韓国旅行その3 1998年11月16日〜18日 |
日付 | 内容 | 行き先 |
動機 | 行かなければならない。 | |
1日目1998.11.16 | 夜の攻略。(前編) | 新羅ホテル、明洞 |
夜の攻略。(後編) | 東大門、明洞 | |
2日目1998.11.15 | 確実なところで。(前編) | 南大門、?、明洞 |
確実なところで。(後編) | ?、東大門、明洞 | |
3日目1998.11.16 | 夢の終わり。 | キムチ屋、帰国 |
朝の暇つぶし | |||
モーニングコールを聞く前に自然に目覚める。ベッドから起きると、ビデオカメラを手に窓を開けた。 ペ「めちゃめちゃいい天気になりました。今、8時くらいです」 午前8時、昨日が雨だったとは思えないほどの青空が広がっている。ゆっくりと窓の正面から左の山に見えるソウルタワーへPAN。遠くでクラクションの音が聞こえる。ロイヤル前の通りをクローズアップ。 ペ「これが10時くらいになると、人がめちゃめちゃ出てきて、賑やかな明洞になるんでしょうねぇ」 昨日は散々だった。収穫が何も無い。このまま帰ることになるかと思うと、不安と悔しさで嫌になってくる。 むらさきさんはまだベッドに潜っている。暇なのでTVを見る。NHKのBSなども入るが、ここは俄然韓国の番組だ。今しか見れない。
ペ「うーん、これは韓国版”ズームイン朝”なんでしょうか?…もしくは、朝から”ウルルン滞在記”みたいなこと、やってるんでしょーか?」 | |||
10時ぴったり | |||
スチルカメラとビデオカメラの両方を装備していくことにする。南大門付近で朗かに日本人の格好はまずいとは思いながらも記録を撮る、という義務感で強行。むらさきさんに前の旅行の時のことを話し、枕の下にチップを置いて部屋を出た。撮影開始。 ペ「只今エレベーター待ちです。今から、新世界百貨店に行きまーす。その後S店でとりあえず買い物をして、戻ってきます」 チン。エレベーターが20階に着いた。 ペ「さあ、荷物がどうなっているかな?」 む「到着でーす」 画面のフレームに飛び込むようにしてしゃべったので、おかしくなる。むらさきさんに続いてエレベーターに乗り込む。僕は扉に挟まれそうになる。 ペ「さっ荷物はどうなっているかな?…20階から下がるとね、気圧が変わるんだよぉ。(笑)」 またむらさきさんはヤモリのように壁にペッタリと張り付く。何をやってるの? ぺ「耳がツンとする」 セーフティボックスから財布を取り出し、当座の両替。そしてまた財布をセーフティボックスに戻す。外へ出た。 ペ「これが明洞大聖堂です。あー、涼しいなぁー。ちょっと逆光気味かな?」 と言いながら昨日覚えた「補正」をかけてみる。 ペ「逆光補正…。ああ、明るくなりすぎだぁ」 大聖堂が空と同じ明るさになって「飛ぶ」。日差しがあるので歩いているうちに体が熱くなってくるであろう。この涼しさはちょうど良い。むらさきさんは僕の撮影の妨げにならないようにと、ガイドブックの入った僕のバッグを持ってくれた。ロイヤル前の通りを歩き、メトロ美都波前の道路を左折。前に歩いたことを思い出す。 ペ「これがこの間、入りたくて入れなかった、新世界百貨店の前でーす。今もう開店しているはずなので入ってみます」 道路を挟んで撮影。地下道をくぐり、店の入り口へ。しかし丁度10時なのに閉まっている。ここは10時30分開店だったのだ。それでは「S」店に行けば開店しているのでは?と思い向かう。新世界の駐車場を曲がり、市場の入り口。 ぺ「さぁ、懐かしの所へやってまいりました。去年(間違っています。同じ年の3月である。笑)ここで、狂ったように買いましたね。…ちょっと、新世界、10時半かららしいので、今10時なんで、S店の方へ来ました」 撮影しながら歩いているが、前方を歩くおばさん2人も腕を組んでいる。この習慣は年齢に関係無いのか?狭い路地は屋台が並んでいる。準備中なのか、この時間に来る日本人があまりいないのか客引きの声も無い。まるで東大門市場の様だ。助かる。いつものような人出はまだ無い。 ペ「ああ、相変わらずです。相変わらず。…なるべく…ああっ、チャリンコ(自転車)です」 自転車が隙間を縫う様に後ろからやってきた。体を横にして避ける。その拍子に僕とむらさきさんの位置が入れ替わり、僕がむらさきさんについていくような格好になる。むらさきさんは珍しいのか、左右の屋台を交互に見ながら歩いている。 む「セーターでも買っていこうかなって、いう気分になるな。(笑)」 ペ「え!?」 