火星 その8

 他の多くの具体例でもって、私の予想を確めていきます。
さらにπ/10、π/12、π/4そして、π/11、π/13を代入した場合を調べました。


2004/6/4 (2004/6/8改)
                <予想と、これまでの具体例>

まず、「その7」までのことを簡単にまとめます。下の表Bの結果から次の予想を得たのでした。

[私の予想]
  mが4n+2 または 4n+3の整数のとき、k=2|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=2k (つまりN=4|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)が必ず出現する。
  ここでk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ k, q は互いに素。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@



表A
Q(√m)

m=4n+1

・・・ -23 -19 -15 -11 -7 -3 5 13 17 21 29 33 ・・・
導手N ・・・ 23 19 15 11 7 3 5 13 17 21 29 33 ・・・
L(χ,s)
× LA(s) ×
qπ/k
π/7 π/3
2π/3
π/5

注意:この表Aはじつは間違いであることが、「天王星 その1」で明らかになりました。「天王星 その1以降の表Aが
正しいものです。

表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s)
代入した
qπ/k
3π/4

5π/4
π/2

3π/2
3π/4

5π/4
π/6



 「その7」で、表Bの結果から上の予想を得たのでした。
(表Aの方はさらに具体例を蓄積すれば予想らしきものが出てくるでしょう)

 この予想は、一言で言えば「mが4n+2 または 4n+3」型の2次体Q(√m)のmと、重回積分-重回微分の結果への
qπ/k代入のkとは、N=2k という式で繋がっている!と主張するものです。

 この左辺の導手Nは2次体という代数の世界に属します。一方は「いくつかの点」シリーズ以来やってきたフーリエ
展開式の微積分に関わる解析の世界に関するものです。
 異なる二つの世界を結びつけているのが上式といえるでしょう。

 そして、表の中の空欄のところは、まだ確めていない箇所であり、本当にさらに多くの具体例でも予想が成立して
いるか確めていく必要があります。

 以下では、さらにπ/10、π/12を代入した場合を見てみます。
はたして、予想は成立しているでしょうか?結論からいえば成立しているのですが、実際に確めましょう。

 もはやどんな種類のL(χ,s)が出るかだけに興味の焦点は絞られてきていますので、「その6」の末尾でやったように
以下では、2回積分、3回積分の場合のみを見ます。




2004/6/4 (2004/6/8改)
 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/10を代入>

 次に、@の統一的法則性(重回積分-重回微分の規則)の結果に、π/10を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合を記すと、次のようになります。

[π/10代入の式]
   ・
   ・
2回積分
  -{A・{LC(2) + LD(2)}/2
    + B・(1/2^2 + 1/8^2 - 1/12^2 - 1/18^2 + 1/22^2 + 1/28^2 - 1/32^2 - 1/38^2 +・・・)
    + C・{LC(2) - LD(2)}/2
    + D・(1/4^2 + 1/6^2 - 1/14^2 - 1/16^2 + 1/24^2 + 1/26^2 - 1/34^2 - 1/36^2 +・・・)
                                                  + 1/5^2・L(2)}
                                                  =(0〜π/10) log(2sin(x/2))

3回積分
  L・(1 - 1/9^3 - 1/11^3 + 1/19^3 + 1/21^3 - 1/29^3 - 1/31^3 + 1/39^3 +・・・)
  + M・(1/2^3 - 1/8^3 - 1/12^3 + 1/18^3 + 1/22^3 - 1/28^3 - 1/32^3 + 1/38^3 +・・・)
  + N・(1/3^3 - 1/7^3 - 1/13^3 + 1/17^3 + 1/23^3 - 1/27^3 - 1/33^3 + 1/37^3 +・・・)
  + P・(1/4^3 - 1/6^3 - 1/14^3 + 1/16^3 + 1/24^3 - 1/26^3 - 1/34^3 + 1/36^3 +・・・)
                                        - (1-1/2^2)ζ(3)/10^3 -ζ(3)
                                                 =(0〜π/10)∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
 と、LC(s)とLD(s)とL(s)とζ(s)が現れました。
 上に出たこれらの特殊値は全て現代数学でさっぱりわからないとされているものです。

