天王星 その1

 mが4n+1のときの2次体の場合の規則性(予想L-3)を見出しました。π/3,π/5,π/7代入の場合を確認。


2004/7/24   <m が 4n+1 の2次体Q(√m)でも規則性がある --> 予想L-3の提示>

 火星、木星、土星において考察したのは、「mが4n+2 または 4n+3の整数とき(ただしmは平方数でない)」の
2次体Q(√m)についてでした。
 mが4n+1のときの2次体の場合はよくわからなかったのです。

 しかし、ついに、mが4n+1の場合も、規則性があることを見出しました。

特殊値が非明示の場合(現代数学で不明な場合)を先に考察します。
結論を先にいえば、mが4n+1の場合も予想L-2の類似が成り立っていました。次です。

[私の予想L-3](非明示の場合)

  mが4n+1の整数のとき、k=|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=k (つまりN=|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)か、あるいはその分身(複数)が、必ず出現する。

 ここで分身(複数)とは、それらを足したり引いたりして上の条件を満たすL(χ,s)を導出できる級数を指す。
なおk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ kとq は互いに素。

 そして、上の2次体Q(√m)が2次体であるならばそれに対応するL(χ,s)は偶数回の微分・積分の所に現れ、
2次体であるならば対応するL(χ,s)は奇数回の微分・積分の所に現れる。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
                                   (0 <|x|< 2π)


 予想L-2との完全な類似であることに気付くでしょう。
なお予想L-2の場合は”k=2|m|で、導手NはN=2k (つまりN=4|m|)”でしたが、上は”k=|m|=N”となっているところ
に注目してください。

 「火星 その6」のπ/5代入π/7代入、そして「火星 その8」のπ/11代入π/13代入でL(χ,s)は出ないのだろう
と根をあげかかっていたものが、じつはL(χ,s)がちゃんと出る!と気付いたというわけです。
π/5代入で、「ただ私が間違っている可能性もゼロではなく、万が一「いや、こんな変形でL(χ,s)が出るよ!」などと
いうことが読者で見つかったら、すぐに知らせてください。」といっていた、その予言が的中しました。
よって、「火星 その7、その8」の表Aは間違いということになります(注意を追加しましたが)。

私は、「火星」のπ/3代入2π/3代入の結果から、当初より、上の予想L-3が成り立っているはずだと思ってい
たのですが、式変形のうっかりから、どうしてもL(χ,s)を引き出すことができなかったのですが、今回その見落とし
ていた変形を発見することで、めでたく予想L-3に到達することができました

 それでは、早速、具体例で上の予想L-3を確めたいのですが、π/3代入からいきましょう。




2004/7/24 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/3を代入>

 π/3代入は、「火星 その3」のπ/3代入で既に計算だけはやっているので、それをそのまま再掲します。
(2π/3代入も同類の結果となりますが、それは、2π/3代入を見てください。)

@の統一的法則性の結果に、π/3を代入した場合を調べます。
(この結果は「金星 その1」のcosx/sin(x/2)=2(sin2x + sin4x +・・にπ/6を代入>と本質的に同値です。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

では、@を重回積分-重回微分した結果を書き下していきます。

[重回積分、重回微分した一連の式]
  ・
  ・
4回微分
 {2sin(x/2)・sin(x/2)+4(2+cosx)cos(x/2)}/(sin(x/2))^5=2^4sinx + 4^4sin2x + 6^4sin3x + 8^4sin4x + ・・・・

3回微分
 (2+cosx)/(sin(x/2))^4=2^3cosx + 4^3cos2x + 6^3cos3x + 8^3cos4x + ・・・・

2回微分
 cos(x/2)/(sin(x/2))^3=-(2^2sinx + 4^2sin2x + 6^2sin3x + 8^2sin4x + ・・・・) 

1回微分
  -1/(sin(x/2))^2=2(2cosx + 4cos2x + 6cos3x + 8cos4x + ・・・・) 

0回積分
  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・・) 

1回積分
  log(2sin(x/2))=-(cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + ・・・)

2回積分
 ∫log(2sin(x/2))=-(sinx/1^2 + sin2x/2^2 + sin3x/3^2 + ・・・)

3回積分
 ∫∫log(2sin(x/2))=(cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + ・・・) - ζ(3)

4回積分
 ∫∫∫log(2sin(x/2))=(sinx/1^4 + sin2x/2^4 + sin3x/3^4 + ・・・) - ζ(3)・x/1!

