「蘭」
　新一がいて、笑って、推理して…。
　…推理しては余計かもしれないけど。
　これがこれからも続いていけばいいと思う…。 　蘭がいて、笑って、怒って。
　それが当たり前になり始めた。
　コナンから新一に戻って。
　最初にしたことは蘭に告白したこと。
　周りからも本人からもいろいろ言われたけど。
　それでも、それだけは伝えたいと思った。
「ごめん。いろいろ言いたいことあると思う。けど、蘭が好きなのはホントだから」
　そう言うのがやっとで。
　怒ったら空手技掛けてくるから、あの素早いけりから逃げるのがやっとだった。
　コナンだったことも言った。
　そしたら
「一発殴らせなさい！！！！」
　なんて言って突きを出してくるから、よけざるを得なかったのはしかたないと思う。
「新一は、ちゃんとわたしが何考えてたか分かってる？知ってるわよね」
「はい」
　嫌みを多分に含ませた声色で蘭は言ってくる。
「新一、わたしは怒ってるの。それ、探偵の頭脳使わなくても分かるわよねぇ」
　えぇ、もう、十分に分かります。
『蘭を巻き込まないために新一＝コナンって言うことは黙っておこう』そう思ったはずなのに、結局、蘭を巻き込んで…。
　後悔先に立たずと言うか。
　黙ってた意味が全くないって言うか。
　結局、オレは蘭に謝るしかなくって。
「もう、今度黙ってたら全部許さないから」
　なんてある意味無罪放免にもなってないことを言われる。
「聞いてる？」
「聞いてる」
　そんなやりとりさえも、なんだか懐かしくって。
　笑いあって、抱き合って。
　側にいるのに、側にいないなんて事にはならないように。
「ちゃんと、側にいるから」
「ずっとだからね」
「約束」
　子供みたいに小指からませて、誓いの様に、言葉を紡ぐ。
　二度と無くしたくないから、ずっとこのままで。