いつでも会っちゃうの。
会いたくないって思っても会っちゃうのよ。
そしたら、気がついたら逢いたいって思うようになったの。
「お団子、いつになったら赤点じゃなくなるんだ?」
「あんたなんかに言われたくないわよっ」
ママにばれないように投げ捨てたテスト。
さいあくな事はやっぱりあいつにあってあの点数ばれることよっ。
最初はそんな感じ。
でも今は違うの……何でだろうなんて言えない。
あたしはきっとあの人が好きなんだと思う。
あたしがセーラームーンだってばれちゃって、あいつ……地場衛がタキシード仮面って分かったこと。
ひみつのこと。
あたしがセーラームーンだって知られちゃいけないんだと思う。
本当は。
だって、タキシード仮面が敵かもしれないんでしょう?
でも、いつも助けてくれるの。
ホントは近づいちゃいけないって分かってる。
でも、近づきたくなる。
好きになる。
放課後。
クラウンに行く前に立ち寄った公園。
そしたらいたの。
いるとは思わなかったけど、いてほしかった。
「よぉ」
短く掛けられる声。
低い声だなって思ったの。
「今日は早いんだな。補習無かったのか?」
「いつも、ある訳じゃないもん」
今日は珍しくなかった日。
だから急いできた。
途中、走ってきたなんて知られたくないから、ちょっと前から汗ぬぐって歩いて。
息整えて。
そんなにこの人に逢いたかったんだって、座って本を読んでる姿見たら。
どうしてだろう、ひどく泣きたくなった。
「何、泣いてるんだ?」
え?
「気付いてないのか?」
そう言ってまもちゃんはあたしの下まぶたに指を近づける。
離れていくそれはぬれていてあたしは泣いてるんだって気がついた。
泣きたくなっただけなのに、泣いちゃうなんて。
「うさこは泣き虫だよな」
「そんなことないもん。あなたのせいだもん」
「なんでオレのせい」
あなたに逢うと泣きたくなるんだもん。
うれしいから?それともかなしいから?
わからないの。
「じゃあ、ごめん」
「な、なんであやまるの?」
「おれのせいってキミが言うから」
「うっっち、ちがうもん」
「矛盾してるな」
なんて笑う。
深い深い色の瞳がきれいで思わずみとれる。
あたしはこの目も好きだったって思う。
なんでだろう、どこか。
「うさこ?どうしたんだ?ボーッとしてる」
「あ、な、なんでもないよ。ホントだよ?」
「分かった」
そう言って微笑んで。
懐かしい……笑み?
なんで懐かしいって思ったの?
どうしてこんなにいっぱい好きなところが出てくるの?
一緒にいた時間短いはずなのに。
分からなくって何かを聞きたくて、何を聞きたいのか分からなくてあたしと頭一つ分違う彼の顔を見上げる。
昼の月が彼の顔の奥にあって。
葉擦れの音がして。
「あのね」
何を言おうとおもってるか分からないけれど。
「あたし、あなたに逢いたかったの」
それだけ言うのが今は精一杯だって思ったの。
ちなみに雰囲気は原作の方で(というかアニメの方はほとんど忘れてたりします……。こ、声しか覚えてない)。 オルゴールより懐中時計派。
ムーンフェイズの懐中時計さがしたっけ……。