5回積分
 ∫∫∫∫log(2sin(x/2))=-(cosx/1^5 + cos2x/2^5 + cos3x/3^5 + ・・・) + ζ(5) - ζ(3)・x^2/2!

6回積分
 ∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
     =-(sinx/1^6 + sin2x/2^6 + sin3x/3^6 + ・・・) + ζ(5)・x/1! - ζ(3)・x^3/3!

7回積分
 ∫∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
     =(cosx/1^7 + cos2x/2^7 + cos3x/3^7 + ・・・) - ζ(7) + ζ(5) ・x^2/2! - ζ(3)・x^4/4!

8回積分
 ∫∫∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
    =(sinx/1^8 + sin2x/2^8 + sin3x/3^8 + ・・・) - ζ(7)・x/1! + ζ(5)・x^3/3! - ζ(3)・x^5/5!

  ・
  ・
と、このように上下に延々と続いていきます。すべての∫は0〜xの定積分、またdx・・dxは略しました。

 上の式の x にπ/3を代入すると、次のようになります。

[π/3代入の式]
  ・
  ・
4回微分
  LA(-4)=2/3

3回微分
 ζ(-3)=1/120

2回微分
  LA(-2)=-2/9

1回微分
  ζ(-1)=-1/12

0回積分
   LA(0)=1/3

1回積分
   0 = 0

2回積分
 -√3/2・(1+1/2)LA(2)=∫(0〜π/3) log(2sin(x/2))

3回積分
  (1-1/2^2)(1-1/3^2)ζ(3)/2 -ζ(3)=∫(0〜π/3)∫log(2sin(x/2))

4回積分
 √3/2・(1+1/2^3)LA(4) - ζ(3)・(π/3)=∫(0〜π/3)∫∫log(2sin(x/2))

5回積分
 - (1-1/2^4)(1-1/3^4)ζ(5)/2 + ζ(5) - ζ(3)・(π/3)^2/2!
                                 =∫(0〜π/3)∫∫∫log(2sin(x/2))

6回積分
 -√3/2・(1+1/2^5)LA(6) + ζ(5)・(π/3) - ζ(3)・(π/3)^3/3!
                                   =∫(0〜π/3)∫∫∫∫log(2sin(x/2))

7回積分
 (1-1/2^6)(1-1/3^6)ζ(7)/2 - ζ(7) + ζ(5)・(π/3)^2/2!- ζ(3)・(π/3)^4/4!
                                      =∫(0〜π/3)∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))

8回積分
 √3/2・(1+1/2^7)LA(8) - ζ(7)・(π/3) + ζ(5)・(π/3) ^3/3!- ζ(3)・(π/3)^5/5!
                                      =∫(0〜π/3)∫∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
  ・
  ・
と、このようになり、またζ(2n+1)とLA(2n)が飛び出してきました。
上で右辺の重回積分は一番最後の∫だけが0〜π/3の定積分で、その他の∫はすべて0〜xの定積分。

LA(s)は
  LA(s)=1 - 1/2^s + 1/4^s - 1/5^s + 1/7^s - 1/8^s + 1/10^s - 1/11^s + ・・・

であり、またζ(s)はもちろんリーマン・ゼータです。
 ζ(s)は全てのaに対しχ(a)=1としたときのディリクレのL関数L(χ,s)です。
LA(s)は、a≡0, 1, 2 mod 3に対し、それぞれχ(a)=0, 1, -1としたときのL(χ,s)に一致します。χ(a)はディリクレ指標。