む「セーターでも買っていこうかなって気分になる。(笑)」 ペ「寒いですからね。(笑)風がめちゃめちゃ寒い」 今日は天気がいいのに一向に体が温まらない。むらさきさんが真っ直ぐ?と聞くので、すぐそこだと教える。この辺りはチェック済みだ。 む「ここ(市場)の辺り、まだ暖かいよ」 ペ「あー、あの、(屋台が)密集してますからね」 人や大きさの揃っていない屋台をよけながら撮影しているので、気を付けてはいるがビデオカメラにどう写っているか心配になる。 ペ「うわー、この(撮影している)画面見たら、絶対に酔うやろな」 むらさきさんは、ははは、と笑っている。 ペ「何か、歩いてても大丈夫なような、あれにならないかな?”超手ぶれ防止”とか、”歩き防止”」 歩き防止だと動けない。むらさきさんの反応なし。 | |||
意外な事実 | |||
ペ「ここです。来ましたS」 むらさきさん、僕は入り口ドアを見て、はっとする。10時30分開店だった。ハァ、と溜め息。ひょっとすると市場を含めたこのブロックは、開店時間が同じなのかもしれない。 ペ「また入れません。今日は何なんでしょう?しょうがないので市場をうろつきましょうか?」 と、S店の前を突っ立っていると、革のズボンを見ていかないか、とむらさきさんが呼びこみにつかまる。初めて僕が革ジャン屋につかまったときを思い出す。手口が同じだ。きっぱり断る。思ったよりしつこくなかった。 S店の向かいはクリスマス用品の店が。そろそろ僕の勤め先でも準備をする時期だなあ、と思う。1年が経つのは早い。この季節になると売上もすごいが、忙しさも尋常でなくなるのである。帰るのが嫌になってきた。 ペ「クリスマス。うーん、この辺でも飾りつけはすごい」 僕の好きな山下達郎の歌を思い出す。このビデオを編集したら、エンディングテーマにしようかと思う。その隣の店が開いているようだったので入ってみる。衣料品専門の様子。でも一応上まで、ということでエスカレーターに。むらさきさんが煙草を忘れてきた、といっていたので煙草を売っている所も探す。最上階に着いた。ここは食堂(レストラン、といった感じではない)フロアの様だ。煙草の売店、ではないが煙草を置いている所を発見したのでダメ元で「イゴチュセヨ(これください)」と言ってみた。そこにいるおじさんとおばさんは少し相談した後、どれがいい?という感じで見せてくれた。例の「電卓に値段を打ってもらう」方法を使う。韓国の相場は知らないが、むらさきさんに聞くと日本よりも安い。適正であろうと判断。買ってここを後にした。下りのエスカレーターで、むらさきさんが「煙草を売るお店じゃなかったのに、頼まれたから個人のものを売ってくれたのではないか?」という話をする。そうかもしれない。韓国語のおじさん、おばさんの言い方の話になる。 む「アズマー(おばさん)って、おもろいのぅ」 時間がまだあるので他の場所も見てみる。南大門市場は、日本人観光客にとって朝が狙い目かもしれない。珍しいことに、まだ1回しか声をかけられていない。歩いては立ち止まり、スチルカメラとビデオカメラで撮影。通りをつなぐ様にかかっている旗が風になびく。 ペ「さむー。ムチャムチャさぶー」 むらさきさんが先を歩いている。吹きすさぶ風の中、歩くむらさきさんがいい雰囲気。と、100mほど行ったところで僕がいないのに気付き、周りを見渡すと慌てて戻ってきた。後で聞いたら、僕に「まかれた」と思ったらしい。(笑) 大通りに出た。どうやら市場の端まで来たようだ。一休み。 ペ「さっき買った煙草の、テイスティングです」 むらさきさんはレンズに煙草のパッケージを見せる。 ペ「どうですか?」 む「軽い」にこやかに煙草をふかしている。 ペ「軽い!?はぁ、Pさんもあのー、I川君のタバコ見て、重いねー!て言っとったから、やっぱ韓国では軽いのが流行っているのかもしれない」 むらさきさんは話しを聞きながらああ、と納得。 む「しかもね、シルクロードの味に似てる。(笑)」 ペ「うわー、よく判んない」 む「そーゆー煙草があるんよ」 僕はああー、と相槌。 む「あまーい、ちょっと甘い感じ」 ペ「甘い感じ?」 む「辛くはない」 ペ「むぅ〜」 ビデオカメラをむらさきさんから左の大通りへと向ける。屋台が並ぶ。 ペ「ここは南大門市場のすぐ外」 む「…これ銀杏?」 ペ「銀杏かなぁ〜?」 む「これ銀杏だ。焼いたやつでこう。…200円。一杯200円。やっすい」 ペ「というか俺この〜、みかんでしょうか?みかんが5個100円ていうのが安いなぁって」 PANする。 ペ「焼き銀杏」 む「銀杏、1パック食べたら、鼻血で卒倒しそう。(笑)」 ペ「えっ!?銀杏てそんな精力的なものが」 む「あるよ」 ペ「ああー、それは知らなかった」 む「アクは強いしさ」 ペ「はあ〜」 む「喉がイガイガになるよ」 | |||
