sinh(x) と exp(x)関連の母関数にテイラーシステムを適用した。
本道からすこし離れて、また別の母関数にテイラーシステムを適用してみよう。
f(x)=sinh(x/1^r)/1^s + sinh(x/2^r)/2^s + sinh(x/3^r)/3^s + sinh(x/4^r)/4^s + ・・・
この母関数を考える。条件は、これまでのテイラーシステムにならって、sinh[s=a,r=b,c代入,dテイラー]などとする。
ここにハイパボリックサインsinh(x)は、sinh(x)=(e(x)-e(-x))/2である
今回は、sinh[s=2,r=1,1代入,0テイラー]の場合を考える。
すなわち、母関数は
f(x)=sinh(x/1)/1^2 + sinh(x/2)/2^2 + sinh(x/3)/3^2 + sinh(x/4)/4^2 + ・・・
を考える。
f(1)と、0周りのテイラー展開を見るのである。早速、テイラーシステムを行ってみよう。
[導出] sinh[s=2,r=1,1代入,0テイラー]
f(x)=sinh(x/1)/1^2 + sinh(x/2)/2^2 + sinh(x/3)/3^2 + sinh(x/4)/4^2 + ・・・ ------@
を考える。
f(1)=sinh(1/1)/1^2 + sinh(1/2)/2^2 + sinh(1/3)/3^2 + sinh(1/4)/4^2 + ・・・
となる。
さて、f(0)=0,f´(0)=ζ(3),f´´(0)=0,f´´´(0)=ζ(5),・・だから、@のx=0周りのテイラー展開は次となる。
f(x)=ζ(3)・x^1/1! + ζ(5)・x^3/3! + ζ(7)・x^5/5! + ζ(9)・x^7/7! + ・・・
f(1)=ζ(3)/1! + ζ(5)/3! + ζ(7)/5! + ζ(9)/7! + ζ(11)/9!+ ・・・ ------A
@とAは等しいから、
sinh(1/1)/1^2 + sinh(1/2)/2^2 + sinh(1/3)/3^2 + sinh(1/4)/4^2 + ・・・
=ζ(3)/1! + ζ(5)/3! + ζ(7)/5! + ζ(9)/7! + ζ(11)/9! + ・・・ ------B
これはもちろん、
{e(1/1)-e(-1/1)}/1^2 + {e(1/2)-e(-1/2)}/2^2 + {e(1/3)-e(-1/3)}/3^2 + ・・・
=2{ζ(3)/1! + ζ(5)/3! + ζ(7)/5! + ζ(9)/7! + ζ(11)/9! + ・・・}
ということである。
念のため、Bの収束をみておこう。
左辺をExcelで1万項計算すると、B左辺=1.383482・・
となる。これが目標である。
B右辺をみる。
右辺の1項まで=1.2020569・・・
右辺の2項まで=1.3748781・・
右辺の3項まで=1.3832811・・・
となり、収束は異常に速い。分母の階乗が大きく効くからである。
以上。
今度は次の母関数を調べたい。
f(x)=e^(x/1^r)/1^s + e^(x/2^r)/2^s + e^(x/3^r)/3^s + e^(x/4^r)/4^s + ・・・
eはもちろん自然対数の底である。この母関数を考える。条件は、exp[s=a,r=b,c代入,dテイラー]などとする。
今回は、exp[s=2,r=1,1代入,0テイラー]の場合を考える。
すなわち、母関数は
f(x)=e^(x/1)/1^2 + e^(x/2)/2^2 + e^(x/3)/3^2 + e^(x/4)/4^2 + ・・・
を考える。
f(1)と、0周りのテイラー展開を見るのである。早速、テイラーシステムを行ってみる。
[導出] exp[s=2,r=1,1代入,0テイラー]
f(x)=e^(x/1)/1^2 + e^(x/2)/2^2 + e^(x/3)/3^2 + e^(x/4)/4^2 + ・・・ ------@
を考える。
f(1)=e^(1/1)/1^2 + e^(1/2)/2^2 + e^(1/3)/3^2 + e^(1/4)/4^2 + ・・・
となる。
さて、f(0)=ζ(2),f´(0)=ζ(3),f´´(0)=ζ(4),f´´´(0)=ζ(5),・・だから、@のx=0周りのテイラー展開は次となる。
f(x)=ζ(2) + ζ(3)・x^1/1! + ζ(4)・x^2/2! + ζ(5)・x^3/3! + ζ(6)・x^4/4! + ・・・
f(1)=ζ(2) + ζ(3)/1! + ζ(4)/2! + ζ(5)/3! + ζ(6)/4! + ζ(7)/5!+ ・・・ ------A
@とAは等しいから、次となる。
e^(1/1)/1^2 + e^(1/2)/2^2 + e^(1/3)/3^2 + e^(1/4)/4^2 + ・・・
=ζ(2) + ζ(3)/1! + ζ(4)/2! + ζ(5)/3! + ζ(6)/4! + ζ(7)/5!+ ・・・ ----B
念のため、Bの収束をみておこう。