以上再掲ですが、この結果で冒頭の予想L-3が成り立っていることを見てみましょう。
再度、予想L-3をかかげます。

[私の予想L-3](非明示の場合)

  mが4n+1の整数のとき、k=|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=k (つまりN=|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)か、あるいはその分身(複数)が、必ず出現する。

 ここで分身(複数)とは、それらを足したり引いたりして上の条件を満たすL(χ,s)を導出できる級数を指す。
なおk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ kとq は互いに素。

 そして、上の2次体Q(√m)が2次体であるならばそれに対応するL(χ,s)は偶数回の微分・積分の所に現れ、
2次体であるならば対応するL(χ,s)は奇数回の微分・積分の所に現れる。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
                                   (0 <|x|< 2π)


 さて、上ではπ/3代入をやったわけですから、q π/kと比較して、もちろんk=3です。
予想より、導手NがN=k=3 で、且つk=|m|すなわち3=|m|を満たす虚2次体Q(√-3)に対応するL(χ,s)が出現する
はずだ、ということになります。

 上では、LA(s)が出現していますが、これが、はたしてQ(√-3)に対応するL(χ,s)なのでしょうか? 
 答えはYes.
 LA(s)は、ディリクレのL関数L(χ,s)の一種ですが、これがQ(√-3)に対応するL(χ,s)であることは、現代数学で
知られているのです。例えば、「解決!フェルマーの最終定理」(加藤和也著、日本評論社)のp.74参照。
  LA(s)=1 - 1/2^s + 1/4^s - 1/5^s + 1/7^s - 1/8^s + 1/10^s - 1/11^s + ・・・

 さらに予想L-3の後半部分では「2次体Q(√m)が2次体であるならばそれに対応するL(χ,s)は偶数回の微分・
積分の所に現れ、・・」となっていますが、これも成り立っているでしょうか?

上の計算結果をながめてください。
 2次体Q(√-3)に対応するLA(s)は、すべて偶数回の微分・積分のところに現れています。
よって、この予想の後半も成り立っている。

以上より、π/3代入では、予想L-3は成立していることがわかりました。
(2π/3代入も成り立っているのですが、それは2π/3代入を見て確めてください。)

次は、π/5代入を確める予定です。




2004/7/24 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/5を代入>

 π/5代入は、「火星 その6」のπ/5代入で既に計算だけはやっているので、その2回積分と3回積分の結果を
利用しましょう。(本質的に2回積分と3回積分だけみれば十分ですので、それだけ見ます。)

 @の統一的法則性の結果(一つ上を参照)に、π/5を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

2回積分と3回積分の場合のみを記します。

[π/5代入の式]
  ・
  ・
2回積分
 -L・(1 + 1/4^2 - 1/6^2 - 1/9^2 + 1/11^2 + 1/14^2 - 1/16^2 - 1/19^2 +・・・)
   -M・(1/2^2 + 1/3^2 - 1/7^2 - 1/8^2 + 1/12^2 + 1/13^2 - 1/17^2 - 1/18^2 +・・・)
                                        =(0〜π/5) log(2sin(x/2))

3回積分
  E・(1 - 1/4^3 - 1/6^3 + 1/9^3 + 1/11^3 - 1/14^3 - 1/16^3 + 1/19^3 +・・・)
   + F・(1/2^3 - 1/3^3 - 1/7^3 + 1/8^3 + 1/12^3 - 1/13^3 - 1/17^3 + 1/18^3 +・・・)
                                        - (1-1/2^2)ζ(3)/5^3 -ζ(3)
                                          =(0〜π/5)∫log(2sin(x/2))
 ・
 ・
 ここで、L=sin(π/5)、M=sin(2π/5) またE=cos(π/5)、F=cos(2π/5) です。
 このようになります。
 火星のπ/5代入では、上の結果が、「ディリクレのL関数L(χ,s)にはならないようだ・・」と結論づけたのですが、
それは私の勘違いで、じつは、上から予想L−3を成立させるL(χ,s)がちゃんと出るのです!
もう一度、予想L−3を書きましょう。