確実 | |||
S店が開店。中に入る。品揃えが前に比べて格段に良くなっている。プラモデルがやや減り、ガレージキットがその分増えていた。男の店員さんが2人いる。むらさきさんが品定めに入り、僕はそれを撮影。 ペ「偽ガレージキットです。ついに来ました。あっ、ファンタジー系のフィギュアがかなりいっぱい」 むらさきさんは棚を見ながら右へ行ったり左へ行ったり。エヴァンゲリオンのフィギュアを発見。 ペ「綾波ー、アスカぁーっ!」 ツクダ、海洋堂、ムサシヤ、コトブキヤと、ありとあらゆるメーカーのコピーの様だ。 ペ「あっ、グレートマジンガー対暗黒大将軍、とかある。イエッタ(ファイブスター物語)とか」 ずっと棚を見てても飽きない。ワークショップ・キャストのTRISTAN発見。編集したビデオを見せる予定の人間のために「嫌がらせ」に入る。 ペ「I野ー、8,500円やって。でも今回重たいから買ってかないよ」 I野、とは店の常連で、僕の勤務先でアルバイトもしたことがあるやつだ。 ペ「偽ガレージキットの宝庫です。ここがS店というところで、多分ここが1番品揃えが高いでしょう。あっ、I川君、ダースベーダーだ。4,000円だって。君そんなお金、あったかなぁ〜。(笑)きっと、今度来たときもあるよ、これ」 I川君にはまだ前の旅行で貸したお金を返してもらっていない。棚の上のほうに見たようなものが。指差してむらさきさんに教える。 ペ「これ、シレーヌでしょう?シレーヌ(デビルマン)の光」 む「うーん、光と闇とある」 ボークスの商品だ。 む「うーん、目移りする。あれも欲しい、これも欲しい。(笑)」 地元でやっている「銅器」のコマーシャルのようなコメント。僕もいいかげんに撮影をやめて、品定めに入らねば。巨大なグレートマジンガーを発見。体が太いが、顔の造型がいい。購入決定。僕が発見、発見と声をあげながら選んでいるとむらさきさんが、え!?どこにそんなものが、という感じで「やられた」表情。1個しかないものも多かったのだ。むらさきさんの方が棚をじっくり見ていたはずなのに不思議。でも僕がビデオカメラで撮影したはずのところで気付かなかったものもあった。トゥームレイダーのガレージキットがそうだ。でもこのレイラ、服が破れて、乳を放り出してますけど。という理由で僕は買わなかった。むらさきさんは買うことにしたようだ。僕は「疑わしい行動」を少しでも減らすために、確実に買う意思を見せようと商品を次々とレジに積むことにした。ファンタジー系も含めて、僕はこれ以上無いという選びをして清算。I川君向けのお土産も購入した。
むらさきさんの清算を撮影しながら待つ。 | |||
同士発見 | |||
時計を確認して驚く。S店に1時間20分もいたのだ!楽しいと時間が経つのが早い。僕とむらさきさんは、買った品物を見せ合いながら感想を言い合う。主に価格と出来についてだ。 買った本を見る。80年代初期のホビージャパンを彷彿とさせる内容だが、キャラクターモデルが余り無い。「プライベートライアン」をフルスクラッチしている記事があり、オマハビーチ上陸シーンを再現している。工作、塗装のレベルが高い。前の旅行で見た作例もそうだが、韓国のモデラーは侮れない。そして読者交流のページにウケたりした。知っているメーカーの名前から、ハングルの「あ」という文字を覚える。広告を見ると、ガレージキットが載っているところもあった。これはS店に無かったラインナップ。探索第1候補に決定。そんな感じでいくつか候補を上げて、ページにメモ用紙をしおり代わりに挟む。場所は1階の案内で聞いて最終的に絞る事にする。欲しい商品の価格も大体判った。 出かける準備をして1階のカウンターに向かう。カウンターにはショートカットの綺麗な女性がいた。名前を確認。Kさんである。この人は日本人かと思うくらい、日本語が上手だ。(北京でお世話になった李さんを思い出す。話を聞いている間「ひょっとして日本人で、韓国に帰化したのだろうか?」と何度も思う。)ちょっと恥ずかしいが本を見てもらった。どこにあるか聞くと、知らないところばかりだという。彼女は最初タクシーの運転手に聞きにいった。結果は判らず。運転手が本を見て「だみやぁ?」と言ったので、韓国語の田宮模型の発音が判った。