ハートレー彗星 その3

作用素(∫-∫^3+∫^5-∫^7+ ・・・)に関する定理 >
定理5の証明
定理5-Aの証明



2012/3/10      < 作用素(∫-∫^3+∫^5-∫^7+ ・・・)に関する定理 >

 ハートレー彗星 その2で示したものとはまた異なる作用素の定理を発見したので紹介します。次のものである。

定理5
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

     (sinx∫sinx+cosx∫cosx)G(x)dx(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx-∫∫∫G(x)dxdxdx+ ∫∫∫∫∫G(x)dxdxdxdxdx - ・・・を略した書き方である。例えば∫^3は積分∫を3回繰り返す
    重回積分(高階積分)を表す。


 この定理は、無限次の積分作用素(級数)を有限次の積分に圧縮するものともいえる。

 例えば、この定理を使うと、G(x)=sinxとした場合、(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)sinxを計算していたらたいへんだが、
左辺から、それは (x/2)・sinxとたちまち求まるのである。

 上記定理からさらに次の定理が出る。

定理5-A
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

 (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f´´(x)+ f(x)=G(x)の特解f1(x)を求め、
 1(x)+sinx・f1(0)-cosx・f´1(0) を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)は、∫G(x)dx-∫∫∫G(x)dxdxdx+ ∫∫∫∫∫G(x)dxdxdxdxdx - ・・・を略した書き方である。
   例えば∫^3は積分∫を3回繰り返す重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


 これは「無限次の積分の世界」と「有限次の微分方程式の世界」を結びつける定理といえる。異質な世界に橋をかける
定理なのである。

例えば、定理5-Aを使うと、G(x)=x^2とした場合、微分方程式f´´(x)+f(x)=x^2の特解f1(x)はf1(x)=x^2-2とすぐわかるので、
 (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)x^2 = 2(x-sinx)
とたちまちに求まる。

 定理5は、ハートレー彗星 その2で示した次のものと同類のものとなっている。

定理3(作用素の定理)
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

     e^x∫e^(-x)G(x)dx(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・など
   の重回積分(高階積分)を表す。


定理4(作用素の定理)
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

     e^(-x)∫e^x G(x)dx(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx-・・を略した書き方である。∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分などの
   重回積分(高階積分)を表す。



 一方、定理5-Aは次のものと同類となっている。
定理5-Aと下の定理との違いは、微分方程式が1階か2階かという違いである。その違いは積分作用素級数の隣同士の
項における積分次数の差に関係していると考えられる。

定理2
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

(∫+∫^2+∫^3+∫^4+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f′(x)−f(x)=G(x)の特解(特殊解)f1(x)を
求め、f1(x)−f1(0)・e^x を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)は、∫G(x)dx+∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx +・・を略した書き方である。
  ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・などの重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


定理2-2
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

(∫-∫^2+∫^3-∫^4+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f′(x) + f(x)=G(x) の特解(特殊解)f1(x)を
求め、f1(x)−f1(0)・e^(-x) を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)は、∫G(x)dx-∫∫G(x)dxdx+∫∫∫G(x)dxdxdx -・・を略した書き方である。
  ∫^2は∫∫の2回積分、∫^3は∫∫∫の3回積分・・などの重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


 それでは次に、定理5、定理5-Aの証明を示すことにしよう。



2012/3/10               < 定理5の証明 >
2012/3/11改

 ここでは定理5の証明を示すことにする。

定理5
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

     (sinx∫sinx+cosx∫cosx)G(x)dx(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx-∫∫∫G(x)dxdxdx+ ∫∫∫∫∫G(x)dxdxdxdxdx - ・・・を略した書き方である。例えば∫^3は積分∫を3回繰り返す
    重回積分(高階積分)を表す。


[証明]
いまf(x)はべき級数展開したとき収束半径rを持つ関数とする。以下に記す[ ]と∫の範囲は全て0〜xだが、このxは全てr内
のx (x < | r |)とする。また以下で右辺の変形や展開においては∫内のdxは略した。

∫sinx・f(x)dxに部分積分を適用して証明していく。

さて、∫sinx・f(x)dxに1回部分積分を適用してそれを変形すると、次のようになる。
 ∫sinx・f(x)dx=[sinx∫f(x)]- ∫cosx∫f(x) =sinx∫f(x) - ∫cosx∫f(x)