[私の予想L-3](非明示の場合)

  mが4n+1の整数のとき、k=|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=k (つまりN=|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)か、あるいはその分身(複数)が、必ず出現する。

 ここで分身(複数)とは、それらを足したり引いたりして上の条件を満たすL(χ,s)を導出できる級数を指す。
なおk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ kとq は互いに素。

 そして、上の2次体Q(√m)が2次体であるならばそれに対応するL(χ,s)は偶数回の微分・積分の所に現れ、
2次体であるならば対応するL(χ,s)は奇数回の微分・積分の所に現れる。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
                                   (0 <|x|< 2π)


 さて、上のπ/5代入の結果が、この予想を支持していることを見ましょう。
まず、いまπ/5代入ですから、もちろん、k=5となります。よって、導手NがN=5で且つ5=|m|である実2次体Q(√5)
対応するL(χ,s)が出現してくるはずだということになります。

 いま次体Q(√5)が考察の対象になっているわけですから、予想L−3の後半から、Q(√5)に対応するL(χ,s)は
奇数回の微分・積分の所に現れているはずだとなります。
よって、上の[π/5代入の式]の3回積分の箇所だけに注目すればよいわけです(2回積分の方は無視)。

結論を先にいえば、ここでも予想L-3は成り立っているのですが、詳しく説明します。

 3回積分の二つの青字の級数はLN(s)の分身ともよべる級数であったのです。

その前にLN(s)は初出ですので、定義を書きます。次の通りでディリクレのL関数L(χ,s)の一種です。

 LN(s)=(1/1^s - 1/2^s - 1/3^s + 1/4^s) + (1/6^s - 1/7^s - 1/8^s + 1/9^s)・・・・

 (注意: + - はこの()の単位で延々とくり返されていきます。)

上をディリクレ指標χ(a)を用いて表現すると、次のようになります。
 LN(s)は、mod 5に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 4 mod 5-->χ(a)=1、
  a≡2 or 3 mod 5 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手はN=5です。
注意:LN(s)という呼称は私が勝手につけたものですので、ご注意ください。

 じつは、LN(s)は実2次体Q(√5)に対応するL(χ,s)となっているのです。
 LN(s)は、ディリクレのL関数L(χ,s)の一種ですが、これがQ(√5)に対応するL(χ,s)であることは、現代数学で
知られているのです。例えば、「解決!フェルマーの最終定理」(加藤和也著、日本評論社)のp.74参照。

 さて、3回積分の二つの青字の級数たちがLN(s)の分身とよべる存在であることを示します。

[分身であることを示す]
係数E,Fにかかる級数をそれぞれE1,F1と表すと、次のようになる。
  E1=1 - 1/4^3 - 1/6^3 + 1/9^3 + 1/11^3 - 1/14^3 - 1/16^3 + 1/19^3 +・・・
  F1=1/2^3 - 1/3^3 - 1/7^3 + 1/8^3 + 1/12^3 - 1/13^3 - 1/17^3 + 1/18^3 +・・・

さて、E1+ F1を計算すると、
E1+ F1
=(1 - 1/4^3 - 1/6^3 + 1/9^3 + 1/11^3 - 1/14^3 - 1/16^3 + 1/19^3 +・・・)
     + (1/2^3 - 1/3^3 - 1/7^3 + 1/8^3 + 1/12^3 - 1/13^3 - 1/17^3 + 1/18^3 +・・・)
1 + 1/2^3 - 1/3^3 - 1/4^3 - 1/6^3 - 1/7^3 + 1/8^3 + 1/9^3
          + 1/11^3 + 1/12^3 - 1/13^3 - 1/14^3 - 1/16^3 - 1/17^3 + 1/18^3 + 1/19^3 + ・・・
1 - 1/2^3 - 1/3^3 + 1/4^3 + 1/6^3 - 1/7^3 - 1/8^3 + 1/9^3
          + 1/11^3 - 1/12^3 - 1/13^3 + 1/14^3 + 1/16^3 - 1/17^3 - 1/18^3 + 1/19^3 + ・・・
       + (2/2^3 - 2/4^3 - 2/6^3 + 2/8^3 + 2/12^3 - 2/14^3 - 2/16^3 + 2/18^3 +・・・)
LN(3) + 2/2^3・(1 - 1/2^3 - 1/3^3 + 1/4^3 + 1/6^3 - 1/7^3 - 1/8^3 + 1/9^3 +・・・)
LN(3) + 1/2^2・LN(3)
=(1 + 1/2^2)・LN(3)

