韓国旅行その3
19981116日〜18
日付内容行き先
動機 行かなければならない。
1日目1998.11.16夜の攻略。(前編)新羅ホテル、明洞
夜の攻略。(後編)東大門、明洞
2日目1998.11.15確実なところで。(前編)南大門、?、明洞
確実なところで。(後編)?、東大門、明洞
3日目1998.11.16夢の終わり。キムチ屋、帰国

「3/11(水)」
がら〜ん
 むらさきさんの車で空港へ。天気は曇ってはいるが、それほど悪くない。前の旅行からそんなに時間が経っていないので、なんの迷いも無く手続きが済む。今回は、前にも増して人がいない。田舎だからか、シーズンで無いからか。気流が悪いらしく、遅れて飛行機が到着するらしい。始めて買ったビデオカメラが珍しくて、意味の無いものまで撮り始める。免税店前においてある電光掲示板が気になった。撮りながら、ビデオに向かって独り言をつぶやく。
ペ「ほう」
 
なるほど納得な決意である。
ぺ「すいません、持ち込みましたぁ〜」
 
うっ、ちょっと心が痛いっ。
ぺ「トラは無理だろう」
 
右の絵のものはどうやって持って買えるのか。
ペ「めんどくせェ」
 
常連の子に、過大なお土産をせがまれ、「持って買えれない」というと「送れば良いじゃない」といわれた。簡単に言うが、面倒な手続きが要るのだ。

 搭乗開始。搭乗直前になるまでに結構人が集まってきた。明らかに定時だと遅刻しているような時間に来る人もいて、不思議に思う。飛行機の遅れがどこで判ったのだろう?それとも本当に遅刻してきて、ただラッキーだったのか。

ペ「またやっちまいましたぁ。無駄撮り」
 レンズキャップを取り忘れたまま録画していたのだ。
む「確認したほうがいいよ。(笑)いちいち」
ペ「これ、閉っとったら(レンズキャップが)絶対に撮れません、とか警告が出れば良いのに」
む「そうそうそうそう、出ねぇんだもんな」
ペ「こんな風に、歩きながら撮っとったら、めちゃめちゃ酔ってみたり」
 何気ない僕のつぶやきに、むらさきさん、ウケる。

 前の旅行のときは注意していたが、調子に乗って機内では「いけない」とされるビデオ撮影を続けてしまう。みんなに見せるために詳細に記録を撮ろうと思っていたのだ。アシアナの機内アナウンスでも、携帯電話とTVゲームの注意しかされていなかったのも原因かもしれない。飛行時間は2時間10分だと言っている。前より伸びている。気流のせいだろうか。出発。ところが、滑走路に出る途中に停止。全日空機の着陸があるので待ち、である。

ぺ「あいつが入ってくるまで、待ちです」

 離陸するところを収めようとそのまま録画を続ける。編集するときにここで宇宙戦艦ヤマトのテーマをかけると、むらさきさん喜ぶだろうなぁ、と思う。
ペ「なかなか迫力のある絵が撮れた。(笑)」
む「右に旋回して良かったわ。翼の上だから(座席の位置が)どうかなーと思ってよ」

 それから30分後。目の前には機内食が。
ペ「反省したのか知りませんが、お新香が無くなっています。ちょっと食いやすくなったんでしょーか?だが、この寿司がちょっと気になります」
 ほとんど洋食なのに巻き寿しが2つだけ入っているのだ。その解説に、むらさきさんは笑っている。スチュワーデスさんが飲み物のサービスを始める。むらさきさんはビールを注文、酔ってしまって大丈夫なのか、心配になる。今度はむらさきさんが食事を撮影。
む「初めての韓国のビール」
 Lagerと書いてある。本当に韓国産なの?
む「さっ、ペルシャたろーさんは、いったい何から手を付けるでしょうか?非常に気になるところです」食いしん坊万歳、の様相を呈してきた。
ペ「塩と胡椒です。一体、何にかければ良いんでしょーか?(笑)相変わらず感性が判りません」むしろ、巻き寿し用の醤油が欲しい。

