火星 その9

 引き続き他の具体例で、私の予想を確めますが、π/14代入の結果から予想を修正することになりました。
さらに、π/20代入の場合も確めました。


2004/6/11
 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/14を代入>

 @の統一的法則性の結果に、π/14を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合を記すと、次のようになります。
[π/14代入の式]
   ・
   ・
2回積分
  -{A・(1/1^2 + 1/13^2 - 1/15^2 - 1/27^2 + 1/29^2 + 1/41^2 - 1/43^2 - 1/55^2 +・・・)
    + B・1/2^2・(1 + 1/6^2 - 1/8^2 - 1/13^2 + 1/15^2 + 1/20^2 - 1/22^2 - 1/27^2 +・・・)
    + C・(1/3^2 + 1/11^2 - 1/17^2 - 1/25^2 + 1/31^2 + 1/39^2 - 1/45^2 - 1/53^2 +・・・)
    + D・1/2^2・(1/2^2 + 1/5^2 - 1/9^2 - 1/12^2 + 1/16^2 + 1/19^2 - 1/23^2 - 1/26^2 +・・・)
    + E・(1/5^2 + 1/9^2 - 1/19^2 - 1/23^2 + 1/33^2 + 1/37^2 - 1/47^2 - 1/51^2 +・・・)
    + F・1/2^2・(1/3^2 + 1/4^2 - 1/10^2 - 1/11^2 + 1/17^2 + 1/18^2 - 1/24^2 - 1/25^2 +・・・)}
                                    + 1/7^2・L(2) =(0〜π/14) log(2sin(x/2))

3回積分
  L・(1/1^3 - 1/13^3 - 1/15^3 + 1/27^3 + 1/29^3 - 1/41^3 - 1/43^3 + 1/55^3 +・・・)
  + M・1/2^3・(1/1^3 - 1/6^3 - 1/8^3 + 1/13^3 + 1/15^3 - 1/20^3 - 1/22^3 + 1/27^3 +・・・)
  + N・(1/3^3 - 1/11^3 - 1/17^3 + 1/25^3 + 1/31^3 - 1/39^3 - 1/45^3 + 1/53^3 +・・・)
  + P・1/2^3・(1/2^3 - 1/5^3 - 1/9^3 + 1/12^3 + 1/16^3 - 1/19^3 - 1/23^3 + 1/26^3 +・・・)
  + Q・(1/5^3 - 1/9^3 - 1/19^3 + 1/23^3 + 1/33^3 - 1/37^3 - 1/47^3 + 1/51^3 +・・・)
  + R・1/2^3・(1/3^3 - 1/4^3 - 1/10^3 + 1/11^3 + 1/17^3 - 1/18^3 - 1/24^3 + 1/25^3 +・・・)
                        - (1-1/2^2)ζ(3)/14^3 -ζ(3) =(0〜π/14)∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
 となり、表面的にはL(s)とζ(s)が現れるのみの結果となりました。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/14の定積分で、他の∫は0〜xの定積分。

 ここで、A=sin(π/14)、B=sin(2π/14)、C=sin(3π/14)、D=sin(4π/14)、E=sin(5π/14)、F=sin(6π/14)、
 またL=cos(π/14)、M=cos(2π/14)、N=cos(3π/14)、P=cos(4π/14)、Q=cos(5π/14)、R=cos(6π/14)。

 π/14代入からいまk=14ですからmod=28で且つ導手N=28のχ(a)をもつL(χ,s)が出現することがまず予想され
ましたが、結果を眺めると出現していません。これだけを見ると、予想は破綻しているといえるかもしれません。
では、この予想はこれでお終いということになるのでしょうか。

しかし、事態はそれほど単純ではなかったのです。

 じつは、上の結果の中に予想を暗示的に支持する規則性が現れているのです。
表面的にはmod=28のL(χ,s)は現れていないのですが、じつは草むらの中から覗き込むようにしてmod=28の
(且つ導手N=28の)LI(s)とLJ(s)がひっそりと顔をのぞかせているのです。
 どのようにしてのぞかせているのか、そのカラクリを示します。
 上の[π/14代入の式]の結果の中の青字の級数に注目してください。
2回積分の三つの青字の級数はLI(s)の分身ともよべる級数であり、また3回積分の三つの青字の級数はLJ(s)の
分身とよべる級数であったのです。

