< 奇数ゼータ=(奇数ゼータ) >
< ζ(5)とζ(7)の式 >
ここではテイラーシステムでの結果をお知らせしたい。
1年少し前「ウェスト彗星 その3」で、「奇数ゼータを奇数ゼータで表す」という興味深い式を見出した。
しかも係数が有理数という面白いものである。ζ(3)だけ記すと次のものであった(両辺に1/2を掛け、少し変形)。
(1/2)(1-1/2^2)(1-1/2^3)(2!/0!)ζ(3)
=(1-1/2^5)(4!/2!)ζ(5)/2^5 + (1-1/2^7)(6!/4!)ζ(7)/2^7
+ (1-1/2^9)(8!/6!)ζ(9)/2^9 + (1-1/2^11)(10!/8!)ζ(11)/2^11
+ (1-1/2^13)(12!/10!)ζ(13)/2^13 + (1-1/2^15)(14!/12!)ζ(15)/2^15
+ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ -----@
今回、これと異なる同類の式を見つけたのでそれを示す。次のものである。
(1/2)(1-1/3^3)(2!/0!)ζ(3)/2^3
=(1-1/2^3)(2!/0!)ζ(3)/3^3 + (1-1/2^5)(4!/2!)ζ(5)/3^5
+ (1-1/2^7)(6!/4!)ζ(7)/3^7 + (1-1/2^9)(8!/6!)ζ(9)/3^9
+ (1-1/2^11)(10!/8!)ζ(11)/3^11 + (1-1/2^13)(12!/10!)ζ(13)/3^13
+ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ------A
@ではζ(3)を左辺に寄せてまとめてしまったが、これらは完全に同類の式となっている。
ただ@右辺は/2^nとなっているが、今回のAでは/3^nとなっている点が違っている。Aの方が収束が速いといえる。
これらは右辺が有理数の係数になっており非常に本質的なものを感じさせる式である。
通常の奇数ゼータ=[偶数ゼータの無限和]の式はπが混じってきたりして、いま一つ美しさに欠けるが、上式は美しさ
でも際立っている。
Aをどのようにして導いたかを以下で示す。
「マックノート彗星」の「その1」〜「その5」でテイラーシステムの条件Cos[ s=s, 2π/3代入, πテイラー]で様々な式を
導出した。具体的には多くの式を導出したが、一般式はまだ書いていなかった。
まず一般式を導出しておく。
f(x)=(cosx)/1^s + (cos2x)/2^s + (cos3x)/3^s + (cos4x)/4^s + ・・・ -------@
という式に、Cos[ s=s, 2π/3代入, πテイラー]という条件でテイラーシステムを適用すると、途中は略すが(詳しくは
「マックノート彗星」参照)、次式が求まる。
(-1/2)(1-3^(1-s))ζ(s)=-(1-2^(1-s))ζ(s) + (1-2^(3-s))ζ(s-2)・A2
- (1-2^(5-s))ζ(s-4)・A4 + (1-2^(7-s))ζ(s-6)・A6
- (1-2^(9-s))ζ(s-8)・A8 + (1-2^(11-s))ζ(s-10)・A10
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ------A
一般式が求まった。ここでAn=(π/3)^n /n!である。
例えばs=3とすれば、ζ(3)=[偶数ゼータζ(2n)の無限和]として求まることになる。
いま求めたいのは買ト(2n)の形ではなくて、買ト(2n+1)の形であるから、Aにさらに一工夫加える。
Aの両辺をsに関して微分すると、次のようになる。
(-1/2){3^(1-s)・log3・ζ(s) + (1- 3^(1-s))・ζ ´(s)}
=- log2・2^(1-s)・ζ(s) - (1-2^(1-s))・ζ ´(s)
+ A2・log2・2^(3-s)・ζ(s-2) + A2・(1-2^(3-s))・ζ ´(s-2)
- A4・log2・2^(5-s)・ζ(s-4) - A4・(1-2^(5-s))・ζ ´(s-4)
+ A6・log2・2^(7-s)・ζ(s-6) + A6・(1-2^(7-s))・ζ ´(s-6) ------B
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Bでs=-2とすると、次のようになる。
(1/2){3^3・log3・ζ(-2) + (1- 3^3)・ζ ´(-2)}
=- log2・2^3・ζ(-2) - (1-2^3)・ζ ´(-2)
+ A2・log2・2^5・ζ(-4) + A2・(1-2^5)・ζ ´(-4)
- A4・log2・2^7・ζ(-6) - A4・(1-2^7)・ζ ´(-6)
+ A6・log2・2^9・ζ(-8) + A6・(1-2^9・ζ ´(-8)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここでζ(-2)=ζ(-4)=ζ(-6)=・・=0であるから、上式は次となる。