左辺をExcelで10万項計算すると、B左辺=3.61337・・
となる。これが目標である。
B右辺をみる。
右辺の3項まで=3.38815・・・
右辺の5項まで=3.60336・・・
右辺の7項まで=3.61316・・・
となり、収束は極めて速い。たった7項でこれである。分母の階乗の効果である。
以上。
次には
f(x)=e^(x/1)/1 - e^(x/2)/2 + e^(x/3)/3 - e^(x/4)/4 + ・・・
を調べる。
交代級数的に+-が交互に出ていることに注意。exp交代[s=1,r=1,1代入,0テイラー]である。
[導出] exp交代[s=1,r=1,1代入,0テイラー]
f(x)=e^(x/1)/1 - e^(x/2)/2 + e^(x/3)/3 - e^(x/4)/4 + ・・・
を考える。
f(1)=e^(1/1)/1 - e^(1/2)/2 + e^(1/3)/3 - e^(1/4)/4 + ・・・ ------@
となる。
さて、f(0)=log2, f´(0)=(1-1/2^1)ζ(2), f´´(0)=(1-1/2^2)ζ(3), f´´´(0)=(1-1/2^3)ζ(4),・・であるから、
@のx=0周りのテイラー展開は次となる。
f(x)=log2 + (1-1/2^1)ζ(2)・x^1/1! + (1-1/2^2)ζ(3)・x^2/2! + (1-1/2^3)ζ(4)・x^3/3! + ・・・
よって、
f(1)=log2 + (1-1/2^1)ζ(2)/1! + (1-1/2^2)ζ(3)/2! + (1-1/2^3)ζ(4)/3! + ・・・ ------A
@とAは等しいから、次が成り立つ。
e^(1/1)/1 - e^(1/2)/2 + e^(1/3)/3 - e^(1/4)/4 + ・・・
=log2 + (1-1/2^1)ζ(2)/1! + (1-1/2^2)ζ(3)/2! + (1-1/2^3)ζ(4)/3! + ・・・ ----B
ゼータの心でみると、log2=(1-1/2^0)ζ(1)であるから、美しい秩序が出ている。
念のため、Bの収束をみる。
左辺をExcelで10万項計算すると、B左辺=2.1745・・
となる。これが目標である。
B右辺をみる。
右辺の3項まで=1.96638・・・
右辺の5項まで=2.16472・・・
右辺の7項まで=2.17432・・・
となり、収束は非常に速い。
以上。
今度は
f(x)=e^(x/1) - e^(x/2) + e^(x/3) - e^(x/4)/4^2 + ・・・
を調べる。
これも交代級数的なものである。exp交代[s=0,r=1,1代入,0テイラー]である。
[導出] exp交代[s=0,r=1,1代入,0テイラー]
f(x)=e^(x/1) - e^(x/2) + e^(x/3) - e^(x/4) + ・・・
を考える。
f(1)=e^(1/1) - e^(1/2) + e^(1/3) - e^(1/4) + ・・・ ------@
となる。
さて、f(0)=(1-2^1)ζ(0), f´(0)=log2, f´´(0)=(1-1/2^1)ζ(2), f´´´(0)=(1-1/2^2)ζ(3),・・であるから、
@のx=0周りのテイラー展開は次となる。
f(x)=(1-2^1)ζ(0) + log2・x^1/1! + (1-1/2^1)ζ(2)・x^2/2! + (1-1/2^2)ζ(3)・x^3/3! + ・・・
よって、
f(1)=(1-2^1)ζ(0) + (log2)/1! + (1-1/2^1)ζ(2)/2! + (1-1/2^2)ζ(3)/3! + ・・・ ------A
@とAは等しいから、次となる。
e^(1/1) - e^(1/2) + e^(1/3) - e^(1/4) + ・・・
=(1-2^1)ζ(0) + (log2)/1! + (1-1/2^1)ζ(2)/2! + (1-1/2^2)ζ(3)/3! + ・・・ ----B
ゼータの心でみると、log2=(1-1/2^0)ζ(1)であるから、規則だっている。
ここでζ(0)=-1/2であり、この式は解析接続で成り立っているのである。左辺は各項の大きさが徐々に小さくなって
いる交代級数であるがゆえに、確実に収束する。それが右辺が解析接続で成り立つ一つの根拠である。
念のため、Bの収束をみよう。
左辺は非常に収束が遅く10万項まで=1.303787・・であるのに対し、(10万+1)項まで=2.303797・・であり、まだまだ
振動しておりその収束はあまりにも遅い。ただし、ここまで遠くを見た場合、収束値はこれらの平均にほぼ等しくなるので、
収束値=((1.303787・・)+ (2.303797・・))/2=1.803792・・
としてよい。
さてB右辺をみる。
右辺の6項まで=1.802198・・・
右辺の8項まで=1.803764・・・
右辺の10項まで=1.803791・・・
となり、収束はたいへん速く、たった10項でほとんど収束してしまう。
以上。
次に