ペ「俺のビデオの撮影のせいで落ちたら、洒落にならんな」1時間30分後、韓国上空。
ぺ「すげぇ揺れてます」
 天気が非常に悪く、普段ならもう山並みが見えるというのに全く視界が効かない。肘を窓枠に固定しながらビデオカメラで撮っているが、真っ直ぐ撮影できない。あれだけ賑やかだった機内が静まり返る。揺れる。おおっ、という声が上がる。
ペ「絶叫マシンだ、こりゃ。(笑)」もう笑うしかない。こんなに気流が悪いとは。また、こんな体験も初めてだ。
 機長の気流が悪い、という説明と、シートベルトの確認を促すアナウンスが入る。乗客を安心させるためか、和やかな音楽がかかる。これは着陸寸前のときにかかるもので、今かかるのは変だ。少し怖い考えが頭をよぎる。
 落ちる。高度がずん!と下がり、体重が上に持っていかれる。
ペ「うわぁ、めっちゃ冷や汗かいとるわ、俺」
 ビデオカメラを持つ手が汗でびっしょりだ。小刻みに機体が上下動する。じりじりと上昇しては軽く落ちる、を繰り返す。むらさきさんはずっと黙っている。このとき落ちたのは10mくらいだと思っていたが、後でむらさきさんに聞いたら100mくらいは落ちていたらしい。彼は、以前にヨーロッパに行った事があり、そのときに1回同じ経験をしているそうだ。最初に聞いた飛行時間が正しいとすると、後40分もある。早く気流の良い場所に出てくれ。

金浦空港到着

 雲にわずかな切れ目が現れ、地面が見えた。スチュワーデスさんのアナウンスが入り、着陸体勢に入った事が判る。しかし、飛行機で1番事故が多いのは離着陸時なのだ。機体はまだ揺れつづけている。気が引き締まる。遺書を書いておいたほうが良いのだろうか。また雲の中。相当下まで雲が降りてきているのだ。滑走路が見え、ドン!と車輪が接地。無事に着陸した。
ペ「…到着」
 かなり速い速度で進入したのか、着陸と同時に逆噴射があり、フラップ・スポイラーは全開だった。機長さん、ご苦労様でした。僕も気が抜ける。

 外は雨が降っている。アナウンスで機体が停止するまで座席を立たないように、と注意があるが、今回も守らない人が続出。
ペ「どうですか、ただで絶叫マシンに乗った感じは。(笑)」
む「あはは(笑)、まぁまぁですね。まぁ、あの位のエアポケットなら。どうって事無い」
ペ「いやぁ、もうロッテワールド、要らないっすよ。(笑)俺、めっちゃ口に水沸きましたもん。ちゃーって」
む「口、沸いた?」
ペ「口ん中に水、ちゃーって沸きだして、うわぁ、これ、酔うぞこれって。(笑)」
 
酔いそうになったときに沸く、唾液のことである。

ペ「地下街とかじゃ、撮影できないかも」
 
今回は、隠し撮りもするつもりである。僕のビデオカメラは、「撮影中を表示するランプ」を消す設定があるのだが、むらさきさんのにはそれが無い。必然的に僕のカメラの出番となりそうだ。周りを見まわすと残っている人も少なくなってきた。
ペ「どうやら、ターミナルバスが来たようなので、そろそろ…」
む「我々も」

 バス内。
ペ「今回は、ターミナルバスで、空港内に入ります」
 3度目であるが、金浦空港でこれに乗るのは初めてだ。2人で別々のところをカメラで撮っている。
ペ「むらさきさんを、撮りながら〜、撮りながら。(笑)」
む「その内、空港ばっかり撮っとって、後でやーんなる。(笑)」
ペ「やーんなってくる。(笑)」
む「もう、いいやっ!(笑)」
ペ「寒いっす。下、半袖っすよ」
と、むらさきさんに革ジャンをめくって見せる。ここまで寒いとは思わなかった。この前買ったA-2を着てきて良かった。
む「さらばっ、アシアナっ」
ペ「これが、大韓航空。うーん、乗ってみたいねェ」

