ハートレー彗星 その2

作用素(∫+∫^2+∫^3+ ・・・)と微分方程式を結ぶ定理 >
定理2の導出
定理2-2の導出



2011/5/8      < 作用素(∫+∫^2+∫^3+ ・・・)と微分方程式を結ぶ定理 >

 私は、8年前にe^xに関する公式の発見 その2」で、”作用素(∫+∫^2+∫^3+・・・)”と”微分方程式”という別の
世界を結びつける次の定理を発見していた。(若干表現を修正)

定理2
 G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

(∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f′(x)−f(x)=G(x)の特解(特殊解)f1(x)を
求め、f1(x)−f1(0)・e^x を計算したものに等しい。

(注意) (∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)は、∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。
  ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・などの重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


定理2-2
 G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f′(x) + f(x)=G(x) の特解(特殊解)f1(x)を
求め、f1(x)−f1(0)・e^(-x) を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)は、∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx -・・を略した書き方である。
  ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・などの重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


 この定理は「小島彗星」などでも見た次の定理3(作用素の定理)とも密接に関連するものである。これらは定理3から
自然に導かれる。なお、定理2、定理2-2、定理3(作用素の定理)、定理4(作用素の定理)はほぼ同時期に発見したもの
である(2003年)。

定理3(作用素の定理)
  G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・など
   の重回積分(高階積分)を表す。


定理4(作用素の定理)
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^(-x)∫e^x G(x)dx(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx-・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの
   重回積分(高階積分)を表す。


 定理2の内容をすこし具体的に見てみよう。e^xに関する公式の発見 その2」の例を再掲する(若干の変更あり)。

[再掲]**********************************************************************************
例えばG(x)=e^xだとして、具体的に(∫+∫^2+∫^3+・・・)e^xを上の手法で求めてみましょう。
[解法]
いま、G(x)=e^xとしていますから、定理2の微分方程式に相当するものは、
  f′(x)−f(x)=e^x  --------B
となります。
  f(x)=yとして、微分方程式らしく書き換えると、
  dy/dx−y=e^x  ---------C
となりますが、同じことです。
 BまたはCの微分方程式を解くのは簡単です。この手の定数係数の微分方程式は解き方がパターン化されています。
まず右辺0の
  dy/dx−y=0
の微分方程式を考え、その一般解は、
  y=C・e^x
となります。Cは定数です。
さて、Cの特解(特殊解)を求めるために、定数CをC(x)と関数とみることにしましょう。
つまり、  y=C(x)・e^x  ---------D
とおき、これをCに代入して計算すると、簡単な計算より、
   C′(x)=1
となります。よって、C(x)=x+C  (Cは定数です)
これをDに代入して、
  y=(x+C)・e^x=C・e^x+x・e^x (Cは定数)
となり、これが、CすなわちBの微分方程式の一般解です。

さて、晴れてf(x)=C・e^x+x・e^xと求まりましたので、あとは、f(x)−f(0)・e^x を求めればよいわけです。f(0)=Cより、
 f(x)−f(0)・e^x=C・e^x+x・e^x−C・e^x
          =x・e^x    <--- 一般解に関係するC・e^xの部分がうまく消えてしまう!

となり、(∫+∫^2+∫^3+・・・)e^xの正体は、x・e^x とわかりました。
もちろん、(∫+∫^2+∫^3+・・・)e^x を直接計算しても x・e^x が出ます。

・・・・(略)・・・・

 他にも(∫+∫^2+∫^3+・・・)x、(∫+∫^2+∫^3+・・・)x^2・e^(-x)、(∫+∫^2+∫^3+・・・)(x^2−3x+5)、
(∫+∫^2+∫^3+・・・)(cosx+sinx)なども上の手法で簡単に求めることができます。
 答えだけ書いておきます。みなさんも計算してみてください。

(∫+∫^2+∫^3+・・・)x=-x−1+e^x
(∫+∫^2+∫^3+・・・)x^2・e^(-x)=e^(-x)・(-x^2/2−x/2−1/4)+e^x/4
(∫+∫^2+∫^3+・・・)(x^2−3x+5)=-x^2+x−4+4e^x
(∫+∫^2+∫^3+・・・)(cosx+sinx)=e^x−cosx

[再掲終わり]***************************************************************************************

 このようにこの定理は、(∫+∫^2+∫^3+・・・)g(x)という無限の作用素による計算がなぜか微分方程式と関係していると
いう不思議な関係を表す定理なのである。

 上記は1階の微分方程式との関連を見たが、e^xに関する公式の発見 その2では2階、3階の微分方程式との関連
も示した。しかし、これを発見した2003年当時はあまり整理された状態で書いておらず、しかも定理3(作用素の定理)を発見
する前にこの微分方程式の定理を先に発表していたりして、未整理との感を免れない。

 この定理3(作用素の定理)を中心にして微分方程式との関連を導く方がいまとなっては自然に思えるので、もうすこし
整理・拡張した形で書き直していきたい。

 では、まず定理2を導くことにする。



2011/5/8                 < 定理2の導出 >

 ここでは定理2を導出することにする。
定理2
 G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

(∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f′(x)−f(x)=G(x) の特解(特殊解)f1(x)を
求め、f1(x)−f1(0)・e^x を計算したものに等しい。

(注意) (∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)は、∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。
  ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・などの重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


[導出]
 次の定理3を用いて定理2を導く。
定理3(作用素の定理)
  G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・など
   の重回積分(高階積分)を表す。

 
まず定理3(作用素の定理)のG(x)をf(x)に置き換えておく。すると、当然ながら次が成り立つ。
     e^x∫e^(-x)f(x)dx=(∫+∫^2+∫^3+・・・)f(x)   ----@