ここで、A=sin(π/10)、B=sin(2π/10)、C=sin(3π/10)、D=sin(4π/10)、
 L=cos(π/10)、M=cos(2π/10)、N=cos(3π/10)、P=cos(4π/10)。

上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/10の定積分で、他の∫は0〜xの定積分。

 LC(s)とLD(s)と初出です。これらもディリクレのL関数L(χ,s)であり、次のものです。

    LC(s)=1/1^s + 1/3^s + 1/7^s + 1/9^s - 1/11^s - 1/13^s - 1/17^s - 1/19^s +・・・
    LD(s)=1/1^s - 1/3^s - 1/7^s + 1/9^s - 1/11^s + 1/13^s + 1/17^s - 1/19^s +・・・
(注意: + - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

 復習ですが、ディリクレのL関数L(χ,s)とは次のように定義されるもので、ディリクレ指標χ(a)に対して特徴づけ
られる保型形式のゼータ関数です。
 L(χ,s)=χ(1)/1^s + χ(2)/2^s + χ(3)/3^s + χ(4)/4^s + χ(5)/5^s + χ(6)/6^s + ・・・・

 LC(s)は、mod 20に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 3 or 7 or 9 mod 20-->χ(a)=1、
  a≡11 or 13 or 17 or 19 mod 20 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=20です。

 LD(s)は、mod 20に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 9 or 13 or 17 mod 20-->χ(a)=1、
  a≡3 or 7 or 11 or 19 mod 20 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。このχ(a)の導手NはN=4です。

 なおB,D,L,M,N,Pにかかる級数は、L(χ,s)ではないと考えられます。

 さて、予想は成立しているのでしょうか?

 ここではqπ/kとしてπ/10を代入したわけですから、k=10であり、予想からmod 20で且つ導手N=20のχ(a)を
もつL(χ,s)の出現が予想されていましたが、上の通り出現しています。
しかし、問題は、この中に予想を成立させているものがあるのかどうかということですが、じつはあるのです。

 いまN=20の場合を考察していますが、N=20の導手をもつ2次体はQ(√-5)であることがわかっています。
そしてLC(s)が虚2次体Q(√-5)に対応するL(χ,s)であることが現代数学で知られているのです。
例えば、「解決!フェルマーの最終定理」(加藤和也著、日本評論社)のp.73参照。
これは、平方剰余の相互法則と補充則で手計算して確認することもできます。

 やはり予想は成立していました。




2004/6/4 (2004/6/8改)
 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/12を代入>

 次に、@の統一的法則性の結果に、π/12を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合を記すと、次のようになります。

[π/12代入の式]
   ・
   ・
2回積分
    -{A・{LE(2) + LF(2)}/2 + B・1/2^2・LBB(2) + C・1/3^2・L2(2)
        + D・1/4^2・(1+1/2)LA(2) + E・{LE(2) - LF(2)}/2 + 1/6^2・L(2)}
                                       =(0〜π/12) log(2sin(x/2))

3回積分
    L・{LG(3) + LH(3)}/2 + M・1/2^3・LB(3) + N・1/3^3・L1(3)
      + P・1/4^3・(1 - 1/2^3 - 1/4^3 + 1/5^3 + 1/7^3 - 1/8^3 - 1/10^3 + 1/11^3 +・・・)
      + W・{LG(3) - LH(3)}/2 - (1-1/2^2)ζ(3)/12^3 -ζ(3)
                                       =(0〜π/12)∫log(2sin(x/2))
   ・
   ・
 と、LE(s) ,LF(s),LG(s),LH(s),LA(s),LBB(s),LB(s),L1(s),L2(s),L(s),ζ(s)が現れました。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/12の定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分。

 出現したこれら様々なゼータ関数の特殊値は、すべて現代数学でさっぱりわからないとされているものです。
それらが@に重回積分-重回微分を作用させると雨アラレとふってくる・・。味わい深い世界にみえます。

ここで、A=sin(π/12)、B=sin(2π/12)、C=sin(3π/12)、D=sin(4π/12)、E=sin(5π/12)、
 L=cos(π/12)、M=cos(2π/12)、N=cos(3π/12)、P=cos(4π/12)、W=cos(5π/12)。