その前にLI(s)とLJ(s)は初出ですので、定義を書きます。次の通りでいずれもディリクレのL関数L(χ,s)です。

 LI(s)=(1/1^s - 1/3^s + 1/5^s + 1/9^s - 1/11^s + 1/13^s
                       - 1/15^s + 1/17^s - 1/19^s - 1/23^s + 1/25^s - 1/27^s) +・・・・

 LJ(s)=(1/1^s + 1/3^s - 1/5^s + 1/9^s - 1/11^s - 1/13^s
                       - 1/15^s - 1/17^s + 1/19^s - 1/23^s + 1/25^s + 1/27^s) +・・・・
 (注意: + - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

上をディリクレ指標χ(a)を用いて表現すると、次のようになります。
 LI(s)は、mod 28に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 or 9 or 13 or 17 or 25 mod 28-->χ(a)=1、
  a≡3 or 11 or 15 or 19 or 23 or 27mod 28 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手はN=28です。

 LJ(s)は、mod 28に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 3 or 9 or 19 or 25 or 27 mod 28-->χ(a)=1、
  a≡5 or 11 or 13 or 15 or 17 or 23 mod 28 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。そして、このχ(a)の導手はN=28です。

 注意:LI(s)やLJ(s)という呼称は私が勝手につけたものですので、ご注意ください。

 さて、三つの青字の級数たちがLI(s)やLJ(s)の分身とよべる存在であることを示します。

[分身であることを示す]
 まず2回積分の方から示す。
係数A,C,Eにかかる級数をそれぞれA1,C1,E1と表すと、次のようになる。
  A1=1/1^2 + 1/13^2 - 1/15^2 - 1/27^2 + 1/29^2 + 1/41^2 - 1/43^2 - 1/55^2 +・・・
  C1=1/3^2 + 1/11^2 - 1/17^2 - 1/25^2 + 1/31^2 + 1/39^2 - 1/45^2 - 1/53^2 +・・・
  E1=1/5^2 + 1/9^2 - 1/19^2 - 1/23^2 + 1/33^2 + 1/37^2 - 1/47^2 - 1/51^2 +・・・

さて、A1-C1+E1を計算すると、
A1-C1+E1
=(1/1^2 - 1/3^2 + 1/5^2 + 1/9^2 - 1/11^2 + 1/13^2
                       - 1/15^2 + 1/17^2 - 1/19^2 - 1/23^2 + 1/25^2 - 1/27^2)
 + 1/29^2 - 1/31^2 + 1/33^2 + 1/37^2 - 1/39^2 + 1/41^2
                       - 1/43^2 + 1/45^2 - 1/47^2 - 1/51^2 + 1/53^2 - 1/55^2) + ・・・・

となる。ところが、よく見ると、これは上で定義したLI(s)のLI(2)と一致している!
 LI(2)=(1/1^2 - 1/3^2 + 1/5^2 + 1/9^2 - 1/11^2 + 1/13^2
                       - 1/15^2 + 1/17^2 - 1/19^2 - 1/23^2 + 1/25^2 - 1/27^2) +・・・・
ですから。

 A1とC1とE1を「A1-C1+E1」のように組み合わせれば、LI(s)の特殊値LI(2)を構成することができるのである。
これで、A1、C1、E1はLI(s)の分身とよべる存在であることがわかった。

 3回積分の方も同様にして、青字の三つの級数がLJ(s)の分身であることを示すことができるが、やり方は全く同じ
であるので、略す。
終わり。

  うまい具合になっているものですね。

 さて、予想からmod 28のL(χ,s)の出現だけでは(分身を経由しての出現!)、まだ予想を確めたことには
なっていません。
導手N=28の実2次体Q(√7)に対応するL(χ,s)が出現することを確認しなければならないからです。

はたしてLI(s)かLJ(s)のどちらかがQ(√7)に対応するL(χ,s)となっているでしょうか?
(それがいえてはじめて予想が成り立っているといえる)
じつは、LJ(s)が、Q(√7)に対応するχ(a)をもつL(χ,s)となっているのです。

