/65520
ζ(-25)=1^25 + 2^25 + 3^25 + 4^25 + 5^25 + ・・・= -657931/12
・
・
これらは、公式ζ(1-m)=(-1)^(m-1)・Bm/m から計算して出しました。
もう一度、Aを書きましょう。
cos(x/2)/sin(x/2)
=2{ζ(-1)・x - ζ(-3)・x^3/3!+ ζ(-5)・x^5/5! - ζ(-7)・x^7/7!+ ・・・) -----A
(0 < x < 2π)
両辺2で割って次のような形にしておきます。
1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
=ζ(-1)・x - ζ(-3)・x^3/3!+ ζ(-5)・x^5/5! - ζ(-7)・x^7/7!+ ・・・ -----C
(0 < x < 2π)
Aの右辺の収束半径は見当もつきませんが、とりあえず@に合わせておきました。
私は、上の一連の繰り込みの値を使った場合、この右辺がどのようなものに収束するのか?ということが非常に
気になり、次のような実験をしてみました。いろいろな値を代入したのです。
左辺の値に、右辺は収束して一致するのか?右辺は発散するのか?はたまた・・?
まず、xにπを代入してみました。
●π代入
Cのxにπを代入すると、
左辺=1/2×0/1=0
右辺=ζ(-1)・π - ζ(-3)・π^3/3!+ ζ(-5)・π^5/5! - ζ(-7)・π^7/7!+ ・・・
=-0.3183098・・・
このように、ある値にどんどん収束していくのです!(12項目は-0.318309873)
左辺は0であるのに!これはいったい何なのでしょうか?
これにはゼータの深い秘密が隠されているにちがいないと直感されます。
この-0.318309873・・が何なのか、どうしても知りたくて、試行錯誤の末に、ついにこれが-1/πであることを
突きとめました。
-1/π=-0.318309886・・
すなわち、次のようになっていたのです。
-1/π=ζ(-1)・π - ζ(-3)・π^3/3!+ ζ(-5)・π^5/5! - ζ(-7)・π^7/7!+ ・・・ -----D
まさに、ゼータの繰り込みの値が一致団結してこんな神秘をかもし出していたのです。
Dは、ベルヌ−イ数Bmを用いて表現すれば次のようになります。
1=B2・π^2/2!- B4・π^4/4!+ B6・π^6/6!- B6・π^8/8!+ ・・・ -----E
これもすごい式です。ながめているだけで感激しますが、これは公式集で既に知られているのです。
(「マグロウヒル数学公式・数表ハンドブック」(Murray R. Spiegel著、氏家勝巳訳、オーム社) p.114)
ということは、Dも間接的にわかっている式になるのかもしれません。
一つ不満なのは、DやEは右辺の結果であって、左辺の値(この場合0)との関連が何も見えないこと
です。しかし、ゼータ世界の信じがたい美と調和を見てきた私には、見逃している秩序が隠れているにちがい
ないと直感されます。
次のπ/2代入とπ/3代入で、隠れた秩序を見つけることに成功しましたので、以下見てみましょう。
じつは、これらの不思議は、まだ助走に過ぎなかったことが、次からの実験でわかります。
●π/2代入
Cのxにπ/2を代入すると、
左辺=1/2×1/1=1/2
右辺=ζ(-1)・(π/2) - ζ(-3)・(π/2) ^3/3!+ ζ(-5)・(π/2) ^5/5! - ζ(-7)・(π/2) ^7/7!+ ・・・
=-0.136619・・
とまたある値に収束していきます。
この場合は、-0.136619・・は、1/2-1/(π/2) であることを突きとめました(様々な実験の末に)。
すなわち、次のようになっていた。
1/2-1/(π/2)
=ζ(-1)・(π/2) -ζ(-3)・(π/2) ^3/3!+ζ(-5)・(π/2) ^5/5! -ζ(-7)・(π/2) ^7/7!+・・・----F
左辺との関連がやっと見えてきました。
(左辺の値)-1/(π/2)
=ζ(-1)・(π/2) -ζ(-3)・(π/2) ^3/3!+ζ(-5)・(π/2) ^5/5! -ζ(-7)・(π/2) ^7/7!+・・・
と、このようになっているはずです。
一般的に書けば、x=Aを代入すると(0 < A < 2π)、次のようになっているはずです。
予想B
Cに関して、x=Aを代入を調べると(0 < A < 2π)、次のようになっているはずである。
(左辺の値)-1/A