右辺第2項に部分積分を適用して変形すると、次となる。
 ∫sinx・f(x)dx=sinx∫f(x) - {[cosx∫∫f(x)] - ∫(-sinx)∫∫f(x)}= sinx∫f(x) - cosx∫∫f(x) - ∫sinx∫∫f(x)

右辺第3項に部分積分を適用すると、次のようになる。
 ∫sinx・f(x)dx=sinx∫f(x) - cosx∫∫f(x) - {[sinx∫∫∫f(x)] - ∫cosx∫∫∫f(x)}
        =sinx∫f(x) - cosx∫∫f(x) - sinx∫∫∫f(x) + ∫cosx∫∫∫f(x)

右辺第4項に・・と、これを延々と繰り返していくことでいくらでも高次の∫∫・・∫の項を増やしていける。しかし、本当に次式
のような無限展開は可能なのだろうか?答えはYes.

∫sinx・f(x)dx=sinx∫f(x)-cosx∫^2f(x)-sinx∫^3f(x)+cosx∫^4f(x)+sinx∫^5f(x)-cosx∫^6f(x)-sinx∫^7f(x)+ ・・・ --@

上式は成立するのである。(∫∫は∫^2、∫∫∫は∫^3などと表現した。)
なぜなら上式ではf(x)のべき級数展開における収束半径r内で積分しているという強力な条件があるからである。よって積分
範囲が0〜xの∫f(x)dxという積分はもちろん確定した”ある値”をとる。さらにf(x)に、-1〜1の値をとる関数sinx(-∞< x <∞)を
掛けた関数sinx・f(x)を積分した∫sinx・f(x)dxも当然”ある確定した値”をとる。@左辺がある確定した値(Kとしよう)となるの
だから、@右辺の無限展開もある値Kに収束することが約束される。よって@式は成立することがわかった。

 同様の考察によって次式の成立もいえる。

∫cosx・f(x)dx=cosx∫f(x)+sinx∫^2f(x)-cosx∫^3f(x)-sinx∫^4f(x)+cosx∫^5f(x)+sinx∫^6f(x)-cosx∫^7f(x) + ・・・ --A

 @、Aを並べておこう。

∫sinx・f(x)dx=sinx∫f(x)-cosx∫^2f(x)-sinx∫^3f(x)+cosx∫^4f(x)+sinx∫^5f(x)-cosx∫^6f(x)-sinx∫^7f(x) + ・・・ --@

∫cosx・f(x)dx=cosx∫f(x)+sinx∫^2f(x)-cosx∫^3f(x)-sinx∫^4f(x)+cosx∫^5f(x)+sinx∫^6f(x)-cosx∫^7f(x) + ・・・ --A

 次に「@の両辺にsinxを掛けたもの」と「Aの両辺にcosxを掛けたもの」を足し合わそう。つまり、sinx×@+cosx×Aを計算
する。すると、次のようになることは容易にわかる。もう少し先の項まで書いたが。

 (sinx∫sinx+cosx∫cosx)f(x)dx=(∫-∫^3+∫^5-∫^7+∫^9-∫^11+・・・)f(x)

ここで左辺と右辺は(sinx∫sinx+cosx∫cosx)、(∫-∫^3+∫^5-∫^7+∫^9-∫^11+・・)という作用素の形でまとめて書いた。
f(x)をG(x)と置き換えれば、これは定理5の式そのものである。
よって、定理5が証明された。

[終わり]



2012/3/10               < 定理5-Aの証明 >

 ここでは定理5-Aの証明を示す。

定理5-A
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

 (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f´´(x)+ f(x)=G(x)の特解f1(x)を求め、
 1(x)+sinx・f1(0)-cosx・f´1(0) を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)は、∫G(x)dx-∫∫∫G(x)dxdxdx+ ∫∫∫∫∫G(x)dxdxdxdxdx - ・・・を略した書き方である。
   例えば∫^3は積分∫を3回繰り返す重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


[証明]
この定理5-Aは、定理5を用いれば簡単に証明できる。そこで定理5をまず示しておく。

定理5
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

     (sinx∫sinx+cosx∫cosx)G(x)dx(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)

 ここで∫の積分範囲はすべて0〜xである。

(注意)右辺は∫G(x)dx-∫∫∫G(x)dxdxdx+ ∫∫∫∫∫G(x)dxdxdxdxdx - ・・・を略した書き方である。例えば∫^3は積分∫を3回繰り返す
    重回積分(高階積分)を表す。


