2005年度奈良県高等学校人権教育研究会夏期研修会
2005.8.27(弥生の里ホール) http://www5b.biglobe.ne.jp/~kurosan/NKJ ケータイと子どもたち〜あぶないネット社会〜
【全文版】 2007-09-06 up はじめに
◆プレゼンテーション(約17分、啓発連協作成)・・・・【ネット非公開】 ◆インターネットステーション ◆パネルディスカッション(奈良新聞記事)
私とケータイ
◆「昨日、何回も電話したのに....」と言われて ◆BBS管理と犬の散歩 ◆メール相談、電話相談 ◆病院や電車内で ◆生徒へのメール・・・・後述 ケータイ関連諸統計・調査
◆ケータイ所有率・・・・小学生3割、中学生6割、高校生9割 ◆総務省「通信利用動向調査」(2004)PDF ◆総務省「2005年版 情報通信白書」第2章 情報通信の現況 第2節 電気通信事業 (6)携帯電話・PHS ◆総務庁「青少年と携帯電話等に関する調査研究報告書」概要(2000) ◆警察庁少年課「青少年の意識・行動と携帯電話に関する調査研究」概要(2004)PDF ケータイは電話?
◆子どもへの普及・・・・買い与えているのは親・・・・「便利・安心」? ◆「便利な電話器(歩く公衆電話)」?・・・・「親にばれないメール・Web端末(モバイルパソコン)」 ・・・・親にとれば「管理ツール」、子どもにとれば「親からの解放ツール」 ・・・・通話よりメール、一日300通も珍しくない ※利用の内訳・・・・メール96%、Web3%、通話1%、という調査も(小ア誠二) ◆「モンキーにマシンガン」・・・・「i-mode」の登場以来、ケータイがインターネットに接続 ・・・・影の部分も大きいインターネットに接続できるケータイを 多くの子どもが好き勝手に使っているのは日本だけ ・・・・日本の対応を世界が注目している、日本の轍を踏まないため ◆テレビとインターネットの違い ・・・・テレビは受信だけだが、インターネットは自己責任が発生する ・・・・インターネットを甘く見ている日本、欲望刺激で普及した日本 ◆親子の認識のずれ(急速な普及) ・・・・使い方の適切な助言ができない ・・・・遅い帰宅・外泊・プチ家出・「援交」旅行 ◆「自分の子どもには買い与えない」という子どもたち ケータイの落とし穴
◆バイパスチャンネル・・・・家族・地域などのバリアを軽々と越えて、有害情報にアクセスしてしまう 保護者の頭越しに..... ・有害情報にアクセス(ダイレクトコミュニケーション) ・未知の人物と連絡(コンタクト) ・未知の人物と対面(ガイダンス) ・ネット商取引(トランズアクション)・・・・コンビニ決済をすれば親にばれない ※クーリングオフは無効 ◆「トイレの花子さん」や「着信アリ」を鵜呑みにする子どもたちが、正しい判断ができるだろうか ◆フルブラウザの利用料金は超高額 ◆アルバイトの増加、読書時間の減少 《有害情報》・・・・アダルト、出会い系、自殺、暴力、薬物、凶器、爆弾 ◆出会い系サイト利用者は、小学生で1%、中学生で1割 ・・・・「無店舗テレクラ」「打ち出の小槌」(下田博次)、「ドラえもんポケット」(佐藤佳弘) ・・・・大人への軽蔑、被害(レイプ・恐喝・暴力・監禁・強制売春・薬物等) ・・・・「援助交際」の多くがレイプ被害、バッキー事件 ・・・・奈良県での集団オヤジ狩り(2000.7) ◆無料着メロサイト等のワナ・・・・不当請求・架空料金請求の恐怖から子どもを守れるか ◆画面を保存し、相談センター等へ連絡 ※奈良県食品・生活相談センター 0742-26-0931 《悪質メール》 ◆こんなメールが来たら・・・・送信者は女の子の名前
《差別・偏見》 ◆BBS差別投稿と多くの閲覧者(子どもたちを含む) ・いくつかの巨大掲示板・・・・「負け組が気に入らない同じ負け組を貶める」(荷宮和子) ・在日外国人差別投稿・・・・「日々の課題アラカルト」 ・障害者差別投稿
《ゲーム》 ◆オンラインゲーム中毒 ◆「終わりのない物語」 ◆森昭雄『ゲーム脳の恐怖』←斉藤環の批判・・・・「ゲイムマン」 テキストの光と影 《テキストの特性》 ◆そぎ落とされるノンバーバルコミュニケーション ◆テキストだから素直になれる、先鋭化してしまう、錯覚をもたらす ※校内LANクラス内チャットで、相手が誰か分かるのに言葉が過激になったという中学からの報告 ◆メールの意味・・・・本文より、「メールが来ること自体」「メールの数」「即レスかどうか」に意味 ◆メールの相手の大半は身近な友達・・・・コミュニケーションの二重構造 ・・・・メールで飛び交う悪口やうわさ・・・・人間関係の慎重さ・緊張感 ◆親子や夫婦間のメール・・・・絆の修復、新たな不安 