 なんと11種類も一度に現れました!これらはすべてディリクレのL関数L(χ,s)となっています。
Pにかかる級数は、L(χ,s)ではないと考えられます。

初出のものは、LBB(s) ,LE(s) ,LF(s),LG(s),LH(s)ですので、これらの定義を書いておきます。
    LBB(s)=1/1^s + 1/5^s - 1/7^s - 1/11^s + 1/13^s + 1/17^s - 1/19^s - 1/23^s +・・・
    LE(s)=1/1^s + 1/5^s + 1/7^s + 1/11^s - 1/13^s - 1/17^s - 1/19^s - 1/23^s +・・・
    LF(s)=1/1^s - 1/5^s - 1/7^s + 1/11^s - 1/13^s + 1/17^s + 1/19^s - 1/23^s +・・・

    LG(3)=1/1^s + 1/5^s - 1/7^s - 1/11^s - 1/13^s - 1/17^s + 1/19^s + 1/23^s +・・・
    LH(3)=1/1^s - 1/5^s + 1/7^s - 1/11^s - 1/13^s + 1/17^s - 1/19^s + 1/23^s +・・・

(注意: + - はこの単位で延々とくり返されていきます。)

上をディリクレ指標χ(a)を用いて表現すると、次のようになります。

 LBB(s)は、mod 12に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 mod 12-->χ(a)=1、
  a≡7 or 11 mod 12 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=4です。

 LE(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 or 7 or 11 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡13 or 17 or 19 or 23 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手NはN=24です。

 LF(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 11 or 17 or 19 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡5 or 7 or 13 or 23 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。このχ(a)の導手NはN=8です。

 LG(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 5 or 19 or 23 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡7 or 11 or 13 or 17 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となる。このχ(a)の導手NはN=24です。

 LH(s)は、mod 24に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 7 or 17 or 23 mod 24-->χ(a)=1、
  a≡5 or 11 or 13 or 19 mod 24 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)です。このχ(a)の導手NはN=8です。
(この辺の導手Nに関しては「数論入門」(山本芳彦著、岩波書店)を参照しました)

 さて、LE(s)とLG(s)という導手N=24のディリクレ指標χ(a)をもつL(χ,s)が出ましたが、予想は成立しているので
しょうか?

 ここではqπ/kとしてπ/12を代入したわけですから、k=12であり、予想から導手N=24のχ(a)をもつL(χ,s)の
出現が予想されていましたが、上の通り出現しています。
しかし、問題は、これら二つが、きっちりと予想を成立させているかどうかですが・・。
じつは成立しているのです。

 いまN=24の場合を考察していますが、N=24の導手をもつ2次体はQ(√-6)とQ(√6)の二つあることが知られて
います。そしてLE(s)が虚2次体Q(√-6)に対応するL(χ,s)になっており、LG(s)が実2次体Q(√6)に対応するL(χ,s)
になっているのです。(これは、平方剰余の相互法則と補充則で計算して示すことができます) 
予想の主張する通りとなっているわけです。

 ここでも予想が成立していることが確認できました。




2004/6/10  <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/4を代入>

 この「火星」では3π/4、5π/4代入は調べましたが、π/4代入の場合をまだ載せていませんでした。

ただ、@でのπ/4代入が、「金星」の「その4」のπ/8代入と本質的に同値ですから、もはやどんな種類のL(χ,s)が
出てくるかだけに興味が移ったいまとなっては載せる意味がないともいえます。
なぜなら、「金星」の「その4」で、L1(s)とL2(s)が出ることが既にわかっていることから、@のπ/4代入でもそれらが
出ることは決まっているからです。

 それでも、3π/4、5π/4代入をやっているのですから、ここでも@のπ/4代入を調べてみましょう。
@の重回積分-重回微分の結果に、π/4を代入した場合を見ます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合のみを記すと、次のようになります。
[π/4代入の式]
  ・
  ・
2回積分
  -√2/2・L2(2) - L(2)/2^2=∫(0〜π/4) log(2sin(x/2))