 これは、平方剰余の相互法則を用い、x^2≡a mod 7という方程式を解くことを経由して計算で確認することができ
ます。(私は、手計算で上のことを確認しました。)
 平方剰余の相互法則は、数論における不思議な法則ですが、「解決!フェルマーの最終定理」(加藤和也著、
日本評論社)にはわかりやすく解説されています。

 「その8」まではすべてL(χ,s)が露に出る形で予想の成立を見てきましたが、ここにきて、こんな間接的な形で
成立を見ることになるとは予想外のことでした。

 それにしても、こんな事実をみていると、裏側に厳然と秩序だったなにかが存在していることを感じます。
 こういうふうに間接的な形ではありますが、ここでも予想が成り立っていることが見れたのです。

 ただし、当然上のことから、予想を修正する必要が出ました。
表面的にはL(χ,s)本体は姿を現さなくとも、分身の姿で現れ本体は草陰に潜んでいる状態までも考慮するように書き
直す必要があります。
 L(χ,s)は”分身の術”を使う忍者であった、といえるでしょう。

 予想は、次のように修正されました。
私は、本サイトで様々な予想をたてていますので、L(χ,s)に関する予想であることから次を「予想L-1」と名付けて
おきます。

[私の予想L-1]
  mが4n+2 または 4n+3の整数のとき、k=2|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=2k (つまりN=4|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)か、あるいはその分身(複数)が、必ず出現する。

 ここで分身(複数)とは、それらを適当に足したり引いたりするだけで上の条件を満たすL(χ,s)を構成できる級数を指す。
なおk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ k, qは互いに素。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@



 さて、π/14代入の場合が新たにわかったわけですから、さらに表Bを埋めておきましょう。
ただ、よりわかりやすいように、L(χ,s)本体が露に出現した場合を◎で、分身を経由して出現する場合を○で表現する
欄も一行加えました。◎でも○でも予想が成り立っていることを意味します。

表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
LE(s)
LG(s)
LC(s)
LD(s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s) LE(s)
LG(s)
LI(s)
LJ(s)
本体->◎
分身->○
代入した
qπ/k
π/12 π/10 π/4

3π/4

5π/4
π/2

3π/2
π/4

3π/4

5π/4
π/6 π/12 π/14


注意:青字は、各々の2次体に対応するL(χ,s)を指す。




2004/6/21 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/20を代入>


 @の統一的法則性の結果(重回積分-重回微分の結果)に、π/20を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合を記すと、次のようになります。
[π/20代入の式]
   ・
   ・
2回積分
  -{A・(1/1^2 + 1/19^2 - 1/21^2 - 1/39^2 + 1/41^2 + 1/59^2 - 1/61^2 - 1/79^2 +・・・)
    + B・1/2^2・(1 + 1/9^2 - 1/11^2 - 1/19^2 + 1/21^2 + 1/29^2 - 1/31^2 - 1/39^2 +・・・)
    + C・(1/3^2 + 1/17^2 - 1/23^2 - 1/37^2 + 1/43^2 + 1/57^2 - 1/63^2 - 1/77^2 +・・・)
    + D・1/4^2・(1/1^2 + 1/4^2 - 1/6^2 - 1/9^2 + 1/11^2 + 1/14^2 - 1/16^2 - 1/19^2 +・・・)
    + E・1/5^2・(1/1^2 + 1/3^2 - 1/5^2 - 1/7^2 + 1/9^2 + 1/11^2 - 1/13^2 - 1/15^2 +・・・)
    + F・1/2^2・(1/3^2 + 1/7^2 - 1/13^2 - 1/17^2 + 1/23^2 + 1/27^2 - 1/33^2 - 1/37^2 +・・・)
    + G・(1/7^2 + 1/13^2 - 1/27^2 - 1/33^2 + 1/47^2 + 1/53^2 - 1/67^2 - 1/73^2 +・・・)
    + H・1/4^2・(1/2^2 + 1/3^2 - 1/7^2 - 1/8^2 + 1/12^2 + 1/13^2 - 1/17^2 - 1/18^2 +・・・)
    + I・(1/9^2 + 1/11^2 - 1/29^2 - 1/31^2 + 1/49^2 + 1/51^2 - 1/69^2 - 1/71^2 +・・・
                                    + 1/10^2・L(2) }=(0〜π/20) log(2sin(x/2))