 バスは、さまざまな旅客機を横目に移動。

 税関を通過して、いつも通り当面必要な分のみW(ウォン)に両替して出口へ。時計の前に送り迎えだけのガイドさんがいるはずである。ガイドさん発見。ところが、今回は今までと違って他の人と一緒に移動らしいのだ。それを知り、僕達は降りるのが遅かったのでみんなずいぶん待っていたのに違いない、と思ってすかさず「遅れてすいません」とみんなに挨拶。ここでパンフレットをもらう。でも、僕達は事前に日本の旅行代理店で予定表をもらっていたので、すぐにそれをカバンにしまった。
 
 さぁ、出発というときになってガイドさんが困惑。というのも、何人かの人がいないのだ。ガイドさんに何も告げずに外に煙草を吸いに行った(空港内は禁煙)らしいのだ。勝手な行動というのは大人のする事ではない、と思っているのでいきなり嫌な予感がする。このすぐ後に判ったのだが、今回一緒に移動するメンバーは、僕達2人と4人組、ビジネスマン風の人が2人、後女の子2人組であった。でもこの内女の子2人組は、知り合いが迎えに来ている、ということでガイドさんにそれを告げて別行動をとる事になる。ホテルも自分でチェックインするらしい。こんな事が出来るのか、とちょっと発見した気分になる。というのもパックの旅行は必ず決められた行程(最初にもらったパンフレット通り)を消化しなければならないと思っていたからだ。うらやましく思うが、まだ僕は単独で行動できるレベルに無い。でも今回はパンフレットを見る限りホテルに直行なので、飛行機は遅れたが何とか夜になる前にPさんに連絡が取れるに違いないと思う。
 
人としてどうか?

 「煙草を吸いに行った」のは、4人組のうち3人で、残った1人がガイドさんに告げたのだ。ガイドさんが探しに行く、というのでその間にトイレに行くことにした。僕もむらさきさんも丁度したくなってきていたのだ。ガイドさんにその旨を伝えてトイレへ。トイレでむらさきさんに愚痴を言う。
ペ「いい大人が何してんでしょうかね、タバコ吸うのはいいですけど断りなしに行くって」

 僕達が戻ってもまだ揃ってなかった。僕達も同じツアーのバッチを目印に少し探す。と、出口の外で固まって煙草を吸っていた。うっ、怖そう。というのも彼らは黒沢敏男、小松政夫、大村昆に似ている。でもそれを「悪く」したような感じで、ヤクザっぽいのだ。残っていた1人は、林家パー子に似ている。でも彼女も3人といると悪そうに見える。戻ったときも他の人に待たせた謝罪の言葉は無かった。嫌な感じである。

 揃ったので出発。外は小雨が降っている。空港の出口は道路を挟んで駐車場になっている。そこに観光会社のマイクロバスが停まっているのだ。ガイドさんが「行きましょう」といったので僕達が駆け出そうといると、黒沢敏男が、「濡れるからバスをここに回してくれ」といった。

 何言ってんだこの人は、と思った。たかが10mくらいじゃないか、車をこのタクシーなどで混雑している空港前の道路まで回すのにどのくらい時間がかかる(一方通行なので)と思っているんだ!ガイドさんもどう見ても困っている。
 黒沢敏男の一言で林家パー子も「そう言えばそうね」と同調、あの4人組は動くのを止めた。他のみんなは行く気まんまんだったのに。僕は我慢できなかったので、
ペ「少しぐらい濡れてもいいじゃないですか、(ここに車を呼ぶと)時間がかかりますよ」
 といってみたが無反応である。もっとも、この4人が怖くて普段より小声だったというのも理由かもしれない。勇気の無い自分が情けない。ガイドさんは仕方なくバスを呼びに雨の中を独り、駆けて行った。