 さて∫e^(-x)・f(x)dxに部分積分を適用すると、次のようになる。(∫の計算範囲はすべて0〜xである。)

∫e^(-x)・f(x)dx=[-e^(-x)・f(x)](0〜x) − ∫{-e^(-x)}・f´(x)dx
          =-e^(-x)・f(x) + f(0) + ∫e^(-x)・f´(x)dx

 この両辺にe^xをかけて次を得る。
 e^x∫e^(-x)・f(x)dx=-f(x) + e^x・f(0) + e^x∫e^(-x)・f´(x)dx
よって、
 e^x∫e^(-x)・{f´(x)-f(x)}dx=f(x) - e^x・f(0)     ----A

@より、作用素e^x∫e^(-x)=作用素(∫+∫^2+∫^3+・・・) であるからAは次のようになる。
(∫+∫^2+∫^3+・・・){f´(x)-f(x)}dx=f(x) - e^x・f(0)     ----B

 いま f´(x)-f(x)=G(x)   ----C
として(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)を求めたいとしよう。すると、B右辺のf(x)の正体が求まりさえすばあとは f(x) - e^x・f(0) を
計算するだけで(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)が求まることに気づく。すなわち、f´(x)-f(x)=G(x) という微分方程式が解ければ
(f(x)の正体が求まれば)全ては解決するのである。
しかも、うまく出来たことに、f´(x)-f(x)=0 から出る基本解C・e^x は
Aの右辺=f(x)−e^x・f(0)=C・e^x−e^x・C・e^0=0
となり相殺されて消えてしまう!ため、結局Cの微分方程式の特解(特殊解)さえ求まればOKなのである。
つまり、Aの右辺を特解のf(x)で計算すると(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)が求まることになる。

よって、定理2が証明された。
[終わり]

このように定理2を導くことができた。



2012/1/13                 < 定理2-2の導出 >

 次に定理2-2を導出することにする。
定理2-2
 G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f′(x) + f(x)=G(x) の特解(特殊解)f1(x)を
求め、f1(x)−f1(0)・e^(-x) を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)は、∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx -・・を略した書き方である。
  ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・などの重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


[導出]
 定理4を用いて定理2-2を導く。
定理4(作用素の定理)
  G(x)はべき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

     e^(-x)∫e^x G(x)dx(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx-・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの
   重回積分(高階積分)を表す。


まず定理4(作用素の定理)のG(x)をf(x)に置き換えておく。すると当然ながら次が成り立つ。
     e^(-x)∫e^x f(x)dx=(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)f(x)   ----@

 さて∫e^x・f(x)dxに部分積分を適用すると次のようになる。(∫の計算範囲はすべて0〜xである。)

∫e^x・f(x)dx=[e^x・f(x)](0〜x) − ∫e^x・f´(x)dx
          =e^x・f(x) - f(0) - ∫e^x・f´(x)dx

 この両辺にe^(-x)をかけて次を得る。
 e^(-x)∫e^x・f(x)dx=f(x) - e^(-x)・f(0) - e^(-x)∫e^x・f´(x)dx
よって、
 e^(-x)∫e^x・{f´(x) + f(x)}dx=f(x) - e^(-x)・f(0)        ----A

@より、作用素e^(-x)∫e^x=作用素(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・) であるからAは次のようになる。
(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・){f´(x) + f(x)}dx=f(x) - e^(-x)・f(0)     ----B

 いま f´(x) + f(x)=G(x)   ----C
として(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)を求めたいとしよう。
すると、B右辺のf(x)の正体が求まりさえすばあとは f(x) - e^(-x)・f(0) を計算するだけで(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)
が求まることに気づく。
すなわち、f´(x) + f(x)=G(x) という微分方程式が解ければ(f(x)の正体が求まれば)、全ては解決するのである。
しかも、うまく出来たことに、f´(x) + f(x)=0 から出る基本解C・e^(-x) は
 Aの右辺=f(x) - e^(-x)・f(0)=C・e^(-x)−e^(-x)・C・e^0=0
となり相殺されて消えてしまう!ため、結局Cの微分方程式の特解(特殊解)さえ求まればOKなのである。
つまり、Aの右辺を特解のf(x)で計算すると(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)が求まることになる。

よって、定理2-2が証明された。
[終わり]

このように定理2-2を導くことができた。
定理2-2
 G(x)は、べき級数展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が成り立つ。

(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f′(x) + f(x)=G(x) の特解(特殊解)f1(x)を
求め、f1(x)−f1(0)・e^(-x) を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)は、∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx -・・を略した書き方である。
  ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・などの重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


 具体例を一つ見てみよう。
この定理を使うと、
 (∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)cosx
はいくらになるか?
微分方程式 f´(x)+f(x)=cosx の特解が、目視でf(x)=(cosx+sinx)/2とすぐにわかるので、定理2-2から
 (∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)cosx={cosx + sinx - e^(-x)}/2
と直ちに計算できる。

 定理2-2は定理4(作用素の定理)から直ちに出るものなので、たんに(∫-∫^2+∫^3- ∫^4+・・・)G(x)を求めたいと
いうだけの目的であれば、定理4を使いe^(-x)∫e^xG(x)dxを求めるという道筋をとってももちろんよい。またそれは定理2
に関しても同様に言えることであるが。

しかし、微分方程式と無限の作用素が密接に関連している!という深い構造を教えてくれているのが定理2や定理2-2
である。
これらは1階の微分方程式だが、2階や3階の微分方程式ではどのような作用素と関連してくるのか?それは非常に
興味深いことといえる。その辺り8年前は中途半端な形で終わっていたので、それをもう少し突っ込んで探ってみたいと思っ
ている。




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ゼータ系の彗星群

数学の研究