3回積分
   L・(1/1^3 - 1/19^3 - 1/21^3 + 1/39^3 + 1/41^3 - 1/59^3 - 1/61^3 + 1/79^3 +・・・)
   + M・1/2^3・(1/1^3 - 1/9^3 - 1/11^3 + 1/19^3 + 1/21^3 - 1/29^3 - 1/31^3 + 1/39^3 +・・・)
    + N・(1/3^3 - 1/17^3 - 1/23^3 + 1/37^3 + 1/43^3 - 1/57^3 - 1/63^3 + 1/77^3 +・・・)
   + P・1/4^3・(1/1^3 - 1/4^3 - 1/6^3 + 1/9^3 + 1/11^3 - 1/14^3 - 1/16^3 + 1/19^3 +・・・)
   + Q・1/5^3(1/1^3 - 1/3^3 - 1/5^3 + 1/7^3 + 1/9^3 - 1/11^3 - 1/13^3 + 1/15^3 +・・・)
   + R・1/2^3・(1/3^3 - 1/7^3 - 1/13^3 + 1/17^3 + 1/23^3 - 1/27^3 - 1/33^3 + 1/37^3 +・・・)
   + S・(1/7^3 - 1/13^3 - 1/27^3 + 1/33^3 + 1/47^3 - 1/53^3 - 1/67^3 + 1/73^3 +・・・)
   + T・1/4^3・(1/2^3 - 1/3^3 - 1/7^3 + 1/8^3 + 1/12^3 - 1/13^3 - 1/17^3 + 1/18^3 +・・・)
   + U・(1/9^3 - 1/11^3 - 1/29^3 + 1/31^3 + 1/49^3 - 1/51^3 - 1/69^3 + 1/71^3 +・・・)
                        - (1-1/2^2)ζ(3)/20^3 -ζ(3) =(0〜π/20)∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
 と、このようになりました。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/20の定積分で、他の∫は0〜xの定積分。

 ここで、A=sin(π/20)、B=sin(2π/20)、C=sin(3π/20)、D=sin(4π/20)、E=sin(5π/20)、F=sin(6π/20)、
    G=sin(7π/20)、H=sin(8π/20)、I=sin(9π/20)、
 またL=cos(π/20)、M=cos(2π/20)、N=cos(3π/20)、P=cos(4π/20)、Q=cos(5π/20)、R=cos(6π/20)、
    S=cos(7π/20)、T=cos(8π/20)、U=cos(9π/20)。

 注意:上の青字以外の級数は、L(χ,s)には直接関係しない級数のように思われます(興味がないため、まだよく調べていませんが)。

 表面的にはL(s)とζ(s)が現れているだけですが、はたして冒頭のπ/14の場合のように、上の青字の級数たちを
組み合わせることで、上の修正した予想は成立しているのでしょうか?
 結論からいうと、成立しているのです!

 忍者ゼータは、草むらの陰できっちりと分身の術を使い、ここでもりっぱに仕事を果たしてくれていたのです。

 π/20代入からいまk=20ですからmod=40で且つ導手N=40のχ(a)をもつL(χ,s)が出現することがまず予想され
ますが、その通り、分身の形となってまずmod=40のLK1(s)、LK2(s)、LK3(s)、LK4(s)がひっそりと顔をのぞかせている
のです。

 その辺の事情を詳しく説明します(流れは、冒頭のπ/14代入の場合と同じようなことですが)。
 上の[π/20代入の式]の結果の中の青字の級数に注目してください。
2回積分の四つの青字の級数はLK1(s)、LK2(s)の分身ともよべる級数であり、また3回積分の四つの青字の級数は
LK3(s)、LK4(s)の分身とよべる級数であったのです。

 その前に、LK1(s)、LK2(s)、LK3(s)、LK4(s)は初出ですので、定義を書きます。
定義は次の通りで、いずれもディリクレのL関数L(χ,s)です。

 LK1(s)=(1/1^s - 1/3^s + 1/7^s + 1/9^s + 1/11^s + 1/13^s - 1/17^s + 1/19^s
           - 1/21^s + 1/23^s - 1/27^s - 1/29^s - 1/31^s - 1/33^s + 1/37^s - 1/39^s ) +・・・・

