** 雪に願いを:music by 槇原敬之 / 踊る大捜査線
空を見上げれば周囲の明かりに消されて空気が冷えて澄んでいてもほとんど見えない星と、ビルの合間から見える月。
そうか今日は満月だったななんて思いながら、コートの襟を立てて敷地を出た。
今日の俺は夜勤明け。
…………なのに、なんでこんな時間かな。
夜も始まった7時。
書き終わらなかった報告書&始末書のせいで残業だ。
あとで魚住係長か課長にしつこく言われるのだろうか。
「いくら刑事だからってねぇ、残業はあんまりして欲しくないのよ」
って。
俺だって残業はしたくないよ。
だったら、始末書、報告書の提出期限のばしてくれても良いと思うんだけどな。
すみれさんは雪乃さんと一緒にさっさと帰っちゃったし。
ちなみにすみれさんも同じ夜勤組。
雪乃さんは非番と来たもんだ。
買い物だ〜ランチだ〜って署を出るときすみれさんってば楽しそうに言ってた。
あぁ、俺の事置いてくなんてひどいよすみれさん。
今頃何してるのかな?
雪乃さんは真下とデートだし。
真下が楽しく電話してきた。
新婚だけど待ち合わせするんですよ〜ってのろけられた。
なんだか不条理だよ。
俺とすみれさんはな〜んにも変わっちゃいないのに。
すみれさんに逢いたいなぁ〜。
「青島君?」
ふいにすみれさんの声がする。
とぼとぼうつむいていた顔を上げればそこにはすみれさんの顔。
不思議そうに俺を見てる。
「っ!?なんでっここに?」
思わず驚いて言葉が切れる。
「なんでってここにって、今まで雪乃さんとデートしてたの。それより、聞いてよ青島君!!真下君ってば遅刻してきたのよっ、うっかり忘れてたなんて言いながら!!!雪乃さんなんかそれをしょうがないですね、なんて言いながら許しちゃうしっっ。あったま来ちゃった。だから、青島君、夕ご飯おごって」
は?
え?
今、そんな流れだったっけ?
「すみれさん?なんで俺がご飯おごらなくちゃならないの?」
「雪乃さんと、真下君があんまり遅いから夕飯食べようかっていう話してたのっっ。だけどそのときに真下君が来たんだもん、アタシまだ食べてないの」
すみれさんの強引な論理に俺は思わず大きくため息をついてしまう。
「何よぉ、そういう風にため息つかなくても良いでしょう?せっかく、このアタシが青島君の事誘ってあげてるって言うのにっ」
「はいはい」
なんだかすみれさんは機関銃のように言葉をまくし立てる。
どこか、耳が赤いのは寒いせいかそれとも。
まぁ、いっか。
「いいよ。すみれさんの希望通り夕飯食べよう。でも、俺、今節約中なの」
そう言ってすみれさんは納得してくれるかな?
そろそろ、この関係進めても良いと思う。
顔の赤い、どこか行動が大きいすみれさんに『誘われた』事だしね。
「だからさ、俺んちでご飯食べない?もちろん、俺が作りますよ。すみれさんの食べたい料理」
「青島君が?」
怪訝そうに言うけど、すみれさんはどこか顔が嬉しそう。
「そ、得意料理一応片手じゃ数えられないぐらいはあるよ」
「じゃ、じゃあ、スパゲティーは?」
「了解です。お嬢様」
そう言って俺はすみれさんの手を取る。
「あ、青島君っ」
顔を真っ赤にするすみれさんがなんか可愛くって。
「スーパー、つきあってね」
「………アイス買って」
「こんな寒いのに?」
「さ、寒いからこそ食べるアイスはおいしいんじゃない」
俺が見つめてるの判ってるくせにすみれさんは顔を違う方に向けて声をうわずらせて答える。
「いいよ、すみれさんの好きなアイス買ってあげる」
「絶対よ。絶対!!」
すみれさんは嬉しそうに俺の方を見た。
帰り道があまりにも短かった。
それは楽しかったから。
明日もまた忙しいのかな?