となり、上で定義したLN(s)が出てくるのです!

  E1とF1を「E1+ F1」のように組み合わせれば、このようにLN(s)を構成することができるのである。
これで、E1とF1はLN(s)の分身とよべる存在であることがわかった。
終わり。

 3回積分の二つの青字の級数たちがLN(s)の分身とよべる存在であることがわかりました。
予想中の「ここで複数の分身とは、それらを足したり引いたりして上の条件を満たすL(χ,s)を導出できる級数を指す。」
ということが、上で成立していることがわかるでしょう。

 予想通り、ちゃんと実2次体Q(√5)に対応するL(χ,s)が分身の姿で出現していることがわかりました

以上より、π/5代入でも、予想L-3は成立していることがわかりました。




 さて、「mが4n+1」の2次体Q(√m)に関する予想L-3の具体的な検証を2例でやったわけですが、表Aにまとめて
おきましょう。(「火星 その7その8」の表Aは間違っていましたので、無視してください。)

下表では、L(χ,s)本体が露に出現する場合を◎で、分身を経由して出現する場合を○で表現しています。
◎、○どちらでも”予想が成り立っている”ことを意味します。(予想が破綻した場合は×を挿入するつもりです。)

表A
Q(√m)

m=4n+1
・・・ -23 -19 -15 -11 -7 -3 5 13 17 21 29 33 ・・・
導手N ・・・ 23 19 15 11 7 3 5 13 17 21 29 33 ・・・
本体->◎
分身->○
L(χ,s)
LA(s) LN(s)
qπ/k
π/3

2π/3
π/5
n回積分

n->偶数
 or
n->奇数

注意1:L(χ,s)欄は、各々の2次体に対応するL(χ,s)を示す。
注意2:一番下の行の「偶,奇」は、Q(√m)に対応するL(χ,s)特殊値が偶数回の積分(微分)の所に現れた場合に「偶」、
 奇数回の積分(微分)の所に現れた場合に「奇」と記しています。




2004/7/25 <cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )の重回積分-重回微分にπ/7を代入>

 π/7代入も、「火星 その6」のπ/7代入で既に計算はやっているので、その結果を利用しましょう。
 @の統一的法則性の結果(二つ上を参照)に、π/7を代入した場合を調べます。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@

[π/7代入の式]
  ・
  ・
2回積分
 -A・(1 + 1/6^2 - 1/8^2 - 1/13^2 + 1/15^2 + 1/20^2 - 1/22^2 - 1/27^2 +・・・)
   - B・(1/2^2 + 1/5^2 - 1/9^2 - 1/12^2 + 1/16^2 + 1/19^2 - 1/23^2 - 1/26^2 +・・・)
     - C・(1/3^2 + 1/4^2 - 1/10^2 - 1/11^2 + 1/17^2 + 1/18^2 - 1/24^2 - 1/25^2 +・・・)
                                        =(0〜π/7) log(2sin(x/2))