 はじめに定理5のG(x)をf(x)に置き換えておく。すると、次が成り立つ。(∫の計算範囲はすべて0〜xである。)
   (sinx∫sinx+cosx∫cosx)f(x)dx=(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)f(x)   ----@

 これは、当然ながら次と同じである。
   sinx∫sinx・f(x)dx+cosx∫cosx・f(x)dx=(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)f(x)   ----@-2

 さて∫sinx・f(x)dxに部分積分を適用すると、次となる。
∫sinx・f(x)dx=-cosx・f(x)+f(0)+sinx・f´(x)-∫sinx・f´´(x)dx
まとめると、次のようになる。
∫sinx{f´´(x)+f(x)}dx=-cosx・f(x)+f(0)+sinx・f´(x)
両辺にsinxを掛けて、次を得る。
 sinx∫sinx{f´´(x)+f(x)}dx=-sinx・cosx・f(x)+sinx・f(0)+(sinx)^2・f´(x)     ------B

 同様に∫cosx・f(x)dxに対しても同様に行って次を得ることができる。
 cosx∫cosx{f´´(x)+f(x)}dx=cosx・sinx・f(x)-cosx・f´(0)+(cosx)^2・f´(x)  -----C

 B、Cを足し合わせて次を得る。
(sinx∫sinx+cosx∫cosx){f´´(x)+f(x)}dx=f´(x) + sinx・f(0) - cosx・f´(0)  -----D

 さて、Dでf´´(x)+f(x)=G(x)とおくと、次が成り立つ。
(sinx∫sinx+cosx∫cosx)G(x)dx=f´(x) + sinx・f(0) - cosx・f´(0) 

定理5より、作用素(sinx∫sinx+cosx∫cosx)=(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)であるから、上式は次のようになる。
(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)dx=f´(x) + sinx・f(0) - cosx・f´(0)    ------E

いま、(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)を求めたいとしよう。Eを見ると、f(x)の正体が分かればそれを用いてE右辺を計算
するだけで(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)が求まってしまうことに気づく。
すなわち、f´´(x)+f(x)=G(x)という2階の微分方程式を解いてf(x)の正体を求めさえすれば全ては解決するのである。
f´´(x)+f(x)=G(x)の基本解f0(x)は、f0(x)=C1・cosx+C2・sinxだが、これをE右辺に代入すると、
E右辺=-C1・sinx+C2・cosx+C1・sinx-C2・cosx=0
となる。なんと0となって相殺され消えてしまうのである!
結局、f´´(x)+f(x)=G(x)の特解(特殊解)f1(x)さえ求まれば十分なのである。すなわち、微分方程式f´´(x)+f(x)=G(x)の
特解f1(x)を求めてそれでE右辺を計算すれば(∫+∫^2+∫^3+・・・)G(x)が求まることがわかった。

よって、定理5-Aが証明された。

[終わり]


さて、定理5-Aの具体的な応用例を見ておこう。

定理5-A
  G(x)は、べき級数(蚤n・x^n)展開したとき収束半径がrである関数とすると、その半径内のxにおいて次が
 成り立つ。

 (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)を計算した結果は、微分方程式 f´´(x)+ f(x)=G(x)の特解f1(x)を求め、
 1(x)+sinx・f1(0)-cosx・f´1(0) を計算したものに等しい。

(注意) (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)G(x)は、∫G(x)dx-∫∫∫G(x)dxdxdx+ ∫∫∫∫∫G(x)dxdxdxdxdx - ・・・を略した書き方である。
   例えば∫^3は積分∫を3回繰り返す重回積分(高階積分)を表す。∫の積分範囲はすべて0〜xである。


 G(x)=sinxとして、いま(∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)sinxを計算したいとする。
これを直接計算していたら大変である。
そこで定理5-Aを用いる。
f´´(x)+f(x)=sinxの特解(特殊解とも特別解ともいう)f1(x)は、基本解から類推したりして、割合簡単に f1(x)=(-x/2)cosx と
求めることができる。これから、1(x)+sinx・f1(0)-cosx・f´(0)を計算することで、
 (∫-∫^3+∫^5-∫^7+・・・)sinx=(x/2)sinx
とすぐに求まるのである。
 
 こういう計算もいいのだが、定理5-Aは、なんといっても「有限次の微分方程式」と「無限次の積分」という別世界
の関係性を示したものであり、数学の深い構造をあぶり出した定理であるともいえる。




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