『麦わら海賊団、総合賞金額6億超』
その報は、世界中を駆けめぐった。
「楽しそう」
手配書を見て思ったことはそれだ。
もしかすると自分もそこに居たのかも知れない。
とそんなことを想像してしまう。
「一緒に来い」
「一緒に行こう」
「海へ」
「海に」
そう、彼らに誘われる前に自分は迷っていた。
『ここ』に残るべきか、それとも彼らと行くべきか。
夢の様なそんな選択。
もう二度とあるとは思えなかった。
思えないと言うよりもあるはずがない選択肢。
彼らと共に海に出ること。
彼らと笑って過ごす事。
そんな夢みたいな事。
でも、結局最後に自分が選んだことは『ここ』に残ること。
「いつか会いに来る」
そう言う言葉は聞かなかったけれど、そういう合図は貰った。
絆を教えてくれた。
今、ここは未来に向かってひたむきに走っている。
彼らの様に早くは無いけれど。
それでも後々に『目を見張るばかりの速度で』と称されるのかも知れない。
彼らがここに来るときはすでに元の…自分が愛した様な『ここ』になっているのだろう。
もしかするとそれ以上にすばらしくなっているのかも知れない。
「ここに来るときは、彼らはどうなってるのかしら」
「クエー」
手配書を眺めながらそう呟く。
「ルフィさんの楽しそうな顔。ブシドーの不機嫌そうな顔。ナミさんのポーズとってる姿。トニー君の嬉しそうな顔、ウソップさんのなんで仮面かぶってるのかしら?それに、なんでサンジさんの写真っていうか絵がおっかしー!!」
「クエー」
お父様達がわざわざ置いていった手配書をカルーと見ながら楽しむ。
「もしかすると、ルフィさん達と行ってたら私たちもここに乗ってたのかも知れないわね」
「クエ」
カルーが私の言葉に頷く。
そんなあり得ないことを呟いて窓から見える空を見る。
青空がそこにあって遠くには雨雲が見える。
そろそろ乾期も終わって雨期に入る。
これからも走り続けるであろう彼らが戻してくれた雨の季節。
「ビビ、雨がそろそろ降る」
「知ってるわ、コーザ」
やってきたコーザにそう告げて、開けていた窓を閉めた。
サンビビorゾロビビにしようかと思いましたが、私的どっちもなくあると知ればコザビビなのでコザビビ(最後だけ)。
ビビちゃん、45巻登場記念です。