スコッティ彗星 その2

Si(x)を分子にもつζ(s)類似値の導出 >
ζ(4)類似値の導出
ζ(2)類似値の導出 >
ζ(3)類似値の導出 >
ζ(1)?類似値の導出 >
ζ(2)類似値とζ(4)類似値の明示的な表示の導出 >



2009/1/11           < Si(x)を分子にもつζ(s)類似値の導出 >

 佐藤郁郎氏は、コラム「フレネル積分の諸性質 」「シンク関数の数学的諸性質(その2) 」の中で、積分正弦関数Si(x)
の種々の興味深い計算を示されている。
今回それに触発されて、Si(x)値を分子にもつζ(s)類似の値(積分表示)をフーリエシステムを用いて求めてみたい。
積分正弦関数Si(x)は、Si(x)=∫(0〜x) sint/t dt で定義される関数である。

 具体的には、次のようなものを求める。
 {Si(2π)-Si(0)}/1^s+ {Si(3π)-Si(1π)}/2^s + {Si(4π)-Si(2π)}/3^s + {Si(5π)-Si(3π)}/4^s + ・・・
すなわち、
 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^s
である。
 ζ(s)=1/1^s+ 1/2^s + 1/3^s + 1/4^s + ・・・
であるから、”ζ(s)類似”の意味がおわかりいただけると思う。

 フーリエシステムを用いると、ζ(s)やL(s)のようなゼータ関数の値のみならず、さまざまな級数的な値を導出すること
ができる。「ホームズ彗星」や「スワン彗星」で多くの事例を計算したが、ここでも同じようにして求める。



2009/1/11              <ζ(4)類似値の導出 >

  (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^sにおいて、まずs=4のζ(4)類似のものから求めたい。

[煤oSi((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^4の導出]

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^4
 ={Si(2π)-Si(0)}/1^4 + {Si(3π)-Si(1π)}/2^4 + {Si(4π)-Si(2π)}/3^4 + ・・・    ----@

に着目して、まず次の関数(フーリエ級数)

 f(x)={Si(2π)-Si(0)}cosx/1^4+ {Si(3π)-Si(1π)}cos2x/2^4 + {Si(4π)-Si(2π)}cos3x/3^4 + ・・・ ----A

を考える。フーリエ級数の直交性を用いると、
 {Si(2π)-Si(0)}/1^4=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2^4=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3^4=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
となる。さらに右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。

 {Si(2π)-Si(0)}/1^4=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1^3 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2^3 + ・・]・(sinx/1) dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2^4=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1^3 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2^3 + ・・]・(sin2x/2) dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3^4=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1^3 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2^3 + ・・]・(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、次を得る。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^4
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1^3 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2^3 + ・・]・(sinx/1 + sin2x/2 + ・・)dx    ----B

B右辺に対してさらにSin-Cos移動の法則(部分積分)を繰り返していくと、次のような式が機械的に次々に出せる。
この簡潔な変形を味わっていただきたい。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^4
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx/1^2 + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x/2^2 + ・・]・(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + ・・)dx

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^4
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1^1 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2^1 + ・・]・(sinx/1^3 + sin2x/2^3 + ・・)dx

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^4
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x + ・・]・(cosx/1^4 + cos2x/2^4 + ・・)dx     ----C


 さて、Cに注目しよう。右辺にフーリエ級数の公式
  cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・={2π^2(x-π)^2 - (x-π)^4 - 7π^4/15}/48   (0 <=x<= 2π) 
  (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}cos(nx)=πsinx/x -π/2- Si(π)   (-π<=x<= π)     ----D
を用いて整理するとCは次のようになる。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^4
  =(1/24)∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{2π^2(x-π)^2-(x-π)^4 -7π^4/15} dx    ----E