「自己を確認する『鏡』」(岡田朋之)・・・・周囲にどう思われているか 「メールが来ない」という恐怖、関係が途切れる事への不安(「メル友を持ったニホンザル」(正高信男)) ・・・・膨大なメール数、不安定な青年心理、ケータイが手放せない子どもたち 少女が出会い系に登録すればあっという間に膨大なメールがきて犯罪に巻き込まれる ◆ネットバトル、フレーミング ・・・・言葉足らず・文字が残る・閲覧者への面子・無責任な匿名空間・煽る野次馬 《ネットの落とし穴》 ◆奪われる心と時間とお金と現実感覚 ・・・・気になる反応、もう一人の自分(カーソナリティーならぬネット人格・オンラインペルソナ[仮面]) ・・・・「あと1分シンドローム」(キンバリーヤング)、「ケータイネットタイムワープ」(小此木啓吾) ◆危険な「要は単なる使いよう論」「ほどほどに使えばよい論」(もう一つのデジタルデバイド) ・・・・出会い系にはまる子と近づかない子、授業中のメールに返信する子としない子 ◆60秒でできる個人サイトサービス・・・・カフェスタ、ハンゲーム、ふみコミュなど ・・・・「出会い、おしゃれ、デビュー」、アバター、プリ交、BBSで深夜まで言い合い ※Cafesta版「kurochanほっトコーヒーclub」 ◆逃げ場として開設した個人サイトのBBSやチャットへの不快な投稿・発言 ・・・・「居場所」への侵入、特権の侵害・・・・佐世保事件 学校とケータイ
《学校へのケータイ持ち込み》 《ネット教育の課題》 ケータイと人権学習 《差別状況》 ◆ネット「地名総鑑」のコピペが結婚差別・人工妊娠中絶を招いた実例 ◆差別・偏見・猥褻オンパレードの電子掲示板や悪質Webサイト ・・・・投稿・発信している子ども、それ以上の子どもたちの閲覧 ・・・・信用させる数々のワナ →「だまされたら、だまし返せ」の隠れたカリキュラム ◆Webコピーが多い生徒のレポート、「人権作文」のネットサンプルも、デジタル万引き ・・・・著作権への抵触→Web発信の留意点 《子どもたちの状況》 ◆「機能分化型コミュニケーション」(今一生)・・・・友達の使い分け、遊ぶのに便利 ・・・・「愛されたいけど愛せない」「これだけ努力しているのに分かってくれない」 ◆「親密圏」(土井隆義) ・・・・親しい者への過剰な気遣い(恐怖の裏返し)と、第三者への無関心(無視ではない) ※ひったくり事件を起こした少年・・・・ケガをした仲間への気遣いと被害者への無関心 ※教員もまた「意味ある他者」ではない ◆「命を大切に」という呼びかけの無意味さ 《ヴァーチャルと「1.5」関係》 ◆ヴァーチャルリアル(仮想現実)とリアル(現実)の使い分けの時代 ・幻想の肥大と現実感の逆転(バーチャルこそ本当の自分?) ・幻想からの出口が危険・・・・主観的思いこみが現実世界に持ち込まれた犯罪の数々 ◆「1.5」の関係を操作する・・・・「2.0」の向き合う関係はダサい? ※「1.5」・・・・スイッチオフできる擬人的関係・「孤独感のない孤独」(小此木啓吾) ・・・・安定性と恒常性、自律感覚と全能感、人間的配慮が不要 ・・・・錯覚(妄想ではない)→全能感と破壊性・・・・ドクターキリコの自殺 ・・・・人間関係の希薄化・部分的で一時的な関係、「ホテル家族」、情緒交流が苦手 →直接会話や通話よりメール、表面的な優しさ、他者への無関心 教員・政治家・異性との関係・・・・楽しさだけのつきあい ※テレビ感覚の授業態度、異性のキープ 「2.0」を求めて対象喪失、「1.5」の錯覚の悲劇 雇用関係・職場の人間関係・・・・効率的に役立てるだけのつきあい ※終身雇用の崩壊、フリーターの増加 ◆「反差別の仲間づくりという、じっくりと向き合う姿勢を忌避する態度を増幅させる効果」? 《ネット社会の人権教育課題》 ◆子どもたちの心と体を守り、加害者にもさせないためには? ・・・・ネット上の人権トラブルの教材化、ケータイリテラシー教材 ネットトラブル・ケータイトラブルについての話題を ◆ネット時代の人間教育 ・ネットに使われるな、使い主になれ ヴァーチャルと現実を自由に行き来できる能力(小此木啓吾) リレーションテクノロジー(コンピュータを使った人間関係作り) ・実体験の重視 過程(一次体験)の喪失・・・・準備や努力の経験欠如、情報(カタログ)優先、ソフト順応型人格 ※花火と写メール・・・・花火ではなく、写メールのできばえばかりを気にする若者たち ・操作人間(1.5)から、対人関係(2.0)・社会性(3.0)の獲得へ ◆「ネット上の人権文化創造」に向けて ケータイ利用のルールを作ろう 《各家庭でルールを作る必要性》 ◆食事中、手元にケータイを置いている親・子70% 着信メールを読む子ども44%、返信・発信は33%、叱る母親53% ※着信メールを読む母親39%・・・・iMiネットが携帯電話を持つ中高生の母親に調査 ※テレビとケータイの違い ◆「出会い系サイト規制法(援助交際書き込み禁止法)」は有効か? ※インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律 ◆「ケータイフィルタリング」は有効か? 《ルールづくりのポイント》 ◆「我が家のケータイ(インターネット・ゲーム)○○ヵ条」づくり ・・・・内容を親子で話し合うことで、信頼関係を作ることが大切
