Polypodiopsida
ポリポディオプシダ
あるいは
Polypodiales
ポリポディアレス
あるいは
Leptosporangiate ferns
レプトスポランギアータ・ファーン
薄嚢シダ類
あるいは
Filicophyta:フィリコフィタ
Filicales:フィリカレス:シダ目
Pteridales:プテリダレス
ポリポディアレス/レプトスポランギアータ/薄嚢シダ類とは?:
薄嚢シダは、”はくのうしだ”、と読みます。胞子を収めた袋(胞子嚢:スポランギウム:Sporangium)が薄い膜で出来ており、特異で派生的な形状をしている植物群です。伝統的に狭義のシダ類として扱われた植物群から、リュウビンタイやハナヤスリ、ハナワラビを除外したグループと考えれば良いでしょう。リュウビンタイは熱帯性の植物であり、温帯地方の人は野外ではまず目にしません。ハナヤスリ、ハナワラビは温帯に生えますが、種類も数も、あまり多くありません。私たちがシダと呼んでいる植物は、そのほとんどが薄嚢シダ類に属しています。
ポリポディアレスの名称に関して:
以上のように事実上、狭義のシダに近いためでしょうか、この系統群を指す言葉としてシダ目をそのまま使う場合があるなど、呼び名に同義語あるいは類義語が多く、やや混乱しているように見えます。2012年12月現在、このHPでは[Plant Systematics] Simpson 2006 に従いポリポディアレスを用いました。また、薄嚢シダ類:レプトスポランギアータは伝統的な呼び方で、参考図書でも併記されていますから、当HPでも併記しています。
*Polypodiales:ポリポディアレスは、そのまま訳すとウラボシ類、あるいはウラボシ目になります。Simpson 2006 ではポリポディアレス(ウラボシ目)が薄嚢シダ類と同義な用語として使われていますが、[Plant Systematics A Phylogenetic Approach ] Judd et al 2008 では、この名称は薄嚢シダ類の中でも、ゼンマイ、サンショウモ、デンジソウ、ヘゴ以外のシダ類たちを指す、もう少し狭い言葉として用いられています。さらにこれ以後、用語の変更も行われたようなので、状況の把握に従い、おいおい補完の予定。
ポリポディアレス/薄嚢シダ類の共有派生形質:
:薄い膜を持つ特異な胞子嚢(スポランギウム:Sporangium)
薄嚢シダ類を指す用語Leptosporangiataとは、ギリシャ語で薄いを意味するレプトス:λεπτσ(英語のアルファベットで表記するとLeptos )と胞子嚢を示すスポランギウム:Sporangium をくっつけた言葉です。つまりレプトスポランギアータとは”薄い胞子嚢を持つ類”の意味。まんまな呼び名ですね。
*λεπτσの語尾はギリシャ語アルファベットのシグマ(大文字で書くとΣ)。シグマは本来、語尾に付くと英語のSに似た書き方に変わります。ただ、フォントの制約でしょうか、この表記がよく文字化けするので、ここではσで示しました。
多くの場合、薄嚢シダ類の胞子嚢はたくさん集合して、胞子嚢群(ソーラス:Sorus)を作ります。以下はナガバヤブソテツのソーラス(複数)の画像です。ちなみにソーラスの複数形はSori。
ナガバヤブソテツのソーラス
撮影:2012/12/09 神奈川県
以下はソーラスの拡大
ナガバヤブソテツのソーラス拡大
撮影:2012/12/10(上の株と同個体)
ひとつひとつのソーラスは、さらに小さな丸いものがたくさん集まって出来ていることが分かります。このひとつひとつが胞子嚢(スポランギウム)であり、これが薄嚢シダ類の共有派生形質となります。
また、多くの薄嚢シダ類は葉っぱを支える柄に鱗片というものをつけます。これは薄いフィルムのようなもので、削り節みたいなものから、体毛のようなもの、密生するもの、ほとんど無いものまで色々です。鱗片は種類の同定において貴重な手がかりになります。
ナガバヤブソテツ(以上の画像個体の隣にいたもの)
撮影2012/12/09
主な薄嚢シダ類:
ゼンマイ
ウラジロ
フモトシダ
ワラビ
イワガネゼンマイ
イワガネソウ
タチシノブ
イノモトソウ
ジュウモンジシダ
イノデ
リョウメンシダ
イヌワラビ