 目的の積分表示が求まった。
@の形を考えたことで途中フーリエ級数の公式Dが利用できるようになったことに注目いただきたい。

 なお、公式Dは一般的な公式
(n=1〜∞){Si((n+a)π)-Si((n-a)π)}cos(nx)=πsin(ax)/x -π/2- Si(aπ)   (-π<=x<= π)     ----D
においてa=1とした場合のものである。
(ここで用いたフーリエ級数の公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)を参照)

[終わり]

 ζ(4)はζ(4)=π^4/90ときっちり明示的に求まる。Eは、どうだろうか。さらに計算を続行できそうだが、かなり
難しくなるので、とりあえずここでおいておく。

 E式はフリーの計算ソフトBearGraphなどを用いて数値計算的に検証した。OKであった。
E右辺=1.40786・・ となる。これが目標値。
 E左辺の3項まで=1.40799・・
 E左辺の4項まで=1.40783・・
 E左辺の5項まで=1.40787・・
と、左辺は交代的に急速に目標値に収束していく。

{Si((n+1)π)-Si(n-1)π}/n^4の導出

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^4
   =(1/24)∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{2π^2(x-π)^2-(x-π)^4 -7π^4/15}dx




2009/1/11              <ζ(2)類似値の導出 >

  次に、(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^sにおいて、s=2のζ(2)類似を求める。

[煤oSi((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^2の導出]

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^2
 ={Si(2π)-Si(0)}/1^2 + {Si(3π)-Si(1π)}/2^2 + {Si(4π)-Si(2π)}/3^2 + ・・・    ----@

に着目して、まず次の関数(フーリエ級数)

 f(x)={Si(2π)-Si(0)}cosx/1^2+ {Si(3π)-Si(1π)}cos2x/2^2 + {Si(4π)-Si(2π)}cos3x/3^2 + ・・・ ----A

を考える。フーリエ級数の直交性を用いると、
 {Si(2π)-Si(0)}/1^2=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2^2=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3^2=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
となる。さらに右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。

 {Si(2π)-Si(0)}/1^2=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2 + ・・]・(sinx/1) dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2^2=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2 + ・・]・(sin2x/2) dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3^2=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2 + ・・]・(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、次を得る。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^2
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2 + ・・]・(sinx/1 + sin2x/2 + ・・)dx    ----B

B右辺に対してさらにSin-Cos移動の法則(部分積分)を用いると次式が得られる。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^2
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x + ・・]・(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + ・・)dx     ----C

 さて、Cに注目しよう。右辺にフーリエ級数の公式
  cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(x-π)^2/4 - π^2/12   (0 <=x<= 2π) 
  (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}cos(nx)=πsinx/x -π/2- Si(π)   (-π<=x<= π)     ----D
を用いて整理するとCは次のようになる。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^2
  =∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{(x-π)^2/2 - π^2/6} dx    ----E

 目的の積分表示が求まった。

[終わり]

 E式はフリーの計算ソフトBearGraphなどを用いて数値計算的に検証した。OKであった。
E右辺=1.38024・・ となる。これが目標値。
 E左辺の3項まで=1.38208・・
 E左辺の4項まで=1.37953・・
 E左辺の5項まで=1.38056・・
 E左辺の5項まで=1.38033・・
と、左辺は交代的に急速に目標値に収束していく。

 ζ(2)はζ(2)=π^2/6ときっちり明示的に求まる。Eは、どうだろうか。さらに計算できそうだが、一旦ここでおいておく。

{Si((n+1)π)-Si(n-1)π}/n^2の導出

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^2=∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{(x-π)^2/2 - π^2/6} dx




2009/1/11              <ζ(3)類似値の導出 >

 次に、(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^sで、s=3のζ(3)類似を求めよう。
 これは、奇数ゼータζ(3)と同じような性質をもっているのだろうか?

