Monilophytes
モニロフィテス
あるいは
Moniliformopses
モニリフォルモプシス
トクサ+リュウビンタイ+ワラビ+ハナヤスリ
+マツバラン?
モニロフィテスとは?:
トクサ+リュウビンタイ+ワラビ+ハナヤスリより成る単系統群のことです。意外なことにマツバランをここに入れる見解があります。そういう意味ではかつて使われた広義のシダ類からヒカゲノカズラ類を抜いたものだと言えるでしょう。
シダという用語に関して:
初版が1959年に出された「原色日本羊歯植物図鑑」保育社を参考にすると、広義のシダ植物にはPteridophyta:プテリドフィタという名称が与えられていて、そこにはマツバラン、トクサ、ヒカゲノカズラ、狭義のシダが含まれていました。もっとも、冒頭の文章で、シダ植物各グループ間の違いが相当大きいことから、”種子植物でない維管束植物がシダ植物であるというくらいの意義しかなくなった”ということがすでに述べられています。こうした説明からは、マツバラン、トクサ、ヒカゲノカズラ、狭義のシダ類を便宜的にシダ植物:プテリドフィタとしてまとめるが、実際のところこれらはまったく別のグループである、当時のそういう見解がうかがえます。またこうした見解は相違点を重視する分類学的なものだとも言えるでしょう。
一方、狭義のシダ類には分類階級として門が、名称としてはPterophyta:プテロフィタが与えられていました。そしてシダ門は2つの大きなサブグループ、
真嚢シダ綱:Eusporangiopsida:ハナヤスリ、フユノハナワラビ、リュウビンタイなどを含む
薄嚢シダ綱:Leptosporangiopsida:ワラビ、ゼンマイ、ヤブソテツ、イノデ、デンジソウ、サンショウモなどを含む
に分けられていました。
以後、半世紀以上が経過し、系統学が発達した現在ではどう記述されるようになったのでしょうか?
[Plant Systematics] Simpson 2006 を参考にして簡単に述べると、
:トクサ+狭義のシダは単系統群である(=モニロフィテス)
:モニロフィテスにはマツバランが含まれるかもしれない
:狭義のシダのうち、単系統群なのは薄嚢シダである
となります。かつてシダとされた真嚢シダ類は単系統性が支持されないようで、むしろモニロフィテスの中で分解されるような形でばらけています。一方、単系統群として残った薄嚢シダにはポリポディアレス:Polypodiales という名称が与えられました(*注:用語にやや混乱があるらしく、この表記は当HPでは現時点において暫定的です)。ポリポディアレスは事実上、薄嚢シダ類なので、Leptosporangiate ferns という併記もなされています。
簡単に言ってしまうと、系統学的には広義のシダ(Pteridophyta)も狭義のシダ(Pterophyta)も分解し、狭義のシダの中核である薄嚢シダ類だけが残ったと言えるでしょう。
その薄嚢シダ類がトクサ、リュウビンタイ、ハナヤスリ、マツバランと共に作る系統群がモニロフィテスです。なお英語の文献ではこの系統群にFernsという言葉が当てられています。
一方、私たちが普段使っているシダという言葉は、通常、トクサを含みません。また、私たちが目にするシダとは、ほとんどすべて薄嚢シダ類です。そうでない”シダ”で、なおかつ野外で見ることが出来るものというと、温帯地域の人にとってはハナヤスリとハナワラビだけですし、これらも数が多くありません。そういう意味でいうと、日常的には、シダはシダのままなのだ、とも言えます。そして、モニロフィテスはシダ+トクサ(ツクシ)と考えていれば、おおむね正しいと言えそうです。
モニロフィテスの共有派生形質:
工事中
主なモニロフィテス:
トクサ類:トクサ、ツクシなど
リュウビンタイ類:リュウビンタイ
ハヤヤスリ類:ハナヤスリ、フユノハナワラビなど
マツバラン類:マツバラン
ポリポディアレス:あるはレプトスポランギアータ/薄嚢シダ類 *呼称は当HPでは暫定的
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