 思った通り時間がかかり、旅行会社のマイクロバスが到着した。ただでさえ遅れているスケジュールにイライラしてくる。我々が乗りこむと、車内は座席も無いほどぎっしりな状態となる。あの単独でチェックインするという女の子達がもし残っていたら、さぞや窮屈な状態になったに違いないと思う。出発してすぐにガイドさんから「これから免税店に寄って、それからホテルに向かう」旨を言われ、唖然とする。もらった日程表にはそんな事は書いてなかった。だまし討ちにあった感じがする。やはりこういったパック旅行では暗黙の了解になっているのか。でも団体行動。一つのバスに乗っている限りは一緒に行動しなければならない。こんな事なら、空港で別行動を申し出るのであった。ガイドさんが「買い物の仕方」などのアドバイスをしているが、旅行ずれしているのか皆反応が冷めている。例えば、ガイドさんが食べ物の話を振る。

ガ「韓国といったら、やっぱり焼肉美味しいです。いっぱい食べていってください」
 そう言ったツアーもあるので…。と言いかけた所で例の4人組、
 「食い飽きた。わしら焼肉屋やっとるからの。(笑)」本人達は笑っているが、冗談だか本気だか判らず他の人の反応は無い。更に、
ガ「他にラーメンも美味しいですよ」と言うやいなや黒沢敏男が、
 「韓国はインスタントラーメンばっかりじゃ」不味くて食えないと、あまりな発言(そんなわけあるか!と思う。)。このガイドさんとのやり取り以外の彼らは、ホテルに着いたらすぐ「ウォーカーヒルホテル」へ行ってカジノをする、と言っていた。外出もせずに1日いるそうだ。ガイドさんが何を話しても万事この調子。

 バスの中の空気が重苦しい。ガイドさん、辛いだろうなぁ。接客業は「お客さんの言う事は絶対」であるから。僕は今までの経緯から「キレて」しまって無言だ。どうもこの人達とはかかわりたくない。僕の高校・大学時代の友達H山の事を思い出した。彼は本当に人が良い、と言うか心が出来ているやつで(だから陸上部のキャプテンだったのかもしれないが)、例えば車を運転しているとき、他の車にひどい割り込みをされると、僕などは「なんだあいつ!!」とすぐにムカつき、腹が立つ。しかし彼は、「(心に余裕の無い)かわいそうな人だなぁ」と思うらしい。僕は人に対する思いやりが足りないのだ。この彼の気持ちを聞いてからと言うもの、僕もこう言う場面では「相手を怒るよりむしろ、哀れに思える」様にしようとして来た。でも、だめだ。僕はまだまだ彼の境地に達する事が出来ない。

ペ「Uターンオッケーなんだここは」
 とか、独り言をいいながらバスの中から雨の降る外を撮影。ガイドさんによると、これから行くところは「コピー製品」の店らしい。警察が来るとすぐに店を閉めてしまうのだ、と店の説明をする。すると黒沢敏男が
 「わしら警察にも知り合いがおるからの。(笑)」と、茶々を入れていた。
 本当にこの人たちは「その筋の人では」と怖くなる。嫌だなぁ。初っ端からのこの雰囲気、むらさきさんに申し訳無くなる。

ダブル免税店

 店に到着。雨はほとんど止んでいた。ここは位置的に梨泰院(イテウォン)だと思う。店は2つに仕切られていて道路に面した手前側が一般の御土産で、奥がコピー品の様子。僕は免税店で物を買うのは価格が「高い」ので得策ではない、と思っているのでここではビデオカメラでの「隠し撮り」と観察に徹する事にした。むらさきさんには一応僕の考えについて話し、奥へと進む。僕はファインダーを覗かなくても大体の位置を撮れる自信があったので、後はTVで見たとき酔わないようにカメラの移動(ぶれ)を少なくすれば良い。人間で一番重心移動が少ないのは大切な内蔵があるお腹である。と言う事でわき腹の位置にカメラを抱えた。ここは空港からのルートに含まれているのか、店内は人であふれている。しかもそのほとんど、いや僕が見る限り全員が日本人である。そのためか、店員さんも日本語が話せる人ばかりである。