[煤oSi((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^3の導出]

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^3
 ={Si(2π)-Si(0)}/1^3 + {Si(3π)-Si(1π)}/2^3 + {Si(4π)-Si(2π)}/3^3 + ・・・    ----@

に着目して、まず次の関数(フーリエ級数)

 f(x)={Si(2π)-Si(0)}sinx/1^3+ {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2^3 + {Si(4π)-Si(2π)}sin3x/3^3 + ・・・ ----A

を考える。今度は、sin級数を考えた点に注目せよ。
フーリエ級数の直交性を用いると、
 {Si(2π)-Si(0)}/1^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sinx dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
   ・
   ・
となる。さらに右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。

 {Si(2π)-Si(0)}/1^3=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx/1^2 + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x/2^2 + ・・]・(cosx/1) dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2^3=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx/1^2 + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x/2^2 + ・・]・(cos2x/2) dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3^3=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx/1^2 + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x/2^2 + ・・]・(cos3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、次を得る。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^3
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx/1^2 + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x/2^2 + ・・]・(cosx/1 + cos2x/2 + ・・)dx  ---B

B右辺に対してさらにSin-Cos移動の法則(部分積分)を繰り返していくと、次のような式が機械的に次々に出せる。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^3
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}sinx/1 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2 + ・・]・(sinx/1^2 + sin2x/2^2 + ・・)dx

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n^3
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x + ・・]・(cosx/1^3 + cos2x/2^3 + ・・)dx     ----C


 さて、Cに注目しよう。右辺にフーリエ級数の公式
 cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + ・・=ζ(3) + (x^2/2)log2 + ∫(0〜x) (x-t)log(sin(t/2))dt   (0 <=x<= 2π) 
 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}cos(nx)=πsinx/x -π/2- Si(π)     (-π<=x<= π) 
を用いて整理するとCは次のようになる。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^3
  =2∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{ζ(3) + (x^2/2)log2 + ∫(0〜x) (x-t)log(sin(t/2))dt} dx      ----D

 目的の積分表示が求まった。
(ここで用いたフーリエ級数の公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)を参照)

 Dは、∫の中に∫が含まれるという極めて醜い形をしている!
つまり、(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^3は、本質的にζ(3)の心を宿しているのである。

[終わり]

{Si((n+1)π)-Si(n-1)π}/n^3の導出

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^3
   =2∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{ζ(3) + (x^2/2)log2 + ∫(0〜x) (x-t)log(sin(t/2))dt} dx




2009/1/11              <ζ(1)?類似値の導出 >

 次に、(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^sで、s=1のζ(1)?類似を求めよう。
ここで?をつけたのは、ζ(1)は発散して収束しないからであるが、形の観点からζ(1)類似としておく。

[煤oSi((n+1)π)-Si((n-1)π)}/nの導出]

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n
 ={Si(2π)-Si(0)}/1 + {Si(3π)-Si(1π)}/2 + {Si(4π)-Si(2π)}/3 + ・・・    ----@

に着目して、まず次の関数(フーリエ級数)

 f(x)={Si(2π)-Si(0)}sinx/1 + {Si(3π)-Si(1π)}sin2x/2 + {Si(4π)-Si(2π)}sin3x/3 + ・・・ ----A

を考える。今度も、sin級数を考える。
フーリエ級数の直交性を用いると、
 {Si(2π)-Si(0)}/1=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sinx dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
   ・
   ・
となる。さらに右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。

 {Si(2π)-Si(0)}/1=(2/π)∫(0〜π) ({Si(2π)-Si(0)}cosx + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x + ・・)・(cosx/1) dx
 {Si(3π)-Si(1π)}/2=(2/π)∫(0〜π) ({Si(2π)-Si(0)}cosx + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x + ・・)・(cos2x/2) dx
 {Si(4π)-Si(2π)}/3=(2/π)∫(0〜π) ({Si(2π)-Si(0)}cosx + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x + ・・)・(cos3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、次を得る。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}1/n
=(2/π)∫(0〜π) [{Si(2π)-Si(0)}cosx + {Si(3π)-Si(1π)}cos2x + ・・]・(cosx/1 + cos2x/2 + ・・)dx  ---B