=ζ(-1)・A -ζ(-3)・A^3/3!+ζ(-5)・A^5/5! -ζ(-7)・A^7/7!+・・・ ----G
そして、これが正しいことを次のπ/3代入で確めました。
●π/3代入
Cのxにπ/3を代入すると、
左辺=1/2×(√3/2)/(1/2)=√3/2=0.088904254・・・
右辺=ζ(-1)・(π/3) - ζ(-3)・(π/3) ^3/3!+ ζ(-5)・(π/3) ^5/5! - ζ(-7)・(π/3) ^7/7!+ ・・・
=-0.0889042・・・
と、左辺の値に収束していきます!予想通りです。
(4項までの和で -0.088904222 であり、この場合は収束が早い)
すなわち、次のようになっていた。
√3/2-1/(π/3)
=ζ(-1)・(π/3) -ζ(-3)・(π/3) ^3/3!+ζ(-5)・(π/3) ^5/5! -ζ(-7)・(π/3) ^7/7!+・・・ ---H
予想Bは、きちんと成立していました。
予想Bは正しいとわかりました。結局、繰り込み値を使った場合、次のようになっているのです。
1/2・cos(x/2)/sin(x/2) - 1/x
=ζ(-1)・x - ζ(-3)・x^3/3!+ ζ(-5)・x^5/5! - ζ(-7)・x^7/7!+ ・・・ -----I
(0 < x < 2π)
再度、Aを書きます
cos(x/2)/sin(x/2)
=2{ζ(-1)・x - ζ(-3)・x^3/3!+ ζ(-5)・x^5/5! - ζ(-7)・x^7/7!+ ・・・) -----A
(0 < x < 2π)
これの右辺は、ζ(-1)=1 + 2 + 3 + ・・・やζ(-3)=1^3 + 2^3 + 3^3 + ・・・など、すべて発散するの係数を
もっていますが、これに、ζ(-1)=-1/12,ζ(-3)= 1/120,ζ(-5)= -1/252,・・・とゼータの繰り込み特殊値を
適用すると(複素関数論での解析接続)、AはIの姿に化けて秩序をたもっていくという話になっていたのです。
左辺に -1/x が出現してきたのでした。
なんとも、不思議なことです。
私は、「ゼータ関数のいくつかの点について」からこの「ゼータ惑星」までで、ζ(-1)=-1/12などの繰り込みの値が
複素関数論の解析接続を経由せずとも、実数範囲内で(上方のBを基本として)意味付けられるという面白い事実
を示してきました(予想L-4の力の強さをみてきたわけです)。
ただ、ここでは一応、教科書に則ってζ(-1)=-1/12,ζ(-3)= 1/120,ζ(-5)= -1/252,・・は解析接続で
意味付けできるとしておきましょう。
複素関数論の解析接続とは何でしょうか?それは関数の定義域を一挙に拡大する重要な基本概念ですが、
これがゼータの特殊値に与える影響を具体的に映像的に把握できないできました。
しかし、ここにいったって、ようやく、その意味がわかった気がします。
すなわち、「複素関数論での解析接続」が、実数範囲内の関数の動きにどのような影響を与えているがわかって
きた。それは「-1/xを空中から出現させることによって、cos(x/2)/sin(x/2)という母関数に現実的な正確な値を
与えるという役割を演じていた」ということです。
ひらけごま!ではないですが、天界(複素平面)で解析接続!という呪文を唱えた場合、地上界(実数世界)で
ある風の動きが出現していたのでした。
重要なBとIを並べます。
1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
=1/x + ζ(-1)・x - ζ(-3)・x^3/3!+ ζ(-5)・x^5/5! - ζ(-7)・x^7/7!+ ・・・ -----I
(0 < x < 2π)
1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
=1/x - 2{ζ(2)x/(2π)^2 + ζ(4)x^3/(2π)^4 + ζ(6)x^5/(2π)^6 + ・・・ } ---B
(0 < x < 2π)
IとBの右辺同士を比較してください。
そこには、オイラーが到達した美しい結果、関数等式
ζ(1-m)=π^(-m)・2^(1-m)・(m-1)!・cos(mπ/2)・ζ(m)
m=2,4,6,8,・・・
が、たち現れているのでした。
この関数等式を見ていると、
ゼータ界の天使たちが、崩れかかった地上界を立て直そうともがいている姿に見えます。
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