「魔法使いになってほうきで空を飛んでみたかったんだ」
「へぇ、案外カリィもロマンティストなんだね」
「バカにしてるのか?」
「まさか。そんなことはしないよ」
そう言ってアシュレイは優しい笑顔を向けた。
ココはアシュレイの城。
どこにあるかは、私は知らない。
大体、気がついたら川縁にいて、ワインレッドの髪を持つ少女…フレイア…が私の目の前にいたんだ。
彼女に聞いても教えてくれない。
まぁ、友達にはなったけれど。
で、フレイアと話していたらイルヴィスが出てきてそして、アシュレイが出てきたんだ。
この世界は綺麗なんだが…どこか暗い。
真っ青な空に、目に優しい緑。
でも、暗い。
「…そうだね…。寂しい?」
「どうして、そんなこと聞くんだ、お前は」
「……オレは君を無理矢理この城に閉じこめたから」
「全くだ。私は、いろんな所に行ってみたかったというのに」
そう言えば、アシュレイは悲しそうな笑顔を向ける。
「全く、何でそんな泣きそうな顔をするんだ」
「泣きそうな顔なんてした記憶はないけどな」
「今、してるだろう!!!お前なぁ、自覚ないのか?」
なんて奴だ。
こんな奴がこの世界の王だなんて、フレイアやイルヴィスに聞かされたって分りゃしない。
「いろんな所に行ってみたかった。ソレは事実だ。変えられようもない。私はランデールの王女だった。王女だった頃はどこへ行くにも誰か居ないと無理だった。どこかに簡単に行けるような状況じゃなかった。ソレを不自由と考えていた。でも、今は違う」
私の言葉にアシュレイは意味が分らないのか言葉の先を促すようにじっと私を見つめる。
「アシュレイ、お前が私にいろいろな話をしてくれるからだ。コレじゃあ本当にどこかの寝物語のラストみたいだけれど、本当にそう思ってるんだ。いろいろな話を聞かせてくれる。そこの場所にいたような気分になる。時々思うんだ…お前はどれだけの話を見続けていたのかと……」
どれだけ、一人で話を見続けていたのかと思うと私はソレを思うだけで寂しさを感じる。
胸が張り裂けそうな気分というのはこのことなのだろう。
とても泣きたくなるんだ。
「私がお前の側にいることで、お前の気が休まるのなら…悪くないって思えるようになったんだ」
進歩したよな。
最初は何で居なくちゃならないって思ってたんだけどな。
「カリィ……。ありがとう」
「当たり前だ。お前が最初に閉じこめたんだからなっ」
本当は礼なんてどうでもいいんだけど。
「じゃあ、お詫びに、長い話をしようか」
長い話?
「そう、少女を見つけた青年の話」
「どんな話だ?」
「この星じゃない遠い星で、青年は少女を見つけ出した。たった一人の少女を」
アシュレイは長い長い話をいつものように始める。
彼の話はまるで体験してるかのようにその景色が見える。
青い星の話。
この世界の…………気が遠くなるような昔の話………。
な終わり方をしてみた。
………実は繋がっていたりして?