そう言えば、夜勤明けの次の日は休みだから、一緒にいられるように。
願った。
そうか今日は満月だったななんて思いながら、コートの襟を立てて敷地を出た。
******
特別警戒中の中、非番の日は滅多にないけれど、そこら中で捜査本部が立ってたりするけれど、湾岸署管内ではそれほど目立った事件は存在しないから、夜勤の刑事以外早めにあがれる。今日の俺は夜勤明け。
…………なのに、なんでこんな時間かな。
夜も始まった7時。
書き終わらなかった報告書&始末書のせいで残業だ。
あとで魚住係長か課長にしつこく言われるのだろうか。
「いくら刑事だからってねぇ、残業はあんまりして欲しくないのよ」
って。
俺だって残業はしたくないよ。
だったら、始末書、報告書の提出期限のばしてくれても良いと思うんだけどな。
すみれさんは雪乃さんと一緒にさっさと帰っちゃったし。
ちなみにすみれさんも同じ夜勤組。
雪乃さんは非番と来たもんだ。
買い物だ〜ランチだ〜って署を出るときすみれさんってば楽しそうに言ってた。
あぁ、俺の事置いてくなんてひどいよすみれさん。
今頃何してるのかな?
雪乃さんは真下とデートだし。
真下が楽しく電話してきた。
新婚だけど待ち合わせするんですよ〜ってのろけられた。
なんだか不条理だよ。
俺とすみれさんはな〜んにも変わっちゃいないのに。
すみれさんに逢いたいなぁ〜。
「青島君?」
ふいにすみれさんの声がする。
とぼとぼうつむいていた顔を上げればそこにはすみれさんの顔。
不思議そうに俺を見てる。
「っ!?なんでっここに?」
思わず驚いて言葉が切れる。
「なんでってここにって、今まで雪乃さんとデートしてたの。それより、聞いてよ青島君!!真下君ってば遅刻してきたのよっ、うっかり忘れてたなんて言いながら!!!雪乃さんなんかそれをしょうがないですね、なんて言いながら許しちゃうしっっ。あったま来ちゃった。だから、青島君、夕ご飯おごって」
は?
え?
今、そんな流れだったっけ?
「すみれさん?なんで俺がご飯おごらなくちゃならないの?」
「雪乃さんと、真下君があんまり遅いから夕飯食べようかっていう話してたのっっ。だけどそのときに真下君が来たんだもん、アタシまだ食べてないの」
すみれさんの強引な論理に俺は思わず大きくため息をついてしまう。
「何よぉ、そういう風にため息つかなくても良いでしょう?せっかく、このアタシが青島君の事誘ってあげてるって言うのにっ」
「はいはい」
なんだかすみれさんは機関銃のように言葉をまくし立てる。
どこか、耳が赤いのは寒いせいかそれとも。
まぁ、いっか。
「いいよ。すみれさんの希望通り夕飯食べよう。でも、俺、今節約中なの」
そう言ってすみれさんは納得してくれるかな?
そろそろ、この関係進めても良いと思う。
顔の赤い、どこか行動が大きいすみれさんに『誘われた』事だしね。
「だからさ、俺んちでご飯食べない?もちろん、俺が作りますよ。すみれさんの食べたい料理」
「青島君が?」
怪訝そうに言うけど、すみれさんはどこか顔が嬉しそう。
「そ、得意料理一応片手じゃ数えられないぐらいはあるよ」
「じゃ、じゃあ、スパゲティーは?」
「了解です。お嬢様」
そう言って俺はすみれさんの手を取る。
「あ、青島君っ」
顔を真っ赤にするすみれさんがなんか可愛くって。
「スーパー、つきあってね」
「………アイス買って」
「こんな寒いのに?」
「さ、寒いからこそ食べるアイスはおいしいんじゃない」
俺が見つめてるの判ってるくせにすみれさんは顔を違う方に向けて声をうわずらせて答える。
「いいよ、すみれさんの好きなアイス買ってあげる」
「絶対よ。絶対!!」
すみれさんは嬉しそうに俺の方を見た。
帰り道があまりにも短かった。
それは楽しかったから。
明日もまた忙しいのかな?
そう言えば、夜勤明けの次の日は休みだから、一緒にいられるように。
願った。
**後書き:最初に浮かんだのは青島君が夜空を見上げてるところ。
今年で踊る10周年だそうです。
今年で踊る10周年だそうです。