世界は球体の様。
天界と魔界(地界とも)があってその間に人間界と冥界がある。
天界と魔界は向かい合っていて、人間界と冥界も向かい合っている。
そして、この4つの世界の均衡を保っているのは死を司る死神。
でも死神は一人じゃない。
たくさんいる。
私はそのうちの一人。
冥界の私の住む城は天界よりも人間界に近く、そして魔界に近い。
天界に知り合いが多い死神もいるけれど、私は魔界に知り合いが多い。
天界に知り合いが居ないわけでも無いけれど。
「良いのかのぉ」
「何が?」
「こう、のんびり実験やっていても」
「博士の趣味は?」
「実験じゃのぉ」
「だったら好きなようにやっていても良いわ。誰も文句言ってないでしょう?」
「そうじゃの」
そう言って博士はまた訳の分からない(そう言ったらすねるから言わないけれど)実験に没頭する。
博士は天界の知り合いの一人。
正確にはだったと過去形をつける。
彼は12枚の羽を持つけれど、既に天使ではない。
天使の証であるリングは私が破壊した。
それは彼が望んだこと。
そして私も望んだこと。
彼は魔界に行くべきなのかも知れない。
でも、私の力で博士は霊界にいる。
そばにいて欲しかったから。
初めてあったときからずっとそばに行ってたから。
暇さえあれば博士の研究施設に潜り込んで彼と話していた。
博士は私が単なる暇つぶしで来ているのだと思っていたかも知れない。
でも、暇つぶしなんかじゃない。
そう言ったらきっと驚くから言わないけれど。
今は、こうやってそばにいてくれるから、博士もいることを望んでいてくれるから、私はそれだけで良いと思っている。
「博士、実験中悪いんだけど」
「なんじゃい?哀君」
博士だけが私の本当の名を呼ぶ。
「魔界に今から行くんだけれども、博士はどうする?」
そう問いかける。
すると博士は実験道具と私の顔を見比べて言う。
「じゃあ、わしも行くとしようか。哀君は怪我が多い、どういう風にしているんだか、ちゃんと見ないと行けないからのぉ」
「博士、結構心配性?」
「何を言う、儂はいつも哀君の事を心配しているんじゃよ」
「ありがとう」
博士の言葉に礼を言う。
「じゃあ、魔界に行くとしようかの」
そう博士は私を促す。
どこかへ出かけるだけでも楽しい。
それが仕事だろうが何だろうが。
「前は窮屈で仕方なかったんじゃが、今はのびのびとさせてもらっている。楽しいもんじゃよ。哀君のおかげじゃな」
そう笑う博士の笑顔に私もつられて笑った。
なので、それの続きです。
でもあんまり上手くいってない………。