<省略>

 集合時間になり、バスに乗って移動。今度こそホテルに行ける。ずいぶん時間が押してしまったが、まだ日は沈んでいない。が、2軒目ーっ!!
何だ、この「アメジスト工場」って?作ってるの?
ガイドさんにもらったパンフレットの予定

 ここに着いてからもらったパンフレットを改めて見る。んげっ!聞いてねーよーっ!!日本でもらったのと違う!これは詐欺だ。「特ダネ!」というキャッチフレーズは、観光会社が「得だね」という意味だったのか!!格安ツアーに後悔。

 なされるがまま、少し小高くなった丘の上にある「免税店だけで成り立った」建物に到着。以前入ったことのある東和免税店のような商社も兼ねたビルではない。また、駐車場を挟んでホテルが建っており、その間に格式のありそうな建物があった。ホテルの最上部には英語で「THESHILLA」と書いてある。

免税店の建物 約30分間買い物タイムになった。一緒のバスに乗っていたみんなは散り散りに中へと消えていった。ここは2階建てになっていて、1階が食料品、服、アクセサリー系で、2階が壷や絵などの骨董品関係の様子。お客はほとんど日本人だが、ホテルが隣接している関係か欧米系の外国人の姿も見えた。さっきのコピー品の店と違って明るく、健全な雰囲気で修学旅行の団体と見られる学生もいる。ロイヤルホテルにも1階ロビーの脇にお土産屋さんが隣接していたが、ここもその類ではなかろうか。規模は全く違っている。本格的に「店」として独立させたのでは。気は進まなくとも新しく入ったところは興味はあるし、逃れられないのであればいろいろと観察しようという欲が出てきた。むらさきさんとまず店内を一周する。

 免税店で売っている品物は決められているのか、あまり変化が見られない。規模が大きくなってもこういった物か。食料品のところを廻っていると、韓国の伝統的なお菓子が売っている。しかし前の旅行でお土産として勤務先に持っていったら、かなり不評だったのだ。飴系ですごく甘いことを除けば、そんなに癖のある味ではなかったのだが「粘度」が高く口の中でまともに舐められないのが主な原因だと思う。歯にくっ付くと取れなくなってしまうのだ。むらさきさんはベルトや財布を少し眺めた以外は、ゆっくりと通りすぎる感じでしか物を見ない。朗かに僕とむらさきさんに合わないのだ。店の奥へ向かうと椅子が用意され、休憩所になっていた。紙コップのソフトドリンク販売機が用意してある。本来なら僕はジュース、むらさきさんは煙草を吸いながら椅子に座って時間を潰しただろう(少なくとも僕は喉が乾いていたので、少し休みたかった)が、
ここは学生が占拠していた。商品の価格が持ってきたお小遣いで苦しいのか、はたまた僕達のように興味が無いのか全く動く気配を感じない。ソフトドリンクを求めて販売機に近付くと「無料」だった!こういうサービスは初めてである。動かないわけだ。僕とむらさきさんは椅子を恨めしそうに見ながらジュースを飲む。飲みながら、こいつら(学生達)がいなければここは天国だ、と思う。しかし学生の中でいい歳をした大人2人がジュース片手に立ったまま飲んでいるという行為が何となく恥ずかしくなったので、早々にここを離れて2階を見に行く。途中トイレへ。歩きながらむらさきさんに「この辺りで喉が乾いたら、ここへ立ち寄ればジュース飲み放題でいい」とセコイ話をする。

 2階へ伸びるエスカレーターを通りフロアを一周。2階は骨董品だけでなく、化粧品売り場もあった。女学生がたむろしている。ここの店員も万引きを警戒していた。日本の恥になるので頼むから万引きや疑わしい行動はしないでくれ、と思いながら通りすぎた。店にいるのが辛くなってきたので、むらさきさんに外を少し撮影してくる旨を告げ、ここを離れた。