 LK2(s)=(1/1^s + 1/3^s - 1/7^s + 1/9^s + 1/11^s - 1/13^s + 1/17^s + 1/19^s
           - 1/21^s - 1/23^s + 1/27^s - 1/29^s - 1/31^s + 1/33^s - 1/37^s - 1/39^s ) +・・・・

 LK3(s)=(1/1^s - 1/3^s + 1/7^s + 1/9^s - 1/11^s - 1/13^s + 1/17^s - 1/19^s
           - 1/21^s + 1/23^s - 1/27^s - 1/29^s + 1/31^s + 1/33^s - 1/37^s - 1/39^s ) +・・・・

 LK4(s)=(1/1^s + 1/3^s - 1/7^s + 1/9^s - 1/11^s + 1/13^s - 1/17^s - 1/19^s
           - 1/21^s - 1/23^s + 1/27^s - 1/29^s + 1/31^s - 1/33^s + 1/37^s + 1/39^s ) +・・・・

 (注意: + - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

上をディリクレ指標χ(a)を用いて表現すると、次のようになります。
 LK1(s)は、mod 40に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 7 or 9 or 11 or 13 or 19 or 23 or 37 mod 40 -->χ(a)=1、
  a≡3 or 17 or 21 or 27 or 29 or 31 or 33 or 39 mod 40 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=40です。

 LK2(s)は、mod 40に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 3 or 9 or 11 or 17 or 19 or 27 or 33 mod 40 -->χ(a)=1、
  a≡7 or 13 or 21 or 23 or 29 or 31 or 37 or 39 mod 40 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=40です。

 LK3(s)は、mod 40に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 7 or 9 or 17 or 23 or 31 or 33 or 39 mod 40 -->χ(a)=1、
  a≡3 or 11 or 13 or 19 or 21 or 27 or 29 or 37 mod 40 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=40です。

 LK4(s)は、mod 40に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 3 or 9 or 13 or 27 or 31 or 37 or 39 mod 40 -->χ(a)=1、
  a≡7 or 11 or 17 or 19 or 21 or 23 or 29 or 33 mod 40 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=40です。

注意:LK1(s)、LK2(s)、LK3(s)、LK4(s)という呼称は私が勝手につけたものですので、ご注意ください。また、記号の
節約から、記号のつけ方もこれまでと少し変えています。

 さて、2回積分や3回積分に現れた四つの級数たち(青字のもの)がLK1(s)、LK2(s)、LK3(s)、LK4(s)の
分身とよべる存在であることを示します。

[分身であることを示す]
 まず2回積分の方から示す。
係数A,C,G,I にかかる級数をそれぞれA1,C1,G1,I1と表すと、次のようになる。
  A1=1/1^2 + 1/19^2 - 1/21^2 - 1/39^2 + 1/41^2 + 1/59^2 - 1/61^2 - 1/79^2 +・・・
  C1=1/3^2 + 1/17^2 - 1/23^2 - 1/37^2 + 1/43^2 + 1/57^2 - 1/63^2 - 1/77^2 +・・・
  G1=1/7^2 + 1/13^2 - 1/27^2 - 1/33^2 + 1/47^2 + 1/53^2 - 1/67^2 - 1/73^2 +・・・
  I1=1/9^2 + 1/11^2 - 1/29^2 - 1/31^2 + 1/49^2 + 1/51^2 - 1/69^2 - 1/71^2 +・・・

さて、A1-C1+G1+I1 を計算すると、
A1-C1+G1+I1
(1/1^2 - 1/3^2 + 1/7^2 + 1/9^2 + 1/11^2 + 1/13^2 - 1/17^2 + 1/19^2
           - 1/21^2 + 1/23^2 - 1/27^2 - 1/29^2 - 1/31^2 - 1/33^2 + 1/37^2 - 1/39^2 )
 + (1/41^2 - 1/43^2 + 1/47^2 + 1/49^2 + 1/51^2 + 1/53^2 - 1/57^2 + 1/59^2
           - 1/61^2 + 1/63^2 - 1/67^2 - 1/69^2 - 1/71^2 - 1/73^2 + 1/77^2 - 1/79^2 ) +・・・・

となる。ところが、よく見ると、これは上で定義したLK1(s)の特殊値LK1(2)と一致している!

