二人の恩師 * エッセイ民話 * Mog
- *** 理科のせんせい ***
中学生の時、山田 弘先生に教わった。
よく白衣を着ていたが、ひげは伸び放題で、岡山弁で、百姓丸出しじゃった。
せぇでも、この先生の話は、妙に説得力があった、
「数学は本気で習えぇよ」 「どこで損するかわからんけぇのぅ」
「国語は本気で勉強せぇよ」 「新聞読めんと、とり残されるけぇのぅ」
「そして、理科は面白ぇぞぅ」
もともと、動物が好きで、おたまじゃくし・アオムシ・カイコといろいろ飼っていた。
祖父母の頃は農家で、米も作り、野菜もほとんど自給しとった、両親も花や木が
好きで、いろいろ植えとった、じゃけぇ、教科書にある植物はたいてい家にあった。
「理科」 と言っても山田先生は「化学」 が専門じゃった、
教科書を先へさきへ、読み進めると、その後を先生が説明してくれ、ときには
実験で「バシッ」 と証明してくれる。理科の授業はいつも新鮮だった。
ときどき病気休みしても、後で尋ねに行った、この先生、私1人のために放課後
いろいろ説明してくれた。他の理科の先生にも聴きに行くようになった。
数学の先生は「教科書の公式を暗記すりゃあ良ぇ」 と言っていたので、あまり
行かなんだ。ただ、「損 しちゃおえん」 と一生懸命公式を覚えた。
国語も「漢字」 を覚えることは頑張ったが、漢文はおえなんだ、山田先生の
言われた「範囲」 外だったもんで、当然、社会も、体育も、音楽も、からっきし
おえなんだ。
中学生当時、昼時間はほとんど1人で図書室にいた、理科の本が主で教科書の
何倍も読んだ、それと名作?が少々、その分スポーツもせず、遊ぶ友達も少な
かった。
今、考えると、ファミコン世代のように自分のカラに閉じこもっていたのか、
山田先生にいろいろな薬をいただいた、リトマス試験紙や硝酸銀液で家中の物
を試した、
この先生にどやされたことが1度だけある、硫黄と硝石をもらいに行った時に
「何に使うのか」 と厳しく詰問され、「マッチや火薬」 と言うと、「どこにそんな物が
書いてあった?」 とえらい剣幕、図書室の本にあるのを見せたが、
「マッチや火薬は、 安全な設備のある工場で作る、温度の管理もいる、
素人が作るものではない」 ときびしくしかられ、図書室の本はなくなっていた。
後年、40も過ぎて、勤務地が先生のお住まいに近かったので、おたずねした
私も1目で先生はわかったが、中学生が40にもなったのを覚えていてくれた、否
見分けてくれた。
この先生のおかげで、高校時代の理科系の授業は楽々だった、後に畑違いの
電気工事士も簡単にとれた。
この先生は理科にたいする自信をくれた。私のわずかな好奇心を育ててくれた。
- *** カエルの先生 ***
守屋勝太先生・岡大教授・退官の記事があった。
「カエルの大御所」とあった、
1度御目にかかりたいものと、山で捕れたカエルを手土産に出向いた、
先生は1目でシュレーゲルアオガエルと断定した、
この先生の偉いところは、大学の教授という感じがまるでなく、
素人の私のために、 専門語や外国語をさけ、解り易く解説してくれた、
ダルマガエルの発見が先生のご自慢だった。
当時飼っていたカジカガエルが殆ど鳴かないので、生殖ホルモンでもあればと
相談したところ、ウシガ゜エルの頭骨からマッチの頭ほどの脳下垂体を取り出す
方法を図を書いて教えてくれた、さっそく食用ガエルの業者まで出向き、頭骨を
数十譲り受け、脳下垂体を取り出し、アセトンで脱水して、お見せしたところ、
「研究者でも、なかなか出来ないのに」 と、えらいほめてくれ、以降20年余先生の
「弟子」 となった。この脳下垂体、カジカに移殖したが、そう鳴いてはくれなんだ。
先生が、水笛を作っておられたので、これを習い、後日量産に成功した時、
手放しでほめてくれた、これが我が生涯で唯一師を越えた瞬間であった、
この水笛はバザーに毎回200本作った、呼び込みはまったく不要で、笛の音で
子供達がよって来た、価格設定の50円は幼稚園児が買ってもらえる価格とした。
(作り方はチャレンジの項に)
先生が葉脈標本に熱中されていたので、樹木の種類が豊富といわれる、
上道町の 「小鳥の森」 や、上斎原村の「森林公園」 、
さらに自分の友人で山野草を栽培している人の店まで御案内した、
後の先生の著書に葉脈標本採集に協力してくれたと、私の名前もあった、
標本が作り易く、きれいに出来ると、「おがたまの木」 の子株も頂いた。
カエル大先生の影響もあって、博物館でカエルの生態展示をやった、
県内にいる 13種を集めるのは相当苦労したが、
11種までは採集できるようになった、飼育設備も、餌の養殖もセミプロ級か、
このカエル展の開催中に、先生の訃報を知り、かけつけて、
会場パンフの 「カエルの飼い方」 を棺の中に入れさせていただいた、
先生は師であり、友人であり、ライバルでもあった、
退職した今、葉脈標本と共に手漉き和紙も習いたい、
先生の葉脈標本の技術を元に、これを和紙の中に取り込みたい。
水笛も子供達が喜ぶので作り続けたい、絶滅の予想されているダルマガエル
の大量飼育にとりくみ、保護を訴えていきたい。
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