3回積分
  √2/2・L1(3) - 1/4^3・(1-1/2^2)ζ(3) - ζ(3) =∫(0〜π/4)∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
 と、ζ(2n+1)とL1(2n+1)とL2(2n)とL(2n)が現れました。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/4の定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分。

上の結果は、「金星」の「その4」と本質的に同値ですが、表面的にはこちらの方がすっきりした表現になっています。

 この場合も、予想は成立しています。
 なぜなら、π/4代入をしたのですからk=4であり、よってN=8の導手をもつ2次体に対応するL(χ,s)が出現する
はず!となりますが、まさにその通り、L1(s)とL2(s)が出ているからです。
導手が8の2次体には虚2次体Q(√-2)と実2次体Q(√2)があります。
Q(√-2)にはL2(s)が、またQ(√2)にはL1(s)が対応するL(χ,s)であることが現代数学で知られているのです。
やはり、予想は成立している。

 復習しますと、L1(s)は、mod 8に対応したディリクレ指標χ(a)をもち、
「a≡1 or 7 mod 8-->χ(a)=1、 a≡3 or 5 mod 8 -->χ(a)=-1、 それ以外のaではχ(a)=0」というχ(a)に対応し
たL(χ,s)となります。このχ(a)の導手NはN=8です。

 L2(s)は、mod 8に対応したχ(a)をもちますが、今度は
「a≡1 or 3 mod 8-->χ(a)=1、 a≡5 or 7 mod 8 -->χ(a)=-1、 それ以外のaではχ(a)=0」というχ(a)に対応
したものとなっています。そして、このχ(a)の導手NはN=8です。

 ディリクレのL関数L(χ,s)とは次のように定義されるものであって、ディリクレ指標χ(a)に対して特徴づけられる
保型形式のゼータ関数です。
 L(χ,s)=χ(1)/1^s + χ(2)/2^s + χ(3)/3^s + χ(4)/4^s + χ(5)/5^s + χ(6)/6^s + ・・・・

 L2(2n)やL1(2n+1)は値が明示的に値が求まらない場合の特殊値であり、現代数学でも不明とされているものです。
 統一的法則性で出てくるゼータ関数の特殊値は、不思議にも、現代数学でさっぱりわからないとされるものばかり
なのです。

 さて、π/12、π/10代入とここでのπ/4代入の結果が新たに加わったので、表Bをさらに埋めておきましょう。
(N=20、N=24、N=8の箇所です。)

表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
LE(s)
LG(s)
LC(s)
LD(s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s) LE(s)
LG(s)
代入した
qπ/k
π/12 π/10 π/4

3π/4

5π/4
π/2

3π/2
π/4

3π/4

5π/4
π/6 π/12





2004/6/10 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/11を代入>

 まだよくわからない表Aの場合も、調べましょう。
 「その7」の末尾で述べたように、表A側ではk=|m|を調べるという方針ですから、「mが4n+1」型2次体のmをqπ/k代入
のk=|m|として調べていきます。
(「mが4n+1」型2次体の導手NはN=|m|ですから、この導手に対応するL(χ,s)が出現するか?を調べるわけ
です。)
 ここではm=4n+1のnが”-3”の場合、すなわちm=-11の場合を調べます。よって、k=11であり、qは適当にq=1と
おきます。

 では、@の統一的法則性(重回積分-重回微分の規則)の結果に、π/11を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合を記すと、次のようになります。

[π/11代入の式]
   ・
   ・
2回積分
  -{A・(1/1^2 + 1/10^2 - 1/12^2 - 1/21^2 + 1/23^2 + 1/32^2 - 1/34^2 - 1/43^2 +・・・)
    + B・(1/2^2 + 1/9^2 - 1/13^2 - 1/20^2 + 1/24^2 + 1/31^2 - 1/35^2 - 1/42^2 +・・・)
    + C・(1/3^2 + 1/8^2 - 1/14^2 - 1/19^2 + 1/25^2 + 1/30^2 - 1/36^2 - 1/41^2 +・・・)
    + D・(1/4^2 + 1/7^2 - 1/15^2 - 1/18^2 + 1/26^2 + 1/29^2 - 1/37^2 - 1/40^2 +・・・)
    + E・(1/5^2 + 1/6^2 - 1/16^2 - 1/17^2 + 1/27^2 + 1/28^2 - 1/38^2 - 1/39^2 +・・・)}
                                                  =(0〜π/11) log(2sin(x/2))