3回積分
 L・(1 - 1/6^3 - 1/8^3 + 1/13^3 + 1/15^3 - 1/20^3 - 1/22^3 + 1/27^3 +・・・)
   + M・(1/2^3 - 1/5^3 - 1/9^3 + 1/12^3 + 1/16^3 - 1/19^3 - 1/23^3 + 1/26^3 +・・・)
     + N・(1/3^3 - 1/4^3 - 1/10^3 + 1/11^3 + 1/17^3 - 1/18^3 - 1/24^3 + 1/25^3 +・・・)
                                        - (1-1/2^2)ζ(3)/7^3 -ζ(3)
                                          =(0〜π/7)∫log(2sin(x/2))
 ・
 ・

 ここでA=sin(π/7)、B=sin(2π/7)、C=sin(3π/7)、L=cos(π/7)、M=cos(2π/7)、N=cos(3π/7)です。

 このようになります。
 火星のπ/7代入では、上の結果が、「ディリクレのL関数L(χ,s)にはならない・・」と結論づけたのですが、それは
私の間違いで、じつは、上から予想L−3を成立させるL(χ,s)がきちんと出るのです!
もう一度、予想L−3を書きましょう。

[私の予想L-3](非明示の場合)

  mが4n+1の整数のとき、k=|m|とおく。(mは整数で、1以外の平方数で割り切れないものである)
 @式の重回積分-重回微分の結果に q π/k を代入すると、導手NがN=k (つまりN=|m|)である2次体Q(√m)
に対応するディリクレのL関数L(χ,s)か、あるいはその分身(複数)が、必ず出現する。

 ここで分身(複数)とは、それらを足したり引いたりして上の条件を満たすL(χ,s)を導出できる級数を指す。
なおk, q は整数で、0 <|q π/k|< 2π 且つ kとq は互いに素。

 そして、上の2次体Q(√m)が2次体であるならばそれに対応するL(χ,s)は偶数回の微分・積分の所に現れ、
2次体であるならば対応するL(χ,s)は奇数回の微分・積分の所に現れる。

  cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・)  -----@
                                   (0 <|x|< 2π)


 さて、上のπ/7代入の結果が、この予想を支持していることを以下見ましょう。
いまπ/7代入ですから、もちろん、k=7です。よって、導手NがN=7で且つ7=|m|である虚2次体Q(√-7)に対応する
L(χ,s)が出現してくるはずです。

 またいま次体Q(√-7)が考察の対象になっているわけですから、予想L−3の後半からQ(√-7)に対応する
L(χ,s)は偶数回の微分・積分の所に現れているはずだとなります。
よって、上の[π/7代入の式]の2回積分の箇所だけに注目すればよいのです(3回積分の方は無視)。

結論を先にいえば、ここでも予想L−3は成り立っているのですが、以下詳しく説明します。

 2回積分の三つの青字の級数はLP(s)の分身ともよべる級数であったのです。
LP(s)は初出ですので、定義を書きます。次の通りでディリクレのL関数L(χ,s)の一種です。

 LP(s)=(1/1^s + 1/2^s - 1/3^s + 1/4^s - 1/5^s - 1/6^s)
           + (1/8^s + 1/9^s - 1/10^s + 1/11^s - 1/12^s - 1/13^s)・・・・

 (注意: + - はこの()の単位で延々とくり返されていく。)

上をディリクレ指標χ(a)を用いて表現すると、次のようになります。
 LP(s)は、mod 7に対応したχ(a)をもち、
「 a≡1 or 2 or 4 mod 7-->χ(a)=1、
  a≡3 or 5 or 6 mod 7 -->χ(a)=-1、
  それ以外のaではχ(a)=0」
というχ(a)に対応したL(χ,s)となります。そして、このχ(a)の導手はN=7です。
注意:LP(s)という呼称は私が勝手につけたものですので、ご注意ください。

 じつは、LP(s)が、虚2次体Q(√-7)に対応するL(χ,s)となっているのです。
 LP(s)は、ディリクレのL関数L(χ,s)の一種ですが、これがQ(√-7)に対応するL(χ,s)であることは、現代数学で
知られているのです。例えば、「解決!フェルマーの最終定理」(加藤和也著、日本評論社)のp.74参照。