<省略>

 
 約束の5時10分になった。免税店の入り口が集合場所となっていたのだが、僕とむらさきさんしかいない。少し過ぎてガイドさん、ビジネスマン風の2人がやってきた。ビジネスマン風の2人は純粋に仕事に来たのか、もしくは僕のように社交辞令的に中に入っただけなのか、何も買わなかったようだ。後は例の4人組が揃えば出発できるのに影も形も無い。また探しに行くのも嫌なので、ここで待つ。本当にいらいらしてきた。5分ほど過ぎて黒沢敏男らが両手いっぱいにキムチなど食料品の荷物を持って登場。まだホテルにも着いていないのにこの荷物!!遅れたことよりもこのことで唖然となる。本当に数回韓国を訪れているのだろうか?

 ガイドさんはその荷物を見てにこやかな顔になった。そうなのだ。格安ツアーというのは、途中に寄る店で買い物をしてもらう事で旅行会社にバックマージンが入るので安くできるのだろう。僕はあの4人組を見て「ガイドさんを召使のように見下して使う」彼らに「人としてどうか?」と腹を立てていた。しかしガイドさんら旅行会社にとって「客としてどうか?」と見た場合、何も買わなかった僕達よりも彼ら4人組の方が良いお客さんなのだ。

 4人組の荷物をバスに詰め込み、出発。頭の中でいろんな考えが渦巻く。「客としてどうか?」のこともあったが、今後の段取りについてだ。まずPさんに電話をかける、とりあえず夕食を一緒に食べて…。その先が浮かばない。僕は実現可能かどうかは別として計画を立てるのが好きである。しかし今回は成り行き任せのことが多いのだ。すごく不安。一応、そのときの状況に合わせて4つくらいは行動パターンを考えてきたはずなのに。考えている間に南大門を過ぎ、明洞(ミョンドン)に近付く。もうすぐだ。いろいろと風景の解説をむらさきさんに話す。ロイヤルホテルに到着。
ペ「着いたー、着いたんだぁー。時間がめちゃめちゃ遅くてやばいです。Pさんと連絡が取れるんでしょーか?(笑)」
 嫌なことに全員同じホテルだが、これで自由行動になるのであの雰囲気から開放される。部屋の階も違うので、最終日までは4人組とも会わなくて済む。そして帰りの集合時間を聞くと解散になった。僕は利用するかもしれない(まずありえないが)ので、ロッテ百貨店の免税店チケットをガイドさんにもらってから部屋へ向かった。僕たちの部屋は20階、最上階だ!

行動開始

 むらさきさん、エレベーターに乗るやベタっとヤモリのように壁に張り付いて斜めに顔を向ける。?何してるんだろと思う。20階に着いた。部屋番号は2011。毎度の造りでも今回は2人なので少し広々。係りの人がTVの使い方などを説明してくれるが、僕は十分に判っている。荷物を置き、すぐにPさんに電話する。しかし、しかしつながらない。いや、正確に言うとつながっているのだが、録音されたメッセージみたいなものが流れているのだ。「発信音」が無いので(発信音の後にメッセージを、というやつ)、留守番電話ではなさそうだ。携帯にかけたのだが、ひょっとすると電源が入っていないか、圏外なのかもしれない。自宅にもかけてみる。ここも録音メッセージが。(泣)こちらは発信音があったので留守番電話だと判断。着いたことと後でまた電話をする旨を吹き込んで電話を切った。最悪の事態だ。無駄に時間を過ごすのももったいないので、むらさきさんに今のいきさつを話し、別の計画「おもちゃ問屋街探検」をすることにした。そうと決まれば急いで出かけなくては。むらさきさんはトイレへ。