 このようにA1とC1とG1とI1を、「A1-C1+G1+I1」と組み合わせれば、LK1(s)のLK1(2)を構成することができる。
これで、A1、C1、G1,I1はLK1(s)の分身とよべる存在であることがわかった。

 さらに、次にA1+C1-G1+I1 を計算すると、
これは、
A1+C1-G1+I1
(1/1^2 + 1/3^2 - 1/7^2 + 1/9^2 + 1/11^2 - 1/13^2 + 1/17^2 + 1/19^2
           - 1/21^2 - 1/23^2 + 1/27^2 - 1/29^2 - 1/31^2 + 1/33^2 - 1/37^2 - 1/39^2 )
 + (1/41^2 + 1/43^2 - 1/47^2 + 1/49^2 + 1/51^2 - 1/53^2 + 1/57^2 + 1/59^2
           - 1/61^2 - 1/63^2 + 1/67^2 - 1/69^2 - 1/71^2 + 1/73^2 - 1/77^2 - 1/79^2 ) +・・・・

となる。今度は、これは、なんと上で定義したLK2(s)のLK2(2)と一致しているのである!
これで、A1、C1、G1,I1はLK2(s)の分身であることがわかった。

3回積分の方も、同様にして、3回積分のL,N,S,Uの各係数にかかる級数が、LK3(s)やLK4(s)の分身であること
が示せますが、やり方は同じですので略す。

 以上より、2回積分、3回積分にそれぞれ現れた四つの級数たちはLK1(s)、LK2(s)、LK3(s)、LK4(s)の分身であることが
わかった。
終わり。

 さて導手N=40のχ(a)に対応するL(χ,s)の出現だけでは(分身を経由しての出現!)、まだ予想を確めた
ことにはなっていません。
導手N=40の実2次体Q(√10)と虚2次体Q(√-10)に対応するL(χ,s)が出現することを確認しなければならないから
です。
 はたしてLK1(s)、LK2(s)、LK3(s)、LK4(s)のどれかがQ(√10)やQ(√-10)に対応するL(χ,s)となっているでしょうか?
(それがいえてはじめて予想が成り立っているといえる)

 じつは、Lk4(s)が実2次体Q(√10)に対応するL(χ,s)であり、Lk1(s)が虚2次体Q(√-10)に対応する
L(χ,s)となっているのです。

 これは平方剰余の相互法則と補充則を用い、x^2≡a mod 10 や x^2≡a mod -10という方程式を解くことを経由し
て計算で確認することができます(私は、手計算で上のことを確認しました。)

以上より、ここでも、予想(本ページ上で修正されたもの)は成り立っているといえるのです。
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 ここまで延々と予想を確認してきたわけですが、新たにわかってきたことがあります。
本ページのπ/14代入,π/20代入で徐々にわかってきたことですが、qπ/kの分母のkが14より大きな数の場合
は、私の予想はすべて分身の形で成り立っているであろう、ということです。
 ひたすら具体的な手計算をやっていると感触でわかるのですが、これは確実にそうだろうと思います。
(じつはπ/12代入の場合にすでにその徴候は見えはじめていたのですが・・)
これは、予想をはじめて提示した「その8」では夢にも思わなかった事態ですが、ちょっと憎らしい性格をもつゼータ
の一面がにじみ出ている現象のようにも見えます。

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 さて、π/20代入の場合がまた新たにわかったわけですから、さらに表Bを埋めておきましょう。
L(χ,s)本体が露に出現する場合を◎で、分身を経由して出現する場合を○で表現しています。
◎、○どちらでも予想が成り立っていることを意味します。(予想が破綻した場合は×を挿入するつもりです。)

表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
LE(s)
LG(s)
LC(s)
LD(s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s) LE(s)
LG(s)
LI(s)
LJ(s)
Lk1(s)
Lk2(s)
Lk3(s)
Lk4(s)
本体->◎
分身->○
代入した
qπ/k
π/20 π/12 π/10 π/4

3π/4

5π/4
π/2

3π/2
π/4

3π/4

5π/4
π/6 π/12 π/14 π/20


注意:青字は、各々の2次体に対応するL(χ,s)を示す。





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