右辺にフーリエ級数の公式
  cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + ・・=-log(2sin(x/2))   (0 < x < 2π) 
  (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}cos(nx)=πsinx/x-π/2- Si(π)     (-π<=x<= π) 
を用いて整理するとBは次のようになる。

(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n =2∫(0〜π) {-sinx/x+1/2+Si(π)/π}log(2sin(x/2)) dx     ----C

 目的の積分表示が求まった。
 ∫内に、log(2sin(x/2))が含まれている。このことから、(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n奇数ゼータの心を
持っているといえる。
(n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/nは、だんだんと項が小さくなっていく交代級数(±が交互に出てくる)級数
であるので、これは収束する。

[終わり]

{Si((n+1)π)-Si(n-1)π}/nの導出

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n=2∫(0〜π) {-sinx/x+1/2+Si(π)/π}log(2sin(x/2)) dx



 4つ全てをまとめておく。

ζ(4)類似
 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^4
      =(1/24)∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{2π^2(x-π)^2-(x-π)^4 -7π^4/15}dx


ζ(3)類似
 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^3
      =2∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{ζ(3) + (x^2/2)log2 + ∫(0〜x) (x-t)log(sin(t/2))dt} dx


ζ(2)類似
 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^2=∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{(x-π)^2/2 - π^2/6} dx


ζ(1)類似
 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n=2∫(0〜π) {-sinx/x+1/2+Si(π)/π}log(2sin(x/2)) dx


 右辺の青字の部分に注目していただきたい。これから奇数ゼータか偶数ゼータかどちらの心を宿しているかが明確に
わかるではないか!



2009/1/12        <ζ(2)類似値とζ(4)類似値の明示的な表示の導出 >

 次の4つを求めてきたが、/n^2と/n^4の形のものが偶数ゼータの性質をもち、/n^1と/n^3のものが奇数ゼータの性質を
もっていることは上で示唆した。

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n=2∫(0〜π) {-sinx/x+1/2+Si(π)/π}log(2sin(x/2)) dx         ----@

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^2=∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{(x-π)^2/2 - π^2/6} dx  ----A

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^3
      =2∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{ζ(3) + (x^2/2)log2 + ∫(0〜x) (x-t)log(sin(t/2))dt} dx      ----B

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^4
      =(1/24)∫(0〜π) {sinx/x-1/2-Si(π)/π}・{2π^2(x-π)^2-(x-π)^4 -7π^4/15}dx          ----C


 /n^2と/n^4のものの明示的な値を求めることは課題として残していたが、導出できたのでそれを示したい。
A、Cの右辺の積分を計算すると、次のようになった。

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^2=π^2・Si(π)/3 -3π/2

 (n=1〜∞){Si((n+1)π)-Si((n-1)π)}/n^4={8π^4・Si(π)/15-10π-π^3}/24

 このように有限項でのすっきりとした形となった。
 ここで Si(π)=∫(0〜π) sint/t dt である。もちろんζ(2)=π^2/6のような究極のところまではいっていないが、明示的な
形といってもよいであろう。(上式はもちろん計算的にも正しい)

 /n^1と/n^3の@やBでは、とうていこんな綺麗な形にはできない。∫内に赤字の奇数ゼータの心をもった部分を含ん
でしまっているがゆえである。

 今回は、
 a/1^s+ b/2^s + c/3^s + d/4^s + ・・・

のようにζ(s)各項の分子が1以外の値をとる場合を見たわけであるが、このような場合にまでフーリエシステムが適用でき
ることを考えると、
例えば、ラマヌジャンのゼータ関数
 L(s,Δ)=τ(1)/1^s+ τ(2)/2^s + τ(3)/3^s + τ(4)/4^s + ・・・

のような2次のゼータ(2次の保型形式)にまでフーリエシステムは力を発揮できるのではないだろうか。そこまでは力及ば
ないのだろうか。いろいろと夢想してしまうのだが。




その1

ゼータ系の彗星群

数学の研究