(-1/2)(1- 3^3)・ζ ´(-2)
=- (1-2^3)・ζ ´(-2) + A2・(1-2^5)・ζ ´(-4) - A4・(1-2^7)・ζ ´(-6) + A6・(1-2^9)・ζ ´(-8) - ・・・・・ ----C
さて、ここでζ(s)の関数等式
ζ(1-s)=cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s)
を利用する。この両辺を微分すると、
-ζ ´(1-s)=-(π/2)・sin(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s)
+ cos(πs/2)・Γ´(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s)
- cos(πs/2)・Γ(s)・log2・2^(1-s)・π^(-s)・ζ(s)
- cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・logπ・π^(-s)・ζ(s)
+ cos(πs/2)・Γ(s)・2^(1-s)・π^(-s)・ζ ´(s) ----D
Dより、
s=3とすると、 -ζ ´(-2)=(π/2)・Γ(3)・2^(-2)・π^(-3)・ζ(3)
s=5とすると、 -ζ ´(-4)=-(π/2)・Γ(5)・2^(-4)・π^(-5)・ζ(5)
s=7とすると、 -ζ ´(-6)=(π/2)・Γ(7)・2^(-6)・π^(-7)・ζ(7)
s=9とすると、 -ζ ´(-8)=-(π/2)・Γ(9)・2^(-8)・π^(-9)・ζ(9)
・・・・・
となる(Dのcos項が全部0となったことに注目!)。ここでΓ(n+1)=n!である。これらをCに代入して整理すると次を得る。
(1/2)(1-1/3^3)(2!/0!)ζ(3)/2^3
=(1-1/2^3)(2!/0!)ζ(3)/3^3 + (1-1/2^5)(4!/2!)ζ(5)/3^5
+ (1-1/2^7)(6!/4!)ζ(7)/3^7 + (1-1/2^9)(8!/6!)ζ(9)/3^9
+ (1-1/2^11)(10!/8!)ζ(11)/3^11 + (1-1/2^13)(12!/10!)ζ(13)/3^13
+ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
冒頭でかかげた式が求まった。
収束性を見ておこう。
左辺=0.14469203・・・
であり、これが目標となる。
右辺1項だけ=0.07791109・・
右辺3項まで=0.14124109・・
右辺5項まで=0.14459439・・
となり、素早く左辺に収束していく。
同様にしてζ(5)、ζ(7)を出すと、次のようになる。
(1/2)(1-1/3^5)(4!/0!)ζ(5)/2^5
=(1-1/2^5)(4!/0!)ζ(5)/3^5 + (1-1/2^7)(6!/2!)ζ(7)/3^7
+ (1-1/2^9)(8!/4!)ζ(9)/3^9 + (1-1/2^11)(10!/6!)ζ(11)/3^11
+ (1-1/2^13)(12!/8!)ζ(13)/3^13 + (1-1/2^15)(14!/10!)ζ(15)/3^15
+ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1/2)(1-1/3^7)(6!/0!)ζ(7)/2^7
=(1-1/2^7)(6!/0!)ζ(7)/3^7 + (1-1/2^9)(8!/2!)ζ(9)/3^9
+ (1-1/2^11)(10!/4!)ζ(11)/3^11 + (1-1/2^13)(12!/6!)ζ(13)/3^13
+ (1-1/2^15)(14!/8!)ζ(15)/3^15 + (1-1/2^17)(16!/10!)ζ(17)/3^17
+ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
きれいな規則性が出ているので、ζ(9)以降もどうなるかは容易にわかる。
「ウェスト彗星 その3」ではζ(1)に対応するlog2も求めた。よってここでも同じようにして求めようとしたのだが、
今度は、どうしてもlog2が求まらないことになってしまった。特異点が消えないのである。なにかうまい回避策があるの
だろうか。とりあえずlog2は課題としておきたい。
ζ(3)と合わせてまとめておこう。
今回のCos[ s=s, 2π/3代入, πテイラー]+微分の結果と「ウェスト彗星 その3」Cos[ s=s, π/2代入, πテイラー]+微分
を比較しておこう。
下記二つの類似性に着目いただきたい。
注意:上の方との比較をしやすくするため、下の方は「ウェスト彗星 その3」の結果を若干変形して形を整えた。
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