f(x)=e^(x/1^r)/1^s - e^(x/3^r)/3^s + e^(x/5^r)/5^s - e^(x/7^r)/7^s + ・・・
の形を調べてみる。
L(s)ゼータと似た形をしていることに注目されたい。
条件はexp-L(s)[s=2,r=1,1代入,0テイラー]となる。すなわち、
f(x)=e^(x/1)/1^2 - e^(x/3)/3^2 + e^(x/5)/5^2 - e^(x/7)/7^2 + ・・・
を母関数としたテイラーシステムを行ってみるのである。
f(1)と、0周りのテイラー展開を見るのであるが、早速、やってみる。
[導出] exp-L(s)[s=2,r=1,1代入,0テイラー]
f(x)=e^(x/1)/1^2 - e^(x/3)/3^2 + e^(x/5)/5^2 - e^(x/7)/7^2 + ・・・
を考える。
f(1)=e^(1/1)/1^2 - e^(1/3)/2^2 + e^(1/5)/5^2 - e^(1/7)/7^2 + ・・・ ------@
となる。
さて、f(0)=L(2), f´(0)=L(3), f´´(0)=L(4), f´´´(0)=L(5),・・だから、@のx=0周りのテイラー展開は次となる。
f(x)=L(2) + L(3)・x^1/1! + L(4)・x^2/2! + L(5)・x^3/3! + L(6)・x^4/4! + ・・・
よって、
f(1)=L(2) + L(3)/1! + L(4)/2! + L(5)/3! + L(6)/4! + ・・・ ------A
ここにL(s)は、もちろん
L(s)=1 - 1/3^s + 1/5^s - 1/7^s + ・・・
のことである。
@とAは等しいから、次が成り立つ。
e^(1/1)/1^2 - e^(1/3)/3^2 + e^(1/5)/5^2 - e^(1/7)/7^2 + ・・・
=L(2) + L(3)/1! + L(4)/2! + L(5)/3! + L(6)/4! + ・・・ ----B
収束性をみておく。
左辺をExcelで10万項計算すると、B左辺=2.596966・・ となる。これが目標である。
B右辺をみる。
右辺の2項まで=1.884911・・・
右辺の4項まで=2.545410・・・
右辺の6項まで=2.595351・・・
となり、目標に速く収束していく。
以上。
次に
f(x)=e^(x/1^r)/1^s - e^(x/3^r)/3^s + e^(x/5^r)/5^s - e^(x/7^r)/7^s + ・・・
の条件exp-L(s)[s=0,r=1,1代入,0テイラー]を調べよう。すなわち、
f(x)=e^(x/1) - e^(x/3) + e^(x/5) - e^(x/7) + ・・・
を母関数としたテイラーシステムを行う。
[導出] exp-L(s)[s=0,r=1,1代入,0テイラー]
f(x)=e^(x/1) - e^(x/3) + e^(x/5) - e^(x/7) + ・・・
を考える。
f(1)=e^(1/1) - e^(1/3) + e^(1/5) - e^(1/7) + ・・・ ------@
となる。
さて、f(0)=L(0), f´(0)=L(1), f´´(0)=L(2), f´´´(0)=L(3),・・だから、@のx=0周りのテイラー展開は次となる。
f(x)=L(0) + L(1)・x^1/1! + L(2)・x^2/2! + L(3)・x^3/3! + L(4)・x^4/4! + ・・・
よって、
f(1)=L(0) + L(1)/1! + L(2)/2! + L(3)/3! + L(4)/4! + ・・・ ------A
@とAは等しいから、次が成り立つ。
e^(1/1) - e^(1/3) + e^(1/5) - e^(1/7) + ・・・
=L(0) + L(1)/1! + L(2)/2! + L(3)/3! + L(4)/4! + ・・・ ----B
美しい形である。
収束性をみておく。
ここでL(0)=1/2であり、この式は解析接続で成り立っているのである。B左辺は各項の大きさが徐々に小さくなって
いる交代級数であるがゆえに、確実に収束する。それが右辺が解析接続で成り立つ一つの根拠である。
Bの収束性をみておく。
左辺は非常に収束が遅く10万項=1.4559900・・であるのに対し、(10万+1)項=2.4559950・・であり、まだまだ振動
しておりその収束はきわめて遅い。ただし、ここまで遠くを見た場合、収束値はこれらの平均にほぼ等しくなるので、
収束値=((1.4559900・・)+ (2.4559950・・))/2=1.955992・・
としてよい。これが目標である。
さてB右辺をみる。
右辺の2項まで=1.285398・・
右辺の4項まで=1.904871・・
右辺の6項まで=1.954379・・
と収束は非常に速く、たった6項でほとんど目標に近づく。
Bの左辺の収束は極端に遅く、対して右辺の収束は極端に速いのである。
以上。
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