「俺は帰るって言ってんだよ！！！」
「待て、乱馬。大晦日を親子共々すごそうとは思わぬのか！」
「だったら、家帰れ！お袋が待ってんぞ！！」
「確かに、あかねちゃんが待っておるのぉ」
「………あかねは関係ねーだろーが！！」
「うむ、皆まで言わずとも良い。いい加減素直にならんか！！！」
「っつーか、てめーらが邪魔してんじゃねぇか！！食らいやがれ、火中天津甘栗拳！！」
「うぉぉおおおおおおおおお」
　うし、帰るぞ！！！！ 　冬恒例の山ごもり。
　くそ親父に連れて行かれるせいで、毎年、冬休みはないようなもんだ。
　だが、今年はそれじゃ困る。
　マジで困る。
　………呪泉郷から帰ってから、俺とあかねはそれなりに近づいた。
　そりゃ、邪魔者はやっぱり出てくる。
　シャンプーとか、良牙とか、ウッちゃんとか………。
　まぁ、シャンプーや良牙はそれなりに判ってくれたらしい（Pちゃんはちょくちょく来てやがるようだが）。
　ウっちゃんも同意だ。
　問題は、小太刀と九能先輩……。
　そう、変態九能兄妹だ。
　相変わらず、今もしつこく俺たちを追い回して来やがる。
　そのせいで、のんびり学校生活も過ごせねえ。
　俺たちの結婚式（未遂）のせいで余計に邪魔される。
　これだったら、マジで挙げれば良かったか？
　なんてこの前本気であかねと話し合った。
　それぐらい、あの兄妹の嫌がらせは度を増している。
　確実に片付けられる1個が片付きもしない。
　俺の体は水をかぶれば女になってしまう。
　親父や良牙はそれを利用しているような気もするが。
　元に戻るって言ったって中国に行かなきゃなんないし。
　海泳ぐのしんどいし。
　としたら中国までの旅費稼がなきゃなんないし（帰りは何とかなるからとりあえず行き）ってなったらあかねも行くって言い出しそうだし。
　言い出したら人の話聞かないし。
　っつーか、お前は日本に残ってお袋やかすみさんに料理習ってくれって本気で言いたくなるし。
　っつーかなんでこんな山奥で修行してたんだ？
　麓の街はどこだよ！！！
　買ったばっかりのケータイは電池切れだし（寒いと電池の減りが早い早い）。
　っつーかやだよ、こんな山ん中で大晦日なんて。
　まだ数日あるはずだけど。
　あかねが文句言うんだ。
「クリスマス帰ってこないくせに！！年越し、初詣までなし？」
　って。
　しゃーねーから帰んだよ。
　あかねの着物姿見てやるって約束したんだ。
　クリスマスプレゼントだって必死に見つけたよ。
　っつーか天道家に暮らすようになって初めてまともにこんなことやってるよ。
「明かりだ」
　自然と口から言葉が漏れて急いで、降りる。
　とりあえず、なかなか見つかんない公衆電話必死で探して、ちゃんと覚えたあかねのケータイに電話する。
「あ、もしもし？俺乱馬……だけど」
　今、親父振り切って麓まで降りてきた。
　天道家につくのは明日になるかも。
　だから…………。