ハングルの「た」は「tまたはd」と、確かガイドブックの表に書いてあった。だから「タミヤ」が「ダミヤ」になるのだと思う。次に候補地に電話をかけて場所を聞いてもらう。第1候補は通信販売専用だった。行けないのだ。がっかり。他はソウルから遠いところや釜山だったりで物理的に行けない。唯一、行けそうなところが判った。通信販売をしているところが、商品を卸しているところを教えてくれた。本にはスケールモデルしか広告に載っていないが、あるらしい。またガレージキットが無くても、レベルの高い作例と僕が探している「コルベット(後に手に入りました。)」が置いてあるのでは、という期待から決定。そこに電話。詳しい場所をファックスで送ってもらえるらしいので、それまで待機。Kさんと雑談する。本をぺらぺらとめくるKさん。 K「あっ、シャアですね!」 この人はシャアを知っているぅ〜。こんなに美人なのに。仲間だったのか!?僕とむらさきさん、急に親近感が沸く。というより、僕はこの人に惚れた。が、よく聞いてみるとお兄さんがいて、ガンダムを好きだったらしく、プラモデルも作っていたとか。ちょっとがっかり。彼女は「真性」ではなかったのか。 K「私も子供の頃よく作りました」 少し仲間。韓国語でもプラモデルは「プラモデル」だということが判った。更に本を見ている彼女が「エヴァンゲリオン…」とつぶやくものだから、僕とむらさきさんは大興奮。 K「いえ、知らないですよ。書いてあったので」 むうう。残念。 まだファックスが届かない。少し話題が乏しくなってきた。 K「変わったところに行きますね?」 そうであろう。僕達は普通の日本人観光客ではないのだ。 K「こういうものは日本の方がたくさんあるでしょう?」 その問いに、日本でもう売っていないもの(絶版)があり、こちらで買うと安いことを力説。ファックスが届いた。彼女がカウンター脇にあった観光案内用の地図を開く。僕が「地下鉄で行けますか?」と聞くと、この位置は少し難しいのでタクシーで行ったほうがいいでしょう、といった答え。自力で行く、という感じではないが仕方ない。Kさんはファックス用紙に韓国語で何か書き込むと、これを運転手に見せるだけで行ける、と言ってくれた。では、と御礼を言って出る。親切な対応がうれしく、名残惜しい。むらさきさんが「いい人だった」と言ったので、僕が「惚れたでしょ」と突っ込む。むらさきさん、「ははは、何を」と照れる。写真を撮らせてもらえば良かった。むらさきさんにそう言うと、自分も一緒に写真を撮ってもらえば良かったと漏らす。 む「でもなぁー、あれで胸があれば…」 実に惜しい、といった表情。韓国の女性はバストの大きい人が少ない。彼は「おっぱい星人」だったのだ。昔付き合っていた彼女の影響らしい。 ペ「僕は脚の長さがあれば満足…」 と、下司な会話。食事をどうするか、とむらさきさんに尋ねると「別にいいかな?」と言う答え。2人とも新天地への興奮で食事など、どうでもいい感じになってきていたのだ。予定の順序を入れ替えて東大門は後回し。模範タクシーに乗る。 | |||
新天地へ | |||
ファックス用紙を見せると出発した。撮影開始。僕が進行方向向かって左側(運転席側)、むらさきさんが右側である。このビデオを見る人に向けて経過報告。 ペ「えー今回、えー新天地を求めて、タクシーで移動開始しました。と、いうのもさっきS店でおまけしてもらったホビージャパンの偽物みたいな本に、偽ガレージキットがいっぱい載ってて、でもそこは通信販売専門だったんで、えーそこへフロントから電話をかけてもらって、そういうのをたくさん売っている店紹介してもらいました。えー地下鉄で行けないこともないんですが、着いてから場所が判らないだろうということで、安全を考えてタクシーにしました。えー帰りは恐らく地下鉄で帰れると思いますんで、今度3月にみんなで行こうと思ったら、行けるようにしとこうかなーなんて。という訳で、このまま撮影を続けてると酔うので、1回切ります」 思っていた方向と逆に明洞大聖堂側を通る。全く知らないところへ行くのだな、という気になる。
ペ「えー南山公園をロイヤルホテルから見て左回りに周ってますね、これは。…丁度(タクシーの)真後ろに当るのがソウルタワー」 ペ「あっ、このビジョンは、ソウルタワーから1回観たことあるぞ」
ペ「地図見ながら、走ってくれてます。要するにここは…東名高速のような、東名高速ではない。(笑)……あっという間に12時49分。今日5時にPさんと会う約束してます。帰れるんでしょうか?(笑)」 |