3回積分
  L・(1 - 1/10^3 - 1/12^3 + 1/21^3 + 1/23^3 - 1/32^3 - 1/34^3 + 1/43^3 +・・・)
  + M・(1/2^3 - 1/9^3 - 1/13^3 + 1/20^3 + 1/24^3 - 1/31^3 - 1/35^3 + 1/42^3 +・・・)
  + N・(1/3^3 - 1/8^3 - 1/14^3 + 1/19^3 + 1/25^3 - 1/30^3 - 1/36^3 + 1/41^3 +・・・)
  + P・(1/4^3 - 1/7^3 - 1/15^3 + 1/18^3 + 1/26^3 - 1/29^3 - 1/37^3 + 1/40^3 +・・・)
  + Q・(1/5^3 - 1/6^3 - 1/16^3 + 1/17^3 + 1/27^3 - 1/28^3 - 1/38^3 + 1/39^3 +・・・)
                                        - (1-1/2^2)ζ(3)/11^3 -ζ(3)
                                                 =(0〜π/11)∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
 となり、わずかにζ(s)が一つ現れるだけの結果となりました。

ここで、A=sin(π/11)、B=sin(2π/11)、C=sin(3π/11)、D=sin(4π/11)、E=sin(5π/11)、
 L=cos(π/11)、M=cos(2π/11)、N=cos(3π/11)、P=cos(4π/11)、Q=cos(5π/11)。

上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/11の定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分。

 係数にかかる級数は、すべてL(χ,s)ではないと考えられます。
(いろいろと組合せを考えましたがL(χ,s)ではないようです。万が一間違っていたらご指摘ください。)
よって、導手NがN=|m|=11の2次体に対応するL(χ,s)は出現しなかった、ということになります。

次に、π/13を調べます。



2004/6/10 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/13を代入>

 さらに表Aの場合を、調べましょう。
 k=|m|を調べるという方針ですから、「mが4n+1」型2次体のmをqπ/k代入のk=|m|として調べていきます。
(「mが4n+1」型2次体の導手NはN=|m|ですから、この導手に対応するL(χ,s)が出現するか?を調べるわけ
です。)
 ここではm=4n+1のnが”3”の場合、すなわちm=13の場合を調べます。よって、k=13であり、qは適当にq=1と
おきます。

 では、@の統一的法則性(重回積分-重回微分の規則)の結果に、π/13を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合を記すと、次のようになります。

[π/13代入の式]
   ・
   ・
2回積分
  -{A・(1/1^2 + 1/12^2 - 1/14^2 - 1/25^2 + 1/27^2 + 1/38^2 - 1/40^2 - 1/51^2 +・・・)
    + B・(1/2^2 + 1/11^2 - 1/15^2 - 1/24^2 + 1/28^2 + 1/37^2 - 1/41^2 - 1/50^2 +・・・)
    + C・(1/3^2 + 1/10^2 - 1/16^2 - 1/23^2 + 1/29^2 + 1/36^2 - 1/42^2 - 1/49^2 +・・・)
    + D・(1/4^2 + 1/9^2 - 1/17^2 - 1/22^2 + 1/30^2 + 1/35^2 - 1/43^2 - 1/48^2 +・・・)
    + E・(1/5^2 + 1/8^2 - 1/18^2 - 1/21^2 + 1/31^2 + 1/34^2 - 1/44^2 - 1/47^2 +・・・)}
    + F・(1/6^2 + 1/7^2 - 1/19^2 - 1/20^2 + 1/32^2 + 1/33^2 - 1/45^2 - 1/46^2 +・・・)}
                                                  =(0〜π/13) log(2sin(x/2))