 僕は待っている間、部屋の窓を開けてビデオカメラで外の風景を撮影。この部屋の窓はこんな高所にもかかわらず全開に出来る。網も張っていない。何か事故が起こるのでは、と思う。飛び降り自殺されたらどうするんだ。
ペ「ジャーン!なんと20階です。死にます。落ちたら死にます。洒落になってません。バーン。あれがロッテデパート。♪〜街の明かりがとてもきれいね明洞…ぷぷっ(自分の歌にウケてしまったのです。)ブルーライト明洞〜。(この頃、ナツメロにハマっています。)ちゅーことでこれから恐怖東大門ツアーに行きます」
 恐怖、というのは前の旅行でガイドさんに「夜の東大門は危ない」と聞かされていたからだ。用心のため、撮影機材は僕のビデオカメラだけ持っていくことにした。僕のは保険に入っているので万が一盗難に遭っても新品で戻ってくる(後ろから盗難に、という条件が付いていますが。笑)のだ。後はガイドブックが入ったバッグを手に部屋を出た。

 1階のカウンターで貴重品をセーフティボックスに預ける。
ペ「とりあえず何か腹に入れていきましょう。小腹空いてませんか?」
 外へ出るとすぐにあのマクドナルドに入りましょう、とむらさきさんを誘う。ホテルのすぐ傍に新しく出来ていたのがバスから見えたので、チェックしていたのだ。おやつ程度で十分。韓国のマクドナルドに入るのは初めてだ。この店は1階で注文して2階で食べられるようである。ここでも前の旅行同様、韓国に慣れてもらうためにむらさきさんと別々に注文。無事に商品が届き、トレイを持って2階へ。バリューセットなのに、日本よりも少し安かった。窓際に陣取り食べ始める。マクドナルドもロッテリアやバーガーキングみたいにケチャップが付いていた。ポテトに付けて食べるのだ。前から思っているが、日本でもこのサービスをやって欲しい。そして気がついたが、ペーパーナプキンが無いのだ。渡し忘れかな?と思ったが、他の人のを見ても無い。ここは必要な分だけダストボックスの上に置いてあるディスペンサーから取って来る方式なのだ。前にPさんから韓国の箸が金属製なのは使い捨てにしないためだという話を思い出し、これもそうなのかと感心する。確かに日本のペーパーナプキンの渡す量は過剰だ。肉はやはり日本のと違う感じ。おいしい。そして地下鉄24番、明洞駅へ。

地下鉄駅に向かう途中。右手前の女の子はカメラ目線だ。ペ「♪愉快な明洞、楽しい明洞。明洞、明洞」
 地下鉄駅に向かう途中、日本人と韓国人の顔の作りのことでむらさきさんと論戦。見ただけで違うという僕に対して全く変わらないというむらさきさん。では、と知り合いの名前を挙げ、偽者を探すという僕。

 歩いているとむらさきさんが、おっさんのポン引きに声をかけられる。断りながら先へ進む。きっぱりと断るのが最良の策、だと思う。明洞だなぁ、と思っていると今度は僕が別のポン引きの被害に。おっさんが煩わしい。そしてしばらく行くと、若い韓国人2人組に日本語で「どこに行くか?」と話し掛けられた。僕は初めてのとき(韓国その1参照。怪しい男)を思い出し、うわっまたか!と警戒。「地下鉄に乗る」と言い、少し早歩きに。しかしむらさきさんは相手をしている。ヤバイ。しかし話を聞いていると、彼らは「大学で日本語を選考していて、日本人と話したがっていたこと」「一緒にいる友達はまだ日本語がヘタなこと」「むらさきさんの髪の毛を後ろで束ねている感じがロック・スターみたいだと思って、声をかけた」ということが判る。疑った自分が恥ずかしくなった。それが駅付近に近付いた辺りだったので余計に悔しくなる。もっと親切に話すのだった。時間があればじっくりと話せたのに。名残惜しい。

エスカレーター半ば 地下鉄へと続く地下街は軍事上重要地点なので撮影禁止である。隠し撮りしている僕は普段見れないところを写している、と言うとむらさきさんは、でも要領のいいやつはもうやっている、と返す。

 改札をくぐりホームへ。エスカレーター半ばから車両に押されたと思われる風が吹いてきた。
ペ「うわー、涼しい。夏場(夏に韓国に来たことは無いです。多分中国の北京で地下鉄に乗ったときのことと勘違いしているのだと思います。笑)これが気持ちいいんすよね」


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