ホシダ

Thelypteris acuminata

*「神奈川県植物誌2001」参考

「原色日本羊歯植物図鑑」では Cyclosorus acuminatus

 

撮影:2012/11/28 神奈川県

 シダの葉はこれ全体で1枚ですが、先端が長く伸びるのがホシダの特徴のひとつです。日当りの良い場所に生えるシダで、以上の個体も丘を切り通して作った道路の、南側を向いた斜面に生えていたものです。この葉っぱの長さは30センチぐらい。

 一方、以下は森の脇を通る小道に生えていたもの。

撮影:2012/12/16 神奈川県

 この個体は森の縁を走る小道、南向きの比較的日当りのよい場所に生えていました。樹々の枝が上にはり出して、やや日陰になるためでしょうか? 長く伸びて70センチあまりあります。しかし、幅があまりないこと、さらに葉っぱ同士の間隔(実際にはこれ全体が1枚の葉っぱで、左右につきでたものは葉っぱの一部である羽片ですから、正確には羽片同士の間隔)が間延びするので、ボリュームがあるようには感じません。ホシダは常緑性で、冬でも青々としており、群生します。

 

 ホシダの特徴 

:葉っぱの先端が顕著に伸びる

:日当りの良い場所を好む(森の中では見かけません)

:最下の葉脈が連結する(これだけでは意味不明なので具体的には以下解説を参考)

:胞子嚢群(ソーラス)は円形で列になって並ぶ

:胞膜は円腎形

*注:以上の特徴は共有あるいは固有派生形質であることを必ずしも意味しません。分類学上、あるいは同定上の手がかりと思ってください。

 

 解説 

 「原色日本羊歯植物図鑑」で、”最下の葉脈が連結し、、、”と書かれているようにホシダは葉脈に特徴があります。以下は夕日を透かしてみたホシダの葉っぱ。

撮影:2012/11/28 神奈川県(以上とは別個体)

 日に透かすと、分岐して伸びる脈が隣のものと再びくっついているのが見えます。文献によってはこれをYの字と表現するものがあります。隣同士の脈がくっついて、さらに合流した1本の脈が縁にまで伸びる様子を言っているのでしょう。一見すると羽片は中程度に切れ込んでいるように見えますが、実際のところ、黄色く透けているのはすべて脈の部分。それを考えると、羽片の切れ込みは浅いことが分かります。

 

 

撮影:2012/11/29 神奈川県

 胞子嚢群(ソーラス)をつけている葉っぱを透かして裏側から見たもの。

「原色日本羊歯植物図鑑」では、胞子の嚢群に被さる胞膜は”円腎形”と記述されています。円盤状で腎臓形という意味なのでしょうが、確かに、ソーラスが若い時はそういう形に見えます(以下を参照)。

撮影:2012/12/16 神奈川県

 また、”胞子嚢群は割合辺縁に近く並び、大きいので成熟した時には互にくっついて1列に見えることが多い。”とありますが、それに該当しそうなのが以下の画像。

 

撮影:2012/12/07 神奈川県

 

 葉っぱや柄には小さい透明な毛が生えているので、反射光で見ると、なにかこう、ビロードっぽい質感があります。表側から見ると葉っぱの柄が紫がかっている場合もあって、なかなかきれいなシダだと言えるでしょう。*ちなみに、毛の量には変異があるそうです。

 

撮影:2012/12/07 神奈川県

撮影:2012/12/07 神奈川県

 

   

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