3回積分
  L・(1/1^3 - 1/12^3 - 1/14^3 + 1/25^3 + 1/27^3 - 1/38^3 - 1/40^3 + 1/51^3 +・・・)
  + M・(1/2^3 - 1/11^3 - 1/15^3 + 1/24^3 + 1/28^3 - 1/37^3 - 1/41^3 + 1/50^3 +・・・)
  + N・(1/3^3 - 1/10^3 - 1/16^3 + 1/23^3 + 1/29^3 - 1/36^3 - 1/42^3 + 1/49^3 +・・・)
  + P・(1/4^3 - 1/9^3 - 1/17^3 + 1/22^3 + 1/30^3 - 1/35^3 - 1/43^3 + 1/48^3 +・・・)
  + Q・(1/5^3 - 1/8^3 - 1/18^3 + 1/21^3 + 1/31^3 - 1/34^3 - 1/44^3 + 1/47^3 +・・・)
  + R・(1/6^3 - 1/7^3 - 1/19^3 + 1/20^3 + 1/32^3 - 1/33^3 - 1/45^3 + 1/46^3 +・・・)
                                        - (1-1/2^2)ζ(3)/13^3 -ζ(3)
                                                 =(0〜π/13)∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
 となり、わずかにζ(s)が一つ現れるだけの結果となりました。

ここで、A=sin(π/13)、B=sin(2π/13)、C=sin(3π/13)、D=sin(4π/13)、E=sin(5π/13)、E=sin(6π/13)、
 L=cos(π/13)、M=cos(2π/13)、N=cos(3π/13)、P=cos(4π/13)、Q=cos(5π/13)、R=cos(6π/13)。

上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜π/13の定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分。

 係数にかかる級数は、すべてL(χ,s)ではないと考えられます。
(様々な組合せを考えましたが、これらは全てL(χ,s)ではないようです。)

表Aの具体例がπ/11の結果とあわせて、また二つ増えましたので、表に加えておきましょう。

表A
Q(√m)
m=4n+1
・・・ -23 -19 -15 -11 -7 -3 5 13 17 21 29 33 ・・・
導手N ・・・ 23 19 15 11 7 3 5 13 17 21 29 33 ・・・
L(χ,s)
× × LA(s) × ×
qπ/k
π/11 π/7 π/3
2π/3
π/5 π/13


注意:×は「N=|m|であるようなL(χ,s)が出現しなかった」という意味です。
注意2:この表Aはじつは間違いであることが、「天王星 その1」で明らかになりました。「天王星 その1以降の表Aが
正しいものです。



2004/6/10           <これまでのまとめ>

 これまでに蓄積された具体例を、予想とともに表A、表Bの形でまとめて表示しておきます。

[私の予想]
  mが4n+2 または 4n+3の整数のとき、k=2|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=2k (つまりN=4|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)が必ず出現する。
  ここでk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ k, q は互いに素。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@


表A
Q(√m)
m=4n+1
・・・ -23 -19 -15 -11 -7 -3 5 13 17 21 29 33 ・・・
導手N ・・・ 23 19 15 11 7 3 5 13 17 21 29 33 ・・・
L(χ,s)
× × LA(s) × ×
qπ/k
π/11 π/7 π/3
2π/3
π/5 π/13

注意:×は「N=|m|であるようなL(χ,s)が出現しなかった」という意味です。
注意2:この表Aはじつは間違いであることが、「天王星 その1」で明らかになりました。「天王星 その1以降の表Aが
正しいものです。

表B
Q(√m)

m=4n+2
or
m=4n+3
・・・ -13 -10 -6 -5 -2 -1 2 3 6 7 10 11 14 ・・
導手N ・・・ 52 40 24 20 8 4 8 12 24 28 40 44 56 ・・
L(χ,s)
LE(s)
LG(s)
LC(s)
LD(s)
L1(s)
L2(s)
L(s) L1(s)
L2(s)
LB(s) LE(s)
LG(s)
代入した
qπ/k
π/12 π/10 π/4

3π/4

5π/4
π/2

3π/2
π/4

3π/4

5π/4
π/6 π/12



 表Bから予想が確からしいということがわかるでしょう。まだ空白の欄がありますが少しづつ調べていく予定です。
(2004/6/12)
 ところがどっこい、そう単純なことなことではなく、「その9」で予想は修正されることになります。






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