「皆さんと出会えて幸せです」
とスナックお登勢にいる奇妙な生首はそう言った。
「神楽サンはどうですか?」
「私アルか?」
聞かれて戸惑う。
いつもババーの所にいるけど今は万事屋にいる。
便利な卵割り器にしようかと思ったけれど、銀ちゃんに止められた。
「銀ちゃん、人の頭見たら、卵は割りたくなるものアルよ」
そう力説しても聞き入れてくれない。
大人ってオーボーだ。
「おーい、そんなこと言って下から苦情聞かされんのオレだぞ」
「銀ちゃんが拾ってきたアル。飼い主は最後まで責任持てって言ったの銀ちゃんアル」
「いやいやいや、拾ったのはオレじゃないから。神楽ちゃんでしょ?」
…………………。
「過去は振り返らない主義アル」
「なにその主義、しかも今使うとこ〜?」
そんなこんなで『彼女』は万事屋にいる。
実は、ババー達は社員旅行だ。
二人しかいないくせにずりーよ。
こっちは3人も居るってーのに、銀ちゃんがマダオだから社員旅行なんて全然ないアル。
「おーい、話ずれてねえか?」
「銀ちゃんは黙ってるアル!!!」
軌道修正かけて(銀ちゃんに責任なすりつけて)私はたまとの会話に戻る。
「どうして、そう思ったアルか?」
単純な疑問をぶつけてみる。
いや、なんだか単純そうで難しそうだ。
「神楽サンの表情を見ていたら、そんな気がしました。銀の字さんや、新八さん達と一緒にいるととても楽しそうです」
「ちょっと待ってなんで銀の字?」
「源外様はそう呼んでおられましたが?さすがに銀ちゃんや銀さんとは呼べません」
そう言ってたまは視線を銀ちゃんから外す。
「神楽、オマエがオレのこと銀ちゃん銀ちゃんって呼ぶから、あのぞじじーの呼び方になっちまっただろうが!」
「じゃあ、銀ちゃんの事、名前で呼んだ方が良いアルか?銀時……って」
「……………銀ちゃんで良いです。なんだかいろんなまずいものがいま落ちてきたような気がする」
じゃあ、銀ちゃんは銀ちゃんで。
「神楽サン、教えてください」
「私が知ることほとんど無いね。でも思うことはいっぱいアルよ。たまもそうアル。あえて幸せなんてなかなか言えないアル」
「で、神楽サンは」
しつけーな、たま。
「銀ちゃんや新八がかわいそうだから出会えて良かったって言うことにしておくアル」
「おい、素直に言えねえのか?神楽ちゃんは」
「じゃあ、銀ちゃんはどうある?」
からかってくる銀ちゃんに逆に聞いてみる。
「お、?そりゃ、あれよあれ」
「あれだけじゃ分からないアルよ」
そうやってたまそっちのけで銀ちゃんとの会話は弾む。
「分かりました、神楽サンも銀の字さんも出会えて幸せなのですね」
たまの言葉に私と銀ちゃんは顔を見合わせる。
こうやって騒いでバカやって。
銀ちゃんと一緒にいられる事が出会えて幸せだと言うのなら。
それは間違いなく幸せなんだろう。
「まだ、よく分かんないアル」
そうたまに言う。
分かってるくせに誤魔化しても銀ちゃんにはきっとバレバレかも知れないけど。
銀神的素敵シーンがたま編は多かったよ。