** Resistance:music by TM NETWORK / 機動戦士Zガンダム
時々、なんのためにMSに乗ってるのか判らなくなる。
最初から、理由なんて無かった。
ただティターンズを見返したいただそれだけでMSに乗った。
途中からこの世界が狂ってることに気づいた。
自分の目的のために戦う奴。
自分の本来の立場から逃げる奴。
この宇宙のために何かしようとしてる奴。
全員、どこか可笑しいと思った。
でも…本当に………。
通路で名前を呼ばれて振向けば、ファが追いかけてきた。
「カミーユ、探したのよ」
「ごめん…」
思わず口を出た言葉はそれだった。
なぜ謝ったのか判らなくて、ただファから視線をそらす。
「謝ったの、意味分からないけれど…。何かあったの?」
「……さぁ」
俺は、どうして良いのか判らない。
ファの気持ちに甘えているような気がする。
フォウが俺を庇って死んで、レコアさんがティターンズに寝返って、それから、もう頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「ファ、どうして、君はここにいるの?」
「え?」
「ごめん、変なこと聞いてる。前、聞いたっけ。エゥーゴに志願したって」
ファがアーガマで飛びついてきたとき驚いた。
どうして戦場の最前線であるここにファがいるんだろうって。
君はいちゃいけないって思ってるのに。
俺は、どうして戦場にいるんだろうって思った。
「カミーユ、迷ってる?」
そんなこと聞くのは君だけだ。
エマ中尉やクワトロ大尉だったら『迷ってる暇なんて無い』なんて言うのに。
「迷う?どうして」
そんな迷うなんてあり得ない。
そう思いこんで俺は答えた。
「何となくそう思ったの。戦わないでなんて言えないの判ってる。ここは戦艦で、カミーユはわたしは、MSに乗ってるんだもの、敵と戦わなくちゃならない」
「じゃあ」
「うん、迷ってるのは私ね。わたしはMSに乗らない方が良いんじゃないのかって。でも、でもね。カミーユが、戦場で立ってるんだもの。私は、カミーユのそばで戦おうって決めたの」
泣きそうなのに、どこか強い瞳でファは言う。
「カミーユ、これが終わったら、どうなるのかしら。平和になれば良いわね。私たちはそのために戦ってるんだもの。そうじゃなくちゃ困るわよね」
「そうだな。ファ、迷ってるのは吹っ切れた?」
「そうね。どうかな、怖いのは変わらないから」
そう言ってファは手を出す。
その手はかすかに震えていて、俺はその手を引いてファを抱きしめた。
「終わって、帰ろう」
どこにだか判らないけれど。
俺たちの家はもう無いけれど。
でも帰ろう。
「うん、そうだね」
ファはそうかすかにうなずいた。
俺は、戦わなくちゃならない。
ファが立つ戦場で、彼女を一人にしないために、俺は戦わなくちゃならない。
どこか、もろい足場で。
彼女は戦艦に乗ってから見せるどこか哀しげな笑顔は、彼女を弱々しく見えるけれど。
その中の思いは強いものだと思うから。
俺は、その思いに支えられて、戦場に向かおう。
たとえ、その先が地獄だとしても。
最初から、理由なんて無かった。
ただティターンズを見返したいただそれだけでMSに乗った。
途中からこの世界が狂ってることに気づいた。
自分の目的のために戦う奴。
自分の本来の立場から逃げる奴。
この宇宙のために何かしようとしてる奴。
全員、どこか可笑しいと思った。
でも…本当に………。
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「カミーユ」通路で名前を呼ばれて振向けば、ファが追いかけてきた。
「カミーユ、探したのよ」
「ごめん…」
思わず口を出た言葉はそれだった。
なぜ謝ったのか判らなくて、ただファから視線をそらす。
「謝ったの、意味分からないけれど…。何かあったの?」
「……さぁ」
俺は、どうして良いのか判らない。
ファの気持ちに甘えているような気がする。
フォウが俺を庇って死んで、レコアさんがティターンズに寝返って、それから、もう頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「ファ、どうして、君はここにいるの?」
「え?」
「ごめん、変なこと聞いてる。前、聞いたっけ。エゥーゴに志願したって」
ファがアーガマで飛びついてきたとき驚いた。
どうして戦場の最前線であるここにファがいるんだろうって。
君はいちゃいけないって思ってるのに。
俺は、どうして戦場にいるんだろうって思った。
「カミーユ、迷ってる?」
そんなこと聞くのは君だけだ。
エマ中尉やクワトロ大尉だったら『迷ってる暇なんて無い』なんて言うのに。
「迷う?どうして」
そんな迷うなんてあり得ない。
そう思いこんで俺は答えた。
「何となくそう思ったの。戦わないでなんて言えないの判ってる。ここは戦艦で、カミーユはわたしは、MSに乗ってるんだもの、敵と戦わなくちゃならない」
「じゃあ」
「うん、迷ってるのは私ね。わたしはMSに乗らない方が良いんじゃないのかって。でも、でもね。カミーユが、戦場で立ってるんだもの。私は、カミーユのそばで戦おうって決めたの」
泣きそうなのに、どこか強い瞳でファは言う。
「カミーユ、これが終わったら、どうなるのかしら。平和になれば良いわね。私たちはそのために戦ってるんだもの。そうじゃなくちゃ困るわよね」
「そうだな。ファ、迷ってるのは吹っ切れた?」
「そうね。どうかな、怖いのは変わらないから」
そう言ってファは手を出す。
その手はかすかに震えていて、俺はその手を引いてファを抱きしめた。
「終わって、帰ろう」
どこにだか判らないけれど。
俺たちの家はもう無いけれど。
でも帰ろう。
「うん、そうだね」
ファはそうかすかにうなずいた。
俺は、戦わなくちゃならない。
ファが立つ戦場で、彼女を一人にしないために、俺は戦わなくちゃならない。
どこか、もろい足場で。
彼女は戦艦に乗ってから見せるどこか哀しげな笑顔は、彼女を弱々しく見えるけれど。
その中の思いは強いものだと思うから。
俺は、その思いに支えられて、戦場に向かおう。
たとえ、その先が地獄だとしても。
**後書き:Z最終話近く。TV版と、映画版(見てないけど)が混ざってる感じがする気がする。
表向きは弱いファと表向きは強いカミーユ。って感じ?
表向きは弱いファと表向きは強いカミーユ。って感じ?