《参考サイト》 ◆財団法人インターネット協会「インターネットを利用する方のためのルール&マナー集(こどもばん)」※大人版 ◆総務省情報通信白書 for Kids 「インターネット ルールとマナー」 ◆東京都生活文化局都民生活部「インターネットガイドブック」 ◆小学館「インターネットのルールとマナー」 《参考図書》 ◇『親と子のインターネット&ケータイ安心教室』野間俊彦・矢沢久雄、日経BP社、2004.7 ◇『情報モラルを鍛える』赤堀侃司・野間俊彦・守末恵、ぎょうせい、2004.12 交流の場 ◆このレジメは、2005年8月27日の講演用に作成段階中のものですが、それ以降も考察を深め改訂していきたいと考えています。 ◆「ケータイと子どもたち」について、何を考え、どんな対応ができるのか、皆さんのお知恵を借りたいと思います。様々なご感想・ご意見を寄せていただければ幸いです。 ◆交流掲示板・・・・ただ今、公開モードです。お互いの実名・勤務先・メールアドレス等は一応伏せてください。 ◆実名・勤務先・メールアドレス等をお知らせいただく際は、←をクリックしてください。 参考図書・Webサイト ◇『新しい人権救済制度への期待』ならヒューライツステーション、2004.3 ◇『インターネット中毒』キンバリー=ヤング、小田嶋由美子訳、毎日新聞社、1998.9 ◇『インターネットの光と影Ver.2』情報教育学研究会・情報倫理教育研究グループ編、北大路書房、2003.3 ◇『大人の知らない子どもたち』今一生、学事出版、2004.8 ◇『親と子のインターネット&ケータイ安心教室』野間俊彦・矢沢久雄、日経BP社、2004.7 ◇『携帯護身術』下田博次編、ねちずん村、2005.8 ◇『ケータイ天国電磁波地獄』荻野晃也監修、週刊金曜日別冊ブックレット、1998.1 ◇『ケータイ・ネット人間の精神分析』小此木啓吾、朝日文庫、2005.1 ◇『ケータイは世の中を変える』T.コポマー、北大路書房、2004.9 ◇『ケータイ・リテラシー 子どもたちの携帯電話・インターネットが危ない!』下田博次、NTT出版、2004.12 ◇『ケータイを持ったサル 「人間らしさ」の崩壊』正高信男、中公新書、2003.9 ◇『月刊部落解放2003年6月号』解放出版社、2003.5 ◇『「個性」を煽られる子どもたち 親密圏の変容を考える』土井隆義、岩波ブックレット、2004.9 ◇『声に出して読めないネット掲示板』荷宮和子、中公新書クラレ、2003.12 ◇『これでいいのか「情報化」社会−「ケータイ」電話をめぐる有害情報を斬る−』奈良啓発連協、2005.8 ◇『壊れる日本人 ケータイ・ネット依存症への告別』柳田邦男、新潮社、2005.3 ◇『知っていますか?インターネットと人権一問一答』高木寛、解放出版社、2000.9 ◇『週刊金曜日 第545号(2005.2.18)』金曜日、2005.2 ◇『情報モラルを鍛える』赤堀侃司・野間俊彦・守末恵、ぎょうせい、2004.12 ◇『生活と情報技術』佐藤佳宏、アグネ承風社、1995.11 ◇『成人用なかま 第6集』奈人推協、2005.3 ◇『電子メディアのある「日常」 ケータイ・ネット・ゲームと生徒指導』酒井朗・伊藤茂樹・千葉勝吾編、学事出版、2004.7 ◇『ネット依存の恐怖』牟田武生、教育出版、2004.2 ◇『ネット王子とケータイ姫』香山リカ+森健、中公新書クラレ、2004.11 ◇『メディアとのつきあい方学習』堀田龍也、JUSTSYSTEM、2004.6 ◇『メディア・リテラシー−世界の現場から−』菅谷明子、岩波新書、2000.8 ◇奈良新聞記事、2005.8.12 ※追加予定 《参考サイト集》 ◆ねちずん村 ◆ネット社会の歩き方 ◆ネチケット情報 ケータイと子どもたち/更新記録 《2005》 【8/27】若干加筆 【8/26】随所加筆 【8/25】随所加筆 【8/24】随所加筆 【8/23】全ページ改訂 【8/22】「ケータイ利用のルールを作ろう」「私とケータイ」「全文」ページ設置 【8/20】「はじめに」改訂、「交流の場」に交流掲示板設置 【8/18】各ページ仮設置 【8/16】作成開始、トップページ作成 |