 さて、2回積分の三つの青字の級数たちがLP(s)の分身とよべる存在であることを示します。

[分身であることを示す]
係数A,B,Cにかかる級数をそれぞれA1,B1,C1と表すと、次のようになる。
  A1=1 + 1/6^2 - 1/8^2 - 1/13^2 + 1/15^2 + 1/20^2 - 1/22^2 - 1/27^2 +・・・
  B1=1/2^2 + 1/5^2 - 1/9^2 - 1/12^2 + 1/16^2 + 1/19^2 - 1/23^2 - 1/26^2 +・・・
  C1=1/3^2 + 1/4^2 - 1/10^2 - 1/11^2 + 1/17^2 + 1/18^2 - 1/24^2 - 1/25^2 +・・・

さて、A1- B1 -C1を計算すると、
A1- B1 -C1
 =(1 + 1/6^2 - 1/8^2 - 1/13^2 + 1/15^2 + 1/20^2 - 1/22^2 - 1/27^2 +・・・)
     - (1/2^2 + 1/5^2 - 1/9^2 - 1/12^2 + 1/16^2 + 1/19^2 - 1/23^2 - 1/26^2 +・・・)
      - (1/3^2 + 1/4^2 - 1/10^2 - 1/11^2 + 1/17^2 + 1/18^2 - 1/24^2 - 1/25^2 +・・・)
 =1/1^2 - 1/2^2 - 1/3^2 - 1/4^2 - 1/5^2 + 1/6^2 - 1/8^2 + 1/9^2 + 1/10^2 + 1/11^2 + 1/12^2 - 1/13^2+・・・
 =(1/1^2 + 1/2^2 - 1/3^2 + 1/4^2 - 1/5^2 - 1/6^2 + 1/8^2 + 1/9^2 - 1/10^2 + 1/11^2 - 1/12^2 - 1/13^2+・・・)
     + (-2/2^2 - 2/4^2 + 2/6^2 - 2/8^2 + 2/10^2 + 2/12^2 +・・・)
 =LP(2) - 2/2^2・(1 + 1/2^2 - 1/3^2 + 1/4^2 - 1/5^2 - 1/6^2 + ・・・)
 =LP(2) - 1/2・LP(2)
 =(1 - 1/2)・LP(2)

となり、上で定義したLP(s)が出てくるのです!
  A1,B1,C1を「A1- B1 -C1」のように組み合わせれば、このようにLP(s)を構成することができるのである。

これで、A1,B1,C1はLP(s)の分身とよべる存在であることがわかった。
終わり。

 よって予想通り、ちゃんと虚2次体Q(√-7)に対応するL(χ,s)が分身の姿で出現していることがわかりました

以上より、π/7代入でも、予想L-3は成立していることがわかりました。




 さて、π/7代入の場合もわかりましたので、さらに上の表Aに追加しましょう。

下表では、L(χ,s)本体が露に出現する場合を◎で、分身を経由して出現する場合を○で表現しています。
◎、○どちらでも”予想が成り立っている”ことを意味します。(予想が破綻した場合は×を挿入するつもりです。)

表A
Q(√m)

m=4n+1
・・・ -23 -19 -15 -11 -7 -3 5 13 17 21 29 33 ・・・
導手N ・・・ 23 19 15 11 7 3 5 13 17 21 29 33 ・・・
本体->◎
分身->○
L(χ,s)
LP(s) LA(s) LN(s)
qπ/k
π/7 π/3

2π/3
π/5
n回積分

n->偶数
 or
n->奇数

注意1:L(χ,s)欄は、各々の2次体に対応するL(χ,s)を示す。
注意2:一番下の行の「偶,奇」は、Q(√m)に対応するL(χ,s)特殊値が偶数回の積分(微分)の所に現れた場合に「偶」、
 奇数回の積分(微分)の所に現れた場合に「奇」と記しています。





天王星 その2
天王星 その3
天王星 その4
天王星 その5
天王星 その6
天王星 その7
天王星 その8


ゼータ惑星 目次


数学の研究